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2014年7月26日 (土)

映画「郵便配達ハベルを二度鳴らす」とベンガジゲート事件733

映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす」とベンガジゲート事件(第733回)

 ジェームス・ケインの傑作小説で1930年代から四回も映画化されている。一番印象に残っているのが1981年のジャック・ニコルソン主演作品。46年のラナ・ターナーのも衛星放送で見たが、とてもよかった。

 

 たまには、と思い、古い名作、それもフィルム・ノワールを取り上げた。内容よりも実は題の方に惹かれて。二度、というところがミソです。

 ある風来坊がハイウエイ沿いのレストランに雇われる。主人は初老のオペラ好きで妻は若いお色気たっぷりの美人。二人は主人殺しをたくらみ、最後に成功する。ところが悪徳弁護士の策略で無罪。二人は結婚し万事めでたしと見えたがー。

 

 私のワシントンの情報ソースから「恐らく8月下旬か9月に容易でないことが起き、第二のウオーターゲート事件になる」と。別のソースから、安倍首相が訪朝して拉致被害者を連れて帰る日が8月28日と聞いていたが、これは日本。今回はオバマ政権の方の話。

 

 このところオバマ大統領の評判が特にひどい。それはいろんな理由があるが、ひそかに「ベンガジゲート」と呼ばれる事実隠蔽工作がある。

 展開次第ではあるが大統領弾劾と、退陣につながったウオーターゲート事件の再現と言われている。

 

 ベンガジとはリビアの都市で、2012年9月11日。アルカイダが重武装してリビア大使館を襲い、大使を含む米国人四人が殺害された。また二日後にもCIA職員がベンガジで殺害された。この攻撃の18時間前にアルカイダ指導者が「2012年5月にパキスタンで無人機によって殺害された幹部の報復をリビアで行う」と宣言していた。事件発生前にホワイトハウスはこの情報を知っていたが対応が遅れてしまっていた。具合が悪いので事件発生後、クリントン国務長官に対し、オバマ大統領は直ちに偽りの発表を命じた。「事件は予言者マホメットを中傷するインターネットのビデオへの抗議活動だった」。

 

 オバマ大統領は当時再選を狙っており、政権のミスはどうしても回避したかった。そこで虚偽の発表をクリントン長官に命じた。

 

 これが2013年4月にある情報ネットが情報公開法に基づく資料公開を行った。これで特別委員会の設置が決まり2014年5月末に発足した。

 そのタイミングを狙ったように6月下旬に「血の確執(BLOOD FEUD)という本が刊行された。すぐベストセラーに。

 著者はライターで、取材はヒラリー・クリントンのチーフスタッフだったシェリル・ミルズという人。そこで特別委員会はこの二人を証人として査問する。私のソースによれば恐らく8月になるだろう。偽証罪もあるので、ウソは言えない。どうしてもオバマ大統領による事実隠蔽は明るみに出るとみられる。

 

 クリントン陣営がなぜ暴露作戦に出たのか。2012年の再選時にオバマ大統領は2016年の大統領選ではヒラリー・クリントンを応援するという約束を与えたが、最近これが反故にされた(キャノングローバル戦略研究所主幹小手川大助氏)。

 

 たしかにこれは1972年6月のニクソン再選時に起きた「ウオーターゲート事件」に酷似している。民主党本部で起きた盗聴侵入事件、もみ消し、司法妨害、録音テープ、政権トップの深い関与。

 2年2か月にわたるこの事件の間中、NY株はほとんど横這いで、74年8月8日に辞任した後、30%の株価下落になる。つれて日経平均も6月の高値4787円が10月3355に下落した。折しも石油危機()第一次)のショックも重なった。

 

 前記した小手川氏は現在上院に提案されている銀証分離法案が場合によっては採決されるかも、と激震を予想している。今回はウオーターゲートと違い、米国人が6人も死んでいる。たしかに容易ではない。NY株暴落説の人にはニンマリとする情報だ。

 もっとも、ニクソンとオバマは違う。うまく言い逃れするかも。

 

 私は前回も書いたが、ファンドマネジャー調査でも、株式をオーバーウエイトつまり強気の人は多いが、同時に株価を「高すぎる」としている人も2000年以降最大。こんな時にはNYダウの大暴落は起きない。みんなが「2万ドル」の大合唱の時、1万8900とか1万9300とかで大天井―。私の経験則だ。1万7000ドル台じゃあ早すぎる。しかし、このベンガジゲート事件ではすくなくとも、騒ぎになっている期間は株価は上がるまい。

