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2015年12月29日 (火)

映画「母と暮らせば」と日韓慰安婦問題の決着(第807回)

映画「母と暮らせば」と日韓慰安婦問題の決着(第807回)

 山田洋次監督の最新作で吉永小百合と二宮和也が主演。私の好きな黒木華が助演、これがいい。

 この映画は井上ひさしさんの「父と暮らせば」のオマージュ。助産婦の母と息子の亡霊とその恋人の物語だ。息子がなくなったのは長崎の原爆で、舞台はその3年後。

 テーマはもちろん反戦、反原爆だが、母と息子の情愛が巧みに描かれていて私は何回も涙を流した。映画で泣くなんて久しぶりだった。ことしのベストスリーに入る名作と思う。

 

 今回は28日に合意があった日韓外相会談について。私は記者会見を含めて報道を目を皿のようにしてみた。

 ここで一番大事なところは「法的責任」でなく「道義的な責任」に止めたこと。第二に重要なのは「最終的で不可逆」な合意であること。なぜか。

 理由、背景をまとめてみよう。

 日本政府は慰安婦問題について1965年の国交正常化の際に締結した「日韓請求権協定」で法的に解決済みとの立場だ。

 その一方で対韓関係に配慮して代々の政権は、私が観る限り不必要なまでに低姿勢を続けてきた。

 93年には河野長官が「お詫びと反省」の談話。元慰安婦への償いのための「アジア助成基金」を設立して償い金を支給。道義的責任を認めた歴代首相のお詫びの手紙まで添えた。

 それでも韓国側は政権が変わるたびにこの問題を蒸し返してきた。政権交代の直後は「未来志向」で合意しても、来期になるとまた騒ぐ。

 一番日本人全体が醜悪で、私など腹のそこから激しい怒りを感じたのは、2012年8月の李明博大統領(当時)だろう。

 8月10日に竹島の大統領として初めて上陸。問題視した日本側に「天皇陛下が日本の植民地支配からの独立運動をして亡くなった方々に心から謝罪するなら来なさいと日本側に言った」と発言した。

 この前任に続いた朴大統領も慰安婦問題でのお詫びの手紙まで添えて。

 それでも、それでも韓国側は人気取りのための反日を繰り返してきた。

 朴政権の言い分は「被害者の受け入れ可能で、韓国国民が納得できる」解決策を要求。支援団体は法的賠償を求めてきた。

 

 しかし、日本側は法的責任を認める余地はない。日韓請求権協定で日韓両国間の請求権は「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記されている。例外を認めれば、すべての国と戦後処理をやり直さなければならない、ハナから無理な注文なのだ。

しかし今回、岸田外相は「請求権への日本政府の立場は変わっていない」と述べた。日韓双方の外相が「最終的かつ不可逆的な合意」とした。「責任を痛感」という合意は、岸田外相は「この表現につきる。それ以上でもそれ以下でもない」と。法的責任はなく、道義的な責任(NHKの記者解説)ということだろう。

 韓国側は日本大使館の前の少女像の撤去も努力を約し、ユネスコの世界記憶遺産に対し韓国は申請国に参加しない、とも。

 しかし、韓国側の報道はちょっと違う。12月28日付中央日報によると、少女像の撤去は「外交部当局者は『これは明確な合意事項とは言えない。日本側の憂慮の定期について韓国側が承知したということに過ぎず、交渉の対象はやり取りをしたというものではない』」と述べた。早くてもゴールが動き始めているのではないか。本当に「最終的」か。

 

 安倍政権はリスクヘッジを考えているらしい。来年3月ワシントンでの核安保サミットで日米韓首脳会談を別途開催し第三者である米国政府に「最終決着を保証してもらう」と報道されている。(朝鮮日報12月28日社説)。一方的に日本側の発表のみ見ないで、韓国側の報道も注意しなくてはなるまい。

 

 私は日債銀時代、ソウルに駐在員事務所に行ったことがある。そこの事務所長は伊達さんという人だったが、「豊臣秀吉の部下の子孫」だから、と仕事が何も来なかった。また現地のパーティーで山一證券時代に知っていた知己から、あそこの人は自分の家が秀吉に焼かれた、と言ってるぜ、といわれた。

