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2013年12月31日 (火)

安倍首相のミスで株価急落を呼ぶか(第707回)

年末、年始に考えること

―安倍首相のミスが株価急落を呼ぶかー(第707回)

 どう考えても安倍首相の靖国参拝は間違っている。参拝後の談話を何回も読み返したが私の考えは変わらない。大変なミスを犯してしまったと思う。ツケが株価に来るかもしれない。

  

 2013年10月、安倍首相は参拝を考えて12月26日に実行した。これに対し中国と韓国が猛反発したのはまあ予想していた行動だろうが、米国の反応は読み違ったのではないか。特に側近を事前に派遣してワシントンで冷たい反応を知っていたそうなので、なぜ参拝を強行したのか、不可解というほかない。

 

 と思って某女流評論家の発言をウエブで見て合点が行った。10月に大いに今こそ参拝せよ、とアジッていた。この人は野党時代の自民党有力者が良く話を聞いていたので、恐らくそこいらが参拝のリクツづけだったのだろう。

 その主張をまとめると次の通り。

 オバマ政権は「中国の主張するように日本が歴史の修正主義に走り戦後の国際秩序を破壊するのでは、ということ。これは「日本政府は十分に米国の誤解を解ける」。

 (私はこのロジックがわからないのだが)天皇陛下が最後に靖国参拝されたのは1975年11月でA級戦犯合祀の事実が明らかにされたのはその3年半あと。陛下が参拝されないこととA級戦犯合祀は無関係。

 

結論。米国の内向きが移行を、同じ価値観を共有する日本だから補完できる。強い日本ならできる。「安倍首相はこの機を逃さないでほしい」。

 

 私もあの東京裁判が正当とは思わない。インドのバール判事が言うように「戦勝国による復讐のため」の裁判だった。しかしサンフランシスコ講和条約第11条で日本は東京裁判の受諾をして国際社会に復帰したことを、この方は忘れているのだろうか。米国の懸念している「日本は戦後の体制を破壊しようとしているのでは」はこの裁判も入る。参拝は破壊行為に見える。

 

 たしかにオバマ政権の内向き姿勢は歯がゆい。ご本人としては戦争をやめ、国民の多くに医療保険を与える大統領として歴史に名をとどめたい。だからシリアでも腰砕けになったし、ましてや日中で何かあったら大変だし。

 だからこそ、キャロライン・ケネディさんを駐日大使に(中・韓の外交担当は羨ましかったことだろう!)また10月に来日したケリー国務長官とヘーゲル国防長官は千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花した。しかも二人の長官は「日本の防衛相がアーリントン墓地で献花するのを同じように」哀悼の意を戦没者に示したと述べた。米国側は「靖国はアーリントンではない」と明瞭にメッセージを送っている。

 米国側としてはせっかく好意的にいろんな行為で「参拝しないでくれ」と言っているのにー。差し出した手をピシャリと叩かれたような気持だろう。

 

 ついでに言っておく。米中覇権争いで日本がトクをするというリスクを言う人たちがいるが、まるでワカっていない。

 オバマ=習近平の首脳会議が6月にカリフォルニアで開かれたが、就任後わずか3か月で、胡錦濤の3年後、江沢民の4年半後に比べて破格の厚遇である。米中貿易は日冷え貿易の3倍に達している。米国国債の保有も日本より多い。

 

 もちろん、米中間では軍事的な米国の優位性が拡大しており、米国はその地位を維持する方針は変わらない。

 先日、中国の防空識別圏の設定恐慌が騒がれた。これは最近米国がグローバルホークという超高感度のレーダーを装備した長距離無人偵察機を2014年春から日本に配備するためだ。何とか中国近海から遠ざけたいという苦肉の策らしい。

 

 ついでに。航空自衛隊の次期戦闘機F-35は単なるステルス戦闘機にはない。保有国の間で共有される「自立型ロジスティックス情報システム」という陸海空、宇宙空間を結ぶネットワーク(プラットフォームともいう)のひとつだ。そこで特定秘密保護法が早急に必要になった。言論の自由だの戦前の記憶だの、マスコミはオーバーだ。

 

 わき道にそれたがここらで結論を。米国が差し伸べていた手をピシャリと叩いたつけ回しがどう来るか。「落胆」の声明が私には「ヤルぞ」と聞こえる。私の心配は為替市場での突然の円レートへの口先介入、つれて株価も、という一点にある。

