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2016年2月26日 (金)

映画「ディーパンの闘い」と円高・株安のHF仕掛け(第815回)




映画「ディーパンの闘い」と円高・株安のHF仕掛け(第815回)

 第68回カンヌ映画祭で最高賞を獲得した秀作。難民が滞在を許可されたのちに文化や環境、言語の違いで直面する差別やアツレキ。そこから発生する暴力的破壊を取り上げている。監督は「真夜中のピアニスト」のジャック・オディアール。

 26年間も続いたスリランカ内戦の「タミル解放の虎」の兵士で、政府軍との戦闘で妻子を失ったディーパンは赤の他人を妻と娘と偽りフランスにのがれる。審査を何とか通りパリ郊外の集合住宅に住み、主人公は団地の管理人、偽の妻の家政婦、娘は学校に。

 この団地は麻薬密売組織の拠点でリーダーは妻が世話する老人の甥。そこから三人は抗争に巻き込まれてゆく。ディーパンは自分の中では終わっている闘いを再開しなくてならない。スリリングな展開だ。

 昨年末からの世界的株価暴落は何とかショックという名がついていない。世界的なテールリスクつまりブラックスワンがいくつもあるからだろう。

 みんな原因は外国。中国?中東?米国のジャンクボンド?日本は国債への中国買いによる円高、中東SWFの日本株売り。そして両方を加速化拡大化したのがヘッジファンド―という構図だ。私が恐れている欧州の大手銀行の「第二のリーマン」化で不安が顕在化して終わりになるのだろう。時期は9月のドイツの選挙後と考える。

 そのあたりで円高、日本株売りが完全に終了。日経平均「3万円以上」まで長期上昇が続くと私は確信をもって予想する。

 目先は「円高・株安」の“ジャパン・トレード”のウラ返しが進行するだろう。円の対ドルチャートで見ても、2014年以降の動きは「ヘッド・アンド・ショルダー」つまり三尊型の天井。最安値は昨年6月の125円で、あるチャーチストは1ドル105円というオソロシイ値を予想している。

 つまり長期ドル高円安は終わった可能性が大きい。本来円安になるはずのマイナス金利が効果を出す前にかなりな円高が起きる。

 では日経平均は?去る2月の1万5000円割れでセリング・クライマックスは終了した。また、中国人民銀行総裁の発言から推しても、とりあえず終わりだろう。ただし、ヘッジファンドの円の買い持ちは、2012年以来の高水準で、まだ大もうけを狙っていることはお忘れなく。彼らは財務省の言う「危ない日本の債務」説は信用していない。

 株価に話を戻す。産油国のSWFの株売りだ。

 昨年のSWFの売りは(もちろん米国中心だが世界的に分散)2133億ドル。2016年4かりに原油価格430~40ドルと仮定するとある専門家は4000億ドルの売りがあると予想している。ことし1,2月のようなことはないだろうが、5匹のクジラが頑張っても、市場の7割を占めている外国人の力は無視できない。

 日本株の動きは円建てNYダウと酷似している。米国株の動き次第ではPERやPBRで割安水準に達しても、なお売られることも、あり得る。そこは買いチャンスととらえたい。

 結論。ミセス・ワタナベは円売りドル買いはおやめなさい。株の方は案外維持コストが高いが、日経ベアのETFをタイミングを観て狙うのもこうした時期には一策に違いない。またSWFの持っていない小型、または低位銘柄で業種の良いものを狙うのも、いい。

 普通なら映画のセリフから、なんだけど今回は「難民」という大テーマのトレビアを。兵頭二十八さんのブログからの一部引用です。

 TVに出る「難民」の正体は政治難民ではなく貧困ですらない、密入獄ブローカーに大金を払い、国境での官憲の詰問への答え方も教えてもらう。中東、アフリカ、欧州では「人間密輸」ビジネスはすでに昨年10億ドル産業になっている。

 またTVが報じる「難民」の二割がシリアからで残り7~8割はかせぎのチャンスを求めてきている若い男たちの偽難民はリピーターも多く、西欧では必ず指紋と虹彩をとって人工管理局と警察で共有している、とか。

 あとオマケだ。遺体を焼くときの音楽がヴィヴァルディの「ニシ・ドミヌス」第4番「主は愛する者の眠りを与える」。これはいい曲で007のスペクター」でも使われていた。

2016年2月21日 (日)

