今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ

広告


« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

2013年11月25日 (月)

映画何本かと金価格にとり重大なニュ-ス(第703回)

映画何本かと金価格にとり重大なニュース(第703回)

 正直言って「かぐや姫の物語」にはがっかりした。新聞の批評によると傑作とのことだったが、かぐや姫の顔がちっとも美しくない。そこらの現代娘の顔で、月から来た気高さとか5人の貴公子がいっぺんにほれ込む息をのむような絶世の美しさは、残念ながら感じられなかった。

 「ダイアナ」もニュースの寄せ集めみたいな駄作だったし、「悪の法則」もスターはたくさんが、グタグタと同じようなセリフの繰り返し。1週三本観て空振り。

 

 しかし、商品取引の世界で、重要な動きがあった。

 第一はジャネット・イエレン新FRB議長の上院の公聴会での証言。改めて銀行による商品関連の事業について「非常に包括的な規制」を行う意志のあることが確認された。

 米国の銀行は石油・トウモロコシ・金などの商品に関連した先物などのデリバティブを取引している。

 取引の決済のために、これらの商品の保管を行っている。

 これでよく分かった。45月に金の先物価格が急落したとき米銀が売り玉の90%を占めていた。そこいらで早耳筋に情報が入ったのだろう。

 

 金価格は先物売りと現物買いの綱引きだが、ワールド・ゴールド・カウンシルの117日のレポートを見ると現物の買いはまことに弱い。

 前年同期比で、第一・四半期の4165トン、第二・四半期の5313トンから、第三・四半期は3042トン。特に中国は前年同期比マイナス7%、インドはマイナス48%。

 

 これに加えて①ETFも第一~第三・四半期で6974トン売り越し②公的部門の買いも第三・四半期934トンと一応プラスだったが、ピークの昨年第二・四半期の1635トンに比べると急減。

 これじゃあねえ。

 

 ただ私が懸念していた鉱山会社のヘッジ夫売りはむしろ減少。1980年代のような悪循環は起きていない。

 むしろ最大手のカナダのバリック・ゴールドは手持ち鉱山の操業を停止という動き。

 

 では先物市場ではどうか。玉を見ると買いポジは慎重で、まだ先物価格の上昇に自信を持った動きは見られない。

 

 私はもう金価格は底値圏内に入ったと考えているが、株式市場のリスク・オン・モードに反して、金を含めた国際商品の相場が弱い。これが世界的なインフレ圧力の低下傾向を示しているのかも、と見ると、リスク・オフ・モードへの逆戻り。

 逆にインフレに転じるのは時間の問題、と見ると現時点の価格は買い、となる。

 私は日米ユーロ圏の三極がゼロ金利時代に突入(ECBはまだ0・25%だが)したのだから、まあインフレへの転嫁は時間の問題、という見方をとる。

 

 そうはいっても現時点での商品相場はひどく弱い。前年同期比で金はマイナス26%、CRB指数がマイナス14%、原油価格はまあ横這いだが。

 また日米ユーロのインフレ率は恐らく10月、11月は1%近辺でリーマン後のボトム20134月のプラス1%に近い。

 これに中東の政治情勢が和平に向かって原油価格が下がれば、インフレ率は底這いだろう。エジプトとテルアビブの株価が歴史的高値に近いのは和平を暗示している。

 

 結論。金価格はどこかでセリング・クライマックスをつけた後のV字型反発ではなく「底値100日」の底縛り後のじっくり反発型と見ている。

 だから金価格は底値ゾーンにはあるが、もう少しご辛抱が肝心だろう。

 

 トウモロコシは私の予想通りシェール革命の影響から、バイオ燃料向け(40%)の需要減で、価格の長期下落が始まった。米国産穀物は大豊作だし、ね。

 

 モノにはタイミングがある。市場で一番大切なもの。今回はあえてタイミングを無視しました。ゴメンナサイ。

 

 坂本九ちゃんの「タイミング」。面白いいい歌だったなあ。ティカティカ、グータイミング!!

