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2016年5月21日 (土)

映画「殿、利息でござる!」と安倍首相の逆転の発想(第827回

 

 磯田道史さんの「無私の日本人」を中村義洋博監督が映画化。羽入結弦が伊達藩の殿さまとなって登場するサプライズがあり、しかも存在感が圧倒的なのが話題のヒット作。

 宿場町で隣の宿場から藩の物資を受け取り次に運ぶ「伝馬役」を負っていた。普通なら藩から助成金が出るのだが、舞台となる吉岡宿は仙台藩の直割でない。そこで馬の購入や人足の雇い賃など吉岡宿町人の自腹。重い荷役に耐えかねて夜逃げが続出するという悪循環だ。

 何とかしなければ、と考えた町の造り酒屋は、藩に大金を貸し付け、その利息で吉岡宿を救おうという前代未聞の計画を推進する。有力者たちが皆私財をなげうち1000両(三億円)を作るがー。

 百姓や町人が搾取される側から搾取する側に回る逆転の発想。私は安倍首相が「G7版三本の矢」で決断するかどうかわからないが、こうした発想の転換を現在求められていると思う。

 

 いまの日本の通貨当局は円売り介入したいところだが極めて難しいジレンマ状態だ。安倍首相はG7を控えて日本が介入に動くことは、国際的な経済協調を阻害するのを控えなくてはならない。またTPPや大統領選挙もあり、日米関係は極めて敏感。米財務長官の発言も重い。

 そこで日本側としては財政出動恐らく真水10兆円級の大型予算と構造政策、それに消費税無期延期をG7近辺で発表することになる。

 その場合、財政再建が遠のくという理由で日本国債の格付けの引き下げがある。日本企業の外貨投資ニーズのコスト高につながり、好ましくない。

 そこで海外のマスコミは「ヘリコプター・マネー」の導入がこの窮状を救うとみている。2月に英エコノミスト、4月16日にはウォールストリート・ジャーナルが日銀黒田総裁を直撃して、ヘリ・マネー導入の意向を聞き出そうとした。当然ヘッジファンドのマネジャーも注目している。

 私は現在10年もの国債金利がマイナス0・1%なのを利用してゼロ金利の財投債発行が一つの案と考える。

 財投債はインフラ整備を対象に政府が発行するが政府系金融機関を通じて民間に貸し出されるので国債と違い政府債務にならない。もう一つは私が823回で書いた借り換え債の永久債化。6年間年間100億円の永久債発行分の利払いコストはゼロ。6年合わせて消費税4%分に当たり、6年間7兆2000憶円の財源は浮く。第一、タンス預金に行ってしまいそうな余剰資金は相続税贈与税ゼロの魅力で吸収できる。

 1月29日のマイナス金利決定から半年は効果をみたい、というのが黒田日銀総裁の発言だ。これを信じれば7月29日の日銀政策決定会合だが、私は6月16日の可能性もある、と見ている。本当なら11月8日の大統領選が終了した後ワシントンがガラガラになる時がいいのだが。

 このプランを発表するだけで円安株高ストーリーは復活する。さあ安倍さん、黒田さん、どうなさる?

 映画のセリフから。目論見は当たり、藩主伊達重村は造り酒屋にわざわざやって来て「寒月」と自ら筆をとって書いて「“これ”をもって酒銘とせよ」と言い残す。大変な評判となり、財産をほとんどなくしていたがこの酒屋はつぶれずにすんだ。

 

 オマケを。トランプが当選したら―という記事や番組を最近よく見かける。誰もバクチのWEBを見ていないらしい。ヒラリーはカケ率1・4、これに対しトランプは4倍台。通信社の世論調査はあまり信用しない方がいい。カネをかけている人たちの見方を私は信用する。

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