チャップリン「街の灯」と株価倍増狙いの注目株(第814回)



チャップリン「街の灯」と株価倍増狙いの注目株(第814回)

 浮浪者チャーリーと盲目の花売り娘のご存じ人情物語。私はチャップリンの作品で最高傑作と思う。何といっても、あの優しいほほえみのラストシーンが素晴らしい。

 盲目の娘は自分が落とした花を拾ってくれたチャーリーが、タクシー(当時は超ぜいたくな乗り物)で去って行ったと勘違い。超富豪と思い込む。一方チャーリーは自殺しようとした富豪を助け友人になるが、この人は酔うと友を思い出すが、シラフになると忘れてしまう性癖がある。

 チャーリーは富豪から、目の手術代として1000ドルを援助してもらう。しかし折あしく室内に強盗がいて、頭を強打された富豪は失神。チャーリーは警察を呼ぶが目を覚ました富豪は友を忘れている。チャーリーはお金を娘に渡した後刑務所に。そしてー。

 いまは目が見えて花屋を開いている娘は、あわれみから一輪のバラと小銭を手渡すが、その時、この浮浪者が恩人だったと気付く。困惑しながら笑うチャーリーのクローズアップ。忘れられないラストだ。

 

 私は中国の共産党独裁体制が永続するとは毛頭思わない。しかし体制維持のため、あの国の官僚たちがいろんな手を使って対策を始めているらしい。ちょうどチャーリーが盲目の娘の家賃と目の手術代のため、お金を工面しようとしたように。

 

 まず第一。人民元の切り上げを無理してやっている。第二。過剰生産能力で赤字操業の業界に銀行の融資総量規制を1月21日に決めた。19業種で鉄鋼、造船、アルミ、セメントなど。

 とくに鉄鋼。生産能力削減は昨年以降6000万トンだが、1月22日国務院ではさらに1億から1億5000万トン削減する。これで赤字体質のゾンビ企業に対し破産措置をとり、50万人の失業予想者には早期退職。また地方政府の税収減には補助金を中央政府が支給、国有企業へも負債軽減。至れり尽くせり、と言っていい。

 それはそうだろう。一般鋼材の熱延コイル価格はトン280ドルで1年前の4割安。世界中に赤字とデフレを振りまいている、と評判が悪い代表業種だ。

 これだけでなく、私は中国で「何か」が起きていると考える。

 まず昨年12月の原油輸入数量が過去最高。ことし1月の銀行貸し出しがなんと2兆5000億元と月間貸出しの新記録。2009年3月のリーマン直後のあの4兆元投資の直後の1兆8000億元を大きく上回った。世界中の中国は何もできない、ダメだ、という評判が中国首脳に聞こえてない、と思えない。かなりの決意で「何か」を始めたのだろう。

 そう考えて来ると。私は何年もたくさんの資料やアイデアを送信してくれている富国生命の市岡繁男君を思い出した。このブログの最後につけてある「村田製作所(6981)」と新日鉄住金(5401)の天底が一致する」という着眼点だ。

 市岡君は「85年以降、天底一致は89年、00年、08年の3回。ピークとボトムのインターバルは1回目13か月間、2回目7か月間。3回目は12か月間、今回は、村田の株価ピークは昨年6月なので、今年1月か6,7月。つまりあと数か月以内に新日鉄を買うタイミングが到来しそうです」と言っている。

 私は新日鉄もさることながら、神戸鋼(5406)にも魅力を感じる。動くときは一緒だからだ。

 改めて言うが、もちろん鉄鋼業界に、いま、明確に株を買う材料は何もない。期待感だけだ。

 日経2月19日付、新日鉄住金首脳の「価格の大幅上昇は見込みにくい」という発言を掲載、輸出採算の改善は時間がかかるとの見方が多い、とした。それでも、神戸鋼株式の売買量が急伸しベスト10に入っている。80円台で安いし、高値は昨年8月に201円がついていた。損をしても80円がゼロにはならないし、うまくいけば倍以上の夢がある。推奨じゃありませんが、ね。要注目、です。

 いつもなら映画のセリフから、だがこの「街の灯」はサイレント映画だからセリフはありません。悪しからず。

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2016年2月13日 (土)

