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2013年7月29日 (月)

映画「風立ちぬ」と株と金(第686回)

映画「風立ちぬ」と株と金(第686回)

 92年の「紅の豚」以来の飛行機映画だし、なんといっても宮崎駿監督作品。特に2008年の「崖の上のポニョ」以来の作品とあって大ヒット中。

 ゼロ戦の設計者として知られる堀越二郎の半生を画く。恋人菜穂子は当時の不治の病・肺結核で、これには堀辰夫の作品が反映している。

 時代は大正から昭和。不景気と貧乏、大震災そして戦争の時代。飛行機をつくる夢にとりつかれた男がイタリアの先輩カブローニと、同じ志にとりつかれたものの時空を超えた友情が軸になり、短い時間を何とか充実して生きようとする若い夫婦の話が入る。私は素直に感動した。秀作と思う。

 

 今回は株式市場と金価格について。まず株。

 私は5月23日の先物価格1万6000円で、年内の高値はついてしまったのでは、と考えている。

 長期上昇を私は疑っていない。しかし上昇第一波の「金融相場」は終わり、次の「業績相場」に移行する中間期と見ている。ふつう半年はかかる。

 そこに悪材料が出た。円安でうんと儲かるはずの、例えばキャノンの決算が良くない。また消費税について自民党内部で異論が出ているのも、外国人機関投資家には不満材料だ。

 アベノミクスは、金融緩和や成長戦略とともに財政均衡にも意を用いているので「グッド・バランス」と評価されている。これが見送りとなれば、ヘッジフアンドは売るだろう。

 

 前述した「円安でも輸出企業が予想したほどもうからない」の方も深刻だ。

 普通、通貨安が始まって半年から1年のタイムラグを置いて輸出数量が増加する。ところが輸出数量指数の最近月は92ポイントで1年前の1ドル78円当時より低い。

 もっともっと輸出が伸びるはずなのにいい数字が出ないのは、中国を中心としてアジア勢のダンピングまがいの安売り。

 

 だから先週末から下げが始まり、先々週高値1万4953円から1万3850円まで、1103円の大幅下げとなった。

 5月23日の1万5943円から6月13日安値1万2416円まで下げた。3527円下落し、その後2537円上昇、72%戻したがこれは5月23日の先物大量売り40万枚の買い戻し。ここからの株価はNY株式市場次第ではあるが、2段下げに入るとみるのが常識だろう。ここはいい銘柄の押し目買い。

 

 一方、金価格の方も新しい悪材料が出た。これで4月と5月に1300ドル台でダブル底になったのが(ここで金買いを主張したが私の失敗、スミマセン)戻りは6月6日の1422ドルでその後急落、6月28日に1183ドルまで下がった。流石に反発に転じたが1300ドル台がやっと。

 新しい悪材料とは金鉱採掘会社のヘッジ売り開始だ。

 ロシア第20産金会社ペトロパブロフスクや、オーストラリアのオシアナゴールド。これから続々とヘッジ売りするだろう。

 2000年以前、17年間このヘッジ売りは続き、3200トン以上が売られた。これが始まると簡単に下げ止まらない。

 

 今回の金価格下げは、シェール革命で、これまで金買いのセリフだった①世界のインフレ②ドルを中心としたペーパーマネーへの不信の二つとも消えたこと。

 

 シェールガスはバーレルあたり原油換算で24ドル。これが250年分もある。バーレル107ドルの原油に代わるシェールガスは①世界のデフレ②ドルの堅調どころか強いドル、を生む。

 金価格は「米国にとっての“不快指数”」。米国の第2、第3の黄金時代が来そうなのだから、当分はダメ。

 ただ私は金を財産の何%か持つべきだとの考えは変えていない。私の手持ちは(大したことはないが)売るつもりは、まったくない。

 

 映画のセリフから。夢の中で堀越二郎にカブローニが言う。「センスの方は時代にさきがける。技術は後からついてくるんだ。」市場は早く材料を織り込み、材料はアトからついて来る。

2013年7月22日 (月)

映画「ワーロック」と自民党の大勝ち

映画「ワーロック」と自民党の大勝(第685回)

 社会は監督エドワード・ドミトリークの1959年の西部劇。玄人好みの異色作でしかも傑作。

 悪がはびこる街ワーロックの町の人々は協議して、悪名高いガンマン(ヘンリー・フォンダ)を保安官として雇う。相棒のアンソニー・クインと一緒に、悪漢たちをアッという間に片づけてしまう。

 普通の西部劇ならここで終わりだが、この映画では権力を握ったとたんに仲間割れを起こして、悪徳保安官がパートナーを殺し街のガンになってゆく。要するにワイヤット・アープがドク・ホリディと決闘するようなものだ。

 

