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2013年6月 2日 (日)

映画「オブリビオン」とアベノミクス相場の行方(第678回)

映画「オブリビオン」とアベノミクス相場の前途(第678回)

 「オブリビオン」は“忘却”のこと。SF映画では秀作と思う。ストーリーもよくできているし、細部の仕上がりもいい。主演のトム・クルーズも助演の女優二人も巧い。

 時代は2077年。侵略者が月を破壊し地球も廃墟になったという設定。天上に浮かぶ監視員をつとめる男女二人は、まだ地上に多少残存する侵略者を探索し、時に戦闘する。このパトロール機がカッコいい。

 主人公ジャックは毎晩ある夢を見る。そこに打ち上げられていた宇宙船が着地、夢の中の女性が現れ知らない筈の自分の名前を呼ぶ。そこいらから物語はガラリと変わり、意外や意外の展開に。

 この映画のテーマは自己犠牲。ローマ時代の詩人ホラティウスの言葉「苦境にあって祖先と故郷のために死ぬことは名誉」が何回も引用される。廃墟の中でジャックが手にする本(「二都物語」「ローマ時代の古詩」)も自己犠牲を暗示している。

 

 私は先週のこのコラムで「私は慎重だ」と述べた。5月23日のあの大幅下落の後、まだ下値があると考えたからだ。予想は正しかった。私がこの原稿を書いている6月2日現在、前週末5月31日のNYダウは208ドル安。週明けの東京株式市場にも、いい材料であるはずがない。

 私は日経平均を引き上げる時にむりして買い上げられたファーストリテイリングの下げに注目している。私はこの銘柄は円高デフレのおかげをこうむっていたので、円安リフレになったら不利益になるはずと考えている。同社の株価が上がったのはヘッジファンドがある目標まで日経平均を引き上げるため。5月23日以降の株価が大きく下がり、信用取引の追証がそろそろ。

 まるで映画の「忘却」で、主人公の記憶がなくされてしまったよう。上げる時のリクツがもともとオカしかったのだから仕方ないが。

 私はあの5月23日の大幅下落は、1日3~4兆円の取引量の市場に6兆円(40万枚!×1500万円)の大量の先物売りが出たせいと考える。

 先物の売りは必ず買い戻す。その前にヘッジファンドは安値でたたいてそこで買い戻しに入る。今がその段階と見る。

 円安ドル高の流れが変わってしまっていたなら下げ相場。しかし6月1日に発表された5月28日のシカゴ通貨先物取引の残高は前週21日に比べてほとんど円売り越し残高は変わらなかった。

 6月第2金曜日(14日)には買い戻しがある(全部ではないが)と思うので、安値はせいぜい1万3000円台の下の方、悪くても1万3000円を少し割るくらい、と想定している。

 ただし、1万6000円近辺を抜くのは大変だろう。

 まず、債券市場の10年もの国債金利が4月3日(黒田日銀の直前)の0・555%が5月23日に瞬間1%がついてしまった。現在は0・8%だが、この1%は例のカイル・バスとその同調者がオプションで収益が上がる水準。ここ3~4年日本崩壊説を言い続けて大損してきたカイル・バスが、初めて儲かった。このツケは大きいのでは。

 またアベノミクスの第三の矢「成長戦略」も6月1日の読売新聞の記事(要旨を含む)では、私の見方では日光の手前、イマイチだ。がっかりして売るヘッジファンドのマネジャーは多いと思う。明らかに既存の権益擁護派のカベを抜けなかった内容だ。

 幸い、私が本命と信じている自動車、金融も一緒に下げてくれたので、買いチャンスが生まれた。今週でなく来週かそこらに押し目買いを。

映画のセリフから。ジャック(主人公)の妻が言う。「一緒に年を取って少し今より肥って、あなたは少々飲みすぎて、そして死ぬのよ。でも愛は変わらないの。」相場には流れがある。私は長期上昇相場と見るので、去る5月23日と何週間かの下げは、ちょうどいい休みになったのでは。

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