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2015年9月 5日 (土)

映画「しあわせのまわり道」と急落の今後(第790回)

映画「しあわせのまわり道」と急落の今後(第790回)

 小品だが大人の鑑賞に耐える、いい映画だ。原題は「ラーニング・トゥ・ドライブ」。人生の絶頂にいた女性が自信喪失を経て、再び生きる意義を再発見する物語。主人公の中年女性ウエンディはNYで文芸評論家として大成功、ウエストのアップタウンに豪邸を持つ。ところが扶養していた夫が浮気相手の下に走り、高額の離婚手当と財産分与を要求、何もかも充実していた人生が一挙に崩壊する。そこでバーモントに住む一人娘にちょくちょく会うために、運転免許を取ろうと決心。先生はインド人でシク教徒。ベン・キングスレーが演じて適役だし好演、主人公は次第に自信を取り戻してゆく。

 

 ある日突然の崩壊。ここ何週間かの世界的同時株価急落を、私はすぐ連想した。映画で運転を教えたとき先生が言う。「(事故などの)悪いことは一瞬で起こる。それですべてが変わってしまうんだ。」

 

 今回の同時急落は、米国FRBの金利引き上げを控えてリスクオフの姿勢でいたところに、中国の上海株暴落と人民元切り下げが引き金になった。これが定説だ。

 

 二つとも急に起きた材料じゃない。それがどうして、世界の株式市場一斉大幅下落になったか。

 理由は恐らく中国による手許に流動性を持ちたいため、米国国債を含めての換金売りだ。だからリスクオフの機関投資家の姿勢の割に米国長期金利は下らない。下るどころか小幅高だ。

 

 もうひとつ。現在の機関投資家の運用担当者の経験不足もある。

 もう10年近くゼロ金利が続いており、投資の資金コストがゼロ同然という状態に慣れている。そこに0・25%、場合によると「次」があって0・5%の資金コスト。これは重い。だからリスクオフになり、株式投資の比重はどんどん軽くなった。

 リスクオフなら本来米国国債へマネーは逃避するはずだが、そこに「中国売り」。これは噂だけではなく、手口としても分かっている(らしい)。それに加えて、いざ本当に利上げとなれば米国国債は売られること必至。

 一方、マネー逃避先としてはユーロと円が選ばれ、ドルは安くなる。

 

 以上、流動性不足の発生が急落相場の真犯人。私の永い経験から、日本の株価にしぼって、今後の動向を予測してみたい。

 ボラティリティ(日経平均)は8月26日に48・9%がついた。2013年のこれまでのピーク48・3を上回り、同日の安値1万7714円が目先の底である可能性は大きい。(もちろん今後も乱高下が起こり得るが)

 一番底がついてから、戻り天井を付ける。下げ材料が簡単に収束するようなものではない以上、何か一番底を付けた理由を連想させるニュースがあり、再び株価は下落。この二番底が一番底より上で止ってから反発に入る。一番底と二番底の間7~8週間。

 そして恐らく年末には日経平均2万円の水準を回復、2016年には2万2000円以上。

そんな楽観的な、と言われるかも。しかし私には理由がある。

 外国人のアベノミクス買いの株の40%は売った。一応目先の売りたい玉は売りつくしたと思われる。

 外国人とくにヘッジファンドは安保法案や安倍首相の健康問題を気にしていた。政治が安保問題のヤマ越えで、経済重視モードに戻る。補正予算。ついでに内閣支持率の急上昇(+8%の46%)にも好感。

 郵政グループの上場。これに先立って三つの共済組合の10月1日からの日本株買い比率アップで2兆円。またゆうちょ銀行の運用資産の日本株比率上昇で6~8兆円の買い余力。

 可能性としては、黒田バズーカ3。

 日本の株価の割安さ。2016年3月期の日経平均の一株当たり利益コンセンサス予想1348円から見て、安値1万7700円近辺は株価収益率13倍。ここ10年間の日経平均の株価収益率は15・1倍。これ以上の下げは(もしあれば)完全に行き過ぎ。

 

 私はかつてのNTTは119万7000円で公開したが、郵政は30万ぐらいだろうし、これが上昇すると個人投資家に恩恵が大きいと思う。投資意欲の上昇は、いいことだ。

 

 映画のセリフから。インド人の先生が言う。「平常心を保つことが大切です。運転する時はカッカしやすいから。」「恐怖心は人を注意深くしてくれます。」注意深く、辛抱強くこの困難な何週間かを待ち続けたい。

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