今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ


« 2014年2月 | トップページ | 2014年4月 »

2014年3月30日 (日)

歌舞伎「勧進帳」と私の待っていた材料(第718回)

歌舞伎「勧進帳」と私の待っていた情報(第718回)

 ご存じの歌舞伎の最大の人気演目で、原型は1720年代というから300年も練りに練った名作だ。

 この3月の歌舞伎座で、私は3回も観た。吉右衛門の弁慶、菊五郎の富樫、藤十郎の義経。あまり見たことのない方々に歌舞伎の面白さを教えたかったので。と言いながら、私はヤマ場、見せ場のたびにハラハラし、昂奮した。もう少なくとも8回は見ているのに。

 

 奥州に逃げ込むため安宅関に差し掛かった義経一行の苦難。次から次へと見せ場が続き、弁慶の勧進帳の読み上げ、富樫との緊迫した問答。許しを得た一行が関所を通過するところ、番卒が荷物運びの強力が義経に似ていると進言。疑いを晴らすため、やむなく弁慶は主君を金剛杖で激しく打つ。富樫は正体を察しながら切腹を覚悟して、情にほだされて通過を許す。

 

 苦境を切り抜けるには何か途方もない行動が必要だ。ヘッジファンドが年初から手持ち株を売却、恐らく1~3月で3兆円は売った。また円の先物売りは14万枚から6万枚へ急減。スクエアにしよとしているようだ。円安と株高の二つの推進力は明らかに逆噴射を始めた。

 

 2012年11月20日に「円売り日本株買いがグローバルな投資家に最良の投資戦略」と号砲を上げたジム・オニール氏が、10月に「日本円のこれ以上の安値は諸外国が許さない」と。この人は今から13年前にBRICSという言葉を考え出し、この4ヵ国が世界の成長を担うというシナリオを主張したグローバル投資ストラテジストの第一人者だ。

 

 2012年11月当時の円レート79円の時100円、年末には「2年以内に100~120円」とまで述べていたオニール氏が方針を転換した。材料は靖国参拝だろう。中国に何か大きい売り材料が出た時に備えて、日本株を売っておく、という作戦かも。

 

 ヘッジファンドはオニール氏の戦略に忠実。2012年11月から3か月でジョージ・ソロス氏は90億ドルの巨利を挙げた。1月に入ってヘッジファンドが売りに回り、円売りを恐らく収拾しかけているのは、そのために違いない。

 

 だから私はこのブログで昨年末からずっと弱気だ。また5月のヘッジファンドの中間決算までに、まだ儲かっている日本株を売却、実現益を出したいはず、と考えている。

 

 また米国株が下げに転じると日本株にも影響がある。「SELL IN MAY」と云う位、NYダウは5月天井、6,7月下降という季節性があるので、日経平均も同じかな、とも。

 

 良く講演会の後の懇談会で「では、イマイ先生、その後はどう見ているんですか?」私はいつもにやにや笑って答えなかったが、それはある報道を待っていたからだ。

 

 3月28日の日経。「公務員年金も運用見直し」という見出しで、副見出しは「国債中心から株重視」。

 3月31日の関係省庁の検討会で公務員の共済年金の運用を一変、債券の比重下げ株式の比率を上げる。

 年内に資産構成割合の目標を一変し、2015年度から運用が始まる。

 

 ではどのくらい買うの?そこがキモのこのストーリーは、実は、ジラすようで申し訳ないが詳しくは来週に。まあ、あせらないで。コトが起きるのが来年4月から、なのだから、情報ソースとの関係もあるし。一週、お待ちください。

 

 勧進帳の長唄は本当の大名曲と思うが、幕切れの歌詞を。「いとま申し立てさらばよ、とて。笈(おい)をおっ取り肩に打ちかけ、虎の尾を踏み毒蛇の口をのがれる心地して、陸奥の国へぞ、下りける」。そして、幕が終わったあとの弁慶の飛び六方。観客は大満足。相場も政治も、こうこなっくちゃあ。

2014年3月24日 (月)

映画「アナと雪の女王」とイエレン・ショックと株、金相場(717)

映画「アナと雪の女王」とイエレン・ショックと株、金相場4(第717回)