 これじゃあ日本企業の地歴財産権の侵害や日本国内の重要文化財の窃盗と返還拒否などなど。何十とあるアタマに来る韓国人の利己的行動の独りよがりも理解できる。日本人の「嫌韓」はむしろ当然。米国の保証は、また向こうがゴールを動かさないために絶対必要だろう。合意文書が全くないことでもあるし。

 

 以上、延々と述べたが、安倍外交のヒットと考える。来年の衆参同時選挙にプラスするだろう。それにしても、10億円は朝日新聞に出させるべきだ!

 

 映画のセリフから。死んでしまった伸二(二宮和也)が母の伸子(吉永小百合)に言う。「僕の運命さ」。「町子(恋人で黒木華)が幸せになってほしい。これは僕と一緒に原爆で死んだ何万人もの人たちの願いなんだ」。こうした考え方は、あの国の人たちに金輪際、出来ないんだろうなあ。

 

 これは806回だが週末の新年版第一号はまた別に。今回は特別年末号ということで。皆様どうぞ佳いお正月をお迎えください。

2015年12月26日 (土)

映画「用心棒」と中国リスクの再検討(第806回)

 

映画「用心棒」と中国リスクの再検討(第806回)

 このコラムで映画を導入部にする―という私のアイディアは、ちょうど上映開始になった作品がピタリとテーマに会うといいのだが、ダメだと四苦八苦。

その場合は黒沢明監督の名作を使うことにしている。読者はご存じだし名セリフも多い。

今回は、2015年の世界のテーマ「米中対立」が今後どう展開するか、を書く。せまい宿場町に二人の親分、というのはいまの世界によく似ているじゃないか。

 私は中国の経済がかつてのソ連と同じように内部から崩壊すると予想し、時期は2017年後半から18年、とも。

 一方、楽観論も根強い。代表的な論者は林毅夫・前世銀チーフエコノミストで「2030年まで8%成長可能」。論拠は①都市化によるインフラ整備②改革、開放の余地大③後発の利益④高いキャッチアップ能力。

 一方中国専門家の津上俊哉さんはやや悲観的で「すでに潜在成長率5%に低下」。お名前は言えないが私が尊敬しているエコノミストは最も悲観的で「足下はせいぜい4%で2020年には2%」

 理由は次の通り。労動生産人口はすでに2015年から減少開始している。

 この方は「改革を阻んでいるのは9000万人の共産党員と2億人の都市貴族」。これが12億人の下僕あるいは農奴を支配しており、人材の有効活用は無理。既得権益はそのままで打破できない―と見る。

 そして長期停滞が長期化した後体制は崩壊し、内戦とか難民を日本としては心配しなくては、とまで。

 

 私はこの悲観論に味方する。そして中国人民元が来年9月にSDRに入るがこれは「両刃の剣」。資本移動の完全な自由化が認められるので、必ずヘッジファンドのエジキになり、そこから危機が加速化すると思う。

 また、いまは財政・金融政策何でもありで、住宅バブルは再燃し自動車の売れ行きもふたケタに乗せている。しかしこれは「最後の悪あがき」だろう、と前記のエコノミストは評する。

 

 問題は世界の資源国やNIES・ASEANに価格の下落で悪影響がはっきりしていること。日本は対中輸出はGDPの2・3%でしかも下落中。景気停滞が長期化すればさらに下がる。外国人ファンドマネジャーには私は「中国がどうなろうと、日本経済は大丈夫」と言っている。企業によっては現地法人の収益の寄与が大きいところがあるから要注意だが。

 

 そうなると、日本で販得権益による抵抗に風穴を開けつつある安倍政権に、対中国の比較でも、もっと点数をあげてもいいのではないか。

 

 株式市場の方。年末大納会前の三日間、トウビの一振。20年間で17勝三敗。このジンクスを今週は信じることにして。お粗末。

 

 映画のセリフから。三十郎が両陣営から値をつけるのを待っている。権爺「フン、たかが用心棒になるだけじゃねえか」三十郎「用心棒にもいろいろある。雇った方で、用心しなきゃならねえ用心棒だってある」

 先日米国はSDRへの人民元採用に当たって元財務長官ポールソン氏を派遣して細目を「助言」した。雇った方の中国は、用心したんだろうなあ。

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2015年12月21日 (月)

映画「スターウオーズ フォースの覚醒}と私の強気(805回)

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映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」と私の株価「3万円以上」の強気(第805回)

 大宣伝の効果もあり、興業収入も関連グッズも好調。映画の出来は正直言って1977年の第一作を100とすると、私の評価は60点。

 主演の俳優が若いのはいいが、ハリソン・フォードのハン・ソロも、キャリー・フィッシャーのオーガナ姫も残念ながらトシには勝てない。アクションが中心となり、第1作のような奇想天外な宇宙生物が影をひそめるのもガッカリ。私は18日()に観て、19日、20日もチケットは買ってあったが止めた。「母と暮らせば」を見るのと国立劇場で「東海道四谷怪談」の通しを楽しむつもりだ。ネタバレ承知でストーリーを書くつもりだったが、やはり止めた。映画の面白さはたとえば第一作のダース・ベィダーの独特な呼吸音とかジョン・ウィリアムズの音楽とか。デティルにある。今回は乏しい。ルーカス・プロから版権を買ったディズニー・プロにとっては高くついたのではないか。

 

 さて、12月7日から11日、そして14日から18日の2週間。映画にしてもいい位NYも東京も株式市場でのいろんなことがあった。

 乱高下が特徴だろう。ともかく、ふたケタの上下の日がないし最小の変動幅がNYの14日103ドル上昇。

 どうしてこんなに荒れるのだろう?

 NYの方はわかる。9年半ぶりの利上げ。強気に考える人は「アメリカ経済はそれほど強い」とみるし、逆にジャンク債バブル崩壊とか新興国デフォルトの引き金と見るだろう。もう80カ月続いている米国景気(消費中心)の終了を懸念する向きも。チャートでみるとみごとに三段上げを完了しているし。となると市場が見ている3回の利上げに至らずまた利下げ―という悪循環も可能性としては、ないとは言えないだろう。

 私は、それでも日本株は上がると考える。いや、私には、見える。オカルトじみていてまことに恥ずかしいが。

 理由は、私の新著「2016日本経済投資のシナリオ」に書き込んだ。またこのブログも少しづつ紹介してゆくが、根本には、日本はすでに海外諸国(欧、米、中国も)バブルの後後始末のためのリフレ政策とデフレの悪循環に入るかも知れないが、日本は卒業している。また老齢化への対策も他国より進んでいる。

 ロボットスーツ、シルバー市場、高齢労働者の活用、宅配サービス、それに「終活」。11月30日のウォールストリート・ジャーナルは大特集して「2050年の日本は巧妙な高齢化戦略で世界をリードする。シニア市場の拡大は人口減少の悪影響を埋め合わせる以上の効果をもたらす」とした。

 株価と何か関係あるの?と聞かれるだろう。私は、波乱はあるだろうが東京株式市場はあと数年のうちに「3万円以上」に到達する、と考える。明年は2万6~7000円にあるフシ目を突破する可能性がある。

 何か不安材料はあるか。大ありだ。

 NYの下げ、一匹狼テロによる要人の暗殺、米国NY、ワシントンでのテロ、ドイツでの「何か」恐ろしいこと、などなどいくらでも。中国のハードランディングはまだ先のことだが。

 先ほど言い忘れた。日本の株価を激動させた要因は、裁定取引を含めた巨大な仮需だ。これと1秒間2000回の巨大な超高速取引が時々、大きな上下動、特に下道を起こす。これは私に言わせればクシャミみたいなもの。長期上昇の方向さえ間違わなければ大丈夫だ。

 まだ今週も銘柄を書かない。お楽しみはまだまだ先に。

 

 映画の冒頭「ア・ロング・タイム・アゴウ・イン・ナ・ギャラクシー、ファー・ファー・アウェイ」と出てきて、巨大なヨコ文字。字幕、やっぱり、映画はいいなア。私の映画好きは、まだまだ続く。