 日経平均は先物も現物も、取引の三分の二は米国中心の(特にヘッジファンド勢の)支配下にある。簡単に操作できる。

 具合の悪いことに新値更新の現在の日経平均はエリオット波動の第5波動で、上昇が完了した形だ。もちろん、いつが天井かはわからないがー。

  

 心配ばかりすると、相場のおいしいところを食べ損ねるし、せっかくの年末年始のお休みなんだからおモチでも食べてごろ寝でも。2014年で私は79歳。来年は80なんだから。

 

 参考文献①NEWSを疑え!No261,263 ②杜文庫ブログ2013年10月24日

 三井物産戦略研究所 脳力のレッスン2013年11月

 極東ブログ2013年12月27日  ⑤JPpress 中国株式会社の研究 No238

 時事通信コメントライナー5383号

 

 

2013年12月30日 (月)

医薬経済2014年1月号

医薬経済20141月号

少数派経済観測(121)

 

米国がサウジ以上の産油国に

―ドル高・円安は長期的に続くー

 最近、これは大ニュースだな、と直感した報道があった。1213日のウォール・ストリート・ジャーナルが「エクソン・モービルがある法律の改正に動き出した」というのである。

 その法律とは「米国からの原油の輸出については原則として禁止する」というもの。しかもエクソン・モービルとは石油業界を作り上げたロックフェラーのスタンダード・オイル・ニュージャージーを基とする米国最大の企業である。

 何で?と私は考えた。エクソン・モービルは米国内に油田を持っているが、外国に輸出できるほどの余力はほとんどない。それなのに、なぜ?

 エクソン・モービルは、自社以外の米国内の石油会社全体を束ねる役目も果たしている。この改正への働きかけは業界全体の要望と考えていい。

 米国国内の産出の石油は国内需要を満たしていない。米国の経常収支が年4000億ドルを超える大幅赤字で、その三分の二がエネルギーの輸入超過である。

 だからこそ米国は中近東への関与を重視し続けてきたのはご存じの通りだ。

 それなのに、世界の石油輸出市場でサウジと米国がぶつかり合う?そんなことがあるのか?

      米国東海岸巨大油田説

 私は20133月に訪米してニューヨークでヘッジファンドの運用担当者に、オバマ政権がブッシュ政権時に実施したあるモラトリアム(禁止)を解除する、と聞かされた。

 その禁止とは米国の大西洋側の海底の油田開発。当時の環境重視の世論で決まった、という。

 このモラトリアムを第二期に入ったオバマ政権は失業問題の解決とエネルギーの独立を狙って解消することを決めた。

 すでに20131月の一般教書で「ありとあらゆるエネルギーソースの開発」と述べている。

 そしてその運用担当者から、すでに地質、地形などの基礎データはもう鉱山局で調査が進んでおり、あとは具体的な油層の人工地震による調査だけ。そして「もうサウジ並みの超巨大油田であることはワカっている」と聞いた。

 それでもまだ環境派議員たちの反対がある。NYで私は8名の議員の連名のオバマ大統領へのレターのコピーをもらった。「人工地震では爆薬を使うのでイルカが死んでしまう。生態系を壊すべきでない」というもの。

 ただこれは一応おれたちは反対したといういわばアリバイづくりで、現在すでに人工地震波超音波で行うのが常識。「年の後半には進展があるだろう」と。

 10月中旬に入り、近くの海に海底油田があるとされる七つの州のうちまずヴァージニア州で世論調査があり、67%の州民が賛成した。

 デラウエアからフロリダまで残る六つの州も世論調査が進行中。

 オバマ政権は「2014年早々に海底油田開発の権利を5年間リース契約でゆだねる方針を発表することになろう」。と米国石油連盟は発表している。

 発表文を見ると「米国の石油産業は米国GDPの8%を占める巨大産業で980万人の雇用を生んでいる」とある。

 これを見るとナゾが解ける。11月中旬からエクソンの株価が急騰し、サウジは国連安保理の議席を蹴り、ドル価値は上昇し、NYダウ平均は新高値を更新した。

 どくに円ドル関係では、シカゴ通貨市場での先物の円売りドル買いの枚数は、23か月前は6万枚だったのが1119日に11万枚、26日に12万枚、126日に13万枚を超えた。

