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2015年3月28日 (土)

「アナ雪」と乱高下する市場でうまく立ち回る妙手(第768回)


「アナ雪」と乱高下する市場でうまく立ち回る妙手(第768回)

 今週は「パリよ永遠に」を見たが、いかにも舞台劇で、しかもジイさん二人の会話中心。出来は良かったがかつてのオールスターでルネ・クレマン監督の「パリは燃えているか?」に比べるとやはり日光の手前(イマイチ)。たまたま家電量販店の前を通ったら、あの「レリゴー」をやっていたので。

 「アナ雪」は松たか子歌唱もあって日本での興行収入の全世界シェアは20%と通常の7%を大きく上回った。2013年の外国映画の興行収入の30%。ブルーレイとDVDの販売も大ヒットとか。日本中が熱狂した作品だ。

 この大ヒットミュージカルの原題は「FROZEN」。姉の女王エルサが自分の超能力を制御できず王国を雪と氷の国にしてしまう。凍てついた王国を救うため妹アナが奮闘する物語だ。手袋を取った瞬間に禁断の霊力で王国が凍るシーンが見せ場の一つになっている。

 

 瞬間に激しい変化を引き起こす「バイナリー・オプション」が株式市場で破壊力を増している。ヘッジファンドがこのところ多用している。

 たとえば「円レートが120円を切り、日経平均が1万9500円を上回る」とその瞬間に巨大利益が出る。

 こうしたオプション取引ではヘッジファンドの取引相手は、証券会社の自己売買部門。そこで目標値に接近すると、オプションでの損失を埋めるため先物を自己売買部門で買う。

 それでもGPIFや日銀が買って引け値はそこそこでおさめる日が多い。だが、瞬間タッチで目標値がつけばヘッジファンドとしては大満足。一般の個人投資家が「ワケわからない」と警戒心を強め、何かというと売り越すのはこのためだろう。

 

 もうひとつ。「アナ雪」で王子様との結婚という型通りの結末にならなかったように、いまの市場は変わり型だ。

 日経平均はたしかに10年以上ぶりの新高値なのに、業種でみると物凄く偏っている。

 このブログの最後に富国生命の市岡繁男さんがつくった図表を入れておいた。実はチャートをこれまで入れられなかったので、パソコンの先生に挿入の仕方を教えてもらった。(ついでに先週のシェール産出州の失業保険申請数のグラフもSMBC日興証券の丸山義正さんがつくったのを掲載した。)

 TOPIXは実は2007年6月の高値より12%下回っている。東証33業種中、2007年の水準を上回っているのはわずか10業種で、いまなお当時の半値以下で推移している業種も五つもある。

 市岡さんは、騰落率だけでなく、時価総額増加率も調べて観たら双方で1~2位を占めるサービス業に注目している。この指数は136社だが、オリエンタルランド、楽天、セコム、電通、リクルートの5社で指数全体の54%を占める。業績もいい。

 「順張り」なら、つまり勝ち組につきたいなら、押し目がついた時、シメシメと安値で買う。底値が読めないのが普通だから、三日ぐらい続落したところを指値買いすればいい。二回に分けて注文する。

 そんなにうまくゆくのか?このブログで何回も言っているが、業績拡大の期待が大きく、しかも金融はジャブジャブ。これ以上の株高の環境は、ちょっと、ない。全体として中期上昇。

 にもかかわらず、世の中みてごらんなさい。まだ株高はバブルだとかアベノミクスは達成不可能だとか、やれ人で不足父さんとか円安倒産とか言っている。

 私の先生故ジョン・マーク・テンプルトン卿は「相場は悲観の中で生まれ、懐疑のうちに育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えてゆく」と云った。いま懐疑の中に育っている段階。

 17ぶりの高い賃上げが決まり「好循環」が始まるのは目に見えている。それに「神風」の原油安があり、第一生命経済研究所の永浜利広さんによると「原油で0・6%、円安で0・0・3%、景気対等で0・5%、つまり1・6%GDPを成長させる。永浜さんも、好循環開始説だ。