 

2013年11月19日 (火)

映画「第三の男」と私が長期株高を確信する理由(第702回)

映画「第三の男」と私が長期株高を確信する理由(702)

 たまには古い名作を。1949年の英国の作家グレアム・グリーンとキャロル・リード監督の組んだ大傑作。私は1分半のセリフなしのラストシーンが、枯れ葉の舞う墓地で、秋になると思いだして、観る。

 西部劇小説作家ホリー・マーチンスは古くからの友人ハリー・ライムを訪ねてウィーンへ。米英仏ソ4カ国の共同統治で、当時のウィーンは廃墟だらけ。

 ストーリーはあまりに有名だから省略。テーマはいかにも英国人らしい「魅力的な悪と凡庸な善と、女性ならどちらを選ぶか」だ。

 ラストシーンのハリーの愛人だったアンナが、中央墓地で待ち受けるマーチンスを見向きもせず歩み去る。これはキャロル・リードの原作ではアンナがマーチンスと肩を並べて歩き、腕に手を通すことになっていた。リードが映画であの結末を選んだ。

 

 私はもう80に近いトシなので、白状するが何人かの女性にワルだといわれたことがある。15の年に見たこの「第三の男」のオーソン・ウエルズが演じたハリーに影響されたのかも。あれほどの存在感はないが。

 

 映画に原作者と監督の二つの結末のうち一つが選ばれたように、私は先週から、9月頃からこのコラムで述べていたやや弱気のスタンスを放棄した。それほど先週のこのコラムは重要だった。

 

 私が注目している材料は、四つある。

 ジャネット・イエレンFRB新議長の失業率重視姿勢。これでティパリング(超金融緩和の変更)は2015年末まで、ない。

 マリオ・ドラギECB総裁の05%から025%への政策金利引き下げと「次の利下げも」発言。

 +② これで米日欧の「三極のゼロ金利時代」が近い。

そして③。①は本来ならドル安だが、黒田日銀は「追加金融緩和はやる」。今までなら日本単独ではやりにくかったが、この環境ならOK。「ハト派度」を比べると、イエレンよりクロダの方がずっと上。だから円安。そして、円安なら株高。

 

20143月期の日経225種の一株当たり利益(EPS)は日経では930円、QUICKコンセンサスでは980円。いまの株価収益率は15倍台だ。

 問題は20153月期。

 10%増益ならEPS1077円、株価収益率15倍で16170円。

 私は15%増益ならEPS1127円、15倍なら16900円だ。

 円安で20&増益と見るとEPSは1294円で15倍なら16900円だ。

 まあ、523日の株価急落の背景がバーナンキFRB議長のティパリング示唆発言にあったのが、今はなくなったのだから、少なくとも16000円水準にあっても、いい。

あるファンの方からのご質問は「証券税制の優遇措置廃止で株は売りでは」。バカ言っちゃいけない。この上げ相場が始まってから、ずっと日本の機関投資家は売り続け。外国人が6割以上占めるのが、現在の東京株式市場だ。現実を見なさい。

 

 実はある事情通に18日に訪中した日中経済協会(経団連米倉会長、日中経協のトヨタ張名誉会長)の成果に期待できる、との情報があった。

 つまり反日姿勢が経済面から解決するだろう、と。それは①上海の特区がまだ一つも成約されていない②日本からの投資を含め世界から激減、やっていけない②環境問題が悪化しており、日本の技術緩和がどうしても必要、などなど。中国にブラ下がって日本の悪口を言い続けているお隣の女性大統領は「近く引っ込みがつかなくなる」「要するに安倍さんはついているんだ」。

 

 有名はハリー、ライムのセリフ。「ボルジア家の悪政と殺人はルネサンスを生んだ。スイスは500年も平和だったが、何を生んだ?ハト時計さ」。オーソン・ウエルズ本人が考え出した、とか。

 1年前に比べて、なんという違いだろう。政治が変わった。となったら10年以上続いたデフレも終わりに近い。証券界に勤める方々に言う。あなた方は会社に勤めてからずうっといいことがなかったが、この1年で、右肩上がりがもう始まっている。早く気がついて、自分自身が強気になりなさい。

 

2013年11月14日 (木)

映画「清須会議」とNY新高値と日本株買い・円売りの再開701

映画「清須会議」とNYダウ新高値と日本株・円レートの闘い(701)

