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2013年6月28日 (金)

映画「二流小説家シリアリスト」と恐ろしいオハナシ(第682回)

映画「二流小説家シリアリスト」と恐ろしいおハナシ(第682回)

 原作は米国作家のミステリーの傑作で、「このミステリーがすごい」2012年海外編第1位で週刊文春ミステリーベスト10第1位、「ミステリーが読みたい!海外編第1位という初めての三冠王。ともかく面白く、完全に百戦錬磨の私が騙されしかも77歳の老人が途中で声を挙げて大笑いした。まあ読んでごらんなさい。

 これを上川隆也主演で日本映画にしたのだから面白いーはずだったが、残念ながら出来はイマイチだった。それでも原作に比べての話で、観客としては十分に楽しめる。

 主人公は売れない小説家、そこに世間を騒がせた連続殺人犯(シリアリストとはこの意味だ)で死刑が確定している男から、告白するから本を書いてほし、と執筆依頼が舞い込む。会いにゆくと犯人を主人公にした官能小説を書いてほしいといわれる。取材は死刑囚に届けられた熱狂的な信者の女性のファンレターから、とも。

 ところが小説家の行く先々で12年前の連続殺人と全く同じ手口で殺人事件が続発。刑務所にいる死刑囚が殺せるはずがない。何故か?

 

 このミステリー小説の傑作は最後の最後までこのなぞが解けないことはもちろんだが、主人公が各小節の一部が何回もそう入され、これがまた面白いパロディになっている。二重構造だ。

 

 金融の世界では二重構造は良くあり、かつての日本の不動産バブル崩壊の時には正規の銀行業はノンバンクを使って損失を小さく見せかけようとした。またあのリーマンショックの時にはサブプライムの損失が始めは100億ドル単位と思われていたのが、最終的にはケタがいくつも違う天文学的数字になった。

 今回は中国のシャドーバンキング。中国の世紀の銀行は規制が厳しいので、巨大なアングラ金融市場が出来上がっている。

 銀行預金の3%より高い10%前後の金利をつけた一種の債券(理財商品)を個人などに販売し、その資金を地方政府などに貸し付けてきた。クレディスイスによるとGDP比44%の22・8兆元(360兆円)と推計されているが実体は、不明だ。

 しかし、ここ数年間の中国のインフラ投資は地方政府が主力で、欧州系格付け会社フィッチによると地方政府債務の対GDP比は2007年の130%から2013年3月末に210%に急膨張している。フィッチは「金融の安定性へのリスクが高まっている」として中国国債の格付けを引き下げた。

 前後して有力欧米銀行が中国の銀行株を売却している。UBSやゴールドマンで、近く深刻な金融危機があると読んでのことだろう。

 またジョージ・ソロスは「中国のシャドーバンキングは米国のサブプライムの状況とよく似ている」と警告した。

 危機の兆候が具体化したのは先月、銀行間の短期金利が13%に急騰し、中堅の政府系銀行のチャイナ・エバーナイトが9・8億ドルのローンをデフォルトしたこと。「バロンズ」誌は「2008年3月にベア・マターンズが破たんしたときと同じ段階に来ている」と特集した。

 6月に入り巨大な資金の枯渇が生じている。フィッチによると6月末で1兆500億元(24兆円)の理財商品が満期を迎える。これが前記のインターバンク・レートの急上昇と関係があることは間違いない。

 いま世界の市場で「グレート・リクイディション(有力エコノミストのエド・ヤーディニ氏)」が発生している。米国の債券、株式市場に始まり、BRICSや新興国の通貨、株式、それに金を含めた商品まで下落基調。短期資金として滞留しているのは、リスクを恐れているのかもしれない。

 かねてから私は、中国の昨年7・7%とか7・8%成長はウソ。電力消費や鉄道貨物の輸送トン数から見て3~4%がせいぜい、とこのコラムでも書いてきた。

 また中国人はバブル崩壊の恐ろしさや痛みを知らない。

 私の英国人の友人が1991年に、当時の私の「何とかなるだろう」説に気の毒そうな顔をして「もっとペインフルなものなんだ」といったのを忘れない。

 どの先進国も経済問題では痛みを経験している。中国はどうこの問題に取り組むのだろうか。

 映画のセリフから。拘置所で死刑囚が主人公に言う。「オレはイメージ通りだった?」小説でも映画でも本当にコワーいのは、これから。

 それにしても株価はすべてを織り込むものだ。上海株は安値を付けては戻すが又前の安値を切る。弱い弱い相場つきで、一日二日戻ったから安心するというのはムシが良すぎるだろう。日本の方は先物売りの買い戻しで強い。2,3年先には2万円も、という目標は変えないが、まだまだ本気で強気にはなれない。

 

 

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