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2014年4月 6日 (日)

映画「ワンチャンス」と私の待っていた情報②(第719回)

映画「ワンチャンス」と私の待っていた情報2(719回)

 2007年英国の大人気番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」のオーディションで優勝、一躍人気者となったポール・ボッツの物語。

 

 舞台は英ウエールズ。デブで歯並びが悪く内気な主人公はずっとイジメの対象。歌しか才能がなくオペラ歌手になるのが夢。

 

 やっと金を集めてヴェニスの音楽学校に。理事の世界一のテノール・パヴァロッティの前で歌うチャンスをもらえたのに、緊張して声が出ず失敗、退学。

 

 その後も次から次へと不運が続く。虫垂炎、甲状腺腫瘍、交通事故でろっ骨を骨折。せっかく結婚したが仕事は携帯電話のセールス。しがない人生の主人公が、どう幸運をつかむことが出来るか。

 

 本当に永い、永い間の日本経済のスランプだった。私は主人公の不運を思い出した。

 

 株価は89年12月末の3万8915円から、2012年11月の野田解散時の8664円。ここでアベノミクスが宣言され、流れが変わるが、その間に円高と少子化老齢化、デフレが日本の産業をむしばむ。電子工業を中心に韓国は技術を盗み、シェアも取られ、大赤字になった。この間、日銀はまるっきり知らん顔、2012年には「1ドル50円」なんてメチャメチャな弱気が横行していた。

 

 株価が80年代高かったのは、金融機関と事業会社の株の持ち合いで54%もの株が凍結されていたため、これがバーゼル規制で株はリスク資産とされ、「ザ・セイホ」ともてはやされた生保の政策投資はソルベンシーマージン規制でずっと株は売り一方となった。54%(88年3月末)は2010年3月に8%にまで下落。下がるワケだ。

 

 この流れを一変させてくれたのが2012年11月20日のジム・オニールの提唱した「円売り・日本株買いがグローバル最良の投資戦略」という発言だった。

 すぐ応じたジョージ・ソロスは3か月間で90億ドルの巨利を挙げ、2013年3月まで4兆円の外人買いはほとんどがヘッジファンド。9月までの6か月にまた4兆円、外国人は買ったが、恐らくその4割がヘッジファンドだろう。ヘッジファンドは合計5兆6000億円くらい買った。コストは1万1000円より少し下だろう。

 

 昨年12月26日の安倍首相の靖国参拝で、株価は年末の1万6320円、円レートは1ドル105・44銭で天井。円安=株高のストーリーはいっぺんに壊れた。3月まで外国人(主にヘッジファンド)先物を含めて3兆円近く売った。あと2兆7000億円ぐらいの保有になっているだろう。

 

 最近になって円レートは改めて売りなおすチャンス狙いで103~4円になり、株価も1万5000円台を回復した。

 しかしヘッジファンドは「売るために買う」種族。保有株が多少減ったからと言ってとてもとても楽観はできない。日本から逃げ出したい、というのが本心だからだ。「中国」が問題だ。

 

 中国の情勢が容易でないのはだれの目にも明らか。先日の暴動では戦車が15台も動員された。一方オバマの弱腰外交の『成果』で欧州と中東の情勢が不穏な度合いを増す。米国の力が落ちたのでなく、オバマ大統領のレームダック化が早まっているだけなのだが。ウクライナに戦力を送らない米国は、尖閣でコトを起こしても何もしない、と習近平は読んでいるかもしれない。国内で問題の独裁政権が外国で敵を見つけるというのは、歴史上なんぼでも例がある。

 

 中国株じゃ市場は小さくても売れないから、日本株を売りたいと考えているに違いない。

 

 だからこそ公的・準公的年金の株式比率を上げるというのは名案。現在71%の債券比率を下げ、12%の日本株比率を25%に。13%増だと公的年金全体の資産額は明年3月末には160兆円になっているから20兆円を超える購入金額になる。

 

 昨2013年の外国人の日本株買いは15兆円、(これに対し日本勢は14兆5000億円の売り越し!何て情けない!)。20兆円という買いが入ると決まるだけで、ヘッジファンドは売りを止める。中国への不安は残るが、投資のプロのファンドマネジャーたちはその時になってから行動を起こせばいい、と考えるだろう。ここは、ダマしあいだ。

 

 結論。まだ5月のヘッジファンドの中間決算までに、実現益を出したい向きの売りはあるだろう。しかし①公的年金の買い(彼らから見れば大ガモ!)②2015年3月期の企業収益の増益③PERなど株価水準指標は割安④JPX400が公的年金の投資目標、など材料十分。大きな押し目は歓迎だ。

 

 映画のセリフから。パヴァロッティが言う。「テノールは観客の心を盗まなくてはならない。泥棒の図太さがなければ盗めないぞ」。公的年金買いは相場の達人が恐らく助言したのでは。売りの大手をダマすのだから。そのうちにNISAはじめ、国内の買い勢力が強くなってくる。時間かせぎだ。

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