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2014年5月25日 (日)

映画「プリズナーズ」とNYダウとシェール革命(第725回)

映画「プリナーズ」とNYダウとシェール革命(第725回)

 近く公開される「複製された男」が飛行機の中で観てよかったし、前作「灼熱の魂」もすごく良かったので。カナダ出身の監督ドウニ・ヤヴィルヌーグは腕がいい。それにここで書く予定だった「ブルー・ジャスミン」がイマイチだったので。

 6歳の娘が友達と一緒に突然姿をくらます。工務店を営むケラー(ヒュー・ジャックマン)は近くに停車していたキャンピングカーを思い出し、その運転者は警察に逮捕される。しかし10歳くらいの知能しかないし返事もおぼつかないし、釈放するほかない。

 ここから先は全く予想のつかない展開が続くのでとても簡単にまとめられないが、娘の友達が事件発生から7日目に路上で発見され、さしもの難事件も急展開。そこから先も意外や意外、まあミステリー好きの方はご覧ください。ただし長い、2時間半。あきないけど。

 

 この映画の冒頭主人公が長男に言いうセリフ「お前のおじいちゃんが教えてくれた教訓はハリケーンや洪水が起きたり食料品やガソリンが店から消えても、どんなことがあっても『常に備えておけ』ということだ。」

 何でもそうだろうが、異常な事態への備えは重要だ。今年は世界的な不安要因がご存じの通り多いから、どうしてもコトが起きた時どうしたらいいか、心の中に備えが必要になる。

 

 中国とかウクライナとかならもうさんざん聞かされたぜ、という向きにNYダウの新値更新中の高値からの大幅下落、ならどうか。

 中間選挙の年、年央に高値がついた年の年末値との比較は、1930年以来21回、一つの例外もなく下落して平均19%もある。3000ドルは下がる計算だ。

 また2009年3月から始まり三倍になった長期上昇のあと、長期の下げも覚悟しておく必要がある。

 今回の上昇を別にしてS&P500が1年以上上昇した回数は1932年以来18回、上昇期間平均は155週、上昇幅は108%。まあ3年で二倍だ。ところが下落の期間は68週で33%下がる。

 まあこの統計はDr.ドゥーム(恐怖の博士)と呼ばれるマーク・ファーバー氏の最近のレターからの引用だから弱気の見方だが。

 とは言え、ごく目先のNYダウは、最上限1万8000ドル台へゆくかもしれないと考える。警戒論が多いうちはバブル的上昇は続く。皆が2万ドル説を言い出し、弱気論者が黙った時が大天井。その手前で上昇相場は、終わる。

 

 といってもやはりシェール革命の米国経済への効果は大きい。実感した。

 今回出張して採掘現場を見て、技術進歩で供給量が拡大していることがよく分かった。

 簡単なたとえで云うと、タテ堀のガス井から真横に一本、つまりLの字型採掘が初期。いまはたて7一本に対しタコのように何本も地価の頁岩層に採取のためのヨコノの採掘井が動く。深さも3000から7000米まで。

 だからガス採掘りグの減少で、革命は終わりなどという記事があったが、あれはとんだ早トチリ。

 すでにエネルギー関係の貿易収支赤字の比重は、2005年の40%から20%台に半減し、ガス中心にパイプライン建設業労働者数は2005年比二倍になった。失業率低下に貢献している。

 シェール革命の効果は現地で聞いた話では、時給130ドル(有給休暇を含めると年間1000万円以上)のトラック運転手(!)もいる、とか。賃金上昇だ。

 現場で聞いたガス井運営の技術者は二週間ヒル,二週間ヨル勤務(それも1日12時間も勤務)、そして4週間休みの勤務体制。はっきりと言わなかったが年2500万円以上、らしい。しかも相当大きいガス井で、技術者はたった二人。パイプを地下に送り込む作業員は三人。つまり5人。ずいぶんと効率がいい。ま、このほかずいぶんと現地で聞いたけど、別の機会に。ご退屈さま。

 

 映画のラストシーン。刑事が家宅捜査の夜、かすかに助けを求めるホイッスルの音を聞く。その刑事の顔のクローズアップで終わる。恐らく「第三の男」以来の名ラストだろう。今回は自分で読み返してもシマらない不出来のブログだが、警戒ムードと長期見通しがいいことはお分かりだろう。

 

なお、先週の予測為替で100円、日経平均1万4000円のラインは明確に割り込まなかったが、

先週の毎日新聞5月16日夕刊の私の意見は変わらない。時間の問題だろう。もう一度、クリックしてご覧ください。字が大きく読みやすくなっているから。

2014年5月18日 (日)

