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2014年3月16日 (日)

映画「ダラス・バイヤーズ・クラブ」と中国ショック(第716回)

映画「ダラス・バイヤーズ・クラブ」と中国ショック(第716回)

 第86回アカデミー賞で6部門にノミネートされ、主演・助演男優賞を含め三部門でオスカーをとった秀作。もう治癒が可能になったエイズが恐れられていた1980年代の物語だ。

 

 ロデオのバクチでメシを食っている主人公が「あなたはエイズで余命三か月」と宣言される。最初のエイズ治療薬として発売されたAZTは副作用がきつく、すぐ耐性ウィルスが出現して効かなくなる。後続の薬は安全性の確認など手続くがスローで、患者は何とか生き延びて新薬の登場を待ちたい。

 そこで未承認薬を世界中から持ち込み、会費を集め、薬は無料というバイヤーズ・クラブを結成。国と製薬会社と戦う一人の男の映画だ。

 

 結局7年も生き延びた主人公ロン(マシュー・マコノミー)はエイズが完全に克服される95年ごろに亡くなってしまう。私は、永い間破綻するゾと警告されてきた共産中国が、どうも今回は映画の主人公のように危ないんじゃないかと思う。ソロス氏は2年以内と見ているのだが。

 なぜか。私はもう古い話になったが、ジョージ・ソロス氏の1月にウエブサイトで述べた「中国が世界経済の最大のリスク」の指摘を改めて注目している。

 

 ソロス氏は2013年末に、S&P500種の売りも9月末比で三倍の13億ドルにした。ポジショントークでの弱気と見る向きもあるが、1月の寄稿文で米国もEUも大丈夫、心配は中国だとしている。

 

 理由は「中国の現在の政策には自己矛盾がある」。

 中国は2012年に債務の抑制を始め、また過剰生産能力が問題の鉄鋼などは減産を指導した。ところが問題点が一斉に噴出、再び銀行には金融緩和、鉄鋼メーカーには増産を命じた。これが矛盾だ、とソロス氏は言う。そして結論は―。

 「(この政策転換を成功させるためには)政治的な改革を必要とするが、しかし失敗すれば指導部の信頼は失われ、結果として、国内では抑圧、国外では軍事的な対立をもたらす」。

 

 まあ軍事的な対立、というと私には尖閣列島での紛争がすぐ頭に浮かぶ。だからヘッジファンドのマネジャーたちは対日投資を手じまいしたがっている。私が5月末のヘッジファンドの中間決算には、円高・株安が起きるとみているのは、このためだ。

 

 現に安倍首相の靖国参拝を理由に1月から2月上旬まで、現物・先物併せて1兆5000億円以上売った。つれて日経平均は12月30日の1万6320円から2月5日の1万3995円まで14%下げ、円レートも1月2日の105円44銭から2月4日の100円76銭への円高となった。明らかに「円安・株高」の流れが反転した。

 

 2012年11月20日に「円売りと日本株買いがベストの戦略」とアベノミクスを高く評価したジム・オニール氏(前ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長)が最近になって「もうこれ以上の円安は諸外国が許さない」と言い出した。このオニール氏のすすめに従ったソロス氏がわずか3か月で90億ドルの巨利を挙げたのは有名だ。軍師が方針転換したのだからほかのヘッジファンドが売りに転じたのは当たり前だ。

 

 私は円レートは昨年6月頃の93円か、少なくとも95円ぐらいはあると予想している。日経平均は1万3000円以下とも予想。そのキッカケは恐らく中国だが、その動きに応じたNY株式市場の下落だろう。

 

 中国の社会情勢は極めて不安に満ちている。貧富の差を示すジニ係数は2月の発表では0・717。2013年数字で西南経済大の調査だ。

 先進国は0・2,0・3で、0・4が警戒ラインで0・6は社会不安につながる。

 北京大学の調べでは、清の時代の終わり。太平天国の乱のときは0・57、毛沢東が押さえる前の国民党統治時代は0・53だった。革命前夜、崩壊寸前と考えていい。

 

 最近のテロ頻発は抑圧の激しさを物語るし、シャドーバンクの問題点も押さえ込もうとしても無理な段階に入っている。先日の銅価格急落も根は深い。いちいち挙げていたらキリがないが。

 

 映画のセリフから。主人公が言う。「普通の生活にあこがれていたが、普通の生活、なんて、ない」。中国では富めるものと貧しいものに分かれ、普通の人がいなくなってしまった。日本も同じという人がいるが、程度が違う。

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