 ただいまヒット中の三谷幸喜監督の新作。時代劇で登場する人物総てが実在し、会議も史実。しかも三谷作品の通例だった哄笑するようなユーモアはあんまり、ない。大変に実験的な映画なのにスリルがあり面白い。

 しかも観客は、この会議のあと何が起きたか知っている。それだけに役者の演技合戦が見事。まず一見をお勧めする。これは傑作だ。合戦シーンもなくチャンバラはなおない。ましてやナレーションもテロップもお登場人物の紹介もない。それでいてよく分かり、楽しいのだ。

 

 本能寺の変で信長が死んだあとの織田家をどうするか。筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と、光秀を討った功労者羽柴秀吉(大泉洋)が、どう今後の政治を自分に有利に導くか。

 

 ひとりの人物がいなくなって次の時代が始まる。この映画を観て私は今回のバーナンキ→イエレンへのFRB議長人事を連想した。

 

 この原稿を書いている14日ヒル現在、まだ米議会での聴聞会が終わっていないので、恐らく後しばらくしないと詳細は分からない。しかし、一つだけ確かなことがある。

 

 それは現在の米国の金融緩和が、ティパリング必至の声をよそに、かなり永続する、ということ。理由はカンタン。「ティラー・ルール」から「エバンス・ルール」に変わる、とイエレン氏がFRBのレポートに発表しているからだ。

 

 FRBの金融緩和政策の基本は、FFレートの調節である。

 FFレートとは日本だと翌日もののコールの金利。これが大昔風に言うと公定歩合にあたり、現在はゼロ金利である。

 

 この決定の仕方はスタンフォード大のジョン・テイラー教授が1992年に提唱して「テイラー・ルール」で広く採用されている。

 FFレート=現実のインフレ率+中立の実質金利2%+(現実のインフレ率マイナス目的のインフレ率2)÷2+(現実のインフレ率-潜在成長率)÷2

 

 この数式でFFレートの誘導目標が決められ、広く行われている。日銀も採用しているはずだ。

 

 ところがイエレン次期FRB議長は「エバンス・ルール」という別の方式でFFレートを決めよと主張している。

 

 このエバンス・ルールとはシカゴ連銀のエバンス総裁が提唱した(当り前だ)。

 失業率とインフレ率。この二つで決めよ、というもの。「インフレ率が25%以下(現状)なら、失業率が65%以下になるまで金融緩和を続けるが、25%以上になれば金融緩和を解除)。

 イエレン次期総裁は「大幅な需給ギャップが早急に解消しない現状では、このエバンス・ルールを参考にせよ」とした。

 

 日本個人投資家協会の木村喜由さんは、このルールだと適正FFレートはマイナス26%であると述べている。これだと今後最低4年間はゼロ金利が続く。

 

 そう見ると最近のNYダウの新高値更新、日本円とドルの為替市場でヘッジファンドが円売りを開始(もちろん)日本株買いもーという一連の市場の動きが説明できる。

 

 日本の場合、523日の16000円近辺からの大幅下げと円安へのブレーキは、バーナンキ議長のティパリング示唆発言だった。これがイエレン議長でティパリングなし、ならば5月の状態に戻っても不思議はない。

 

 もちろん現時点では1ドル100円は固定し日経平均の三角持合いはいったん下放れると信じている向きは多い。

 

 すでに「円売り日本株買い」と「現状是認、いずれ下がったら――」の2派が戦いを始めた、と考えられる。

 

 そういえば映画の中で秀吉が言う。「これは、いくさじゃ。そう、いくさだ。評定という名の、な」。

 

 この週末、4日間立ちっ放しで故今井満里の展覧会に出ていたので疲れ果て、いつもの週末掲載が出来ませんでした。おわびします。なおこのブログにあったのでーと会場にお見えいただいた方も。会場には上田埼玉県知事も忙しいのに30分も来ていただきました。感謝!!

