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2015年1月25日 (日)

映画「サイコ」とイスラム国人質脅迫事件と株式市場(第759回)

映画「サイコ」とイスラム国人質脅迫と株式市場(第759回)

 ご存じヒッチコックの代表的傑作で、私は50年以上も前に始めて観た時の興奮とスリルを忘れられない。映画劇場で皆が悲鳴を上げたのも。

 ヒッチコックとしては珍しいホラーつまり恐怖映画だが、もちろん凡百の化け物映画とは違う。ロバート・ブロックの小説の映画化だが、まずジャネット・リーが顧客の大金を横領して逃亡する中途で道に迷ってモテルに泊まる。シャワーの最中、突然老女がナイフで襲い、殺される。その後も息苦しくなるほどの恐怖で観客を引きずってゆく。

 マスコミでは「日本人拘束」と呼ぶ二人の人質事件は、一人は昨年8月、もう一人は10月にISISに囚われ、身代金を要求されていたという。では政府はこのことを知っていた!

 にもかかわらず安倍首相は中東諸国を歴訪し、反イスラム国の有志連合に加わりたい旨の演説を行った。

 そういえば日本もいた、と考えてイスラム国が大金を吹っかけてきた、と思う。ふたケタ違う巨額の身代金を要求し、例のユーチューブ画面を見せるのはいわば当然だろう。私はISISの肩を持つ気はもちろん毛頭ないし、テロへの理解者ヅラをする気も全くない。しかし、私は首相が昔の人が言う「手を吹いてキズを求める」ことをやってしまったことが、残念でならない。口実を与えてしまったのだ。誰か中東に詳しい人に訪問国のリストを見せて助言してもらわなかったのか、と思う。

 

 1月20日、この事件が大騒ぎになった時私は、これは大事件になる可能性を危惧した。

 恐ろしい。考えるだけでも恐ろしいが、日本人の和をもって貴しと為すという世界と、全く違う次元の、これが現実だ。私はちょうど19日にある学者の「日本文化が世界を先導する」という今になっては能天気な講演を聞いたばかりなので、余計にコワい。

 心配したのは株価だった。何百円も下がったら―。世界中でいまや日本の企業はビジネスをしている、とくに商社やプラントメーカーは危険になり株価は下落、まあ損保保険会社の株価は上がるかも。しかし市場全体としては悪材料に違いない。

 この私の危惧は幸いにして外れた。前場に100円以上下落していた日経平均は1月21日引け値は85円安で済んだし、22日は48円高、23日は182円高で1万7511円だった。早くも世界的金融緩和で上昇、という材料。

 私は早速日銀のホームページから日銀のETF買いが何日に行われたかを調べた。

 1月21日、22日の二日間、341億円づつ。22日にはJIREIT12億円も加わっている。大幅株安はこれで防止。心理的不安材料にならないように手を打った。安倍内閣には誰かかなりな知恵者がいる。ちなみにこの二日間の日銀ETF買いの前の1月の買いは5,6,14,14,16の5日間だった。みな341億円、年間3兆円、予算はある。人質一人は殺害されたが、月曜29日の下げも軽微で済むのではないか。

 大事なことがよく分かった。この恐怖というか危惧を、内閣はよく分かっている、きわどいが。株価は上昇を続けるだろう。私は事態がどう展開しても強気の見通しを変えない。

 「長期上昇の強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で完熟し、幸福感の中で消えてゆく」

 これは投資の神様であり、私の師でもある故ジョン・マークス・テンプルトン氏の名言。株式市場に携わる人は皆知っている。

 考えてみたらいい。金融はメチャゆるんでいる。企業の業績は向上一途。株式の益回りと長期金利のつまりイールドスプレッドはマイナス6%で世界で2番目に安い。加えて、現政権は株式市場の重要性をよーくワカっている。だから、強気。

 

 映画のセリフから。「探偵というものは、正直者と言われている人物ほど疑ってかかる商売です」。マーチン・バルサムが演じる私立探偵のセリフ。私が50年やっているアナリストなる商売も、どうもかなり似ている。ちがうところは、私は日本株にも日本の将来にも、強気だということだろう。

 余分なトリビアをひとつ。この「サイコ」の製作費はわずか80万ドル。もうその何10倍も収益が上がり、最近テレビでは「ベイツ・モーテル」という派生映画。それにサイコ2,3・・・というアンソニー・パーキンス主演の作品もある。

 

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