 ディズニーのアニメ映画で最高の興行収入を挙げているヒット作。第86回アカデミー賞のアニメ部門で日本の「風立ちぬ」を破り受賞、主題歌の「LET IT GO」も歌曲賞を獲得した。私が見たのは字幕版だが、日本語版の松たか子の歌唱が評判。早く見たいと思っている。

 

 アンデルセンの童話「雪の女王」をヒントにした物語。アレンデール王国の長女エルサは何でも凍らせてしまう魔力を持っており、真夏の王国を冬の世界に変化させてしまう。行方不明になったエルサと王国を何とかしたい、と妹のアナが山男のクリストフ、とトナカイのスヴェン、それに雪だるまのオラフと一緒に雪の山に入ってゆく。

 

 善と悪との対立でも、白馬の王子様のキスですべて解決、というお馴染みのストーリーでもない。大人の鑑賞にも耐えるレベルの高い映画だし、8曲の歌もいい曲だ。米国では観客がスクリーンに合わせて一緒に歌えるバージョンも公開されて興行収入を伸ばしているとか。

 

 王女エルサの何でも凍らせてしまう超能力、私は3月19日の米FRBイエレン議長の発言をすぐ思い出した。

 FOMC後の記者会見で「量的緩和に伴う証券購入の完了から利上げまでの期間について「恐らく6か月程度」と述べた。言葉通りとすると2015年春、ということになる。「アルゴリズム取引」といって、あらかじめインプットされたキーワードが注目される声明などに入ると、瞬間的に売り注文が大量に出る。だからびっくりしちゃいけない。

 

 ニューヨーク株式市場は19日、114ドル安の1万6222ドルで引けたが、21日には1万6302ドル。一応ショックは一時的だったように見える。また10年もの米国国債の利回りも2・6%台から瞬間2・8%に上昇したが、週末は2・7%台。これも株価と同様だ。あくまでも瞬間ショックで別にA大したことを言っていたわけじゃあない。

 

 これから、どうなるか。

 テクニカル・アナリストで私が打率が高いと認める人たちは(若林栄四,伊東秀広、宮田直彦の皆さん)みな米国株に弱気。たしかに米国の実体経済は弱いのに株価だけ高いという見方は正しいと考える。

 しかし米国の税金は4月15日が申告の期限で投資家は手許にキャッシュを置いてある。バブルには違いないが、破裂には案外時間がかかるものだから、私は6月か7月頃に天井と想定している。そのころFRBの量的金融緩和の購入債券の量がかなり減少しているし。

 

そこで「金」。3月17日にオンス1391ドルだったが、19日に1332ドルをつけた。昨年12月31日の1179ドル(引け値は1182ドル)から209ドル上げたが、その上げ幅の三分の一にもいっていない。

金ETFが私の予想通り減少が止まっていることにもっと注目すべきだ。1月に23・6トンの売り越しだったが、2月は6・9トン、3月は18日時点で16・5トンの買い越し。④要注意はニューヨーク金市場のファンドの買いポジションが11万8890枚。3月の期末を控え恐らく利食いが出る可能性はある。④戻りの高値を抑えるだろうが、私が1100何十ドルの大台で底を入れたという見通しは変わらない。

ついでに日本株も、外国人投資家はまだ売っている。靖国参拝以降の「アベイズム売り」だ。私は強気を言っている人の気がしれない。

 

 映画の中の「LET IT GO」の日本語版の歌詞から。「ありのままの姿見せるのよ ありのままの自分になるの 何も怖くない 風よ吹け」。ほんとうにその通りだ! 

2014年3月16日 (日)

映画「ダラス・バイヤーズ・クラブ」と中国ショック(第716回)

映画「ダラス・バイヤーズ・クラブ」と中国ショック(第716回)

 第86回アカデミー賞で6部門にノミネートされ、主演・助演男優賞を含め三部門でオスカーをとった秀作。もう治癒が可能になったエイズが恐れられていた1980年代の物語だ。

 

 ロデオのバクチでメシを食っている主人公が「あなたはエイズで余命三か月」と宣言される。最初のエイズ治療薬として発売されたAZTは副作用がきつく、すぐ耐性ウィルスが出現して効かなくなる。後続の薬は安全性の確認など手続くがスローで、患者は何とか生き延びて新薬の登場を待ちたい。

 そこで未承認薬を世界中から持ち込み、会費を集め、薬は無料というバイヤーズ・クラブを結成。国と製薬会社と戦う一人の男の映画だ。

 

