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2016年3月11日 (金)

映画「マネー・ショート華麗なる大逆転」と鉄鋼株の上昇817回

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映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転」と鉄鋼株の上昇(第817回)

 先のアカデミー賞で作品、監督など5部門でノミネートされ、脚色賞を受賞。原作はマイケル・ルイス「世紀の空売り 世界経済の破綻にかけた男たち」で、あのリーマン・ショックにつながったサブプライムという金融システムのイカサマを見抜いた四人の男の物語だ。 

 三年前からあの危機を予見し、カラ売りのポジションをとり続けたというのはすごい。その期間に辛抱できなかった出資者たちから責められ続けただろうに。

 私はリーマン・ショックについてはは講演会で予告し、当時サポートしてくれていた大手企業の経営者たちには「すぐ全部売却」とファックスした。しかし危機発生の4,5日前でこの映画の主人公のように何年も前からではなかった。もちろんサブプライムのインチキ性は言われていたし、売り手の存在も知られていた。当時私は不勉強で楽観的な立場にいたが、それをあるエコノミストにいったらコテンパンにやられた、すごい人。その人の名は北井義久さんで、当時は伊藤忠商事にいた元長銀マン。いまは日鉄住金総研チーフエコノミストだ。おかげで私がタイミングだけを注意していればよかった。当時韓国にまでリーマンは買収を呼びかけていたが、断られたのが死刑宣告になった。

 話がヨコにそれた。しかし、CDS,CDOやデリバティブなどの専門的用語を実に巧みに「画面」にした。脚色賞だけのことはある。音楽がうるさすぎたこと、胃袋が痛くなるくらいの緊張感、ワカっていない人からの批判が、イマイチ表現されていないのが難点。

 製作者で助演もしているブラッド・ピットの意図は「また近く同じことが起こるぞ」という警告だろう。

 ただ、この映画の警告の通りに、近い将来の「第二リーマン」が発生する、とは限るまい。むしろここ何日間かの変化の中には、2月2日付で私が期待した中国の鉄鋼減産効果による鉄鋼株値上がりが発生しかけている。

 中国最大の鉄鋼生産地河北省唐山市で、棒鋼ビレットの工場渡価格はトン3万5700円、三日間で16%も上昇。香港市場でのコークス用石炭株は26%上昇、ブラジルの鉄鉱石株ヴァーレ、スイスの資源商社グレンコアは年初比2~3倍。売り方の買い戻しと思惑が中心だろう。現に、ゴールドマン・サックスが「現在の資源価格回復は明確な根拠がない」というレポートを出している。現状ではこれが常識だろう。私はいろんな材料から強気だが。

 アジア市場がリスク・オンに動き出しているのに、円高=株売りのコンピュータ売買で動きが遅いのが日本。株は3月11日のメジャーSQまで、という「買わない」リスクがあったし、円は日本企業の為替ヘッジのニーズがあり3月期末を控えての円高圧力は強い。リスク・オフとみれば、株の方は来週から上昇だが。円レートも円高への振れが足をひっぱる。GPIFを含めた公的資金買いだけしか買い手がいないからだろう。売買高はこのところ極めて低水準。11日には3兆を超えたがSQが8000億円。実質の売買が、2兆300億円じゃなあ。

 それもそうだろう。昨年の高値比でほぼ日経平均は6000円も下げた。株価だけ見ていれば、リーマン級の世界大不況説を信じるのは当たり前だ。

 だから割安になっていても、買いを入れない。「リスク・オフ」だ。

 下げた理由は次の通り。①産油国SWFの世界的株売りの中に日本株も入っていた②株下落を加速化していたヘッジファンドは、上海株の下落の身代わりに東京市場で市場平均先物を売れたが、円買い・株売りがセットになっていた③ほとんどすべてのファンドマネジャーが警戒し、買いの手を出さなかった。とくに8年続いた大統領の次は誰か読めないときはリスク・オフ。中国についてジョージ・ソロス氏の悲観的な(恐らくポジショントーク)発言をTVで観たらなおそうなる。

 しかし、第一に中国がどうも一部の人の言う「突然の即死」ではなさそうだ。とくに3月に入って、日本が買うはずだったドバイ原油を中国が横取り。そんなことは1年以上なかったので、中国経済アウト説は消えた。原油価格も高い。また沿岸の高炉が生き残り、内陸部の低品質の高炉が廃止され始めたのだろう。鉄鋼業界の過剰生産能力の削減計画が確実に進んでいる。その証拠だが、豪州やブラジルからの鉄鉱石価格が3月に入り急上昇している。

 3月10日のECBの追加緩和は市場にはサプライズだったが、これで米FRBのひところの「利上げなし」派が退治され、ドル高へ。円高がストップ、となりかけている。リスク・オンになれば産油国SWFの売り玉なんて、NY上場での自社株買いより少ないじゃないか、とか。東京では何頭ものプールの中のクジラが買うから決算期が終わったら急上昇とかー。少しづつリスク・オンに転向する流れが出始めている。

 ECBのサプライズに直接の長期貸し出しオペ。国債買い入れ増額(600→800億ユーロ。社債も加える)と政策金利ゼロ、マイナス金利を0・3%から0・4%は事前の予想に近かった。しかし、全体としてはマーケットが示す通り。ドル高ユーロ安欧株高になりつつあったが、わずかの時間でもとの木阿弥、だ。

 ではECB、FRBに続いてBOJは?恐らく早ければ3月15日の記者会見前後には安倍政権側から、5兆円の補正予算・新年度予算の執行前倒し、とかーともかく参院選を控えて、景気振興のための政策パッケージが発表か暗示されるだろう。遅ければ5月27日のサミット終了後の記者会見時だろう。もっと早ければ4,5月の安倍訪米、訪欧の時にサミット打ち合わせの時に海外から漏れて来るだろう。

 くだくだと書いた。実は2月に転倒して右手の親指を痛めてから、モノを書くのが少々苦痛。おかげさまで治りかけているが、痛くない時のようにひと息で書き上げるという速い仕事が出来ない。そこで文章がもたもたしている。スミマセン。

 ただし結論はもたもた、ではなくスッキリだ。4月中旬から5月上旬が天井で1万8000円台。注目は大手銀行、鉄鋼、それにヘッジファンド好みの値がさのソフトバンクなどなど。

 映画のセリフから。何と村上春樹の「1984」からの引用が出た。「誰しも心の中では世界の終わりを待ち受けているものだ」。とくに日本人は終末論、悲観論が大好きだ。私の強気が売れないはずだ。でも、私はいぜん「ここ数年で3万円以上」の目標を変えない。スタートは2017年1~3月と見込んでいるが。

 

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