第813回オマケ2015年9月号「選択」誌拙稿

「選択」2015年9月号

名門「ドイツ銀行」のまさかの経営危機

 つい3年前には総資産で世界第1位、その後中国勢にその地位は奪われたもののなお第4位。もちろん欧州で首位であり、我が国の三菱UFJフィナンシャルグループに並ぶドイツ銀行に、何とも信じがたい事件が続発、米国ヘッジファンドの信用するレポートには「第二のリーマンか」という記事が掲載される始末だ。

 そのレポートは「ゼロ・ヘッジ」。概要をまずお伝えしよう。

 2008年のあのリーマン危機を振り返ると、同社の経営危機は直前まで一般に知られていず、倒産まで文字通りアッという間だった。しかし事情を知っていた筋、たとえばゴールドマンや一部のヘッジファンドは、リーマン株に対し大量の売りポジションを取っていた。2007年暮れからの売り建てである。

 当時の資産担保証券の販売が好調だったが、そのころからサブプライムローンの状況が芳しくないということは情報としては知られていた。リーマンに結びつける異変の表面化は2008年6月9日の格付けで、フィッチ社がリーマンをAAマイナスとしてからだった。

 奇しくも7年後の6月9日、S&Pがドイツ銀行の格付けを2段階引き下げてBBBプラスとした。同行はいま、当時のリーマンと同じ状況かあるいはそれ以下の状況にあるのかもしれない。

 かつてはトリプルAに評価されていたドイツ銀行だが、この15カ月の間に次のような異変が起きている。

 まず2015年4月にECBから自己資本TIERIの13億ユーロの増加を迫られた。次いで5月に80億ユーロの手持ち株を最大30%引きで売却した。なぜそれほどまでに資金繰りが悪化していたのだろうか。同時期には銀行のストレステストに合格せず、再び資本増強を迫られている。

 また4月にドイツ銀行は米司法省、商品先物取引委員会、NY州金融監督局に21億700万ドル、英国金融行動監督局に2憶2680億ポンドのLIBORの不正取引への制裁金を支払った。5月にCEO三人のうちアナシュ・ジェイン氏に強大な権限を付与する決議がなされた。

 ところが前記の6月の格下げ直前にそのジェイン氏が6月末に退任すると発表、残る二人のうち一人も2016年5月に退社する。

 たしかにこれだけの異常な出来事が連発すると、何かが起きている、と考えざるを得ない。

 同レポートによると、昨年末にドイツ銀行は52兆ユーロものデリバティブを抱えており、これはドイツのGDPの2・5倍。米銀もデリバティブは持っているが5兆ドルで文字通りケタが違う。

 日本でも知られているジャーナリストのベンジャミン・ミルフォード氏は「ギリシャ経済の破綻はドイツ銀行の共倒れを呼ぶ」と警鐘を鳴らしている。

 同氏によるとドイツ銀行のデリバティブ保有は54兆7000億ユーロに及び、経営のリスクは極めて高い。

 その巨額なデリバティブの中には、ギリシャの債務支払いを債権者に担保するような内容のもの(CDS)がかなり含まれている。非常に危険な状況であることは言うまでもない。

 2010年にギリシャ危機が発生して以来、同国は世界の金融機関から融資を受け、つい先ごろにもデフォルトをかろうじて切り抜けていることはご存じの通り

しかし、このめでたしめでたしの筈が、実は公的資金を使ってドイツ銀行を中心に大手欧銀の救済が行われたのが真相、と別の専門家が発表している。著者はマーク・ブラィス・ブラウン大学教授だ。

 フォーリン・アフェアーズ誌に発表された論文は次の通り。

 「メディアはギリシャ人の怠惰さ」を強調するが、現実にはそうではない。危機のルーツは欧州の金融システムにあった。1999年にユーロが導入されると、ギリシャの銀行も安いコストでユーロ資金を調達し、観光施設などに融資した。

 ユーロ導入以降の10年間で欧州の銀行資産は急激に拡大し、ドイツ銀行を中心にギリシャなど南欧諸国への貸し出しは4930億ユーロに達した。この資産拡大が急速過ぎたので、資本と資産の比率(財務レバレッジ)が2倍に高まってしまった。これは異常な水準だ。