2015年12月15日 (火)

12月14日の急落は根が深いかも(第804回番外)

 私の前回のこのコラムで、12月10日の1万9046円で底値圏に到達した感じと述べた。ただ断言しにくいのは12月18日のNY市場のメジャーSQが心配なので ― とも。
書いたのは12日の深夜だが、その後重大なニュースがあった。
7億8800万ドルを運用するサード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンドが、顧客の解約を停止。続いてヘッジファンドのストーン・キャピタルが同じ換金停止を発表した。
理由は運用対象のジャンク債の流動性が低下、資産の投げ売りで顧客の損失を大きくするのを防ぐため。
 つれて週末にはジャンクボンドの利回りは急上昇、米国国債利回りは急低下。CDS指数のプレミアムは2012年12月以来の高水準となった。NY市場はほぼ全面安で金融、ITなどファンドが好んで組み入れている銘柄が売られた。ただ、月曜に小幅反発した。
当面、米FRBの15~16日のFOMCが予定通り利上げするかどうかに注目が集まる。この解約停止が金融システム不安につながると判断すれば利上げは見送り。逆に言うと、利上げは「心配なし」のサインだろう。
 ただ、売り仕掛けの犯人たちには絶妙のタイミングだ。週末にはスーパーSQがあり、翌週はクリスマス休暇で運用は留守、空き家だ。
米FRBは販売停止を事前に知っていたかどうか、仮に週末に知って調査していても、情報はFOMCでの討議に影響を与えること必至だ。
 せっかく経験則からニ番底を予測したが、少なくとも今週中に危機の不安に悩まされるだろう。しかし、現実には金融システム全体の動揺にはならないとみる。
 結論。日本株は現在、年内最後の買場提供で、いま二番底形成中。この見方は変えない。

2015年12月11日 (金)

映画「羅生門」とFRBの利上げのもたらすもの(第804回)

映画「羅生門」とFRBの利上げのもたらすもの(第804回)

 先週私は新しい不安材料としてテロを取り上げた。その直後に例のカリフォルニアでの夫婦による乱射事件があった。組織的でない「共感テロ」には止める名案はない―という私の不安が的中してしまった。何とも言いようがない。

 今回取り上げる「羅生門」はご存じだろう。黒沢明の名を一挙に世界的にしたベネチア映画祭のグランプリ獲得作品。外国人と話していて「ラショーモン」というと、人間というものの不可解さとか、解けない謎、という世界語になっている。すごいなア。

 芥川龍之介の小説は、盗賊、殺された男の若妻、それに巫女(ミコ)が呼び出した被害者の男の三人のお話。黒沢監督と橋本忍さんは目撃者の木こりの話を付け加えた。映画としては、これがあったからカタチになったと思う。

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今週、16日にはFOMCが終わり政策金利引き上げが、市場によると、78%の確率で実施される。

 この利上げについて①もうこれだけ長い間討議されていたのだからマーケットは織り込み済み②アメリカ経済は利上げできるくらい好調、だからNYダウは買い③FRBの出口戦略はグローバル経済にとって世界株安、世界生産減.だから売り。この三つの見方が併存している。まるで「ラショーモン」じゃないか。

 そう思っていたら、映画と同じく「第四の見方」が出た。大和総研が「第18回日本経済予測(改訂版)」で「米国が出口戦略を講じると何が起きるか?」でくわしく分析している。それによるとー

 FRBによる利上げの悪影響をECBの緩和で相殺するのは困難だが、2017年までの累計で世界経済を0・25%押し下げる」

 米国自身への悪影響は「米国景気に中立的なペース」で利上げのペースがおさまるのであれば、世界経済へのマイナスはほとんどない。

 中国を除けば新興国はテールリスクではなくなっている。

まあFRBにゲタを預けた形だが、私は製造業関係の指標は良くない。しかし米国GDPの7割を占める個人消費はいいので、米国経済は好調を持続するだろう、と考えている。NY株は一部の人がいうような急落は起きないと思う。

 