 もちろん円売りの先物はいずれ買い戻さなくてはならないし、株価も一高一低あるだろう。

 しかし、米ドルとNYダウがきわめて大きな好材料に恵まれたことは間違いない。シェールガス革命と合わせて、米国は第二の覇権時代に入っているのではないか。

選択2014年1月号

「選択」20141月号原稿

日本株に群がる投機筋

―あげ調子の市況に浴びせる「冷や水」-

「何しろあの弱気で鳴るマーク・ファーバー博士でさえ、NY株はこれから20%は上がってからバブル破裂で下げと予測した位市場は強気」。

 FRBイエレン新議長が「株価収益率や長期金利などから見てNY株式市場はバブルではない」とご託宣を下した。少しオーバーヴァリュ―ではないかと考えていた運用担当者もひたすら買い一本になるのは当然だろう。

 新高値更新が続くNY株式市場。運用担当者としては、何か腕を見せたいのだが、現実には取り立てて何もない状況だ。

 多少ある懸念材料は後述するとして、「NYでなく東京株式市場に、短期で大幅な株価下落を仕掛けて“売り”で利益を上げて見せないと、プロとしての能力を問われる」という不穏な発言も一部の投機筋にあるのは見逃せない。

 「日本株の売り仕掛けならもう“実績”がある」とうそぶく某大手ヘッジファンドマネジャーは2013523日の急落を例に挙げる。

 当時1300円、400円上昇が続いていた日経平均は、その日、先物価格で瞬間16000円を付けた後、なんと2000円も下げた。

 当時の一日あたり売買金額4兆円の市場に先物の大量売り6兆円が出たのだから、まあしかたのない下げだった。これでオプションの買いがもうかり、先物の売りでまた儲かった。その後613日の12445円まで2割も日経平均は下落している。

 この日はFRBバーナンキ議長が記者会見で、進行中の量的金融緩和「QEⅢ」の終了を示唆する発言があったため、とりあえず一番利益が出て売買量も大きい東京株式市場が狙われた。

 これほどの影響力の大きな悪材料が再びどこかで出れば、それを契機に、売りで利益を上げるヘッジファンドのマネジャーが腕の見せ所を示すことになる。

 では、どうして売り崩しが大きな値幅になるのか。それは東京株式市場に構造的欠陥があるからだ。

 まず日経平均225種が単純平均で一部の値嵩株の変動で大きく変動するのが第一。

 たとえばファーストリティリングは日経平均の10%を占め、市場全体が上昇してもこの銘柄を売り崩せばば日経平均を下落にすることも可能。「ソフトバンクやファナックを加えればなお簡単」と市場関係者は言う。

 また株式の需給関係でも、東京株式市場は外国人の思うがままだ。

 かつてのバブル期1988年には銀行と生保の政策投資が発行済み株式の54%を占めてこの分が凍結されていた。少ない金額で思うが儘に上昇相場がつくれたが、現在はわずか8%。

 外国人の毎日の売買量は市場の70%を占める。其れでもバーゼル規制やソルベンシーマージンで日本の銀行と生保はまだ売却が続く。

 特にひどいのは先物取引だ。毎朝現物の取引の前に先物の売買が始まりその日の「場味」が決められる。

 この先物市場では日経平均でもTOPIXでも、主に王銀系証券が日系証券とひとケタ違う売買量で市場を支配している。

 「それでも、円安ドル高が続いているのだし、懸念された国債金利の上昇も阻止されている。NY株はあげつづけているし、ティパリングが始まればドル高ではないか」というのが今の日本の常識だろう。

 しかし、肝心の円安があまりアテにならない。TPP交渉がまだ完了していない現在では、米国議会筋に動かされたオバマ政権要人が円レートについて、一言牽制球を投げたたら、そこで円安は終わってしまう。

 たしかにシカゴ通貨先物市場では円売りの数量が巨大化しつつある。

 つい23か月前、円売りは6万枚、多いときでも10万枚は行かなかった。

 それが11月下旬から11万、12万と増加し12月中旬で13万枚前後に達した。ここ10年間で最高水準である。

 先物売りだからこの円売り玉は先行き必ず買い戻される。その時に円レートは1時的にせよ円高へ。その時に「株価と連動させるのは簡単さ」とある事情通は言う。

      NY株は好調持続

 ただ前述の日本株売り仕掛け論のマネジャーも「売られても短期間で、下げ幅はせいぜいい10~15%」という。理由は「黒田日銀が市場でETFを買って来るし、NY株が順調。其れに安倍政権の長期化を読んだアベノミクス関連株への米国年金、基金買い。さらにNY株の上昇」を挙げた。

