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2014年2月22日 (土)

映画「土竜の唄 潜入捜査官REIJI]と真央ちゃん(第714回)

映画「モグラの唄 潜入捜査官REIJI」と真央ちゃん(第714回)

 450万部売った極道漫画の映画化で三池崇史監督、工藤官九郎脚本で只今大ヒット中。映画館では7割が若い女性。やはり主演の生田斗真の魅力か。私は準主役の堤真一が好きなので観に行ったが。

 映画そのものは何ともハチャメチャな、マンガそのもの。しかし男同士の友情やら童貞男のセックスシーンやら、面白いシーンは結構ある。面白いが悪ノリ。

 ストーリーは正義感あふれる巡査がやくざ組織に潜入し麻薬の密売ルートを暴く。

 クレイジーパピヨンというあだ名のヤクザ幹部(堤真一)が言うセリフに「俺もずいぶんいいタネも悪いタネもまいたが、まいたタネは刈らなくっちゃ」。浅田真央ちゃんの今回のフリー演技に似ている。

 

 前の晩のショートプログラムであのスッテンコロリで何と16位。その前の団体戦と合わせて2回失敗。それが3度目の正直でフリーでは完璧な演技で、3回転を含めジャンプは8回も成功、自己ベストを更新した。ああ真央ちゃんはこんな演技を目指していたのか。メダルはダメだったが、そんなことははっきり言ってどうでもいい。何年もかかって猛練習して目指してきた理想のフリーが出来たことを、恐らく日本人総てが喜んだはずだ。

 

 真央ちゃんの挑戦を日本人の999%(残りはよほどのヘソ曲がり)が共感するのは、日本人の本質を表現したからだ、と思う。

 

 日本製品は品質重視、性能重視で、完璧な製品を目指してつくられる。ところが消費者には受けず、ついメーカー側の満足感が優先してしまう。今回もSPで失敗した後の最後の最後のフリーで、もうメダルに関係ないのに大健闘した真央ちゃん。終わって涙した真央ちゃんが皆の心を打ったのは、やはり日本人なんだなあ。儲けるためには、もっと安くと言われてもやらない。日本人だから。日本人が日本人の心の中にまいた「いいタネ」だ。

 

 双日総研の吉崎達彦さんの言葉を借りると「マーケットインでなく、プロダクトアウト」が日本製品。私がこのコラムでしつこく安倍首相の靖国参拝を問題視し、ヘッジファンドの投資方針転換、株安を懸念し続けているのは、同じ見方からだ。

 安倍首相の取り巻きは、日本人同士の自分たちに都合のいいロジックで参拝をすすめたのだろう。あの参拝が大失敗だったことはもうみんながわかっている。

 

 しかし、まだヘッジファンドの売り玉が相当残っていて①戻り高値には先物売りと現物売りが併用されて大幅安②5月末のヘッジファンドの決算前にその株価暴落は必ず発生する、という見方は少数だ。

 

 ヘッジファンドは「売るために買う」。このことをワカっていないと、前記した①②の結論は出ない。だから私は、何遍でも警告する。当分、買いは外国人が手を出していないで、しかも材料が残っているもの、たとえば海洋資源開発関連がいい。銘柄数が少ないのが難だが。

 

 参考資料 「溜池通信」VOL1537

2014年2月18日 (火)

映画「ウルフ・オブ・ウオール・ストリート」と日経450円高(713回)

映画「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」と日経平均450円高(第713回)

 レオナルド・ディカプリオ主演、マーチン・スコセッシ監督のコンビで、アカデミー賞の作品、監督、主演男優など5部門にノミネートされているエンタティメント大作。1980年代から10年間のウォール街が舞台。

 

 主人公のジョーダンは一流証券会社に就職し、トレーダーに出世。しかしスタートしたその日がブラックマンデーの大暴落。

 クビになった主人公は新聞広告を頼りに田舎の証券会社へ。ここではピンク・シートと呼ばれる1ドルに満たないペニー株の売買をしていた。手数料がなんと50%と高い。おとくいのセールストークで知りもしない企業の株を資産家に売りつけに成功。仲間も入れて株の売買会社をつくり、巨富を得る。古い妻と別れ、超美人と結婚、豪邸、別荘、ヨット…。

 

 この夢のような成功の日々の間にFRBが捜査し、証券詐欺で主人公は逮捕される。仲間を売らなければ司法取引を受けられない。さあ、どうする。主人公は悩む。

 

 218日、日銀のサプライズで一日で日経平均は450円も上がり、80銭の円安で102円台の上の方に。1月から続いていた円高株安の流れが、恐らくカラ売りの買い戻しでリワインドされた。

 

 私は日本の投資家が個人でも金融機関でも猛烈に買い始めれば別だが、そうでない限り、ここは戻り売りになると考える。それは外国人は日本株を売り抜けたいからだ。

 