 問題は全くないか?アメリカの政界での混乱が、つい何日か前にも大幅安を起こした。シェール革命への原油安によるブレーキは、このブログの最後のシェール産出州の恐らくレイオフ続出のグラフをご覧になれば一目瞭然。ごく目先は3月の1万8200ドルで天井をつけた感が強い。しかし日本もお付き合いする日もあるが、基調は大丈夫。

大事なのは、NY株は4,5月は調整期。恐らく1万7000ドルもその間は危ないので、お付き合いする日も必ずある、ということだ。そう簡単に日経平均の2万円は付くまい。直前のもたもたする期間ががもう少し必要、と思う。

 とてもそんなうまく立ち回れないって、そんならJPX400のインデックス・ファンドをお買いなさい。確定拠出額年金でもNISAでも、この投信が一番いい。オレはシロウトじゃないって?それでもこれを軸にした方がいい。

 銘柄の方は先週のブログで業種を書いたら、もう少し詳しく、とのリクエストが文字どうり殺到した。いまの電子部品株はもう少し下がったら、一流のものは十分に魅力的になる。と申し上げておこう。サービス業の大手もハウジングもおんなじだ。

 

 名曲「LET IT GO!」の歌詞。「風が心にささやくの このままじゃダメなんだと 戸惑い傷つき誰にも打ち明けずに悩んでた それはもう やめよ」。この気持で。

 

 ついでに。日本個人投資家協会のメルマガ「ジャイコミ」にこのブログが転載されています。拙宅とは1番地違うだけのご近所で私がしょっちゅうご指導をいただいている長谷川慶太郎先生が理事長だし、大井幸子さん、木村喜由さんが理事。永い間お世話になっている方々です。しかもこのメルマガは以前毎日新聞「エコノミスト」誌の編集部に在籍していた黒崎亜弓さん(名前を間違えたらご勘弁を)が編集しています。写真を入れたり、まあうんと引き立つように編集してくれていますので、一度、ご愛読いただいているついでに、日本個人投資家協会のホームページをご覧くださればありがたく存じます。

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※画像をクリックすると拡大できます。

2015年3月21日 (土)

映画「007ロシアより愛をこめて」と必勝投資作戦(第767回)

映画「007/ロシアより愛をこめて」と必勝投資作戦(第767回)

 今週はディズニーの「イントゥ・ザ・ウッズ」を観たが何ともコメントしがたい迷作で、やめた。たまたまこの1か月衛星放送でショーン・コネリー主演のジェームス・ボンドものを連続して放送していたのでこれにした。封切の時の題は「007/危機一発」だったが、イアン・フレミングの原作の題通りにしたのだろう。これが一番好きだしよく出来ている。ご賛成いただけると思う。

 秘密兵器ありカーチェイスあり、賭博あり、色っぽい女性あり。この作品では列車の中の猛烈な殴り合いシーンが見せ場だった。カタキ役は秘密組織のスペクターで、次から次へとボンドは危機に。誰かが「西洋講談」といったが、うまいことを言う。私は渥美清の寅さんと似ていると思う。寅さんは何をやっても必ず失敗するが、ジェームス・ボンドは必ず成功し危機を切り抜ける―。そこが違うだけなのだが。

 

 ボンドに次から次に危機が襲うように、NY株には危機のタネが多くなった。

 まずシェール革命にブレーキがかかった。チャートをお示しできないのが残念だが、SMBC日興証券の丸山義正氏の調べではテキサス、ノースダコタ、ペンシルバニア、ウエストヴァージニアのシェール産出州の新規失業保険申請件数は1月のマイナス20%(前年比)から3月第1週にプラス18%まで急上昇した。

 また原油先物取引のカーブは期近物が45ドル(バレル)、36カ月先の63ドルに。昨年10月には双方とも80ドルで横ばいだった。

 シェール産出企業の小型でコストの高いところから破たんし始めたが、それでもシェールガスに随伴するオイルの増産はまだ続いている。WIT価格は3月18日もバレル42・3ドルまで新安値。

 丸山氏によると米国の原油自給率は2013年は60・4%で2011年には48・9%だった。恐らく15年推定は77%に近かろう。石油産業は米国第1の産業で関連産業を含めてGDPの10%を占める。これが年後半に減産、部分的にせよ収益力が低下する。資金調達をしていたジャンク債市場に利回り急上昇(価格低下)が発生する。これが「危機」の一。