 結局7年も生き延びた主人公ロン(マシュー・マコノミー)はエイズが完全に克服される95年ごろに亡くなってしまう。私は、永い間破綻するゾと警告されてきた共産中国が、どうも今回は映画の主人公のように危ないんじゃないかと思う。ソロス氏は2年以内と見ているのだが。

 なぜか。私はもう古い話になったが、ジョージ・ソロス氏の1月にウエブサイトで述べた「中国が世界経済の最大のリスク」の指摘を改めて注目している。

 

 ソロス氏は2013年末に、S&P500種の売りも9月末比で三倍の13億ドルにした。ポジショントークでの弱気と見る向きもあるが、1月の寄稿文で米国もEUも大丈夫、心配は中国だとしている。

 

 理由は「中国の現在の政策には自己矛盾がある」。

 中国は2012年に債務の抑制を始め、また過剰生産能力が問題の鉄鋼などは減産を指導した。ところが問題点が一斉に噴出、再び銀行には金融緩和、鉄鋼メーカーには増産を命じた。これが矛盾だ、とソロス氏は言う。そして結論は―。

 「(この政策転換を成功させるためには)政治的な改革を必要とするが、しかし失敗すれば指導部の信頼は失われ、結果として、国内では抑圧、国外では軍事的な対立をもたらす」。

 

 まあ軍事的な対立、というと私には尖閣列島での紛争がすぐ頭に浮かぶ。だからヘッジファンドのマネジャーたちは対日投資を手じまいしたがっている。私が5月末のヘッジファンドの中間決算には、円高・株安が起きるとみているのは、このためだ。

 

 現に安倍首相の靖国参拝を理由に1月から2月上旬まで、現物・先物併せて1兆5000億円以上売った。つれて日経平均は12月30日の1万6320円から2月5日の1万3995円まで14%下げ、円レートも1月2日の105円44銭から2月4日の100円76銭への円高となった。明らかに「円安・株高」の流れが反転した。

 

 2012年11月20日に「円売りと日本株買いがベストの戦略」とアベノミクスを高く評価したジム・オニール氏(前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長)が最近になって「もうこれ以上の円安は諸外国が許さない」と言い出した。このオニール氏のすすめに従ったソロス氏がわずか3か月で90億ドルの巨利を挙げたのは有名だ。軍師が方針転換したのだからほかのヘッジファンドが売りに転じたのは当たり前だ。

 

 私は円レートは昨年6月頃の93円か、少なくとも95円ぐらいはあると予想している。日経平均は1万3000円以下とも予想。そのキッカケは恐らく中国だが、その動きに応じたNY株式市場の下落だろう。

 

 中国の社会情勢は極めて不安に満ちている。貧富の差を示すジニ係数は2月の発表では0・717。2013年数字で西南経済大の調査だ。

 先進国は0・2,0・3で、0・4が警戒ラインで0・6は社会不安につながる。

 北京大学の調べでは、清の時代の終わり。太平天国の乱のときは0・57、毛沢東が押さえる前の国民党統治時代は0・53だった。革命前夜、崩壊寸前と考えていい。

 

 最近のテロ頻発は抑圧の激しさを物語るし、シャドーバンクの問題点も押さえ込もうとしても無理な段階に入っている。先日の銅価格急落も根は深い。いちいち挙げていたらキリがないが。

 

 映画のセリフから。主人公が言う。「普通の生活にあこがれていたが、普通の生活、なんて、ない」。中国では富めるものと貧しいものに分かれ、普通の人がいなくなってしまった。日本も同じという人がいるが、程度が違う。

2014年3月 9日 (日)

映画「家路」と私の金価格強気転換の理由(第715回)

映画「家路」と私の金価格強気転換の理由(第715回)

 映画「家路」は2014年ベルリン国際映画祭出品作品であの東北大震災から三年目の福島の農家の物語だ。久保田直監督で、主演松山ケンイチ、内野聖陽、田中裕子。地味だが深い感動を与える作品だ。

 

 一家はあの原発の事故で警戒区域になり、狭い仮設住宅に母と夫婦、子供が住んでいる。そこへ20年ぶりに行方不明だった次男が帰って来る。これが松山ケンイチ。ストーリーも設定もきわめて複雑だが、無人の街や放置されている田畑など、画面を見ているだけで映画のテーマは明らかだ。