 日本の株価で云うと、どうだろうか。

 私は「夏の嵐」の株価急落時に、「二番底」が11月か12月にはじめにつくから、そこで買いに出る、と述べてきた。

 9月29日が一番底で1万901円、]12月1日が戻り高値で2万0012円。私はそこから1000円ぐらい下の1万9000~、1万8900円と何となく考えていたが、今週木曜日の引け値は1万9046円になった。運動会での「位置について、ヨーイ」だ。「ドン」と号砲が鳴る日が近い。

 というのは中国経済の悪材料が続出しているし、原油は安い。だから今週は安値の日が多くなる。メジャーSQの直前だし外国勢の裁定解消売りもあるし。来週15~16日のFOMCまでポジションはとりにくいだろう。ついでに言うと、17日はNY市場のスーパーSQだ。6700億ドルのプットオプションの決済がある。ちょっと心配。だから「位置について、ヨーイ」だ。うす商いのうちに底値がつく。もちろん買い材料は、なかなか見えない。底値時期のジョーシキだ。

 買いが入るのは、外国のインデックス投資の機関投資家だろう。

 ことし1~12月(8日まで)で、米ドル建てで世界第一位の値上がりは日経平均ですゾ。8・8%。ユーロ建てだと20・8%、英ポンド建てでも12・9%。

 ドル建てだと2位は伊FTSE2・0%、ユーロ建てだと2位はナスダック、19・5%、英ポンド建てもナスダック11・7%。

 これじゃあ翌16年の日本株をもっと組み入れます、と投資計画を書かなきゃ恰好がつかない。年末高が年始高につながるに違いない。

 ちなみに前述の大和総研のレポートに前提条件としてー

 為替レート2015年度122・6円、2016年度125・0円。②米国の実質成長率2015年プラス2・5%、2016年 2・6%③2017年4月消費税率引き上げ。

何を狙ったらいいか。それは来週以降のお楽しみ。

 

 映画のセリフから。四つの話を聞いた後、羅生門に捨てられた赤ん坊の泣き声。その産着をはぎ取る下人。この上田吉次郎は憎々しかったなあ。そこで志村喬の木こりが赤ん坊を抱いていう。「ウチには六人の子がいる。六人育てるのも七人育てるのも同じだ」。これで救われた顔をしたのが千秋実の旅の僧。雨が止んで明るくなった羅生門。そうです。雨は必ず止むのです。

 

 多襄丸の三船。犯される若妻の京マチ子の熱演。それより殺される男の森雅之が巧かったなあ。先日CS放送で恐らく5回目ぐらいだが、観た。傑作。

2015年12月 5日 (土)

映画「コードネームUNCLE]と新しい不安材料(第803回)

映画「コードネームUNCLE」と予想外の不安材料の抬頭(第803回)

 スパイ映画は気がきいたセリフとアクション、セクシーな美女、それに何ともスゴいカタキ役が揃っていないとサマにならない。期待して観に行った「007スペクター」はガッカリした。若い方の美女役がダサくてブスとは言わないが魅力は日光の手前、イマイチ。カタキ役は存在感ゼロ。いいシーンはあるがとても合格点はやれる作品じゃない。

 一方、今週のネタにした映画は今年の製作だが、1963年の冷戦時代が舞台。原爆のつくり方を熟知している行方不明のロシア人科学者を探すため、米国とソ連で一人づつスパイを提供する。何とも奇想天外な「0011ナポレオン・ソロ」。TVの人気シリーズで64年から68年まで。」すぐ日本でも放映され私はファンだった。

 今回「コードネームU・N・C・L・E」は主役二人が適役で、スピーディ感のある展開、シャれたセリフと英国人監督らしい皮肉、それにカーチェイスもまずまず。第一に科学者の娘役とその父を監禁したカタキ役の伯爵夫人がともに魅力的。

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先週私がアベノミクスが「第三の矢」で既得権益から猛反発を受けている「岩盤規制」に風穴を開けつつある。またその事実に気づいた外国人投資家が日本株投資比率を上昇しつつあると指摘した。