 

 「危機」その二。ギリシャが騒ぎになるのを5月、と見ていたが、ギリシャ3年もの国債の金利が20・3%!ドイツ10年物も国債の0・271%と二割の差で破たんを織り込み始めた。

 

 危機その三。ヒラリー・クリントン氏のメールゲート。以前個人アドレスで公務を行っていたメールの中にベンガジのリビア米大使殺害の事件を含むマル秘が入り、しかも国務省に渡されていないものも含まれる。ジェブ・ブッシュの州知事時代とは比較にならない。現に共和党出身ベイナー下院議長はメールの徹底的公開を要求している。長期化必至だ。

しかもヒラリー氏の夫のビル・クリントン元大統領とともに運営している財団に、国務長官在任中に外国政府から献金を受け取っていたとの疑惑も伝えられている。

 VOX POPULI社の世論調査では、このメールゲートについて①2016年の大統領選挙に影響する55% ②ヒラリーは信用できない52% ③ヒラリーは国の安全を危険にさらした68%、とある。政治の不安材料は株式にいい材料じゃない。

 

 ただFOMC後の記者会見でイエレンFRB議長の説明で株価は上昇した。「BE PATIENT」を削除しても株価は上昇したのは、利上げを9月と大方の投資家が判断したから。ひょっとすると来週新高値更新?年後半はかなり怪しいと危惧しているが。

 

 このブログで繰り返し私は「NY株価は下がっても、その翌日の東京株式市場は上がる」と予測し、的中した。金融緩和化で企業業績に上昇期待が強いという絶好の環境。しかも「物言う株主」の押しで、ファナックやキーエンス、SMCなど値がさ株が株主優遇期待で上伸。これは日経225種に上昇の推進力を与えている。

 

 さて、お待たせしました。今回のテーマ「いける、もうかる銘柄を選ぶ法」をご指南申し上げる。幸い東洋経済の「四季報」と「日経会社情報」の2015年春号が出たばかり。これを買って次の2点のポイントを調べる。

 一株当たり利益が2015年3月期、2016年3月期予想とも最高記録を更新している銘柄を探す。できれば2017年3月期予想も良く、ついでに2014年3月期の実績も良ければ申し分ない。

 株価の歴史の部分を見て、かつての高値と現在の株価を比較し、利益が新記録なのに株価が出遅れているのを選ぶ。1年のうちに株価が利益の伸びに追いつくのを待つ。つまり新高値更新してから、ゆっくりと利食う。くれぐれも利食い急ぎしてしまった、ということにならないこと。成功率はけっこう高いが、辛抱できる人でないとダメ。

ついでに。株価収益率が35倍以上と高かったら、私なら止めておく。

 

では、どんな銘柄?ダメダメ。自分で調べなさい。そこが大事なんだから。ヒントは①自動車、同部品②重工業株③電子部品④ハウジング。勉強してください。利幅は結構あるはずです。F0181602_1223078

映画のセリフから。ボンドはベッドの中のロシアスパイの美女(全裸です)と会話を交わす。

 「君は写真よりきれいだ」「でも口が大きいでしょ」「ぼくにはちょうどいい」その後にキス、という具合。でもスペクターがその情景を隠しカメラでフィルムにとっている。株式市場は売り方と買い方のだまし合いの世界だが、変なウワサで買うんじゃなく企業の一株当たり利益と株価の関係を信じること。これは鉄則です。ただし予想は会社側の数字は手堅すぎることが多いので、アナリストのレポートのコンセンサスをよく見るべし、です。

4月中旬にわたしはNY,ワシントンに出張。現地報告の講演会を25日(土)に開催します。先着200名のみ。会場はガーデンシティ御茶ノ水。詳細・申し込みはこちらをご覧ください。

 

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2015年3月15日 (日)

映画「妻への家路」とEメイルゲートとヒラリーの運命(第766回)

映画「妻への家路」とEMALGATEとヒラリー・クリントンの運命(第766回)