映画「とらわれて夏」とNYと東京の株安(第724回)

映画「とらわれて夏」とNYと東京の株安(第724回)

 小品でもあと味が良く俳優の演技もうまい映画は私のお好み。今回はケイト・ウィンスレットが主演なので。前作「愛を読むひと」は素晴らしかった。

 原題は「レイバー・デー」で9月第一週の月曜日の休日、かつての名作「ピクニック」でもこの日だった。

 離婚して13歳の息子と暮らす母親が、怪我をした脱獄囚に助けを求められ、五日間かくまい続ける。 

 初めは半ば脅かされた親子だが脱獄囚は心優しく、次第に母親は愛情を感じる。料理上手な父親代わりの脱獄囚は、ピーチパイをつくる。これがのちに思いがけない人生の贈り物になる。

 

 三人の俳優の演技のうまいこと。映画ではお互いの信頼が増すほど逮捕の迫る不安がつのる不安感と幸福感が巧みに画かれる。監督はジェイソン・ライトマンで「JUNO」「ヤング×アダルト」ともに良かった。

 

 不安感と言えば、新高値更新中のNY市場は5年以上のブル相場だけに不安はある。いくらイエレンFRB議長が株価水準を妥当と認めても。

 というのはテイパリング。こんな表現はとっても金融の超緩和状態からの引き締めであることは変わりない。まだ長期金利が上がらないでいるから不安感が表面化していないのだが。

 それだけに5月9日に点灯したヒンデンブルグ・オーメンが、まことに気になる。昨年も4月と8月、12月に三回現われたが、その都度かなり意図的に条件の一つのマクレラン・オシレータをプラスにして暴落を回避した。しかし今回は4月4日の高値を抜いて新高値に行ったが、このオシレータはプラスになっていない。

 

 順序が逆になったが、ヒンデンブルグ・オーメンとは、次の四条件が発生すると暴落が発生する。

  1. 52週の高値更新銘柄と同安値更新銘柄が両方とも、その日の値上がり値下がり銘柄数の2・8%以上に達する。

  2. NY取引所総合指数が50営業日前を上回る。

  3. 短期的な株価の方向性を示すマクレラン・オシレータの値がマイナス。(19日移動平均マイナス39日移動平均)

  4. 52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の二倍を超えない。

    これが確認されるとー

    「72%の確率で株価は5%以上下落し、パニック的な売り相場の可能性は41%、重大なクラッシュとなる可能性は24%」(ロイター)。

     何とも恐ろしい予言だが、いったん発生すると向こう30営業日は有効、という。5月いっぱいから6月早々までが要注意だ。

     最近数日間のNYダウ急落がこれかも知れない。

     

     まあここいらは少々早いが「夏の怪談ばなし」と思ってお読みください。その分、逆にシリアスなのは東京株式市場だ。金曜日に日経平均1万4000円ギリギリ。これを切ると1万2400円近辺まで行ってしまう。

     円レートの方も13日の日本時間のヨルからのヘッジファンドの仕掛けで102円の大台を割り、次は100円。目標は95円ぐらいだろう。すでにシカゴ為替市場で急速に円売りの玉が減少を始めている。

     

     ヘッジファンドにしてみれば、5月は中間決算で、実現益を出すべく、5月に入って日本株を売ってきた。5月21日の日銀総裁の記者会見後の総裁発言次第で売りなおすだろう。材料は5月16日(金)の毎日新聞夕刊の言葉を使えば「アベノミクスの旬過ぎた」。

     この記事(2面全面)は、私がNY滞在中に内野雅一編集委員から電話がかかってきての取材が一つの軸になっている。(このブログには何とか専門家に入れてもらう予定)。

     そこでは私がこのブログで前回も述べた「円安・株高の二人三脚の動きが、靖国参拝から逆回転」という主張が引用されている。旬というのは、経済第一主義でないアベノミクスはもう魅力をなくした、という意味だ。

     結論。今週中に対ドル100円と1万4000円を切る可能性は大、NYダウの押しも材料だろう。

     映画のセリフから。脱獄囚のジョシュ・ブロ-リンは家に迫ってくるパトカーのサイレンの音を聞きながら言う。「景気が20年延びてもあと三日、君と過ごしたかった」。円安と株高が続いた昨年のような幸せな期間は、あの安倍靖国参拝で終わってしまった。当分の間、再び始まることは、ない。

