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2016年6月23日 (木)

映画「アイヒマン・ショー」とトランプと英国離脱(第832回)

映画「アイヒマン・ショー」とドナルド・トランプとBREXIT  (832) 2016・6・23

 このところナチス・ドイツに絡んだ映画が結構多い。「帰って来たヒトラー」とかヒストリー・チャンネルのホロコースト特集。今週取り上げた「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち」は忘れがたい迫力をもった佳作だ。

 1961年、エルサレムでナチスによるユダヤ人絶滅計画(ホロコースト)推進の責任者アドルフ・アイヒマンの裁判が開かれる。世界37カ国のTVで放映され、112人の生々しい証言や残酷な実録画像が流れた。ドイツでは人口の80%が放映を観たとか。

 

 誰がどう見ても、ドナルド・トランプは現代によみがえったヒトラーに見える。メキシコからの不法移民を麻薬は犯罪を持ち込んだ強姦魔と非難し、国境に万里の長城をメキシコの予算で建設すると述べた。メキシコのペニヤニエト大統領が「まるでヒトラーだ」と応酬する騒ぎになった。マスコミはこれに飛びついてトランプ支持率はひとケタからふたケタに伸びた。

 ヒストリー・チャンネルの「ドナルド・トランプとは何者だ?」を観たが、この人は若いうちから世間同様の注目を浴びるためなら何を言ってもいいと思っているらしい。

 

 ワカっていないなあ、と私は日本のマスコミを見ていると思う。

 いつだったかTVのキャスターが「99%トランプで決まり」と言っていたり、経済週刊誌が「トランプ円高」で特集する。日本ではいろんな通信社やTVの世論調査をうのみにしている。

 「大接戦」をうたう固定電話でせいぜい2000の調査法は、もう一流の世論調査会社では採用していない。ほどほどにしたらいいのに、と思う。

 

 しかしBREXIや米大統領選のように大きなイベントをどう予想するか。

 BREXITは、私はこの原稿を22日、投票の前に書いているが、英国のブックメーカーのBetfairのオッズ(賭け率)は残留133対離脱4.明らかに残留有利。他も同様だった。

 一方米国大統領選挙の方は、やはりベットフェア社によるとヒラリー130対ドナルド・トランプ4・90.とてもTV会社の言う大接戦ではない。米国のウイリアム・ヒル社は民主党4/9、共和党7/4でこのアメリカ式は1426。パディパワー社8/15、13/8っつまり1・53対2・620。

 

 おカネを賭ける人たちの方が一生懸命情報を集めている。いっぽうTV局の方は「見通しがつかないほどの接戦」の方が視聴率は上昇するので、まあエンピツをナメる可能性が大きい。

 

 ところで株価の方はこのブログで書いた通り616日の15434円が底で反発中。

 三菱UFJ証券のテクニカルアナリスト宮田直彦さんによると「17500円を明確に抜けば1月上旬から形成された逆へッド・アンド・ショルダーズからの上放れ開始で、日経平均2万円を目指す展開になってもおかしくない」と。そうはいっても出来高は低調だし外国人投資家が、本格的に買っている気配がない。そううまくいくかどうか。上昇開始はリクツから言うと来週月曜のはずだがー。

 実は今回のブログはBREXITが離脱、11月にトランプ当選となったら私のマケ。その時はスミマセンとあやまるが、まあ、当たるでしょう。

 

 映画のセリフから。TV放映のディレクターが言う。「鼻の形、皮膚の色、宗教その他どんな理由でも、自分が他より優れていて、蔑視したり口撃したりしたら、このホロコーストを行ったナチスと同じ立場です」。ヘイトスピーチを禁止した日本はアメリカより進んでいるのかなあ。

 「帰って来たヒトラー」の方は幕切れにヒトラーが言う。「1933年に、大衆は計画を明示したもの、つまり私を選んだのだー」。このヒトラーは本物だからゾッとする。現代のドイツでもナチス復活はあり得る、と映画は云っているのだから。

 心配なのはベンガジゲート、EメールゲートでヒラリーがFBIに訴追され、出馬辞退になること。代打のジョー・バイデンでは迫力に欠ける。たよりはCNNが報じたFRB首脳の「犯罪でない」という見方。それに資金面でトランプの資金が逼迫し始めていること。税金の申告を公表していないのもアキレスのかかとだろう。

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2016年6月18日 (土)