 かりにギリシャがデフォルトに陥れば、ドイツ銀行などが損失を埋め合わせるため手持ちの国債を売却。大混乱が発生すること必至だった。

 そこでEU,ECB,IMFのトロイカが総額2300億ユーロのギリシャ支援プログラムを実施した。」

「ある試算]として、この論文は驚くべ真相を暴露している。2300億ユーロの救済資金の90%がギリシャを経由して、主にドイツ銀行やフランス大手銀行の支払いや資本増強に使われた。

 この事実の証言者は元独ブンデスバンク総裁のペール氏で「すべてはドイツとフランスの大手銀行の債務を帳簿から消し去ることが目的だった」としている。現在のEUの金融システムは2008年のリーマン・ショックの直前といかに似ていることか。

 あるヘッジファンドの運用担当者は筆者に、最近の研究会でのユーロ発金融危機の可能性についてレポートしてくれている。前述の記事と少々ダブルが読者は我慢して頂こう。

 「BISデータによると2014年末のCDS元本は16兆ドルでその価値は5900億ドル、CDS保証料率は3・7%。2013年末は3・1%だから、デフォルトの危険性は上昇している。

 CDSを購入するということは、その対象先の連帯保証人になるのと同じだが、この補償義務はオフバランス(簿外)である。対象先の倒産リスクが高まるとCDSの流通価格は上昇し、1年以内にデフォルトした場合には元本の金額が受け取れる。1年たってもデフォルトがなければ無価値になる。」

日本人はみな2008年には「サブプライム」は知らなかった。これから「CDS」を知っておく必要があるぜ、と前記したヘッジファンドマネジャー。

 「大事なのはCDSが保証されるとデフォルトの可能性が高い不良債務でも正常債権と見なされ、バランスシート上は額面通りの資産になることだ。」

 「ギリシャ国債の残高は3173億ドルあるが、銀行同士でCDSを掛け合っているので、何倍もくになる。何倍?5倍と言われているんだ」

 1兆5000億ドルものCDSがあり、ギリシャがデフォルトし、債務削減を仮に60%とすれば9000億ドルもの保険金を支払う必要が生まれる。どこかが倒産することになるんだ。」

 たしかにギリシャのチプラス首相はEUに対し強気な交渉を繰り返し、結局デフォルトはおきなかった。危機は一見回避されたかに見える。

 しかしCDSが存在する限り、最悪の事態を繰り延べしただけ、という見方にも一理ある。デフォルトが、1年以内に発生しないとCDSは紙くずになってしまうからだ。

リーマン・ショック時には米FRBが思い切った金融緩和を行って世界恐慌は回避された。しかし欧州に危機が起きた場合、ECBが打てる施策はすでにほとんど使い尽くしている。ドイツ銀行の有事が起きれば、世界経済への波及の巨大さは計り知れない。

 前記したヘッジファンドのレターは、気になる一行で締めくくった。「リーマンのデリバティブ担当者が、現在在米のドイツ銀行の子会社の社長で、CDS事業を推進した男だ。」歴史は繰り返すのだろうか。

 

映画「ルーム」と目先急反発の週を予測、オマケ付(813回)



映画「ルーム」と目先急反発の週を予測、オマケも (第813回)

 本年度アカデミー賞の主要4部門(作品賞、監督賞ほか)でノミネートされている秀作。試写会で観た。原作の「部屋」(エマ・ドナヒュー著)も読んで面白かった。

 まだ19歳の娘が誘拐され7年間も監禁。男の子を出産する。その息子の5歳の誕生日から物語は始まる。ママを演じたブリー・ラーソンは、主演女優賞候補で息子ジャックのシェイコブ・トレンプレイが可愛くて巧いこと!ママは部屋からの脱出を計画するが、この部分は息もできないサスペンスフルなドラマ。

 しかしこの映画はそこから始まる。 新しい「世界」を発見してどんどん適応してゆく子供に対し「戻らなければならなかった」母の心は狭くなってゆく。

この原稿を書いている2月12日深夜。TVは「1年4か月ぶり」の1万5000円割れを報じている。2か月半で21%も下落した。下げ方が2008年のリーマン・ショックに似ている。

 今回は「リーマン」とか「サブプライム」といった明確な材料は見えない。やれ原油安、中国経済減速、米FRBの利上げ、イエレン発言による米国景気の前途への不安感。最近になってやっとドイツ銀行など欧州の金融不安が出てきた。

