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2013年9月29日 (日)

映画「許されざる者」と米国の政府閉鎖と株の暴落(第695回)

映画「許されざる者」と米国の政府閉鎖と株の暴落(第695回)

1992年、第65回アカデミー賞で作品賞、監督賞など4部門を獲得したクリント・イーストウッドの名作を日本版リメイク。李相日監督、渡辺謙主演で明治時代の北海道に舞台を移し、骨太でしかもキメ細かい力作とした。

 かつて冷酷な人殺しとして恐れられた主人公が幼い子供たちのため再び剣を執る。仲間の顔を傷つけられた売春婦たちの報奨金を目当てに、恐怖政治を敷く町の支配者とも戦うことになる。日本版ではアイヌへの弾圧もテーマに加わっている。

 

 恐らく後世の歴史家はこの数日間を米国政治の「許されざる期間」と位置付けるだろう。この原稿を書いている9月29日夜現在あと1日で2014会計年度(2012年10月~2014年9月)の予算又は当面の暫定予算が成立しなければ、米港連邦政府の機関の大部分は予算の裏付けを失い、火曜日の10月1日から閉鎖に追い込まれる。

 

 しかも短期的な暫定予算さえ成立する可能性は極めて少ない。なぜか。

 

 それは医療保険改革法(オバマケア)がオバマ政権と共和党の対立の基本。これまでの財政とからむ交渉のような歳出削減や財政赤字ではない。だから問題がこんがらがっている。

 

 オバマケアの法案は2010年に成立し、この10月1日から国民がいよいよ加入手続きが開始される。

 

 共和党側は連戦連敗。すでに最高裁が合意と判断(12年6月)して敗北し、12年11月にオバマ再選となり、廃案狙いは40回以上も失敗。今回の予算をオバマケアの骨抜きの最後のチャンスと見て勝負に出た。来年の中間選挙に有利と見たからだろう。

 

 前回2011年7-8月の米国連邦債務の上限額問題のオバマ対共和党の政争時。有力格付け会社の米国国債格下げを呼び、つれてNY株式市場では8月4日512ドル、翌週明け8日634ドルもの大幅下げに見舞われた。

 日本を含め世界に「米国債格下げショック」を与えた。日経平均は7月高値1万207円から8300円台に下落している。今回もワシントンの騒ぎが兜町に響くことは避けられないのではないか。

 

 丸紅のワシントン事務所長今村卓さんは永い間よく存じ上げている方だが、9月28日付「丸紅ワシントン報告」で「10月1日の政府閉鎖は不可避」「2度目、3度めの政府閉鎖も十分に起こりうる」とレポートしてきた。

 

 わずかに望みは世論だろう。9月21日のCNBC世論調査では「オバマケア関連予算を除外」という共和党への不支持は44%、支持の38%を上回った。

 しかも「この除外作戦の結果、政府閉鎖や米国国債デフォルトを伴った場合」の共和党不支持は実に59%、支持はわずか19%である。

 

 ニューヨークタイムズとCBSの共同世論調査でも政府閉鎖が起きた場合の責任は共和党という比率は44%でオバマ政権の35%を上回った。これを見て共和党が折れればコトは丸く収まるのだがー。

 

 映画のセリフから。町の支配者が言う。「勝って生き残った者が正義で、負けて死んだ者が悪になる。記録っていうのは、そういうもんだろ」。今回の騒ぎは明年の中間選挙も、そして2016年の次期大統領選挙まで民主党の勝利につながりそうだ。次第にヒスパニックやアフリカ系の人口が増え、白人の減少とともに共和党は「グランド・オールド・パーティ」ではなくなるのかもしれない。

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