2013年11月 4日 (月)

「生誕百年記念 今井満理展」とウーマノミクス(第700回)

「生誕百年記念 今井満里展」とウーマノミクス(第700回)

 記念すべき700回をどんなテーマで書こうかな、と考えた。またいつものように何の映画をイントロに使うか、も。

 いろいろ考えたが、私の母・今井満里の「生誕百年記念展」がこの11月7日()から10日()まで、さいたま市浦和区の埼玉会館で開催される。どうぞ案内をご覧下さい。

 私はこの母の息子であることを誇りにして生きてきた。私の何でも見てやろう式の好奇心の強さ、仕事への粘りなどなど、欠点も含めて性格は間違いなく母の遺伝だ。また反逆精神も。

 

 母満里は祖父今井松堂(弥三郎)の弟子で、同じく弟子で養子だった父博と18歳で結婚。当時祖父は東京江東区深川に住んで書塾を開いていた。父母は姉と妹二人、それに私を生んだ。

 昭和20年3月10日の東京大空襲で深川から浦和に転居した。

 戦後、母は月水土は書塾を開いて教えた。月水金は埼玉県庁の秘書課に勤めて知事の代筆をしたり、人事発令のシーズンになると徹夜して働いた。まだ小学生だった私は何とか助けたかった。父は食糧関係の公団にいたが昭和20年代、50前で失職し書塾のいわば経理・総務をしていたから。浦和は大拡張期で子どもは多く、しかも書道は必須になったから大繁盛した。

 そこで浦和の外れから市の真ん中の高級地に新築し稽古場の広い家へ。私は浦和高校2年生だった。昭和28年。

 

 この年以降、母満里は伝統的な書道に反旗を翻して現代書を書き始める。既成の書壇社会から脱退し、少数の同志と「前衛書」を始め、のちには完全な一匹狼になって活動した。

 

 このあたりから海外での書展が毎年のように開かれ、米国の有力写真誌「ルック」で著名写真家カール・ベンステティーン氏が母を世界に紹介した。井上靖さんと中国の敦煌に行ったり、曹洞宗大本山永平寺に屏風を献納したり。まあ元気に大活躍を始める。

 

 母の作品は豪放で、どうしてあの小さい体でと思うくらいだが、それでいて暖かい魅力的な書だ。彩拓という拓本の手法で白と黒だけの世界から脱して、いろんな色を使うなど何でも試した。

 

 平成7年8月に母は82歳で永眠したが、いまでも私には「キヨシ」と呼びかける声が聞こえる。今回の展覧会で私も久しぶりの作品を観たら、声は何と言ってくれるのだろうか。

 

 私は第698回、10月19日のこのブログで、安倍政権のウーマノミクス重視と関連銘柄五つをご紹介した。

 子育て視点最大手JPホールディングス(2749)②女性が働くためには老人介護のツクイ(2398)③病院内の保育所受託サクセスホールディングス(6065)④女性の社会進出援護の清掃用具レンタルのダスキン(4665)⑤食材宅配のヤマトホールディングス(9064)

 ダブって書いたのは前回コードナンバーなどミスプリが多かったから。すみませんでした。

 

 10月31日のホテルオークラでの「女性が活きる成長戦略のヒントVOLⅠ 2030プロジェクト」の出版記念パーティはすごい数の出席者だった。90%は男性だったが。

 

 小池百合子さんを含めこの本を書いた女性議員さんが次々とあいさつ。司会進行は三原じゅん子議員が務めた。石破茂自民党幹事長が招待され女性議員側の要望書を聞かされ、承諾のあいさつも。この席で早くもVOL2の出版が近いと公表された。成長戦略の切り札として今後とも重視されることは間違いない。

 

 故三原淳雄氏が「イマイさんはマザコンだ」と言って、秘書がとなりから「そんな失礼なことを先輩に申し上げて」とハラハラしていたのを思い出す。戦後、父の失職時代に母が働かなければ今井家は一家皆、飢え死にか心中だったろう。しかもセクハラが当たり前の時代に、どんなにつらかったか。私は死ぬまで忘れないだろう。

 

 今回はいつも「相場や経済のコメントはありません。まあ700回に1回ぐらい、大目に見てください。

 20/30にいまる、さんまるというテーマそのものが、本当に画期的なことと考えていることは間違いありません。


Photo_2

« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »