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2015年9月27日 (日)

映画「TED2]とアホな日本の機関投資家(第793回)

映画「TED2」トアホな日本の機関投資家(第793回)

 「TED」がセス・マクファーレンという才人(監督・脚本・製作)の大ヒットで、今回の「2」も面白い。レイトショーを観に行ったら周囲は若いカップルばかりでジイサンは私だけ。娘さんたちよ、ダマされるんじゃないゾ。男はワルいんだから。(私は80歳。安全ですゾ)。

 ストーリーは縫いぐるみのテディベアが人間と同じようにしゃべり動く。下ネタ続出でコメディとしては英語がわからないと、7割ぐらいしか楽しめないだろう。裁判所で「TEDは人間でなくモノ」という判決を受けたおかげで、奥さんとは離別、クレジットカードは使えないという「差別」されたテッドが、再審で勝つ。人権派弁護士になったモーガン・フリーマンがカッコいい。

 最近いちばん笑った映画を観た後に9月24日、連休後に市場が500円近い急落。私が顧問をしているある企業のトップに会うため大阪に行ったが、「これはリーマンショックみたいな世界的暴落でしょうか」と聞かれた。ドイツ銀行問題はあるが、メルケル首相が何とか表面化しないように必死だから、まだ心配だがそれの折り込みは早すぎる、とも。

 連休中の米欧の株式市場が例のフォルクスワーゲン不正問題で安かった。「大体平均3%ぐらい下げているから、お付き合い。1万7400円のフシ目は底値と思うから」と、自動車株を含めて買いをすすめた。25日は予想通り300円の上昇。

 

 どうして自動車株が売られるんだろう?逆じゃないか。

 ガソリン車から電気自動車、燃料電池車にいつの日か変わるが、そのコースに欧州勢はVWを中心にディーゼル車、日本はハイブリッド車からプラグイン・ハイブリッド車で戦略がわかれていた。ところが土俵に立ったら向こう側の力士が勝手に倒れてくれたのと同じ、

 今回の騒ぎで世界中の人たちが自動車に乗らなくなれば別だが、信用力の落ちたVWがシェアを再び伸ばすのは当分の間、ありえない。

 風が吹けばオケ屋がもうかる。いすゞのようなディーゼル車メーカーが不安がられたら別だが、トヨタや日産、ホンダ、それにスズキあたりは株高にならなきゃオカシイ。(早速ある大手誌の敏腕記者から、私の意見への問い合わせがあった。そりゃそうだろう。目のある人には分かることだ。)

 

 折も折、安倍首相はアベノミクス2のスタートを宣言、また国会終幕を含めて2回の記者会見で大切な方針転換を述べた。

 双日総研の吉崎達彦さんは「溜池通信」で安倍政権は経済と安保の重点時期が繰り返されている、と指摘している。

 経済(当然株高)で上がった支持率を少し取り崩す形で安保重視というサイクルをこれまで首相は繰り返してきた。9月18日の法案通過が株価を意識した政治姿勢に変わるはず、と思っていたら、早速、9月25日に黒田日銀総裁が首相官邸を訪問した。これで市場は10月30日の展望レポート発表近辺には、黒田バズーカ3を期待する。ワカッてるなあ。

 米国の方でも第2・四半期の確報が出て、これは3・9%といういい数字。FRBイエレン議長が「私も9月に利上げしたかった」とスピーチで2回も言った。これなら現金ばかり持っていて債券も買わない株も買わないという運用担当者は上から怒られる。企業業績のいいものは買わなくっちゃ、という気になるだろう。

 8月の「夏の嵐」は終わった。大きく下げたことは下げたが、信用取引の追証は過去の急落時に比べると比較的軽いと証券会社のベテランに聞いた。経験的に言うともう一回ダメ押しがあるだろうが、日経平均1万7400円近辺が底値と思う。10月か11月か。材料次第で多少は下回るかも。

 もちろん臨時の予算は4~5兆円ぐらいの規模であるだろうし、介護関係の労働者がもっと働き甲斐があるような改革も、TPPもあるし。

 日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命の公開で応募した投資家に利が出るのも大切なことだ。GPIFも三つの共済組合もまだ投資ワクは計4兆8000億円も残っているし、ゆうちょ、かんぽも買い手に参加する。