 

 それにしても、日米で片や上げ、片や下げの材料が同時期に―。インネンというほかあるまい。

 

 それにしても、とまた思う。ヒラリー・クリントン氏は、オバマ氏の墓穴と一緒に、自分の穴も掘っているのを百も承知なのか、どうか。いっぺん、聞いてみたい。恐らく今年中か来年にはオバマ辞任、バイデン副大統領の昇格、と読んでいるのだろう。それなら2016年には自分は民主党の大統領候補になれる。まあそんな作戦だろう。バイデンは人気がヒラリーに比べてぐっと落ちる。

2014年7月20日 (日)

映画「複製された男」と中国とNY株暴落説(第732回)

映画「複製された男」と中国とNY株暴落説(第732回)

 最も注目されている監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品で原作はポルトガル唯一のノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴ。興味津々で見たが「これは2,3回観なくちゃ」。一筋縄でいかない深い映画だ。もちろん1回でも十分に面白かったが。

 今週は初め「パガニーニ」を取り上げたかったが、クラシック音楽は書き方がむずかしい。やはり普通の劇映画。

 舞台はトロント。大学で歴史を教えるアダム(ジェィク・ギレンホール)は同僚に勧められてDVDを観たら自分と全く同じ顔の俳優を発見する。苦労して名前と住所を探し出し、会うが、それが悲劇の始まりだった。

 

 私が注目したのは「複製された」という表現。従前から、全く同じファンダメンタルズで、どうしてこうも見解が分かれるのか、と思っていた。この映画はウリ二つの二人でもセックスになると全く違うこともテーマの一つ。ラストの歌「明かりが消えた後、僕は何をすればいいんだろう」がそれを暗示している。

 

 まず全く違う例で中国。

ご存じの通り、李克強首相が何年か前に「中国のGDPは地方自治体に与えてあるノルマの達成率で計算するので信じられない」と述べた。(これはウィキリークスでバレてしまった)

 

では何を信用するか?①鉄道貨物輸送量②電力消費量③銀行の貸し出し増加率の三つ。以来中国ウオッチャーはこれらを注目している。

ご存じの通り、中国は最近1~3月期の成長率は7・5%だったと公表している。

しかし1~4月がロイターによると最新の数字だが、鉄道貨物輸送量は前同期比マイナス3・3%。電力消費量は同5・2%に過ぎない。銀行貸し出しの方は不明だが、どう考えても7%台の成長なんてウソダ。どうして誰も言わないんだろう?

人民日報を見ていたら、中国の不動産市場は米・日と違って崩壊しない、と専門家が述べている。詳しくは省くが、私は逆に、読めば読むほど不安になった。

 

もうひとつ。NY株式市場だ。テクニカル・アナリストでバブル説を言わない人はない。またヘッジファンドのマネジャーも多くは弱気だ。先週、恒例のヘッジファンドの大物を集めたセミナーがNYのピエールホテルで開催されたがジョージ・ソロスの右腕で現在独立しているスタンレー・ドラッケンミラーがバブル崩壊を強調していた。

ただ、これらの弱気説は1万4,5000ドルぐらいからで、正直言って、SO FAR 外れ屋だ。

 

まあ私はこの8,9月には10月で完了するQEⅢ、そのあと6か月ぐらいで始まる金利正常化のための「金欠」状態をつくる必要がある。まあそのあたりで、NY株は下がると思うがバブル崩壊、暴落になるほどの大幅下げになるか、どうか。

 

もっとも、オバマ大統領が「戦後最悪」と“定評”が出来、弱腰外交のせいで中近東、旧ソ連、いろいろと、もちろん中国も。また何かと事件が勃発し、それがショックになる。いわゆるテールリスクが発生するかもしれない。

 

肝心かなめの米国経済の方は、私はシェール革命もあるので、経常収支と財政赤字の問題は解決すると考えている。

そう思っていたら著名な投資アドバイザーのゲイリー・シリング氏がブルームバーグに「(米国経済の)ブームが来る。思っているより早く」という論文を書いた。労働生産性向上で米国の潜在成長率の低下はない。久しぶりに読んだ本物のプロの強気だ。どっちなのかなあ。私は8、9月の調整は案外小幅にとどまると思っているが。