 今週は「博士と彼女のセオリー」も観た。しかし主演のホーキング博士のソックリさんぶりが良かったが出来はイマイチ。そこで原題COMING HOMEのこの作品に。

 かつての名作「かくも長き不在」のアリダ・ヴァリとジョルジュ・ウイルソンの演じた夫婦を逆にしたような設定だが、さすがにチャン・イーモウ監督。スピルバーグがカンヌ映画祭で「涙が止まらなかった」と絶賛したにふさわしい傑作と思う。「HERO」「LOVERS」のようなスペクタクルではないが。

 

 1977年文化大革命が終結し20年ぶりに解放された元教授は妻と再会するが待ち過ぎた妻は心労のあまり、夫の記憶だけを失っていた。この妻のコン・リーがメチャ演技がうまい。夫は他人として向かいの家に住み、娘の助けを借りながら想いだしてもらおうと奮闘する。しかし夫から何百通も送られた手紙には感激するが、それを読んでくれるのが本人とは気づかない。この妻の悲劇を見て、私はすぐヒラリー・クリントン氏を連想した。大統領になるべきすぐれた女性が、結局、ダメになりそうだからだ。想いと現実との食い違いが似ている。

 

 先週のブログで私はヒラリー・クリントン氏に絡んだ米国政界の混乱がNY株の急落を引き起こし始めたこと。しかし東京株式市場は「NYばなれ」で上昇することを予想した。ピタリだったでショ、と自慢させて頂く。(ごくたまーにしか、ないから)

 ベンガジゲートなんて、ようやくNHKも日経も、そして週刊新潮まで紹介し始めた。私のブログの読者なら、また昨年の私の著作「2015年日本経済のシナリオ」(フォレスト出版、2014年12月刊)の読者なら、2016年の大統領選を控えて、この問題が騒ぎになることは見えていたのに。遅すぎるぜ、まったく。

 

 きっかけになったヒラリー・クリントン氏のEMAIL GATEにつても日本の報道はワカッていない。ちょっとしたミスのように扱っている。長期化すること必至のスキャンダルなのに。

 まず3月3日付のニューヨークタイムス紙が報じたことが重要だ。同紙は民主党寄り。それが大きく報じたのは恐らく米国の支配層の8年も続いた民主党政権を、終わりにしたい意思が働いている。またソースはオバマ政権内部だろう。何故か。理由は永くなるので来週に書きましょうね。

 それから1週間、ヒラリー氏はツイ―ト26文字で「国民に私のメールを見てもらいたい。国務省に公表を頼んだ」と書いただけで沈黙。10日に20分記者会見したが十分ではなかった。ヒラリー氏は2013年初めに国務長官を辞任した後も公務に関する私的メールを政府の公文書管理部門に提出していなかった。最近になって5万5000通のメールを提出したが、すべてのメールが渡されたと信じる向きはいない。とくに2012年9月にリビアのベンガジで起きた米大使殺害事件に絡むメールが隠匿されているはず、と考えられている。

 ベンガジ問題ン特別委員会と監査・政府改革委員会の二つの米国下院の委員会がメール公開の召喚状を送った。

 NY株は3月6日(金)に278ドル急落、9日(月)は138ドル戻したが3月10日はワシントンポスト紙の社説を含む特集記事とヒラリー氏の記者会見が不十分だったのを材料に332ドルもの大幅安。11日は27ドル高、12日には229ドル高と戻したが、再び13日には163ドル安で一時下げ幅は260ドルを超えていた。

 米国務省はメール使用を2005年に公的メールアドレスの使用を義務付ける通達が出ており、2011年には駐ケニア大使が私的メールアドレス利用で辞任させられている。ヒラリーはみずからもうけた指針を無視して私的メールを利用し続けたことになる。だからこそ、EMAILGATEなのである。

 もともとNY株式市場はここ何ヵ月も主要インデックスがバラバラの日に天井をつけての後下落という、天井圏内でよく発生する形になっていた。天井を付けた日はダウ工業30種とナスダックは3月2日、S&P500種は2月25日、ダウ公共株は1月28日、ダウ輸送株は昨年11月28日、ダウコンポジットは昨年12月29にCにといった具合だ。下げは長期化する可能性が高いと思う。

 原油の方も今年の安値更新は必至だろう。タンカーを利用して原油在庫を保有していた筋は投げに入って来たが、先日のNHK報道でもあったとおりシェールオイルのコストはバレル20ドル。まだ下がるだろう。