 ヘッジファンドは11月の決算は先日の下げでメドが立ち、当分、少なくとも3,4月の間は仕掛けてこないだろう。

 安倍首相がNY滞在中にジョージ・ソロス氏に会うというウワサは確かめようがない。しかし、かつてウオール街で、「バイ・マイ・アベノミクス」とやって大ウケした首相だ。次の上昇相場への助言をもらうことは十分あり得る。

 2013年11月、当時のゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長の「アベノミクスで円を売り、日本株を買え、これが唯一のグローバル投資戦略だ」という助言があった。当時の日経平均8664円、円は対ドル79円50銭。すぐこのオニール戦略に乗ったソロス氏が三カ月で90億ドルの巨利を挙げたことは有名だ。

 私がソロス氏なら消費税の再増税は延期しろ、というが。法人税の増収といろんな勘定からの資金で。官僚の抵抗?前からじゃないか、ま、そこまでは云うわけないか。

 今週の結論。トヨタは買いだろう。一方、携帯の料金への圧力とスプリントの格下げとで、ソフトバンクは私の買いたくない銘柄になった。

 

 映画のセリフから。テッドとジョンが歌う。「皆で裁判所に行こう~ハイの状態でね」。これは私が必ず観ているCSのスーパー・ドラマTVの「LAW&ORDER(法と秩序)」の主題曲に勝手な歌詞をつけたもの。犯罪が起こり捜査し犯人を逮捕し、起訴のあと裁判で判決が出るまでを1時間で見せる。1990年から続いている人気シリーズだ。この人気は犯人が必ずしも有罪にならないこと。

私の強気みとうしが、無罪になればいいが。

 私のこのブログでは市場見通しや時に銘柄まで。大変な数のノック数でうれしいが、どうぞご投資は自己責任で。

2015年9月21日 (月)

「マクベス」と利上げ見送り後の二番底形成材料は(第792回)

 

「マクベス」と利上げ見送り後の“二番底”形式材料は(第792回)

 

 先週は「ヴィンセントが教えてくれたこと」「黒衣の刺客」「天空の蜂」の三本。ただ書きたいテーマとの関係でシェイクスピアにした。

 

 四代悲劇の中では私は「マクベス」が一番好き。魔女の予言に従って野心ある猛将が王位をうばうが、それは一時のもの。反乱に倒れる。

 

 

 

 苦戦を逆転勝利に持ち込んだ功績を買われ、魔女の予言通りマクベスは広大な領地を与えられる。戦勝祝いでマクベスの城に、国王ダンカンが泊まった機会に妻と共同で暗殺。酔わせた番卒に責任を押し付け殺害、自分はスコットランド王に就く。

 

 野望は遂げられたが圧政と暗殺横行ですぐに反乱が発生。マクベスは再び魔女三人に予言を求める。「バーナムの大森林が城に進撃してこない限り、お前は負けない」「女から生まれたものに、お前は殺されることはない。」再び自信を取り戻すマクベス。

 

 

 

 米国のウエブサイトによると中国は人民元切り下げ後2週間で米国債1000億ドルを売却。このため今回の「夏の嵐」世界的株価暴落にもかかわらず、米国の国債金利は小幅上昇した。

 

 

 

 一般に言われている「中国人民元の大幅切り下げの継続」どころか、中国政府はドルを売って人民元高を維持している。

 

 中国企業や銀行は低金利の香港ドルを調達し、人民元高を当て込んで中国の不動産などを買っていた。いわゆるキャリートレードだ。ひところ1兆ドルを超えていたから、現在でもまだ数千億ドル分は残っているはずだ。

 

 株バブルが当面見込めない中国は不動産バブル再燃を狙い、ほとんどあらゆる規制を撤廃し優遇金利も。

 

 しかしキャリートレードが終わりになるまでは、人工的なドル売り(米国国債売り)人民元の水準維持に努めるに違いない。

 

 

 

 となると、懸念は米国の債券市場全体の利回り水準全体のカサ上げ、にほかならない。黒田バズーカ3が期待されているのは、このせいだ。日本郵政グループも米国国債の金利急騰防止のための米国投資を推進するに違いない。

 

 

 

 しかし、二流の債券市場の方は、いわば空き家になり、利回りは急上昇(債券価格は急落)する、これは時間の問題だ。経験的にジャンク債市場の利回りと米国国債の利回りの格差が8%に達するに例外なく株価は急落する。倒産が増え、信用度が急低下するからだ。