 

映画のラストシーン。実は原作にない主人公の妻の巨大な蜘蛛への変身が観客をびっくりさせる。このカフカ的な終わりは、映画の中で引用されるマルクスの言葉にならって「歴史は繰り返す。決定的な破滅が到来するまで」という監督の意図かも。私はそこまでペシミストではないが。それにしても、NYが下がったら「オレが当てた」と自慢する人がずいぶん出るだろうなあ。

 

講演会のお知らせです。

 7月24日() 18時―20時 於:新宿区左門町3-1 左門イレブンビル6F メトロ四谷三丁目 1分 OAG税理法人セミナールーム 会費5,000円、拙著のプレゼント付き(20時以降懇親会も。) 日本個人投資家協会・SAIL共催で大井幸子さんの突込みで進行します。

 8月3日()13時20分―15時20分 於:グランドアーク半蔵門(メトロ半蔵門 1番出口から1分) 主催フォレスト出版 会費制。 申し込み

http://v6.advg.jp/adpv6/r/7py_127z

2014年7月12日 (土)

映画「ゴジラ」とファンダメンタルズからみた銘柄選択(731回)

映画「ゴジラ/GODZILLA」とファンダメンタルズからみた銘柄選択(第731回)

 昭和29年初登場の「ゴジラ」。以来60年人気が続いているキャラクターは、プレミアでの渡辺謙さんも「ミッキーマウス位じゃないか。」5月16日のワールドプレミア以来60カ国で公開され500億円をすでに稼いでいるとか。

 

 ハリウッド版ゴジラは同時に復活したひとつがいのムートという悪玉と戦ってくれる善玉。監督があんまりうまくないのでムートのどっちと戦っているのかわからない。また音楽や叫びで声が日本版と違うのが私には興をそいだ。伊福部昭の音楽は迫力満点だったから。

 

 戦後の相次ぐ水爆実験が3500万年の眠りからゴジラを目覚めさせたように、日本経済は何十年ぶりで、景気循環の短期、中期、長期、超長期の四つのサイクルが同時に上昇期に入っている。

 この主張は三菱UFJ証券景気循環研究所長の嶋中雄二さんが言い出したもの。安倍首相が何回も海外でのスピーチで引用している。

 景気循環は発見者の名をつけて①短期のキチン・サイクル②中期のジュグラー・サイクル③建設投資を要因とする長期のクズネッツ・サイクル④技術革新やインフラ更新が支えるコンドラチェフ・サイクルの四つ。私が注目しているシェールガス革命もこの④と直結する。

 

 この見方に立って最近の経済指標をみると、設備投資と投資需要の流れが目につく。

 まず設備投資。最近月を含めて機械受注は減少する月もあるが、GDPベースの設備投資のトレンドは明確に右肩上がり。1月開始の設備投資減税(生産設備と同額の即時償却、または取得価格の5%税額控除)が効いている。

 

 また公共投資も政府の政策が効いている。2014年2月成立の2013年度補正予算を9月末までに9割執行という目標を設定したため進捗が急ピッチである。

 

 消費税引き上げで、消費は一時的に4~6月期はマイナス5%(前期比)となるだろうが、心配いるまい。

 それは実質ベースで所得が増加しつつあるため。遊休労働力は5月時点で485万人程度。年末には日興エコノミックマンスリー7月号の試算ではゼロに。つれて正社員化が急上昇中。これが賃金上昇→消費の回復に。年末を待たず消費も反転上昇しよう。

 

 私は相場全体こそ膠着状態だが、一つには日本経済全体の成長がイマイチ確信できないところにあるのだろう。従ってPERから見る限りまだ割安の業種が多い。

 

 中でも目に付くのがリース業界(興銀リース、東京センチュリーリース、芙蓉総合リースなど)。で低PERなので魅力的だ。景気上昇が大型で長期なら相当に上昇してもおかしくない。(ご投資はご自身のリスクで)。

もちろん消費や公共投資の関連も悪くない。しかし、市場の人気としてか注目度は高いので、こちらの方の株価はかなり業績好転を織り込んでいる。

 それでも外食店の客単価が消費増税など何のソノでずっと上昇しているのを私は大いに注目している。

 

 映画のセリフから。日本の研究者芹沢博士が言う。「人間は自然を支配できると信じているが、現実に起きることは、その逆だ」。2年前アベノミクスを冷笑とともに迎えたエコノミスト達が正しかったか?1ドル50円を主張した人も、300~400円に暴落すると予言した人もいた(今でも言っている)。流れは明らかに日本経済の好循環に向かっており、メチャメチャな弱気は見事に外れつつある。映画で人間の作戦が皆怪獣達に次々に破られたように。

 トリビアをひとつ。ゴジラの身長は108メートル。108の煩悩の象徴?