 ちょっと考えればわかる。昨2013年外国人は15兆円強、日本株を買った。逆に日本人は個人が87000億円、金融機関が58000億円売り越した。

 外国人のおかげで201211月頃の8600円が16000円になったが、外国人は手持ちを売らなければ利益確定が出来ない。

 

 外国人の思惑としては①公的年金120兆円が株式比率を上げる②NISAが買いに入るなど。しかし外国人の期待だけで、現実には15兆円の買いは期待に止まる。

 

 となると靖国参拝以降の流れを見ると、ジム・オニール氏の言う通り「これ以上の円安は外国が許さない」。ひところ上限1ドル120円を主張していた世界一のストラテジストが言っているのだ。円安シナリオはあてにならない。

 

 シカゴ市場の円の先物売り玉は215日現在で76000万枚、ひところの13万枚の半分近くになった。これがゼロまたは円買いに転じたらどうなるか。考えるだけで恐ろしい。

 

 映画では主人公の黄金の日々を見事に表現した。しかし、映画のように、いい時代は永くは続かない。安倍さんの靖国参拝が引き金になってしまった。

 

 映画のセリフから。主人公が言う。「お客のサイフからカネを出させて、自分のサイフに入れるんだ」。ヘッジファンドが買った玉は、売るために買う。そこいらをワカっておかないと。

2014年2月11日 (火)

映画「アメリカン・ハッスル」とヘッジファンドの売り(第713回)

映画「アメリカン・ハッスル」とヘッジファンドの日本株売り抜け(第713回)

 本年度のアカデミー賞で最多10部門にノミネートされているデビッド・O・ラッセル監督作品。「ハッスル」というと精力的な響きもあるが「詐欺」という意味もある。詐欺師たちの物語で、まあ面白いの何の。かつての「スティング」に匹敵するエンタティメントだ。まあ、一見をお勧めする。

 主人公アーヴィン(クリスチャン・ベール)と愛人のシドニー(エイミー・アダムス)はダマしまくった揚げ句FBIに逮捕されるが、担当捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)は二人に意外な提案。免責で罪をとがめない代わりに、大物政治家たちをオトリ捜査でゴッソリつかまえる手伝いをしろ、というのだ。

 

 狙いはアトランティック・シティのカジノ利権。1979年に起き「アブスキャム事件」が背景とか。アラブのシークが出資すると吹き込んで収賄の現場をビデオに収め、5人の国会議員が辞職に追い込まれた。

 映画で準主役となるのは市長のカーマイン(ジェレミー・レナー)とアヴィンの妻でどうしようもないダメ女ロザリン。この二人の演技が抜群にうまい。特に主人公の子供かわいさをエサに親権を離さないダメ妻を演じるジェニファー・ローレンスが凄い。

 

 この映画では主人公を含めコン・チームが次々に出会う誤算がストーリーの転機になっている。ダメ妻のおしゃべりで一網打塵を狙っていたその大物が怪しいゾと気づいてしまったように。

 

 年初からアルゼンチン・ショックをきっかけに世界的な株安が発生、日本株は14%も下げた。主要市場のNY市場やドイツなどは4%ぐらいだったので日本だけが下げ幅が大きい。

 私はこのブログで早くから安倍首相の靖国参拝が、ヘッジファンドの「円買い・日本株売り」につながると警告してきた。海外投資家の売りは現物でも先物でも年初からここ数週間目立っている。

 

 昨年外国人は15兆円を買い越して、日本株の大幅上昇を支えてくれた。これに対し国内の個人は87000億円、金融機関は58兆円の売り越し。要するにアベノミクスに期待して日本株を買ったのは外国人だけである。

 いくら株価が上がっても、利食い売りしなければ利益を確定できない。外国人特にヘッジファンドは①恐らく公的年金が株式を買ってくれる②1月から始まったNISAが受け皿となる③先行したヘッジファンドの売りを、他の外国勢の年金や基金が買ってくれる、などを期待していた。

 しかし今のところこの3つの思惑はまあまる外れ、であろう。

 

 このところ、ダボス会議と出席した安倍首相にジョージ・ソロス氏が質問して、落胆したソロス氏が日本株を売り始めた、という情報がしきりと入ってくる。またヘッジファンドの円売り日本株買いを唱道してきたジム・オニール氏「がもうこれ以上の円安はない」と明言し始めた。いつも強気の私だが、最近の株価反発には戻り売りと見ている。そう見ざるを得ない。

 映画の中で使われるビージーズの曲の歌詞に「敗者が勝者になる見込みは、一体あるのかい?」という夢破れたもののセリフがある。敗者になりかけたヘッジファンドは、戻ったらもう一度、売り崩しにかかるだろう。

 

2014年2月 2日 (日)

飯島勲「政治の急所」とビル・エモットと円高・株安(第712回)

飯島勲「政治の急所」とビル・エモットと円高・株安(第712回)