 早速ある敏腕記者が問い合わせしてきたが、実は今週、来日中のあるミュ-チュアル

ファンドの運用担当者から「会いたい」。私は講演でどうにもならない日なので、じゃあ電話

で―。20分も話したかと思う。私の先週の見方は正しかった。

 やはり関心は政治で「来年の衆参同時選挙はなぜ?」「公明党へのけん制球。軽減税率

で対立しているから、というのが通説。しかし私はやる可能性60%と見る。」

 

 「理由は?」「2017年4月の消費税増税前後に衆院選をやれるはずがないし、来年なら野党の結集も選挙準備も全く不可能。1月4日の通常国会召集で参院選の日時決定も柔軟性を増した。」

 「勝てば?」

 「安倍首相が長期政権になるし、支持率も最近49%台(前月比8%増)と上昇中。今でも党内でダントツだが自民党で“一強”立場をずうっと続けられる」

 私は先週、先物中心に買い上げているヘッジファンドは2万円達成で売る。だから一日で日経平均何百円かの大幅下げが近い将来どこかである。しかし、そこは買い場。これは繰り返しになるが。私はこの数年の間に日経平均は3万円以上になると予想しているから、2万円近くでの乱高下はむしろ大歓迎だ。

 

理由は―。長くなるので、近い将来、書店に並ぶはずの私の36冊目の本「2016 日本経済投資のシナリオ」(フォレスト出版)で書き込んだ。買っていただけると嬉しい。

  この本で私は予想もしていない不安材料をずいぶん書き込んだ。しかし新しいブラックスワンが

現れた。それは例のISの(考えたくもないが)米国でのテロだ。

        ランド研究所の調べではIS英国とほぼ同じ広さの領域を支配、原油密売、イラク銀行からの

現金強奪、制圧地域からの徴税で2014年だけで120億ドルを集めた。

 アルカイダが「911」の計画、実行に50万ドルをかけたから、ISはあれと同じ規模のテロは

2400できると計算だ。

 具合悪いことに、オバマ大統領がテロ退治の成果を誇示すると直ちにISは行動を起こしてきた。

            パリのテロは11月13日に起きたのはご存じの通りだが、その前日ABCテレビに「IS押さえ込み戦略は成功している」と発言。少し前だが昨年1月7日対談でISを「直接の脅威になるような力はない」と述べたが、その1週間後にISはイラクに侵攻、米国人人質を斬首した。どうもオバマ大統領をISはオチョくっているらしい、という声が上がっても仕方あるまい。それもそうだろう。

            2011年1月に始まったシリア内戦終結に向けてオバマ政権は何もしなかった。難民発生防止の

ため当初から国連が求めていた安全避難所建設と飛行禁区域の設定を米国は拒んできた。

 

 もちろん最大の責任はシリアのアサド大統領とISにある。しかし大量の難民発生にオバマ

大統領の責任は否定できない。しかしこの人は簡単に自分のミスを認める人じゃない。

また、やるだろう。ISの能力を否定し、ISはテロを引き起こす。

 ワシントンポストの世論調査では-

 ISの対米テロを恐れる     81%

 シリア難民の受け入れ拒否  73%

 オバマのテロ対策不支持   54%

 地上戦闘部隊派遣支持    60%

従って、パリのテロ「イレブン・サーティーン」は、第二の「ナイン・イレブン」につながる。と米国市民は考えている。やはりこの危険性は無視できない。それでも私は日経平均3万円以上の目標は崩さないがー。

 

映画のセリフから。ナポレオン・ソロはイタリアの巨大企業オーナーに接近するため美術品

ディーラーに化けて言う。「御社のコレクションは素晴らしい。しかし私どもプロから見ると

統一性に抜けているところがあります。その隙間を補うことが、私のサービスです」。

私の著書のブラックスワンはスキ間があった。反省。

 

 ついでに。先々週の米国下院でのヒラリー追及委員会で、実に11時間に及ぶ共和党議員のいじわる質問を彼女は見事な回答でかわし切った。これでベンガゲートはオバマの責任に米国世論はまとまったように見える。共和党の候補の乱立、ジョー・バイデン副大統領の立候補辞退もあり、ヒラリーは有利な選挙戦を進めるだろう。それにしても、大した女性だなア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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