 加えて19日には米FOMCの声明文があり、「CAN BE PATIENT」の言葉が残るかどうかで市場は反射的に動く。

 残ればドル売り 株買いで、削除されたらドル買い、株売り。

 私はこれだけ皆が言い出したら、そんな言葉を削るはずがないと思うが。

 

 大事なのは東京株式市場。NYの下げをヨソに、上昇しているのは心強い限り。木、金12,13の二日間で530円も上げたが、この両日には日銀ETF買いは入っていない。ファナックひと銘柄で200円近く寄与したが、外国人のモノ言う株主サード・ポイントの要求が会社側の市場への優遇姿勢が好感された。

 いくら何でもスピードが速すぎるので来週は上昇ペースが止まると思うが、押し目が入るとすぐ買う向きがあるし、3月18日には貿易統計が出る。私は輸出数量指数に注目している。

 円安の方は122円で止ると思うが、一方このところ建設株に今後もどり新値をうかがいそうな動きが見え始めたのは要注意。

 

 いつもなら映画のセリフから、でしめるところだが、今回はパンフレットにあったチャン・イーモウ監督のボヤキが印象的だったので。「映画を撮るのは自由ですが試写に50人から60人の様々な政府関係者が検閲、作り手側は入れてもらえない」。へええ。毎日エコノミスト誌3月17日号には今後も中国で撮る、と述べていたが、本当はやりにくいんだろうなあ。映画を製作する監督が入れてもらえない場所でうるさく注文をつけられるんだから。

 私がヒラリー氏に注目するのは、恐らくメジャーオイルとか軍産複合体とかデトロイトとか米国を支配しているグループが、ここ2期間のオバマ選出を失敗と考えているらしい、という推測からだ。もし、そうなら、2017年1月の次期大統領就任まで、NY株は大したことにはなるまい。少々気が早すぎますか。なにせ江戸っ子の下町生まれなので。



終わりに。4月中旬にわたしはNY,ワシントンに出張。現地報告の講演会を25日(土)に開催します。先着200名のみ。会場はガーデンシティ御茶ノ水。詳細・申し込みはこちらをご覧ください。

http://v6.advg.jp/adpv6/r/7py_12Ex

 

2015年3月 7日 (土)

映画「シェフ」とNY暴落でも東京は大丈夫、のワケ(第765回)

映画「シェフ」とNY暴落でも東京は大丈夫のワケ(第765回)

 今週は6歳のボクが大人になるまで」と「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」の2本を観た。「6歳―」の方は日本の批評家がアカデミー賞本命と高評価だったが、ヤマもなくテーマも大したことなく期待外れ。

 一方「シェフ」の方が楽しく私は笑いっぱなしだった・

 父子鑑賞に適しているが、下ネタが多いのは玉にキズ。エッチな歌も流れるし、「テッド」がこのタイプのコメディだったなあ。

 一流レストランのシェフが評論家来店の日に創意工夫のないマンネリ料理をオーナーに押し付けられ、大ゲンカ。結局辞めたシェフはおんぼろの中古トラックを入手して、キューバンサンドイッチの移動販売を始める。

 ロードムービーでもあり父子ものでもあるコメディ。料理のシーンが続々出てきて、しかもおいしそう。「たんぽぽ」みたいな料理映画としても十二分にエンジョイできる。

 

 私がいわゆる日本超インフレ、国債大暴落説に大反対の強気なことは、ご存じの通りだ。しかし先日旧知の資産運用会社社長とパーティであってこういわれた。

 「イマイ先生、いくら強気のあなたでも何か予想もしていないキッカケがあって、長期金利上昇(国債価格下落)がある可能性が、本当にゼロと言い切れますか。1%未満でも、あるとお考えでしょ?)(そりゃそうだが、やはりないと考えるんだから仕方がない)。

 「では、そうした見方でキミは現在運用してるの?」「やってますね。」

 

 もちろん具体的な銘柄は企業機密で云わなかった。しかし、考え方としては、よくわかる。要するに海外市場で確固とした市場を持ち収益力が高い「全天候型銘柄」がいい、ということに違いない。映画の中のシェフが一流のレストランから追われても、サンドイッチで復活したように。