 1月に発表され只今ベストセラーの「政治の急所(文春新書)」で飯島勲・特命担当内閣参与は「総理は必ず靖国参拝を!」と書いてある。要旨は次の通り。

  1. 時の首相は靖国の御霊に不戦の誓いを立てるために参拝するので、他国からとやかく言われる筋合いはない。

  2. 東京裁判でのA級戦犯が合祀されているから首相は言ってはならないという議論は誤解。昭和20年代末の国会決議、遺族援護法、恩給法の改正で受刑者も恩給を受けるようになった。

    A級戦犯で絞首刑になった東条英機元首相ら7人も「刑死」でなく「公務死」に変わった。「言って見れば法律上は罷免されたわけさ」。

  3. 米国のケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が揃って千鳥ヶ淵の戦没者墓苑に足を運んでくれた。画期的なことだ。「それなのに日本国のトップリーダーが靖国に行かないってのは、どうなのよ。国民は安倍さんに靖国に行くと信じているはずだろ」。原稿を書いたのが恐らく参拝前だったので、文章では「まだ」になっている。

     

    私は首相側近がこんな見方だから「故意に挑発的な参拝(ビル・エモット氏)が強行されたのだな、と理解した。

     これじゃあ米国側のメッセージはカラ振り。ホワイトハウスが「失望」という言葉を声明に追加したのも仕方あるまい。向こうから見れば、ワカっていない、のである。

     

     知日派ジャーナリストで英エコノミスト元編集長。日経ビジネスONLINEに「世界が憂うアベノミクスの行方」という 知日派ジャーナリストで英エコノミスト元編集長。日経ビジネスONLINEに「世界が憂うアベノミクスの行方」という文を書いている。。

     

     「過去1か月ほどで、安倍首相と彼のリーダーシップの下で、日本が果たすであろう役割への楽観と賞賛は懸と苛立ちに変わった」。

     「すでにあった安倍首相の動機や判断力、政治問題の優先順位へ積極的な疑念へ変わった」

     まあこの引用でエモット氏の見方に明らかだろう。

     

     問題なのは国内だけで通用するロジックではない。

     日本はサンフランシスコ講和条約第十一条で東京裁判の結果を受け入れており、世界のロジックは「宗教施設で天皇陛下も参拝していない靖国神社になぜ首相が参拝するのか」「A級戦犯や戦前の日本を合理化する展示の遊就館などに参拝することは、日本が受け入れた戦後体制を否定するのか」「安倍首相は自分の心情を国の基本政策(たとえば日米協調)より重視するのか」などなど。

     

     再びビル・エモット氏を引用すると「沖縄の米軍基地問題の満足感は、日韓の関係悪化という不快感と、靖国参拝が米国を侮辱したという思いで消失した」。ここいらが「世間の世論」だろう。

     

     となると問題が次から次へと噴出する。

  1. アベノミクスか金融による「第一の矢」以外ほとんど中身がない。

  2. 円安、株高が安倍政権の持率の背景だが、米系ヘッジファンドを中心に、為替も株価も外資が握っており、オバマ政権の対日姿勢でいつガラリト流れが悪い方に向かうか分からない。(1月下旬から、円買い株売りが現に始まっている)。

    ヘッジファンドは時にして米国の世論なりワシントンの意向なりを見て行動する。2月下旬のTPP閣僚会合に向けて日米韓協議が大詰めを迎えている。市場から圧力をかけていることは間違いない。

     

     私は管官房長官が何かのチャンスを捕えて千鳥ヶ淵の墓苑に献花して、アメリカの顔を立ててやればいいと思う。

     

     たしかにオバマは頼りない。オバマケアの失敗に加えて英エコノミスト誌によると①女優ジェニファー・アニストンとの不倫②TVのニュースキャスターのケイティ・クーリックとも不倫、を明らかにした。日本なら大騒ぎだろう。それでもあと3年もこの政権は続くのだ。現実的な外交で、少なくとも日米間の関係を修復することを心から願う。

     

     95年4月のクリントン政権の超円高攻撃の時と同様に、フレッド・バーグステンがまた出てきた。民主党政権の時に必ず出てくる円高論者。恐らく後ろに米自動車労組が要るんだろう。

     

     年初に岩盤のように見えた「円安・株高」シナリオは、一時的と願うが、ここ当分望めそうにない。「当分」って?と聞かれそうだが、どうみても1,2か月の間は―。

     

     映画のセリフから、でシメるのが通例だが、今回は「政治の急所」から、「時の政権の経済政策で肝心なのは、ニュース番組の最後にいつも報じられる円。ドルの為替相場と日経平均株価さ。世界中どこでも為替と株をどう守るかが時の政権の仕事難だけで、日本の場合はもうひとつ。不動産の価値を守ることがあるのを忘れちゃいけないぜ」。安倍さん、株価にご注目を!

     

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