映画「ワーロック」と自民党の大勝ち
映画「ワーロック」と自民党の大勝(第685回)
社会は監督エドワード・ドミトリークの1959年の西部劇。玄人好みの異色作でしかも傑作。
悪がはびこる街ワーロックの町の人々は協議して、悪名高いガンマン(ヘンリー・フォンダ)を保安官として雇う。相棒のアンソニー・クインと一緒に、悪漢たちをアッという間に片づけてしまう。
普通の西部劇ならここで終わりだが、この映画では権力を握ったとたんに仲間割れを起こして、悪徳保安官がパートナーを殺し街のガンになってゆく。要するにワイヤット・アープがドク・ホリディと決闘するようなものだ。
参院選が終わり、自民党は前評判通り圧勝。過去の自民党は大勝するとかならず仲間割れを起こして、映画ワーロックみたいなことになっていた。
安倍内閣はそこいらの苦い経験から巧く人事配置しているので、まあそんなバカなことになるまい。
しかし、8月以降の日程を見ると、株式市場に外人特にヘッジファンドが、5月23日のような売り仕掛けをしかねない事項がある。
第一は8月12日の4~6月GDP発表。消費税の判断材料となるが、要人が延期とか増税幅の削減を言い出せば、成長と財政再建の両方狙いが壊れてしまう、と売り仕掛けが来るかもしれない。
したがって8月上旬の中期財政計画の発表がどう外国人にとらえられるか。
10月の消費税率引き上げの最終判断の前に、9月7日にオリンピック2020の開催地が決まる。
英国でのバクチの掛け率を見るとバルセロナが6倍台、イスタンブールが3倍台に対し東京は1・6倍と実は最有力候補。財政再建計画をかく乱する要因だ。
第二に10月上旬に召集される臨時国会。「成長戦略実行国会」と銘打たれているが、実はこれまでに発表された成長戦略は「内容が何もない」として外国人投資家には評判が悪い。詳しくは省くが、特に「国家戦略特区」が「意味が分からない」とまで言われている。心配だ。
「三本の矢」戦略のキモは、まず金融政策で時代の転換を印象付け、円安と株高に成功。第二の矢の財投は財政規律への課題を印象付けた。そこで成長戦略に注目が集まっているわけである。
この「三本の矢」戦略は全体としては、きわめてリーズナブルな戦略と評価されている。
だからこそ、成長戦略が外国人にも評価されなければならないのだがー。
安倍首相への投資家の信頼感は世界の中でダントツである。
5月のブルンバーグによる投資家、アナリスト、トレーダーへのアンケート調査である。投資環境にその国のリーダーが与える影響を〈楽観的〉か〈悲観的〉か、あるいは〈わからない〉かに分けている。(各1%)
安倍首相 66,24,10
習国家主席 47,27,25
メルケル首相 55,38,7
オバマ大統領 52,42,6
キャメロン首相 40,41,19
オランド大統領 8,79,13
ここで「楽観的」から〈悲観的〉を引いた信頼感指数をみると、日本プラス42、中国プラス21、独プラス17、米プラス10、英マイナス1、フランスマイナス71。この信頼感を今後とも維持してほしい。心からそう思う。
映画の中では「保安官は月給 100ドル、助手40ドル」という会話が出てくる。当時の物価を見ると馬1頭30ドル、拳銃15ドル、幌馬車1台30ドル。
面白いのは保安官の月給で、その町で平和が続いて1回も犯罪がなくなると100ドルから75ドルに減給。逆に犯罪がおき犯人を捕まえると、2ドル50セントの特別手当が出るのが慣習だったとか。やはり有事の時の方が評価が高まるらしい。
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