主人公の次郎が中学時代の友人と誰もいない母校の教室でホームルームごっこをする場面が心を打つ。

無人の街の割れたアスファルトを走る雑草を見て次郎が「緑の導火線だな」とつぶやく。また人間がいなくても青々と育ってゆく苗床の苗。生命の力は強い。そして相場の力も。

 

 昨年末から、私は安倍首相の靖国参拝以来、円安と株高が逆転すると予想し、このコラムで続けて書いてきた。

 「アエラ」2月17日号で私の主張を紹介してくれた。題は「アベバブル崩壊の兆し」。取り上げてくれたのはとても嬉しい。

 年初から「外国人の日本株売りは、1兆7~8000億円。これで12月30日の1万629円が1万4000円少し割れまで下がった。為替レートも1ドル105円から100円スレスレ。

 それでもまだ1兆5000億円はヘッジファンドは保有しており、5月の中間決算までに保有株を売って実現益にしたいはずだ。彼らは「売るために買う。」上値に戻しつつあるが、上がってきたら、昨年5月のような売り仕掛けは確実だ。

 

 もうひとつ。私が年末から金価格に強気転換したことも強調したい。

 始めてこの意見を表明したのは1月7日、帝国ホテルでの時事通信社の新年互礼会。第一商品の社長、副会長、副社長の三人に会場で会い「今年は金価格は上昇するよ」と申し上げた。副社長は私の昨年9月の第一商品での講演会の時、これから下げると予告したが、覚えておられたので私の変心にびっくりしている。

 

 私の変心の理由はカンタン。従前から「1100何十ドルで底値」と予測してきたところに昨年末に1179ドルがついた、底値と思う。また「オンス1000ドル」とか「いや900ドル」というバカが現れると底値がつく。これは「日経トップリーダー」1月号のCDで申し上げた。

 

 金価格は利回りなどのメドがない。その代りに需給関係が価格を決める。ここ2,3年。金ETFの急減少が金価格下落の重要な要因だった。

 また米FRBのティパリングで、ゼロ金利から脱却することも売り材料となった。

 

 しかし私は金ETFの主な買い手だった米国の年金、基金の多くがもうこれ以上ETFを売らないことを掴み、また新高値を更新しつつあるNY株式へのQEⅢ効果が消えることへの警戒感が存外強いことも知った。ティパリングは意外にも金価格の上げ材料だったのだ!

 しかし、私がかつてオンス260ドル近辺で金買いを主張し始めた時と同じ。まだ金の専門家は私をのぞいて強気ではない。

 

 しかし、1920ドル台で天井を打った時、私は弱気だった。従前から「皆がオンス2000ドルを言い出したら、1890とか1900何十ドルで天井」と著書にも書いた。現実にその通りになった。

 ごく目先、1400何十ドルで上値は抑えられよう。しかし、次の天井は2000数百ドル。今度は2000ドルはもちろん、もっと上かも。

 

 今週土曜日、私は第一商品の渋谷本店で「今後の投資環境と金相場」という題で講演する。午後1時から一時間半。私がこのコラムで講演を宣伝するのはこれが初めてだ。昨年私は86回の講演をしたが、確か8~9回は第一商品だ。今回ダメな方は第三土曜日にどこかでやっている。

 

 映画の主題歌「アイニユケル」の中に「人はいつも後から、気づいては振り返る」とある。私が天井の金価格の予想を的中させた男であることを覚えていてほしい。

2014年3月 3日 (月)

2014年 日本経済の展望

「日経トップリーダー」経営者クラブから出版された『トップの情報CD』に、「2013年日本経済の展望」というテーマでインタビューが収録されました。

2014年5月号
2014年3月号
2014年1月号その1
2014年1月号その2
2014年1月号その3
2013年11月号
2013年9月号
2013年7月号
2013年4月号
2013年2月号
2013年1月号その1
2013年1月号その2
2013年1月号その3
2013年1月号その4
2012年12月号
2012年10月号
2012年8月号
2012年6月号
2012年4月号
2012年2月号
2011年12月号
2011年10月号
2011年8月号
2011年6月号
2011年4月号
2011年2月号
2010年12月号
2010年10月号
2010年8月号

« 2014年2月 | トップページ | 2014年4月 »