 参院選が終わり、自民党は前評判通り圧勝。過去の自民党は大勝するとかならず仲間割れを起こして、映画ワーロックみたいなことになっていた。

 安倍内閣はそこいらの苦い経験から巧く人事配置しているので、まあそんなバカなことになるまい。

 しかし、8月以降の日程を見ると、株式市場に外人特にヘッジファンドが、5月23日のような売り仕掛けをしかねない事項がある。

 第一は8月12日の4~6月GDP発表。消費税の判断材料となるが、要人が延期とか増税幅の削減を言い出せば、成長と財政再建の両方狙いが壊れてしまう、と売り仕掛けが来るかもしれない。

 したがって8月上旬の中期財政計画の発表がどう外国人にとらえられるか。

 10月の消費税率引き上げの最終判断の前に、9月7日にオリンピック2020の開催地が決まる。

 英国でのバクチの掛け率を見るとバルセロナが6倍台、イスタンブールが3倍台に対し東京は1・6倍と実は最有力候補。財政再建計画をかく乱する要因だ。

 第二に10月上旬に召集される臨時国会。「成長戦略実行国会」と銘打たれているが、実はこれまでに発表された成長戦略は「内容が何もない」として外国人投資家には評判が悪い。詳しくは省くが、特に「国家戦略特区」が「意味が分からない」とまで言われている。心配だ。

 

 「三本の矢」戦略のキモは、まず金融政策で時代の転換を印象付け、円安と株高に成功。第二の矢の財投は財政規律への課題を印象付けた。そこで成長戦略に注目が集まっているわけである。

 この「三本の矢」戦略は全体としては、きわめてリーズナブルな戦略と評価されている。

 だからこそ、成長戦略が外国人にも評価されなければならないのだがー。

 

 安倍首相への投資家の信頼感は世界の中でダントツである。

 5月のブルンバーグによる投資家、アナリスト、トレーダーへのアンケート調査である。投資環境にその国のリーダーが与える影響を〈楽観的〉か〈悲観的〉か、あるいは〈わからない〉かに分けている。(各1%)

 安倍首相   66,24,10

 習国家主席  47,27,25

 メルケル首相  55,38,7

 オバマ大統領  52,42,6

 キャメロン首相  40,41,19

 オランド大統領  8,79,13

ここで「楽観的」から〈悲観的〉を引いた信頼感指数をみると、日本プラス42、中国プラス21、独プラス17、米プラス10、英マイナス1、フランスマイナス71。この信頼感を今後とも維持してほしい。心からそう思う。

 

 映画の中では「保安官は月給 100ドル、助手40ドル」という会話が出てくる。当時の物価を見ると馬1頭30ドル、拳銃15ドル、幌馬車1台30ドル。

 面白いのは保安官の月給で、その町で平和が続いて1回も犯罪がなくなると100ドルから75ドルに減給。逆に犯罪がおき犯人を捕まえると、2ドル50セントの特別手当が出るのが慣習だったとか。やはり有事の時の方が評価が高まるらしい。

2013年7月15日 (月)

映画「欲望のバージニア」と外国人の買う日本企業(第684回)

第684回映画「欲望のバージニア」と外国人の買う日本企業

 禁酒法時代のアメリカというと「アンタッチャブル」を思い出す。この映画は役人のエリオット・ネスがワルでワイロをよこせ、と要求したら、密造酒作りで暮らす三兄弟はどう対抗するかを画いた。

 犯罪ドラマは主役もさることながら、ワキ役の役者がいいと面白くなる。

 主役は三兄弟で、二男(トム・ハーディ)が中心。長男は怪力馬鹿、三男(シャイア・ラブーフ)は弱弱しいが二枚目。悪代官(ガイ・ピアース)。酒を買うギャングの親分(ゲイリー・オールドマン)。それにナゾの女(ジェシカ・チャスティン)牧師の娘(ミア・ワシコウスカ)と、まあ玄人好みの配役。

 ストーリーは実際にあった話で、三兄弟の無法ぶりと悪代官との対決が面白い。犯罪ドラマではいい出来と思う。

 

 

 まあ現代は地雷が埋まっている道路を歩いているようなものだから、上げ幅が大きければ起きいほど株価はショックがあればひどい下げが起きる。テクニカルアナリシスの見方は、無視できない、と考えたから。

 

 大切なのは、流れが上げ相場なのかどうか、だ。私は円安・株高の流れはここ2,3年変わらないと考える。

 私の講演会では「1ドル110円、日経平均2万円」という目標を申し上げている。アベノミクスによる円安は確実だし、市場の需給面では、外人、特に大手機関投資家が日本経済の前途に強気だからだ。

 先々週の日経ヴェリタスは米国の調査会社ファクトアセット調査で「ロングオンリー」と呼ばれる長期運用の投資家が日本株を買い、5月23日の急落以降の上げを支えていると報じた。