 

 

 

 現在はまだ6%台なので大丈夫と言えるが、そこに地震のタネが二つ出てきた。

 

 第一は9月16日のシェール大手企業の「サムソン・リソーセズ」倒産、42億ドルの大型倒産で、3月の「クイックシルバー・リソーセズ」の24億ドルに次ぐ。噂ではシェール首位企業「チェサピーク・エナジー」も経営危機が噂されている。現に無配になった。

 

 ジャンク債市場はシェール関連企業の重要な資金調達の場で、市場資産額の17%を占める。シェール企業の経営困難は利回り上昇の原因になる。

 

 

 

 第二がブラジルの半官半民の石油会社「ペトロブラス」の格付けがスタンダード&プア社によってBa2に2段階引き下げられた。ジャンク債の仲間入りだ。同社の発行する社債は560億ドルで、これまでの主役「ベネズエラ石油」の360億ドルを抜く。このあまりにも巨大は「問題児」たちの行方は誰にも読めない。10月あたりにジャンク債(日本ではハイイールド債)の利回りが急上昇して、戻った株価はダメ押しで二番底をつけるのではないか。

 

 

 

 ただし日本は①黒田バズーカ②日本郵政グループの公開③恐らく5兆円の補正予算による景気刺激、などで被害は軽微と思う。

 

 

 

 魔女の予言はマクベスにとって意外な結果になる。反乱軍の将軍は、兵士に木の枝を持たせて城をあざむき、今でいう帝王切開で、腹を開いて出生した武将がマクベスを殺す。予想は当たり、しかしマクベスは死んだ。

 

 

 

 私はシェイクスピアでは「マクベス」が好き。公演は欠かさない。巨大な仏壇に桜の花、時代劇の衣装の「NINAGAWAマクベス」。私は1980年日生劇場の初演に観て興奮した。蜷川幸雄演出は同じ平幹次郎主演で「王女メディア」で凄いことは知っていたが、大傑作と思った。

 

 その後ロンドンのバービカン劇場でアルバート・フィニー主演で。NINAGAWAマクベスは津嘉山正種、北大地欣也主演。また一昨年は輪島で仲代逹也主演で。今回は市村正親、マクベス夫人は栗原小巻が多かったが今回は田中裕子。黒沢明の「蜘蛛巣城」での山田五十鈴の演技が凄かったナア。音楽も蜷川演出だとブラームス弦楽六重奏一番第二楽章の力強いメロディが、高貴でしかも野望に押しつぶされる男を見事に表現していた。

 

 

 

 マクベス第5幕の主人公のセリフ「明日か、その明日か、そのまた明日が一日一日ゆっくり過ぎて、やがては時の最後に行きつくのだ。」私は今回、ひょっとするとダイナマイトに火がつくヒューズが(まだ火がついてはいないが)危ないことを指摘した。この見通しが外れますように。

 

 

 

2015年9月13日 (日)

映画「クーデター」と急落を演出したヘッジFの「次」(第791回)

映画「クーデター」と急落を演出したヘッジFの「次」(第791回)

 幼い娘二人と妻を連れて東南アジアのX国に赴任してきたジャック(オーウェン・ウィルソン)は、翌朝勃発したクーデターに巻き込まれる。白人が次から次に殺害される中で、どう一家は逃げたらいいか。言葉は通じず、右も左もわからない。リアリティのある逃亡サスペンス・ドラマだ。監督・脚本J・E・ドゥドル。

 

 私にとって痛恨の限りなことがある。ヘッジファンドの運用担当者たちと付き合いがあり、本も8冊も書いている私が、8月の売り仕掛けを事前に察知できなかったことだ。

 ある専門家によると、クーデターは先進国の企業にとって事前に分析、事態も想定して社員の安全に配慮する。とくに米国企業はすぐれている、とか。

 

 私が恥ずかしくてならないのは、事前に、今にして思い起こせば十分な伏線があったこと。たとえばー。

 私の接触していたヘッジファンド(以下HF)ではなかったが、多数のHFは中国に100%出資のトレーディング会社を設立。この会社が現地の証券会社とのパートナーシップを通じて証券業務に進出していた。始め噂と思っていたが、有力HFのシタデルが8月10日に政府によって子会社の証券会社の口座が凍結された、と報じられた(ロイター)。