 この間の円高へのヘッジファンドの仕掛けも株安に拍車をかけた。

 1円の円高は日経平均で300~400円の下落。この円高株売りの注文が超高速取引でセットされる。取引高の40~50%がこのコンピューターによる1秒間2000回の売買注文だ。これに信用取引の期日による投げと、恐らくオイルマネーのファンドの換金売りが入り株安を加速化した。

 1月29日の日銀のマイナス金利も円高つまり本来の円安と逆に作用した。この日から欧州の銀行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が急上昇した。日銀がやったのなら、ECBはマイナス金利を拡大するに違いないという読みからだ。

 ドル安、もある。原油安は米国のエネルギー関連企業の前途に不安を生む。大手石油の業績悪。これにシェール関連の高利回り債利回り受賞により経営不安も見逃せない。

 株安で書き忘れたが、上海株式の下落もある。10時30分に上海株の取引が始まり下げ始めると、上海は先物売りが出来ないので身代りに東京が売られる―という日も結構あった。

 

 それでも、2月10,12日の大幅下げで目先リングクライマックスは終わった。断言するには早いし、この下げを予告できなかったので私自身、曲り屋だが、伊達に80歳まで市場を見て来たわけじゃない。かなりの反発を予想する。

 それでも、完全な大底とはまだ、とてもとても言えない。ドイツ銀行問題は、12日のコメルツ銀行の好決算で一応忘れられたらしいが、あのリーマンショックの時の株価を下回っている。まだ欧州の金融危機は現在進行中、である。

 

 急反発が今週、あると考えた理由は次の通り。

 底値に必要な売買金額が多い。12日は4兆円の大台を超え、10日も3兆5000億円。国内勢は年金を含め一斉に買ったが、外国人売りが1兆円を超えたので受けとめられなかったと見ていい。しかし年初来の外人売りは6兆円を超え、換金は終わったと思う。。

 アベクロ会談の後、黒田日銀総裁が詳しく内容を説明しなかったので引け際に売られた。しかし週末2日と来週早々に「何か」あるはずだ。

 テクニカルに目先底値を示す指標が多い。日経平均の移動平均からのかい離率は東北大震災後のピークを越えたし、騰落レシオも記録的だ。信用取引の損失率22%も底値を暗示。また2月10日で信用取引期日は終了している。

 12日には今回の下落期間中で珍しく、三大メガバンクの株価が寄り付きの値より引け値が上がって終わった。反発が近いことを示す。経験則だ。

 

それでも「大底だ。もう大丈夫」と言い切れないのは前述したドイツ銀行問題。私が匿名で昨年8月に「選択」9月号に書いた原稿をオマケにつけておく。誰もこの問題を言わないので、私の講演会では必ずこのコピーをつけて「世界の大きな不安材料」として申し上げてきた。NHKのニュースで、あるエコノミストが「突然に起きた」といったが、何たる不勉強。

 問題はリーマンの時は公的資金で助けたが、今回欧州では「ベイル イン」つまり預金者に損失の負担を負わせること。私は9月のドイツ総選挙まで隠し通す、と読んでいたが。メルケル首相が退任し、新しい内閣が前任者のせいにして始末をつけるというストーリーが通じなくなってきたのだろう。だから、進行中。ただ、肝心のアメリカは2008年の時より金融市場は健全化しているし、日本はとっくに大丈夫。欧州のショックにとどまるだろう。

 もうオマケを考えると紙数が尽きたが、来週は2年間ガマンして頂ければ最低2倍うまく行けばそれ以上になりそうな業種(もちろん銘柄も)申し上げます。お楽しみに。

 映画のセリフから。「部屋」からの脱出に成功。ママはジャックに「これからは何でもできるんだから」「なんで?」「自由になったからよ」。しかし5歳の男の子には理解できない。元の部屋のベッドに寝たい、とダダをこねる。時代は変わりつつあるのだが、まだはっきりと見えてきていない。それでも、日本は大丈夫。

 

 次に第813回のオマケとして、「選択」2015年9月号の私の原稿を。

2016年2月 7日 (日)

映画「オデッセイ」と中国の没落と円高株安(第812回)

 

映画「オデッセイ」と中国の没落と円高株安(第812回)

 

 「エイリアン」「グラディエーター」のリドリー・スコット監督の新作で、スリル満点で面白い。おすすめだ。

 

 人類の有人火星探査ミッションが猛烈な嵐に襲われ撤収、ところが6名のクルーの一人マーク(マット・ディモン)が行方不明。5人は地球への帰途につく。

 