 また市場平均との連動を目指すインデックス投資による買いも、いくつかの有力ファンドでは1兆円単位で日本株の保有高を増やしているとも。

 円安とともに企業収益の増加率は上昇する。まだ日本株は安い。

 代表的な輸出株のトヨタもキャノンも株価収益率(PER)は14倍台。割安だ。

  ホンダ10倍、ブリヂストン11倍、三井住友FG10倍と思う。

 だから何らかの外的ショックで急落が万一あれば、そこはチャンスと見て買いに出たい。銘柄?ここに書いたじゃないですか、奇手ははいりません。

 

 映画のセリフから。二男のフォレストは女性をクドくのが苦手。同居している美女マギーをのぞきにゆくだけ。ついにガマンできなくなったマギーは夜、フォレストの部屋に行って言う。「いつまでも見てるだけなの?いいかげんにしたら?」マーケットというものは、参加しなくては。

 

 この7月20日に発刊される「日経マネー」2013年9月号に私に対するインタビュー(挿絵つき!)と注目銘柄が掲載されます。今回のコラムとちょっと違う見方です。どうぞご期待ください。

2013年7月 6日 (土)

映画「真夏の方程式」とまたまた恐ろしい話(第683回)

映画「真夏の方程式」とまたまた恐ろしい話(第683回)

 映画「真夏の方程式」は東野圭吾原作のご存じガリレオものだ。前作「容疑者Xの献身」はは秀作だったし、今回もいい出来だ。福山人気もあるせいか、観客席は若い女性でいっぱい、ヒット中だ。

 舞台は美しい海を持つ海岸の旅館で、海底熱水鉱床の開発に絡んで湯川学ガリレオは説明会出席を要請される。泊まったその晩に同宿していた元刑事が殺される。

 一見墜落死だったが事故でなく、一酸化炭素中毒で殺されたのが真相とわかる。

 詳しくは小説でも映画でもご覧いただくといいが、この殺人が実は15年前のある殺人の真犯人を隠すためだった―というのがキモ。うつくしい海中の杏さんの遊泳シーンだけでも一見の価値がある。

 

 私はテクニカル分析とはあまりエンがない。しかし、怪しげな、何か転機が起きそうなときは「感じる」。そこでテクニカルアナリストのご意見を紹介することがある。

 たとえば5月23日のあの急落はそれに先立って暴落を予見する達人のプラザ投資顧問の伊東秀広さんの意見をご紹介した。よろこんでいただけたと思う。

 実はこの7月は、一見したところ円安、株高のストーリーの再現でめでたしめでたしなのだが、私には「匂う。」

 伊東さんに電話して「どう見てる?」と聞くと「あと何日かで下がる」。

 実は以前から若林英四さんは「7月はNYダウがここ何年かの天井をつける。下げ幅は過去4年間で最大の下げ、つまり2472ドルを超える下げ、1万5400ドルは天井」と言っておられた。

 木村喜由さんは「日柄と占星術」というアプローチで、この7月は「1929年のNYダウの大恐慌後の最安値から満81年」。

 この81年は黄金分割の1・618の50倍だし、1973年1月のオイルショック時の1月高値1067ドルはその後23か月で500ドル下落した。この7月はここから見ても162・四半期というフシ目だ。こう木村さんは言う。

 アストロロジーの方は「7月17日をクライマックスとして、史上まれに見るいい座相、しかし8月に入ると一転して凶意」だそうだ。このあたりは私には分からない。ともかくこの7月は天王山ということだ。

 材料?恐らく先日の出口戦略に絡んでの米国長期金利上昇かも知れないし、中国のシャドーバンクに絡む信用恐慌だってあり得る。

 エリオット波動分析の宮田直彦さんも「日経平均だと5月の8135からのおよそ1年間の上昇相場は今年5月の15492で終わり、現在は調整中」。日経平均では1万2650~1万1805がメド」

 NYダウは「昨年11月から今年5月までの上昇幅。38・2%~61・8%押しでNYダウは1万4027ドル」と弱い見方。

 

 ただし、私は日経に石井久さんが「3年くらい上昇」と述べておられたのを信じる。この人は89年バブルのピーク時に自分の会社のビルや所有不動産を売却してうまく逃げた相場の名人だ。

 また景気の持続性も、ことごとく景気の転換を的中させてきた嶋中雄二さんが「中期循環の上昇期」として「2017年7~9月期まで景気拡張優勢期になる蓋然性が高い」と分析している。NYダウの方はともかく、日本株が中期上昇期に入っていることは、私は全く疑っていない。押し目があれば買いで入りたい。

 

 映画のセリフから。湯川は海底資源開発反対派に対して言う。「地下資源を利用するには採鉱しかありません。採鉱すれば、生物に被害が出ます。人間はそういうことを繰り返してきた。あとは選択の問題です。」

 株には売りか、買いしかない。選択の問題だが、私は今後ずうっと買いをお勧めし続けるつもりだ。

 では銘柄は?このブログで間隔を置いて書きますからどうぞご覧下さい。

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