 

 上海株式市場での買いが停止され「海外投機筋」と名指しされたら、次は、次は、それを売り材料にして流動性のずっと大きな東京株式市場の売りを考えるはず―。私ともあろう者が、遅すぎたかもかも知れないが8月11日は「総売り」のアドバイスを投資家にすべきだった。

 

 反省だけならサルでもできる。今後の予想は、ドジリたくない。

 

 私は次の理由で、サブシナリオとして、9月30日までにかなりな幅での上げ相場―たとえば短期間で日経平均1000円に近いかそれ以上―がある。下げ幅の半値戻しの1万9200円以上に達するという強気予想を主張する。

 もちろんメインシナリオ「10月に再び二番底を取りに行き、そこから投資家は買い出動すべき、」は、変えない。メイン7、サブ3ぐらいの確率だ。

 

 強気の理由を列挙しよう。

 例によってHFは9月15日には、全く意外な「黒田バズーカ3」がある、と信じている。(すぐ外れるリスクはあるが)。

なぜか。「日銀緊急緩和」のシナリオを実は一流の専門家が「リスクシナリオ」としてごく最近指摘している。

 10月30日の展望』レポート会合での追加緩和が市場に言われている「常識」。しかし①8月11日の中国ショック以降の世界株式市場一斉下落②先進国と新興国の相互作用としての需要落ち込み発生の懸念③7月分の国内経済指標が下振れした上、今後良いデータは期待しがたい。これらが理由だ。

 実は①の追加に近いが、政治情勢が変化する。9月17日の安保法案成立で、安倍政権は放置されていた経済情勢とくに株価回復に全力を挙げる。首相訪米は9月26日から10月1日まで。日米首脳会議の手みやげに追加緩和を持参し、NYで実はソロス氏ら投資の世界の主脳に会うとの情報もある

 株の買い手としてのクジラ。

黒田バズーカ3となれば日銀のETF買いのワク拡大。これにGPIFと三つの共済組合の株買い資金4兆8000億円(6月末現在、現在は株安でもっと多いだろう)の買い出動。11月4日上場の日本郵政グループも日本株買い余力がある。

 上海株の方も何か良い話があるだろう。9月25日に習金平総書記はオバマ大統領と会談する。何も手土産なしで会うだろうか。

 実はこれが案外大切なのだが、HFの売りは先物・オプションと同時に現物株を「貸し株」で売ったこと。ネット証券は外資系証券会社に株式を大量に貸し出しており、これが市場に売りに出された。

この貸し株は必ず期末までに買い戻さなけれがならない。貸し株料は高いからだ。

 

 もちろん、株価の急落はあとから見て「ああ、これを予見していたのか」と納得させる市場の先見力を示すことも結構多い。あるいは、そうかも知れない。

 NY市場の方はあまりにも長期に調整らしい調整はなかったし、FRBの利上げが運用担当紙やトレーダーたちにとり重荷なことはこれまでも指摘してきた。

 ジャンクボンド市場の利回り急伸は、まだ問題になってはいないが、将来の大問題なことは変わりはない。

 私のメインとサブの二つのシナリオは日本株についてのもの。従来から私は「NYが下がっても東京は上がる」と言い続けてきた。このベーシックな考えは全く変わらない。

 

 映画のセリフから。ジャックが繰り返し妻と娘たちに言う。「常に敵の10歩先をゆくんだ」。私はそこまでの先でなく、今週のこのブログは一歩先を読んでみたつもりだ。的中すると信じているが。

 ひとつだけ、今回の騒ぎで世界中がわかったことがある。以前から私が指摘していた通り、中国の統計は(特にGDP)全くアテにならないことだ。粉飾決算の最たるもの。「新常態」だって、危ない、危ない。ただ思い出してもソ聯解体時には株は高かった。その辺は来週に。

2015年9月 7日 (月)

2015年 日本経済の展望

「日経トップリーダー」経営者クラブから出版された『トップの情報CD』に、「2014年日本経済の展望」というテーマでインタビューが収録されました。

2015年9月号
2015年7月号
2015年5月号
2015年3月号
2015年1月号その1
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2014年1月号その2
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2013年1月号その2
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2012年12月号
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2015年9月 5日 (土)

映画「しあわせのまわり道」と急落の今後(第790回)

映画「しあわせのまわり道」と急落の今後(第790回)