 NY株式市場でバブル論議が活発なことは方々で報じられている。

 バブル説の代表は著名投資家のカール・アイカーン氏で「量的緩和と低金利に支えられている企業利益をベースにした株価は大いに警戒されるべき水準。暴落の可能性も」と警告している。

 一方著名投資家のウオーレン・バフェット氏は適正水準説。「割高な水準ではないことは明瞭。しかしもちろん私は割安だとは考えていないが」と述べている。

 とはいえ2014年予想利益でのS&P500種の株価収益率14倍台で、バブルというにはほど遠い。

 しかもシェール革命の米国経済への好影響はどんどん拡大している。

 米国エネルギー情報局(EIA)の2014年みとうしによると米国天然ガス生産量は2040年まで56%増産され、併産されるシェールオイルは2021年と予想されるピーク時に日量480万バレル、昨年予想の280万バレルから大きく上昇した。

 つれて米国はエネルギー政策を転換。これまで①米国内の原油は近く枯渇②中東産油国の政情不安、から戦略的備富と米国からの原油輸出禁止を決めていた。

 備蓄についてモニツ米国エネルギー庁長官が見直すべき、と発言し、原油輸出は米国石油業界を代表してエクソン・モービルが禁止撤廃を提唱し始めた。エナジー・インデペンデンスがオバマ政権の次の大目標になりつつある。

 米国貿易収支の三分の二はエネルギー輸入の赤字。これが解消されるなら、ドル高と株高。これに噂される東海岸巨大海底油田の開発が加われば、失業者も急減すること必至だし税収増で財政収支も好転。要するにいいことづくめだ。

 となると時間の経過とともにオバマ民主党政権には有利な材料が増え、秋の中間選挙では共和党不利。そこでオバマケアに絡んでまたゴタゴタを起こしたい。年初にワシントンで再び騒ぎが起きるだろう。しかし米国経済そのものの好転は変わるまい。

 「それでもNY株の方は良いかもしれないが日本国債の方は?」

 「カイル・バスだろう?彼のファンドの運用成績はもうメタメタのはずで、誰も言うことは聞かないよ」。

 従来のバスの主張は「日本の少子高齢化、累積政府債務の増加。これで円安が始まると輸入物価上昇とスタグフレーションを合わせた悪性インフレが発生する」として1ドル350円を予想していた。最近は中国との関係悪化を悪材料にしている。

 しかし5月に瞬間1%に近い水準に急騰した日本国債10年もの金利は、0・6%台で落ち着いている。黒田日銀がこの低水準の長期金利を維持できれば、前記の売り仕掛けの打撃はごく軽いもので済む。現実にはどう展開してゆくのか。楽観は許されない。

2013年12月15日 (日)

ジイサンバアサン映画2本と介護産業のビッグ3(第706回)

ジイサンバアサン映画2本と介護産業のビッグ3(706)

 「RED2」つまり「リタイアード(引退したジイサンバアサン)エクストリームリイ(メチャクチャに)ディンジャラス(危険)」の第二作。もちろんブルース・ウィリスやヘレン・ミレン主演。

 それに「ミッドナイト・ガイズ」はアル・パチーノとクリストファー・ウォーレン。日本の映画共に老人のモトというか、ややオチ目の大スターが「俺達はまだ元気だゾ」という作品を観た。まあまあの出来栄えで楽しめた。ただアクションシーンは「RED2」では殴り合いの部分は韓国のイ・ビョンホンにお任せ。カースタントと銃撃を見せ場にし、あとは味なせりふを楽しむ作品だ。

 

 まあこうした老人映画が成立するんだから、やはり老齢化の時代なんだなあ。

 厚生労働者の予測だと、医療・介護サービス需要は急増する。

 2011年度と2025年度との対比はー。

 介護施設 92→161または131万人分の多い方は現状投影シナリオ、少ない方は改革シナリオ

 特別養護老人ホーム 4886または72

 老人保健施設 4475または59

 

 また居住系の介護施設も万人単位でー

 有料老人ホーム 1525又は24

 グループホーム 1627又は37

 

 野村総研は調剤薬局や衣料品卸も広義のシニア市場に入れているがこれは別の機会にする。

 

 中重度の要介護者を受け入れ、有料老人ホームに比べて料金が安い特別養護老人ホームは実に「42万人(!)」が入居待ち。

 そこで厚生労働省は特別養護老人ホームの入居基準を「要介護3以上」とした。入居待ち42万人のうち10万人(!)も、別の介護サービスを探さなくてはならなくなる。

 