     ただ、楽しい時間が短くても、その後に大きな意味をもつ。今年予想される安値は絶好の買い場となるだろう。私の弱気は、あと何か月間かで、終わる。


    140520

2014年5月11日 (日)

歌劇「蝶々夫人」と私が聞いた安倍政権への大打撃(第723回

歌劇「蝶々夫人」と私が聞いた安倍政権への大打撃(第723回)

 ご存知プッチーニの名作。「ある晴れた日」のメロディはおなじみだろう。ストーリーも最近ミュージカルの「ミス・サイゴン」に翻案された位。米国の海軍中尉ピンカートンと芸者(15歳!)蝶々さんとの物語。結末は幼い息子に別れて自刃する蝶々さんの悲劇だ。

 4月29日から5月8日まで、私はNY、ワシントン、ヒューストン、ピッツバーグと回ってきた。5月1日にメトロポリタン歌劇場で「蝶々夫人」を観た。新演出で評判が良かったので楽しみにしていたが、文楽の人形使いも入れてなかなか良かった。主役のフィ・ヒ(中国系)のソプラノも。

 この歌劇でやはり悲劇の根源はピンカートンだろう。現地の一夜妻なのに正式な結婚と蝶々さんに誤認させ、子を産ませて3年間放りっぱなし。米国では別に正式に結婚して、新妻をつれてノコノコと長崎にやってくる。これじゃあ、ね。

 原作も劇化も米国人で、プッチーニはトスカ上演のためロンドンで舞台を見てオペラにしようと決心したとか。

米国が自分の国に都合のいいロジックで他国に押し付ける―というのは、なにもピンカートンに限らずしばしばある。

 実は今回の私の出張は二つの目的があった。

 第一はシェールガス採掘の現場視察。(別に写真を添付しました)。

 第二が本命で、主にヘッジファンドが、手持ちの3兆円の日本株を売るのか、買い増すのか。

 何せヘッジファンドは2012年12月から2013年3月まで4兆円買い、その後2兆円買った。

同時に円を売った。1ドル79円台からご存じ105円44銭へ。

 この手持ち日本株のほぼ半分はあの靖国参拝で売った。つれて昨年末の1万6320円から1万4000円割れへ。その後も1万4000円台の下の方に止まっている。

ヘッジファンドといっても1社ではないが日本に関心のあるところは、正直言って日本株を買う気はない。売っている。

理由は次の通り。

 第一は2015年7月21日から、米国の銀行はヘッジファンドへの投資も融資も禁止される。いわゆるボルカー・ルールによるものだ。

 ヘッジファンドにしてみれば、投資家のニーズはあるのだからビジネスはやめたくない。銀行融資に代って市場からの調達方法はいろいろある。しかし6月に規制が発表されるので、これを見なくっちゃあ、と。

それよりも何よりも。アベノミクスの「第一の矢」つまり異次元金融緩和という、円安と株高の根源が、米国を中心とした国際世論で押しつぶされそうなのが、「日本株はやらないどころか売り」という理由だ。

米FRBとG20の中央総裁会議が連合して「米FRBがテイパリングを推進している時期に量的金融緩和を日銀が推進するのは好ましくないので、縮小の道筋を示せ」と圧力をかけ、日銀は量的緩和を減額せざるを得なくなるっている。

つれてヘッジファンドは円売りをやめはじめている。

シカゴ為替市場では102円台で円の売りからトントン戻して円買いの動きが出ている。シカゴ市場より前の相対取引では円ロング(買い)のポジションが取られている。恐らく95円ぐらいを見ていると思われる。

また日本株のETFでジョージ・ソロス氏も買った「ウイズダムツリー・ジャパン・ヘッジド・エクイティ・ファンド」がこのところ3カ月続けて資金流出が続いている。明らかに円安=日本株買いという、一昨年12月から昨年いっぱい続いた日本株買いのストーリーが、いまやこわれている。株高が安倍政権の高支持率の主因だったが、まことに危ういかな、と感じる。

シェールガスの方は、また改めて。

「ある晴れた日」のイタリア語の名を見ると「晴れた」は、ない。日本でつけたのだろう。何遍も聞いているので、歌詞の中の蝶々さんという意味で「バーベナ」という花の名が耳についた。「美女桜」の意味で花言葉は魅惑、とか。自刃した蝶々さんと同じく、安倍首相は靖国参拝で日本株の魅力を散らしてしまったのでは。

トリビアをひとつ。映画人が晴天のことをピーカンと呼ぶのは、実はピンカートンの略だとか。へええ。

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