映画「シークレット・アイズ」と英EU離脱と円高株安(第831回)

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映画「シークレット・アイズ」と英EU離脱と円高株安(831)2016・6・18

ニコール・キッドマンとジュリア・ロバーツが主演しているサスペンス。アルゼンチン映画で第82回アカデミー外国語映画賞を獲得した傑作「瞳の奥の秘密」のハリウッド版だ。やはりモトの方が良かったと思うのは、三人の主役の中の男性役を、興業を考えたのだのだろうが余り魅力のない黒

人俳優にしたのがダメ。まあ、そこそこの出来なので楽しめたことは楽しめたが。

 2002年、ジュリア・ロバーツ演じるFRB捜査官の娘が惨殺される。相棒のレイは犯人らしい男をつかまえるが、担当の検事の男はテロ情報の提供者だから、と釈放し、証拠品も焼却してしまう。その13年後、事件は新しい展開を遂げるがー。意外な結末。

 

 映画ではキッドマン演じる検事補がレイの連行してきた男を挑発して自供を引き出すシーンが見せ場になっている。ハーバードのロースクール卒お嬢様が、男にアソコはピーナツくらいの大きさしかないんじゃないのと侮辱し怒らせる。私は米FRBも日銀も全く意外性がない「現状維持」だったのだが。イエレンさんも黒田さんもこの映画を観たらいいのにと思った。

 

 市場はBREXIT恐怖症だ。ウォールストリート・ジャーナル(615日)の「投資家の懸念はついに恐怖へ」という見出しをつけた記事はその代表だろう。

 10年ものドイツ国債のマイナス突入、スイスフランの対ユーロのレートが高値更新などなど。日本の方は円高、株安がひどい。

 みずほ総研の「離脱した場合日本のGDPは0108%マイナスで日経平均3000円安」というのはオーバーと思う。タラレバ、でしょう?第一、カケ率をみるとまだ残留の方が60%確率と有利だし。わたしはあの2000年問題を思い出した。有力英下院議員殺害で残留派が回復だって?まあそんな程度の民意だ。

 円レートは超高名な予測の達人のセミナーで「1ドル102円。」というご託宣だった。もう103円台だから、天井は近いのだろうか。

 株価の方は随分とひどい状況だが、私は16日の15434円が底と思う。もう一度安値をとりに行ったらモロ買いだろう。先物の信用買い残に当たる裁定買い残がたった8800億円しかない。残留となったらいっぺんに円安、株高に反転するのだろう。

 

 今週、私は最も信頼するエコノミスト嶋中雄二さんの講演を聞き、その後ご一緒に夕食をとるチャンスがあった。講演配布資料を見ていたら「望まれる2016年度補正予算案」という表があり8兆円を予想している。

 支出の方は①子育て支援、家計負担軽減(2兆円)②住宅購入支援(15兆円)③公共投資(15兆円)④財政投融資(3兆円)

 私が注目したのは財源で①税収上振れ(25兆円)前年度剰余金の繰り入れ(2兆円)③国債費減額(マイナス1兆円)④公債金(15兆円)⑤民間資金(=財政投融資、3兆円)

 とくに④で財投債。これこそ私は期待しているキャッシュの分配開始だ。ヘリコプター・マネーと悪口こそ言われるが、高橋財政の再現で、これが私が「ひどい底値になればなるほどその後の株価の中長期上昇は大きい」という持論が裏付けされたな、と感じた。

 

 高橋是清財政は、その後戦争後のインフレにつながった、とされるが、いまは当時の軍部のような圧力団体は存在しない。安倍政権は参院選と年内に予想される衆院選で長期安定政権を確立した後、マイナス金利を有効に使ってゼロ金利国債を発行し、その国債のの日銀保有で、デフレ克服と震災対策、待機児童解消のための保育の受け皿整備、介護分野への投資が出来る。関連株は何倍にもなるだろう。補正予算のあと、次年度以降も続くから。

 嶋中さんは、GDP600兆円は年間マネタリーベースを2019年前年まで年間92兆円が必要、としている。新アベノミクスは高橋財政再現で目標達成は十二分に可能ではないか。

 

 私はBREXITでもトランプでも、さわぎが事前に大きくなればなるほど反動は大きいことをよく知っている。いまは一番ひどい時期だが、いつまでも続くわけじゃない。

 投資意欲をそいでいるのはマザーズ指数株への寄与率の大きい数銘柄の激しい下落。719日のマザース先物取引開始の前に、指数を自由に操れるように貸し株を使ってヘッジファンドが安く売りたたいている。いずれ貸し株は返済しなくてはならないから、急騰再開は目に見えている。目にあまる株価操作。監督に当たる当局は何をしているのだろう。

