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2013年8月24日 (土)

映画「少年H」と北朝鮮のミサイル(第690回)

映画「少年H」と北朝鮮のミサイル(第690回)

 降旗康男監督のモスクワ映画祭特別作品賞を獲得した佳作。妹尾河童のミリオンセラーを映画化し主演は水谷豊と伊藤蘭、子役が実に巧い。

 昭和16年の神戸。洋服の仕立て屋でクリスチャンの夫婦と主人公の肇と妹の佳子。次第にあの戦争に時代が変わってゆき、協会の宣教師だった米国夫人の絵ハガキだけでスパイと疑われ父は拷問される。絵が好きな肇は頭文字のHをセーターに刺繍しているので「少年H」。

 この映画は世の中が激流に巻き込まれていく中で、Hの父親だけは自分の目でモノを見、それを自分の言葉で息子に伝える。その姿勢がテーマになっている。

 同時に子供の田舎への疎開、焼夷弾での市街の大火災―。私は思わず引き込まれてこの映画を見た。泣きながら駅で親と別れる幼い子、あれは、私だ。つらい思い出しかない。

 

 戦前の軍人が威張っていた日本、今の「先軍思想」の北朝鮮、それにエジプトとかパキスタンを連想する。

 私は10年以上前だが北朝鮮のピョンヤンに行ったことがある。アントニオ猪木のプロレスに絡んでTV東京の人たちと一緒だった。

 街で見かけた子供たちの集団登校の時に合唱している歌を通訳に聞いたら「今日も生活できるのは兵隊さんのおかげです」という内容で、へええと思ったものだ。まるっきり同じじゃないか。

 

 最近もう誰もいわなくなったが、つい5か月前、やれ核実験だのミサイルだのと北朝鮮が、何をするか分からない国として騒がれていた。夕刊紙などは、いつ東京にミサイルが来るか分からない、と危機をあおったものだ。

 

 私は講演会で、そんなことはない、と主張した。

 北朝鮮は危機を演出し、緊張をエスカレートさせて見せる。その後、かつての状態に復帰するのを条件に援助と譲歩を引き出す。これがいつもの行動パターンだ。

 

 また金正恩はスイスのインターナショナルスクールでドイツ語で教育を受けている。ドイツの新聞によると「中国のような共産党支配下での経済自由化」のため、ドイツ人の専門家が何人も呼ばれ、昨年末に1か月以上長期滞在している。今年末か明年早々に経済改革が発表される、とドイツ誌シュピーゲルは報じている。

 

 さらに4月に朴奉珠(パク・ポンジュ)を首相に登用した。朴は10年前にも市場経済への改革を推進した男で2006年の反改革派台頭で失脚したが、金正恩が再び首相にさせた。

 

 今週、韓国の有力紙東亜日報は「4月に北朝鮮問題に詳しい専門家5人(三人は米国人、ロシア、韓国も)をよんでオバマ大統領が今後の対策について会合した」と報じた。

 そのロシアの専門家アンドレイ・ランコフ教授の意見も含めフォーリン・アフェアーズ誌は「中国鄧小平が1970年代に米国から体制の安全について保証を得てから経済改革に着手した前例を、北朝鮮はならおうとしている」と書いている。(延世大学教授ジョン・デルーリー)。

 

 もしウラでオバマ大統領が何らかの保証をしていたら(してないと思うが)、北朝鮮は近く急激な転換を見せるだろう。8月になって4月のワシントンでの会合を報じた東亜日報は、あるいは何か意味があるのかもしれない。

 

 映画に話を戻そう。神戸の空襲は昭和20年3月17日、私の生まれた東京江東区深川が焼け野原になった大空襲は3月10日だった。非戦闘員が何十万人も焼け死んだ。

 

 私は新潟に疎開していたが、私の父母と姉妹三人は清澄庭園の池に飛び込んで死なずにすんだ。しかし私のクラスメートで一夜でみなしごになった友人は何人もいた。農家に養子になった。栄養失調で死んだ友人もいる。私も左足が右より細い状態が大きくなるまで続いた。もちろん食料不足のためだ。戦争は弱者をいじめる。北朝鮮の子供はどうなんだろうか。

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