今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ


« 映画「クーデター」と急落を演出したヘッジFの「次」(第791回) | トップページ | 映画「TED2]とアホな日本の機関投資家(第793回) »

2015年9月21日 (月)

「マクベス」と利上げ見送り後の二番底形成材料は(第792回)

 

「マクベス」と利上げ見送り後の“二番底”形式材料は(第792回)

 

 先週は「ヴィンセントが教えてくれたこと」「黒衣の刺客」「天空の蜂」の三本。ただ書きたいテーマとの関係でシェイクスピアにした。

 

 四代悲劇の中では私は「マクベス」が一番好き。魔女の予言に従って野心ある猛将が王位をうばうが、それは一時のもの。反乱に倒れる。

 

 

 

 苦戦を逆転勝利に持ち込んだ功績を買われ、魔女の予言通りマクベスは広大な領地を与えられる。戦勝祝いでマクベスの城に、国王ダンカンが泊まった機会に妻と共同で暗殺。酔わせた番卒に責任を押し付け殺害、自分はスコットランド王に就く。

 

 野望は遂げられたが圧政と暗殺横行ですぐに反乱が発生。マクベスは再び魔女三人に予言を求める。「バーナムの大森林が城に進撃してこない限り、お前は負けない」「女から生まれたものに、お前は殺されることはない。」再び自信を取り戻すマクベス。

 

 

 

 米国のウエブサイトによると中国は人民元切り下げ後2週間で米国債1000億ドルを売却。このため今回の「夏の嵐」世界的株価暴落にもかかわらず、米国の国債金利は小幅上昇した。

 

 

 

 一般に言われている「中国人民元の大幅切り下げの継続」どころか、中国政府はドルを売って人民元高を維持している。

 

 中国企業や銀行は低金利の香港ドルを調達し、人民元高を当て込んで中国の不動産などを買っていた。いわゆるキャリートレードだ。ひところ1兆ドルを超えていたから、現在でもまだ数千億ドル分は残っているはずだ。

 

 株バブルが当面見込めない中国は不動産バブル再燃を狙い、ほとんどあらゆる規制を撤廃し優遇金利も。

 

 しかしキャリートレードが終わりになるまでは、人工的なドル売り(米国国債売り)人民元の水準維持に努めるに違いない。

 

 

 

 となると、懸念は米国の債券市場全体の利回り水準全体のカサ上げ、にほかならない。黒田バズーカ3が期待されているのは、このせいだ。日本郵政グループも米国国債の金利急騰防止のための米国投資を推進するに違いない。

 

 

 

 しかし、二流の債券市場の方は、いわば空き家になり、利回りは急上昇(債券価格は急落)する、これは時間の問題だ。経験的にジャンク債市場の利回りと米国国債の利回りの格差が8%に達するに例外なく株価は急落する。倒産が増え、信用度が急低下するからだ。

 

 

 

 現在はまだ6%台なので大丈夫と言えるが、そこに地震のタネが二つ出てきた。

 

 第一は9月16日のシェール大手企業の「サムソン・リソーセズ」倒産、42億ドルの大型倒産で、3月の「クイックシルバー・リソーセズ」の24億ドルに次ぐ。噂ではシェール首位企業「チェサピーク・エナジー」も経営危機が噂されている。現に無配になった。

 

 ジャンク債市場はシェール関連企業の重要な資金調達の場で、市場資産額の17%を占める。シェール企業の経営困難は利回り上昇の原因になる。

 

 

 

 第二がブラジルの半官半民の石油会社「ペトロブラス」の格付けがスタンダード&プア社によってBa2に2段階引き下げられた。ジャンク債の仲間入りだ。同社の発行する社債は560億ドルで、これまでの主役「ベネズエラ石油」の360億ドルを抜く。このあまりにも巨大は「問題児」たちの行方は誰にも読めない。10月あたりにジャンク債(日本ではハイイールド債)の利回りが急上昇して、戻った株価はダメ押しで二番底をつけるのではないか。

 

 

 

 ただし日本は①黒田バズーカ②日本郵政グループの公開③恐らく5兆円の補正予算による景気刺激、などで被害は軽微と思う。

 

 

 

 魔女の予言はマクベスにとって意外な結果になる。反乱軍の将軍は、兵士に木の枝を持たせて城をあざむき、今でいう帝王切開で、腹を開いて出生した武将がマクベスを殺す。予想は当たり、しかしマクベスは死んだ。

 

 

 

 私はシェイクスピアでは「マクベス」が好き。公演は欠かさない。巨大な仏壇に桜の花、時代劇の衣装の「NINAGAWAマクベス」。私は1980年日生劇場の初演に観て興奮した。蜷川幸雄演出は同じ平幹次郎主演で「王女メディア」で凄いことは知っていたが、大傑作と思った。

 

 その後ロンドンのバービカン劇場でアルバート・フィニー主演で。NINAGAWAマクベスは津嘉山正種、北大地欣也主演。また一昨年は輪島で仲代逹也主演で。今回は市村正親、マクベス夫人は栗原小巻が多かったが今回は田中裕子。黒沢明の「蜘蛛巣城」での山田五十鈴の演技が凄かったナア。音楽も蜷川演出だとブラームス弦楽六重奏一番第二楽章の力強いメロディが、高貴でしかも野望に押しつぶされる男を見事に表現していた。

 

 

 

 マクベス第5幕の主人公のセリフ「明日か、その明日か、そのまた明日が一日一日ゆっくり過ぎて、やがては時の最後に行きつくのだ。」私は今回、ひょっとするとダイナマイトに火がつくヒューズが(まだ火がついてはいないが)危ないことを指摘した。この見通しが外れますように。

 

 

 

« 映画「クーデター」と急落を演出したヘッジFの「次」(第791回) | トップページ | 映画「TED2]とアホな日本の機関投資家(第793回) »