 

 映画のセリフから。検事補クレアも刑事も何回も言う。「強い意志は最後に勝利をもたらす」。ホントにそう思う。

2016年6月10日 (金)

映画「六四 前後編」とサミットのウラ話とG・ソロス(第820回)

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映画「六四 前後篇」とサミットのウラ話とG・ソロス(第830回)2016・6・11

 週刊文春のミステリーベスト10の首位を2012年にとった横山秀夫の秀作「ロクヨン」を前後篇の二部作として映画化。瀬々敬久監督で主演佐藤浩市。

 ある県警の広報官三上は昭和64年、たった7日間しかなかった年に、7歳の少女を誘拐し殺し、身代金を奪う事件が発生。三上は当時刑事として担当。結局犯人は捕らなかった。県警ではこの事件をロクヨンと読んでいるのだが、後編にこの事件は不思議な形で繰り返されることになる。

 前篇は広報室と記者クラブとのトラブルが主題になる。33歳の主婦が老人をひいて重傷を負わせる。実名を伏せた発表に記者クラブは怒り抗議文を本部長に提出しようとする。

 折も折、東京から警察庁長官が視察で来県し、14年前のロクヨン事件の被害者宅で仏壇に手を合わせたい、と希望して来る。

 二層、三層に入り組み、県警が極秘にしていた14年前の捜査ミスが見えてくる。このマル秘にしていた失敗と、長官来県の本当の目的が実は重なっていた。

 

 つい先日の伊勢志摩サミットで、G7の首脳たちの記録は残さない雑談は、実は中国の政治、経済に対する疑問の表明が中心だった。あるソースからこれを聞いた。安倍首相の「リーマン以来」という言葉ジリを捕えてケチをつける馬鹿どもを心から軽蔑した。

 金融危機ではなく、もっと大きな激震を予想しているのに。ただ国名を明らかに言えなかった、だけ。映画の長官来県の本当の目的のようなものだ。

 

 そこでなるほど、と、うなづけるニュースを。85歳のジョージ・ソロス氏が現場復帰した。

 ウォールストリートジャーナル(6月8日)」によると「近く市場が大きく下落変動する」として「大規模な弱気のポジションをとる指示」を行った。理由としては何と言っても中国。

 「中国はいまも資金の流出に見舞われており、他のアジア諸国が外貨準備を増やしているのに中国の外貨は激減している」

 「中国は政治指導部の内部抗争によって、今後金融問題に対処しにくくなるだろう」。もちろんこのほかにも①移民危機②ギリシャ問題③BREXITも。しかしソロス氏は「今なお続く中国の景気減速が米国をはじめとする世界各国にデフレ圧力をかける」懸念を重視している。

 私は2007年のソロス氏の現場復帰の時をよく憶えている。サブプライム問題を氏は非常に重視していたが、その後1年余りであの世界的暴落となり、売りオプションなどの弱気作戦によって巨利を得た。10億ドルといわれるが、もっと大きかったと思う。

 中国の権力闘争は先月3日の李雲峰・江蘇省常務副委員長の身柄拘束で一段と激化。李克強首相の全人代議長への転出、李源潮国家副主席の退任のウワサなど共青団系幹部への攻撃が表立って取り沙汰されている。夏の北載河会議に動きがあるかも。逆にクーデターで習近平拘束とか暗殺とか。何があってもG7首脳は驚かないだろう。

 

 混乱か少なくとも世界の長期デフレになるかも。そこで景気維持のために何年かに分けても安倍政権は耐震などの巨額国内投資を遂行しなくてはならない。秋には財源として永久債が採用される、そう私は考えている。

 私のシナリオ。「この秋までにいったん上昇。その後1万3,4000円まで下がるがそこから数年かけて3万円以上への長期上昇開始」。

 それまでの目先の投資作戦は、ソロス氏にならって金投資で。7月19日から始まるマザーズ市場の先物取引で、ヘッジファンドにより人為的に大幅下落させられた有力株群の貸し株買い戻しによる上昇も面白い。貸し株の期限は普通3ヵ月なので7月後半から8月。

 