 となるとツクイ(2398)はデイサービス最大手、ニチイ学館は介護業界そのものでトップ。メッセ―ジ(2400)は有料老人ホームで首位。この銘柄が長期投資に、いい。

 

 私は介護リートが明年からスタートするのに期待している。介護ビジネスの成長は加速しよう。

 

 映画のセリフから。「ミッドナイト・ガイズ」のアル・パチーノが言う。「死には二つある。第一の死が魂が肉体から離れる時、ふたつめはオレの名前が生きている人たちから忘れられてしまうとき」。誰でも死ぬ時には自分の家族に迷惑をかけた状態で死にたくない。いい思い出を持って子孫に自分の名前が言われるように死にたい。現実にそうはいかないのが人生だがー。

 まあ、それには「自分年金」をつくらなくちゃあ。

2013年12月 9日 (月)

映画「利休にたずねよ」とイノセ、日銀、米国年金(第705回)

 

映画「利休にたずねよ」とイノセ、日銀、米国年金(705)

 

 「利休にたずねよ」は去る9月のモントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献債を獲得した田中光敏監督作品。主役の市川海老蔵と父の団十郎との最初で最後の共演が話題となった。うつくしい画面だし、俳優みんな大熱演だがヤマ場が少なく少々退屈。

 

 

 

 11月下旬から東京株式市場は少々荒れた。1日何百円もの下げが続くと「どうしたの?」とのご質問が入る。ヘッジファンドと米国の年金とが絡んだ市場操作です、とお答えしている。まるで利休ひとりに賜死させるため三千もの兵を動員した秀吉のように、オーバーリアクション過ぎる。

 

 

 

 まず日経平均225種がきわめて操作しやすい市場指数であり、ソフトバンクとファーストリテイリング、それにファナツクを大量に売買すると簡単に操作できる。このことはこのブログをお読みになる向きは先刻ご承知だろう。

 

 

 

 もうひとつ。東京株式市場の先物取引は流動性が高いので、主に欧州系銀行が、債券の自己売買のヘッジとして利用される。まあ市場の67割を外国人が握っているんだから仕方ない、と言えば仕方ない。

 

 

 

 さてこの現実を前提としてー。

 

 例年11月は米国の公的、私的年金が投資委員会を開く。翌年のニューマネーをどう運用するかを決定する。私が山一にいたころは日本株の興隆期で、4社で取り合いのプレゼンをしたものだ。

 

 また金を含めた商品への投資をカルパースを含めた米国大手年金が増加させた時代。11月頃からその匂いを嗅ぎつけてヘッジファンドが先回り買い。13月には年金のニューマネーが金市場で現実に買い始めるので、金価格は年末から春に必ず上昇した。いまはこの逆だが。

 

 

 

 10月末にヘッジファンドと欧州銀行は米FRBイエレン新議長の政策変更の思惑でいったん下に振ってから、11月下旬に再び買いだした。時々、追随買いを振り落しては、また買う。

 

 

 

 考えてみれば、世界中に投資するグローバル・ファンドは60兆ドルもある。212年末の日本株の時価総額の世界に対する比重は6%台だったが、2013年末は8%と見ていい。

 

 たかが2%、ではない。12000億ドル、12兆円ですゾ。相当部分が13月に入ってくると考えるべき。

 

 

 

 年30%以上、日経平均が上昇したのは戦後11回、そのうち8回は上昇している。

 

 

 

 先日、日銀岩田副総裁のお話を伺う機会があった。前回お会いした38日は衆議院で民主党にいじめられて「金融緩和の効果がでなければ辞表を出します」とタンカを切った直後だったのでお疲れの表情だった。しかし今回は異次元金融緩和の成果が見え始めているのでとてもお元気。うれしく感じた。

 

 国内銀行の保有している国債残高が減少、銀行貸し出しが増え始めた、とか。円安などで企業の利益率が向上しつつある、とか。今後とも円安が続くことを確信できる内容だった。

 

 

 

 ついでに今TVで大騒ぎの政治から見て二つ。猪瀬知事と特定秘密保護法。

 

 いま永田町で大はやりのジョーク。

 

 妻が聞く。「どうもイノセ知事の発言を聞いていると、なにか、ウラがあるような気がするわ」

 

 夫「当たり前だろ。オ・モ・テ・ナ・シ(表なし)」

 

