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2015年9月13日 (日)

映画「クーデター」と急落を演出したヘッジFの「次」(第791回)

映画「クーデター」と急落を演出したヘッジFの「次」(第791回)

 幼い娘二人と妻を連れて東南アジアのX国に赴任してきたジャック(オーウェン・ウィルソン)は、翌朝勃発したクーデターに巻き込まれる。白人が次から次に殺害される中で、どう一家は逃げたらいいか。言葉は通じず、右も左もわからない。リアリティのある逃亡サスペンス・ドラマだ。監督・脚本J・E・ドゥドル。

 

 私にとって痛恨の限りなことがある。ヘッジファンドの運用担当者たちと付き合いがあり、本も8冊も書いている私が、8月の売り仕掛けを事前に察知できなかったことだ。

 ある専門家によると、クーデターは先進国の企業にとって事前に分析、事態も想定して社員の安全に配慮する。とくに米国企業はすぐれている、とか。

 

 私が恥ずかしくてならないのは、事前に、今にして思い起こせば十分な伏線があったこと。たとえばー。

 私の接触していたヘッジファンド(以下HF)ではなかったが、多数のHFは中国に100%出資のトレーディング会社を設立。この会社が現地の証券会社とのパートナーシップを通じて証券業務に進出していた。始め噂と思っていたが、有力HFのシタデルが8月10日に政府によって子会社の証券会社の口座が凍結された、と報じられた(ロイター)。

 

 上海株式市場での買いが停止され「海外投機筋」と名指しされたら、次は、次は、それを売り材料にして流動性のずっと大きな東京株式市場の売りを考えるはず―。私ともあろう者が、遅すぎたかもかも知れないが8月11日は「総売り」のアドバイスを投資家にすべきだった。

 

 反省だけならサルでもできる。今後の予想は、ドジリたくない。

 

 私は次の理由で、サブシナリオとして、9月30日までにかなりな幅での上げ相場―たとえば短期間で日経平均1000円に近いかそれ以上―がある。下げ幅の半値戻しの1万9200円以上に達するという強気予想を主張する。

 もちろんメインシナリオ「10月に再び二番底を取りに行き、そこから投資家は買い出動すべき、」は、変えない。メイン7、サブ3ぐらいの確率だ。

 

 強気の理由を列挙しよう。

 例によってHFは9月15日には、全く意外な「黒田バズーカ3」がある、と信じている。(すぐ外れるリスクはあるが)。

なぜか。「日銀緊急緩和」のシナリオを実は一流の専門家が「リスクシナリオ」としてごく最近指摘している。

 10月30日の展望』レポート会合での追加緩和が市場に言われている「常識」。しかし①8月11日の中国ショック以降の世界株式市場一斉下落②先進国と新興国の相互作用としての需要落ち込み発生の懸念③7月分の国内経済指標が下振れした上、今後良いデータは期待しがたい。これらが理由だ。

 実は①の追加に近いが、政治情勢が変化する。9月17日の安保法案成立で、安倍政権は放置されていた経済情勢とくに株価回復に全力を挙げる。首相訪米は9月26日から10月1日まで。日米首脳会議の手みやげに追加緩和を持参し、NYで実はソロス氏ら投資の世界の主脳に会うとの情報もある

 株の買い手としてのクジラ。

黒田バズーカ3となれば日銀のETF買いのワク拡大。これにGPIFと三つの共済組合の株買い資金4兆8000億円(6月末現在、現在は株安でもっと多いだろう)の買い出動。11月4日上場の日本郵政グループも日本株買い余力がある。

 上海株の方も何か良い話があるだろう。9月25日に習金平総書記はオバマ大統領と会談する。何も手土産なしで会うだろうか。

 実はこれが案外大切なのだが、HFの売りは先物・オプションと同時に現物株を「貸し株」で売ったこと。ネット証券は外資系証券会社に株式を大量に貸し出しており、これが市場に売りに出された。

この貸し株は必ず期末までに買い戻さなけれがならない。貸し株料は高いからだ。

 

 もちろん、株価の急落はあとから見て「ああ、これを予見していたのか」と納得させる市場の先見力を示すことも結構多い。あるいは、そうかも知れない。

 NY市場の方はあまりにも長期に調整らしい調整はなかったし、FRBの利上げが運用担当紙やトレーダーたちにとり重荷なことはこれまでも指摘してきた。

 ジャンクボンド市場の利回り急伸は、まだ問題になってはいないが、将来の大問題なことは変わりはない。

 私のメインとサブの二つのシナリオは日本株についてのもの。従来から私は「NYが下がっても東京は上がる」と言い続けてきた。このベーシックな考えは全く変わらない。

 

 映画のセリフから。ジャックが繰り返し妻と娘たちに言う。「常に敵の10歩先をゆくんだ」。私はそこまでの先でなく、今週のこのブログは一歩先を読んでみたつもりだ。的中すると信じているが。

 ひとつだけ、今回の騒ぎで世界中がわかったことがある。以前から私が指摘していた通り、中国の統計は(特にGDP)全くアテにならないことだ。粉飾決算の最たるもの。「新常態」だって、危ない、危ない。ただ思い出してもソ聯解体時には株は高かった。その辺は来週に。

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