2014年7月 6日 (日)

映画「オールド・ボーイ」と金価格の意外高の今後(第730回)

映画「オールド・ボーイ」と金価格の意外高の今後(第730回)

 映画は今週2本。トム・クルーズ主演の「オ-ル・ユー・ニード・イズ・キル」と「オールド・ボーイ」。ともに日本の原作を外国で映画化。2本とも面白かったが2003年の韓国版の印象が強かったので。

 

 1993年のNY。広告代理店の重役ジョーはいきなり監禁される。何と20年間も。この間に元妻の殺人犯に自分が仕立てられ、TVの番組「犯罪ミステリー」で、3歳の時別れた娘が成人してチェリストになっていることを知る。

 

 突然解放されたジョーは、監禁中にいやというほど食べさせられた餃子の味を頼りに監禁ビジネスの仕切り役を突き止める。大乱闘。

 直後に監禁した犯人がジョーの前に現われ「私は誰か。20年間も監禁した理由は。この二つの回答を48時間以内に見つけろ」と。ジョーは親友のチェイニーとソーシャルワーカーのマリーとともに調査を始める。そして意外や意外の展開に。

 

 原作で10年、韓国版では15年。今回のハリウッド版は20年。主人公が行動を共にしていたマリーが自分の娘とわからないほど成人した女性になるための時間だ。

 

 金の価格はこの映画と同じようにサイクルが長い。

 1999年の安値のオンス252ドルから、2011年のオンス1920ドルまで12年間、7・6倍に上昇。

 普通は上昇期間の三分の一、つまり4年間整理期間。

 NY株は高いし、FRBは金融の正常化で超低金利を解消する。ドル高も含め金価格はリクツから言うと2015年ぐらいまでは反転上昇は望みにくい。需給関係では金ETFの保有金が2010年以降減少を続けて来たし、中国、インドの金購買もいろんな理由でヤマをこえていた。だから、金はまだまだダメ、という意見が圧倒的に多いのが現状だ。

 

 私は先日出版した近著「2014-2015 日本経済逆転のシナリオ」で、金価格は昨年末で底値を付け、再び上昇に転じた、と主張した。

 昨年12月30日のオンス1979ドルで底値を付けたと確信した。本を出す前からこのブログや講演会で金買いをおすすめしている。

 

 なぜか。私が高値の1920ドルを的中したときの理由と同じ。投資家がオンス2000ドルを皆が言い出したら1900ドル台の下の方で終わり。今回は逆にオンス1000ドルを言い出しておりそれなら、オンス1100何十ドルのどこかで下げは終わり。そんな材料があるのか。NOだ。私の相場カンだ。私が買い始めた1995年の時にも、金を買う理由はゼロだった。

 

 天井値のときも、下げる材料なんて見当らなかった。

 今回の12月30日の底値の場合も買う材料は見当たらなかったので、おんなじだ。

 

 しかしここ1,2か月は違う。①6月末から金ETFの代表スパイダーの保有金残が急に増大②これまで金を実質輸入禁止にしていたインドが制限緩和③イラクの情勢悪化による原油高④アルゼンチンのデフォルト懸念(最近はプエルトリコも)。

 

 私は次の上昇サイクルに入ったことが確認されるにはオンス1500ドルくらいに行かなければ、と考える。その前は3月17日のオンス1391ドルのように1400ドルがカベ、ということになるだろう。上昇軌道の目標は?当然オンス2000ドル以上。ハラの中では10年以上も上昇したら3000ドルも夢じゃないと思っている。そのころになると買う材料なんてヤマほど出てくる。

 

 映画のセリフから。ジョーを閉じ込めた犯人が言う。「なぜ解放したと思う?」実は監禁した理由はジョーがまだ学生時代に学友の妹を娼婦呼ばわりしたことにあった。監禁のさらに15年前。35年かけて、復讐だった。この息の長さ!金投資の方も。

日本株の方はジワジワと戻り高値を更新中。これからですよ。本当の上昇相場は。

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