 まあ徳洲会の大ボスの眼で云う発言はすべてパソコンに入っており、検察は握っている。だから利権癒着はワカってしまっている。ご自身は続投宣言しているが、さて、どうなるか。某著名政治家はもうウオームアップしはじめている。

 

 

 

 もう一つの秘密保護法。報道の自由が認められない、とか、知る権利が踏みにじられる、とアジテーターたちは言う。しかし外国からは「日本に何か重要なことを話すと23日で新聞に出てしまう」というのが定評だったのをご存じか。またこのアジテーターは、全く法案を読んでいないことも。

 

 今年1月のアルジェリア人質事件で日本人駐在員が巻き込まれ、死者が出た。現地の情報に詳しい英仏などから情報が取れなかったことが最大の理由だ。

 

 

 

 いま海外在留邦人120万人、海外旅行者1700万人もいる。海外各地の危険な情報を掴み迅速な退避、脱出をさせる必要がある。また中国、韓国などの歴史的事実を捻じ曲げた情報に対抗する情報発信も必要だ。国のことを考えたら、当たり前の法案と思う。

 

 

 

 映画のセリフから。信長が利休に言う。「その(お前の)見出した価値は誰が決める?オレか、それとも?」利休は動じない。「美は私が決めること。私が選んだ品に伝説が生まれます」。私は今後何年も日本経済と株式市場の回復を確信している。

 

2013年12月 1日 (日)

映画「キャプテン・フィリツプス」と日米株価の今後(第904回)

映画「キャプテン・フィリップス」と日米株価の今後(704)

 トム・ハンクス主演、ポール・グリーングラス監督という組み合わせなら、面白い映画が出来るはず、と思ったが、その通り。2時間がアッという間に過ぎる緊迫感に満ちた佳作だった。

 

 実話に基づく20094月の4日間を画く。トム・ハンクス演じる船長が指揮をとる貨物船がソマリア人海賊4人に乗っ取られた。

 

船内に20人の乗組員を身を隠させ、海賊の一人がハダシなのでガラスの破片で負傷させ、頭目をつかまえる。救命艇で逃走すると見せかけた海賊は人質に船長をとる。連絡を受けた米海軍は救出に出動する。

 

 私はかつての名作「翼よ!あれが巴里の灯だ!」を思い出した。ビリー・ワイルダー監督でジェームス・スチュアート主演。彼のたった一人の映画で、演技力で観客を魅了した。今回はトム・ハンクスの演技で見せる。

 

 特に映画の終盤、解放された後に、逆に恐怖がこみ上げて体中の震えが止まらない場面が見せ場だ。

 

株価というものは、上昇すると必ず「そうはいっても」という弱気がウケる。この映画で、いつ船長が殺されるか、がスリルを生むのと似ている。

 

NYダウは連日の新高値更新でドイツDAXも。イエレンFRB新議長のPERから見てバブルではないという発言がきっかけになり、今や18倍近くでも「過熱感なし」という見方が強い。

 強い材料は数多い。①実体経済は良い②東海岸海底大油田③シェ-ルガス革命の進展などなど。もちろん基本は、なんといっても金融緩和姿勢の継続だろう。

 

 この結果、NY市場のイールドスプレッドは縮小した。

 株式益回り(PERの逆数)マイナス10年もの国債金利。グローバルな投資運用者が必ず使う手法だ。

 13年年初に7%だったが最近は4%台の下の方。過去8年間の平均と並んだ。まだ過熱感はない。

 

 日本株は出遅れた、と言われるが、これも同様だ。

 いまの益回りは予想ベースで602%、10年もの国債利回りは06%だから54%。8年の平均値である。

 金融の緩和状態でしかも業績向上期待があるというのは株高の最高の条件だ。

 日本の場合、円安が条件になるのはご存じの通りだが、ベースマネー残高のGDP比率を見ると2014年末予想で米FRBの20%近辺と日銀の50%以上。要するにジャネット・イエレンより、クロダの方が、ハト派としてヒトケタ上なのである。円安、103円以上は必至。私が1ドル110円を目標としていることはご存じだろう。

 

 では目標?これも今後2年ぐらいで2万円。その前の178000円でこの目標は古臭くなる。まあ見てていなさい。

 

 映画のセリフから。船長が海賊の頭目に言う。「本業は漁師なのに、なんで海賊なんかやるんだ?」「アメリカみたいな先進国ならやらないで済むんだがね。」今回の大相場は先進国だけ。

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