 すぐ思い起こしたのは、コマツ、ユニ・チャーム、それにごく最近材料が出て注目されているピジョンだった。ポートフォリオの中に長期保有で入れておくことは賢明と思う。

 このほかにも見つけたらご報告しよう。ある著名な投資コンサルタントに話したら、デンソーも、という。いいかも。

 

 もうひとつ。最近竹中平蔵さんの講演会に2回行って(全く同じ話だったので聞いている方は多いだろうなあ)ヒントを得たので。それは「しめきり産業」。

 竹中さんも「原稿はしめきりがあるから書くんです」へえ、私と同じなんだ。

 前回の東京オリンピックの時、いろんな産業で、締め切り時間に合わせていろんな知恵が絞られた。

 新幹線、ホテル、首都高速などがそうだったが、たとえばホテルのバスルームをユニットで作ってハメこむテクニック。冷凍して大量の食材を蓄積し、各国の選手に料理を出すビジネスモデル(竹中さんは現在のファミレスはこのモデルで出来たと)。なるほど。

 そして警備保障。警察官だけじゃ防犯、警固などに人手が足りない。東京オリンピックの2年前にセコムがたった三人で発足した。いまはCSP(セントラル警備保障)もある。何かこのほかにこのアイディアだと、新型産業が出てきそう。

 問題点は「全天候型」も「しめきり」もPERがメチャメチャに高いこと。高すぎるので押し目を作ってくれないと買いにくい。それでも魅力的な投資銘柄選択シナリオであることに変わりはない。どうぞご検討を。

 

 映画のセリフから。シェフが評論家にケンカを売ってウエブサイトで炎上して嘆く。「オレはピアノをひくネコだあ」「その意味は」「要するにオモシロネタなんだ」

私が全天候型銘柄をおすすめしたからと言って日本破滅説に賛同したとは思わないでほしい。今回のフォーチュン誌の記事のようにH・Fはいろんな形で市場攻撃をしてくるから。

 

とても大事なことをひとつ。3月6日(金)のNYダウは278ドルの大幅安になった。暴落といってもいい位だ。労働統計が29万5000人と予想の25万人を上回るいい数字だったにもかかわらず、この下げになった(金利は0・012%上昇と小幅)。

 深夜のSNBCで売り材料に「ヒラリー・クリントンのメール問題とベンガジ」と報じ、ウオールストリートジャーナルも同様。ワシントンの政治の混乱が起きている。

 私が日本で唯ひとり、著書にまで書いて報じてベンガジゲート事件が問題化され、市場はこれまでも三ケタ安で反応してきたが。今回が最も下げ幅が大きい。

 拙著「2015年日本経済のシナリオ」に詳しく書いておいた(p22~48)。月曜の日経が見ものだし、恐らく2,3週間遅れて東洋経済、エコノミスト、ダイヤモンドも書くだろう。

 

 このブログの読者はご存知だが「ベンガジゲート」とは概略次の通り。

 リビア第二の都市ベンガジで2012年9月11日、アルカイダの武装部隊が米国領事館を襲い、ロケット砲で米大使ほか三人を殺害した。

 前年5月ビン・ラディン殺害で、もうアルカイダは首を失ったから大丈夫、と宣伝していたオバマに大打撃。しかも再選を狙う選挙戦の最中。そこで「マホメットに批判的なユーチューブに抗議した群衆に殺された」とウソの発表せよ、とオバマは国務長官ヒラリー・クリントンに電話で命令した。大統領が違法行為を行ったことがかつてのウオーターゲート事件に結びつくので「ベンガジゲート」。

 共和党側としては2016年の大統領選で最有力のヒラリーを「嘘をついた」と足をひっぱる。

 「必ずやる。しかし年後半」と私は考えていたが、時期は早まった。

 米国株は恐らく1割ぐらい下げるのではないか。ただ日本株は大丈夫。今週13日(金)のSQとNYへのお付き合いで多少下がるだろうが、見ていてごらんなさい。すぐに反発するから、絶好の押し目。

 映画のシェフは最後はスポンサーがついて理想のレストランを開業、ハッピーエンドだ。皆さんのご投資も。

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