 ところがマークは生きていた。傷口を自分で縫い、酸素も水も食料も、次の探査ミッションが来る4年後まで、何とか自分でつくりださなければならない。一方何とか連絡がとれたNASAは補給のためのロケットを打ち上げるが失敗。

 そこに中国が打ち上げてある衛星を中継点にして時間の節約を提案。米中両国の協力でマーク救出に努力が始まる。



 この映画の中での中国は「何でもできる中国」だ。映画の製作者の企画会議のころは、そう信じられていたのだろう。
 ところが現在の中国はどうだ。世界のリセッションの引き金になること確実。問題はそれがいつか、ということだけ、と筆者の旧知のファンドマネジャーは言う。

 この2月、ジョージ・ソロス氏はスイスのダボスで「中国経済のハードランディングは不可避だ」「これは予想ではない。実際に目にしていることだ」。こうTVで述べた。その方針で投資ポジションをとった、ということだ。

 すでに、多くの機関投資家は追随している。メリルリンチのファンドマネジャー調査では最大のリスクの可能性あるものとして「中国のリセッション」は12月の34%から1月には45%にはね上がった。

 実は日本国債の利率急低下は中国の逃避資金のなせるワザ、という情報がある。一回の注文100億円ぐらいの単位でここ半年余り、10年もの国債に大量の買い注文が入っており、その結果が0・035%という空前の低金利と、その情報をかぎつけたヘッジファンドの「円買い日本株売り」。

 迷惑に感じた日銀黒田総裁が「中国政府は資本規制を発動すべきだ」という異例の声明を出している。

 たしかに、現在の東京株式市場で40~50%の取引はは1秒間2000回の超高速取引だ。この取引では円高に振れればドカンと市場平均の売り物が出て、何百円も簡単に下がる。

 シカゴ先物市場の円投機ポジションは昨年11月には8万枚近い円売りだった。これが1月5日に4100枚は急減、123円近辺だった円対ドルレートは116,7円にまで円高に振れた。この間の株価下落はご存じの通り。

 売り材料に、産油国のファンドが大量に日本株を売った、とされた。売買高を見ていると、確かに一部に売りはあったとは思うが、大量の売りとはどうしても思えない。セールストークではなかったか、売買金額がそんなにふくらんでいない。

中国では資金の大脱走がたしかに始まっている。

 中国の外貨準備高は2014年6月がピークで4兆ドル。これが昨年末に3兆3300億ドルに減少した。1年半で経常収支黒字は300億ドル増のはずだが、現実には円にして115兆も外貨と準備は減った。

 これが北京政府がドル売り人民元元買いを行っていたなら、30%以上の人民元高になる。現実には2014年1月の対ドル6・05元から2016年1月の6・57元。元売りドル買いもしくは円買いにならないと、こんなに下がらない。

 私は、2017年後半から2018年に中国はバブル崩壊になると考える。

 日本のバブルは1990年の株価暴落に始まり、92年ごろに不動産価格の大幅下落と銀行の不良債権問題の深刻なことがわかってきた。

 米国のサブプライムローン危機も同じで、最初はごくごく部分的な影響しかなかったが、次第に不動産価格の下落幅が拡大し、影響が途方もないことが判明、リーマンショックになった。バブル崩壊の初めの兆候から2年から3年で崩壊に至った。

 2015年6月の上海株価ピークの5100が二分の一に下がった。これが崩壊のスタートと見ると、前述の2017~18年となる。

 日本経済は対中輸出のGDPへの比重の3%ゆかない。それよりも年間20万件もの対政府抗議活動(移動のことで中国当局は『群体性事件』と読んでいる、2011年)のとばっちりで法人や日本企業に被害が出ないかが心配だ。

 映画のセリフから。マークが新人宇宙飛行士の講師になって言う。「物事が悪い方に向かったとする。その時にできるのは、そのことを運命と受け入れるが、諦めずに問題を解決するか、の二つしかない」。日本人はすぐあきらめるがー。マークはつづけて「よく考えて、問題をひとつまた一つと解決してゆく。諦めず乗り越えたら、勝ちなんだ」。で経常収支黒字は300億ドル増のはずだが。どるぞうのはずだが。どる。ふれた。て、うあそくとりひきだ。

 

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