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2014年8月 3日 (日)

映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と米政局((第734回)

映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」と容易でない米国政局 (第734回)

 この夏のSFアクションものでは恐らく最高の出来で興行収入もまずまず。トム・クルーズ主演で原作は日本のライトノベルだがストーリーはビジュアルもほとんど映画オリジナルだ。

 

 近未来。異生物による侵略をうけた人類は苦戦中。軍の広報を担当していたケイジ少佐(トム・クルーズ)まで前線に送られ、すぐ戦死してしまうが、死んだ瞬間出撃の前日にタイムリープする。

 記憶はあるからケイジの戦闘能力はどんどん上がってゆく。

 武力で圧倒されている人類軍だが反撃の希望が湧いてくる。最強の女兵士リタに自分の能力を信じてもらい、味方につける。

 

 何十回もリープして戦闘を繰り返すリセット。私は政治の世界を思い出した。この世界は繰り返しだから。

 

 8月1日まで、4日続落でNYダウは年初からの上げを帳消しにするほど下げた。

 

 新聞の解説では「7月の雇用統計が20万9000人と市場予想の23万3000人を下回ったから」としているが、6か月連続で20万人を上回る水準は雇用情勢の堅調を物語る。

 

 やはり7月30日、米国下院がオバマ大統領への提訴を225対201で可決したことが大きいのでは。その理由は後述するが、オバマ政権の違法移民国内ばらまき政策が意識にある。長期投資の機関投資家は、弾劾まで読む。25日CNNの世論調査は米国民の33%が弾劾裁判による辞任を「すべき」と考えていると報じた。これが本当の悪材料だろう。これからずうっとワシントンの政治混乱は続く。これが株価にいいわけがない。

 

 その前に当面のスケジュールを。夏季休会は8月1日から38日間で、9月8日に再開し、中間選挙の通例で10月初めに散会。1か月の間の実働は15日足らず。従って提訴はあるか、どうか。

 11月4日の中間選挙では上院の改選が問題で、改選議席数は民主党21、共和党15。6議席を共和党が獲得すると上下両院で過半を押さえる。恐らくそうなるだろう。

 

 先週私はベンガジゲート問題を書いたが、このスケジュールでは、弾刻に結局最後にはつながるにしても、目先すぐには動きはあるまい。むしろ問題は違法移民問題での大統領権力乱用で、7月30日の下院決議はこの方が重視されている。米国のTVも報道しているし。

 

 メキシコとアメリカの国境から大量に流入している未成年の違法移民を、まず国境付近の収容所に保護した後、集団でバスや飛行機に乗せ全米の学校、軍基地、教会に輸送している。特に身元調査や健康診断はしない。

 問題なのは、地元の住民、知事など政治家にオバマ政権は一切事前通告をしていないことだ。

 この未成年の違法移民は今年に入って3万人、連邦政府は一人250~1000ドルかけている。かなりな経費だ。

 

 どうしてこんなメチャメチャなことがまかり通っているのか。昨年7月に成立した「ゾーニング法」が曲者だ。住宅や商店の建設を規制する法律だが昨年「人権差別しない」という条項が加わった。これで連邦政府は一部の人種が少ないと判断したら、その地域に移民を送り込める。

 

 しかも違法移民に永住権を与えるという大きな恩赦をオバマ政権は考慮し、政治上の大問題になっている。

 余談だが下院の共和党リーダーのエリック・カンター議員が、次回選挙の共和党予備選でうっかり恩赦に賛成と述べたら落選してしまった。(ブログの「苺畑」による)。世論調査では米国民は恩赦反対が賛成を上回っている。

 

 私が7月26日の講演会で「NY株はベンガジゲートを含めてワシントン情勢あるいはオバマ政権の失政で当分は安い」と述べたら、すぐ主催のある通信社が「日本の新聞、TVでは全くいわれていませんが」、と怪訝な顔をしていた。私は「ワシントンの駐在記者がサボってるんでしょ」。

 

 NYダウは私の新著「2014-2015 日本経済逆転のシナリオ」で予想した通り下落に転じた。

 

 ただ一部の方々が期待(?)しているような大暴落とは思わない。米国債10年物金利が低水準のままだし、警戒論もかなり強かった。こんな時に暴落つまり短期での20%以上の下げは起きないものだ。まあ10%より上だろうが。

 

 日本株の方はNY安におつきあいしたが、基調は強い。米国株は中間選挙の年は年末安のジンクス通り年央高値で今後下げ歩調。日本は上がるので、×の字型になるのではないか。

 

 ジンクスだけでなく売り材料もある。銀証分離法案の成立がウォール街では強く懸念され、投資銀行業務の売却準備が進行していると聞く。来年7月には銀行のヘッジファンドへの投資も融資も禁止される。表面に出ない、しかし大量の売りが、どこかに出ているはずだ。

 

 日本株でいいもの?このコラムでリース業界への注目を書いたし、シェール革命に絡んだ日本企業では講演会で信越化学をすすめしている。

 

 映画のセリフから。リタが言う。「あなたのことを、私は何も聞いていなかったわね」。報道されていない情報は情報ではない、ということなのかなあ。私にはわかるんだけど。

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