 小品だが大人の鑑賞に耐える、いい映画だ。原題は「ラーニング・トゥ・ドライブ」。人生の絶頂にいた女性が自信喪失を経て、再び生きる意義を再発見する物語。主人公の中年女性ウエンディはNYで文芸評論家として大成功、ウエストのアップタウンに豪邸を持つ。ところが扶養していた夫が浮気相手の下に走り、高額の離婚手当と財産分与を要求、何もかも充実していた人生が一挙に崩壊する。そこでバーモントに住む一人娘にちょくちょく会うために、運転免許を取ろうと決心。先生はインド人でシク教徒。ベン・キングスレーが演じて適役だし好演、主人公は次第に自信を取り戻してゆく。

 

 ある日突然の崩壊。ここ何週間かの世界的同時株価急落を、私はすぐ連想した。映画で運転を教えたとき先生が言う。「(事故などの)悪いことは一瞬で起こる。それですべてが変わってしまうんだ。」

 

 今回の同時急落は、米国FRBの金利引き上げを控えてリスクオフの姿勢でいたところに、中国の上海株暴落と人民元切り下げが引き金になった。これが定説だ。

 

 二つとも急に起きた材料じゃない。それがどうして、世界の株式市場一斉大幅下落になったか。

 理由は恐らく中国による手許に流動性を持ちたいため、米国国債を含めての換金売りだ。だからリスクオフの機関投資家の姿勢の割に米国長期金利は下らない。下るどころか小幅高だ。

 

 もうひとつ。現在の機関投資家の運用担当者の経験不足もある。

 もう10年近くゼロ金利が続いており、投資の資金コストがゼロ同然という状態に慣れている。そこに0・25%、場合によると「次」があって0・5%の資金コスト。これは重い。だからリスクオフになり、株式投資の比重はどんどん軽くなった。

 リスクオフなら本来米国国債へマネーは逃避するはずだが、そこに「中国売り」。これは噂だけではなく、手口としても分かっている(らしい)。それに加えて、いざ本当に利上げとなれば米国国債は売られること必至。

 一方、マネー逃避先としてはユーロと円が選ばれ、ドルは安くなる。

 

 以上、流動性不足の発生が急落相場の真犯人。私の永い経験から、日本の株価にしぼって、今後の動向を予測してみたい。

 ボラティリティ(日経平均)は8月26日に48・9%がついた。2013年のこれまでのピーク48・3を上回り、同日の安値1万7714円が目先の底である可能性は大きい。(もちろん今後も乱高下が起こり得るが)

 一番底がついてから、戻り天井を付ける。下げ材料が簡単に収束するようなものではない以上、何か一番底を付けた理由を連想させるニュースがあり、再び株価は下落。この二番底が一番底より上で止ってから反発に入る。一番底と二番底の間7~8週間。

 そして恐らく年末には日経平均2万円の水準を回復、2016年には2万2000円以上。

そんな楽観的な、と言われるかも。しかし私には理由がある。

 外国人のアベノミクス買いの株の40%は売った。一応目先の売りたい玉は売りつくしたと思われる。

 外国人とくにヘッジファンドは安保法案や安倍首相の健康問題を気にしていた。政治が安保問題のヤマ越えで、経済重視モードに戻る。補正予算。ついでに内閣支持率の急上昇(+8%の46%)にも好感。

 郵政グループの上場。これに先立って三つの共済組合の10月1日からの日本株買い比率アップで2兆円。またゆうちょ銀行の運用資産の日本株比率上昇で6~8兆円の買い余力。

 可能性としては、黒田バズーカ3。

 日本の株価の割安さ。2016年3月期の日経平均の一株当たり利益コンセンサス予想1348円から見て、安値1万7700円近辺は株価収益率13倍。ここ10年間の日経平均の株価収益率は15・1倍。これ以上の下げは(もしあれば)完全に行き過ぎ。

 

 私はかつてのNTTは119万7000円で公開したが、郵政は30万ぐらいだろうし、これが上昇すると個人投資家に恩恵が大きいと思う。投資意欲の上昇は、いいことだ。

 

 映画のセリフから。インド人の先生が言う。「平常心を保つことが大切です。運転する時はカッカしやすいから。」「恐怖心は人を注意深くしてくれます。」注意深く、辛抱強くこの困難な何週間かを待ち続けたい。

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