 映画の1シーンから。14年間、被害者の父雨宮(永瀬正敏)は犯人の声の記憶を頼りに電話帳をくり、プッシュホンのボタンを叩きつづける。

雨宮の執念をチラリト見せた中指のタコの大きさが示す。

 

 乏しい情報から大きな流れを読む。時間はかかっても予想通りに展開すると確信していれば少しもコワくない。

 6月5日、予想を大きく上回る参加者にビックリ!ご質問もヤマのように。熱心なご参加深謝します。大井幸子さん、伊東秀広さん、ご協力どうもありがとう!どうぞ実り多い将来にご期待ください。

 

2016年6月 3日 (金)

映画「神様メール」と安倍首相とFRBとヒラリー(第829回)

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映画「神様メール」と安倍首相とFRBとヒラリー(第829回)2016・6・4

 小品のメルヘン映画で欧州で大ヒット中。監督ヴァン・ドルミル。何と神様がベルギーのブリュッセルに住んでいて妻と娘との三人暮らし、パソコンで世界中の人に意地悪をしているという設定。横暴で専制的な父親に反抗する娘エアは兄のイエス・キリスト(なぜか像だが)に教えてもらって脱出。その前にパソコンを勝手に操作し全ての人の余命をメールで宣告してしまう。

 各国の抗戦地域では戦闘が停止し、各人は自分の残りの人生をどう生きるかに集中しはじめる。

  10歳の娘エアは「新・新約聖書」を書くため短い余命の人6人を「使徒」として選び、会いに行く。皆知らないうちに自分を檻に閉じ込めて生きているが、死を予感して初めて「生」をつかむ。そしてハッピーエンド。

 

 6月1日の安倍首相記者会見での消費税延期の時質問で「2019年10月の前に自民党総裁任期が来るが」に対し、全力を尽くすと答えた。他に答えようがなかったのだろう。本当に政権の「余命」のうちにデフレ脱却好転ができるかどうかは、神のみぞ知るだが、円高はあっという間に進み、東京株式市場はおそらく国債格下げを見込んだのだろう。下落した。財源がはっきりしないのが投資家に不安を呼んでいる。私は埋蔵金と呼ばれる特別会計の利用で赤字国債は出さずにすむ、と予想している。

 海外マスコミの反応は厳しい。5月に入って外国勢、主としてヘッジファンドは日本国債を売買シェアは27%、保有残高シェア11%(昨年はそれぞれ15%、6%)と高い。残高は110兆円。

 ヘッジファンドが日本国債を買うのは、実はサヤが取れるからだ。利率マイナス0・8%なら額面100万円の10年国債を100万8000円で買い、日銀に101万円で売ると0・02%の差益がでる。だから買っていた。

 実は現在国債の利率マイナス0・1%台とジワジワと上昇している。投機筋は格付けが下げられたら日銀が買い切れなくなって国債価格は急落(利回り上昇)を狙っているのだろう。しかしその狙いは今回も外れるのではないか。理由はカンタン。この国債の需給からみて「悪い金利上昇」は具体化しない。まだ余命はある。

 私は秋には中国かトランプかFRB利上げが誘発する何らかの衝撃か、中東がらみかユーロの分裂か、ともかく世界的ショックがあって、そこで安倍政権はヘリコプター・マネーに踏み切る。これが長期の物価上昇につながり株高。そうでない場合はロシアと北方四島の件でカタをつけて、財政刺激の代わりに北方開発を進めるシナリオ。秋の押し目から長期株高を予想する理由のひとつだ。

 第一のシナリオは高橋財政の再現で、第二の方はガス・パイプラインでのエネルギーの対中東依存度低下がメリットになる。国内のパイプライン敷設も(恐らく第三セクターを使うだろうが、成長に寄与するだろう。

 EメールゲートでFBIがヒラリーを提訴し、米民主党は代打としてジョー・バイデン副大統領と女性上院議員による出馬のストーリーが方々で云われるようになった。本当はサンダースじゃないかと思うが、民主党首脳部はどうしても異端児を回避したいのだろう。

 

 トランプはネオコンを有力スタッフに四人入れており、軍産複合体、イスラエル後援勢力の支援がある。ヘッジファンドのマネジャーには、内容はかけないがとんでもない展開を予想する向きもいる。これは11月待ち。

 

 一方FRBイエレン議長が利上げする可能性はゴールドマンによると35%、7月で25%。イエレンさんはなかなか決断できない人のようだから本当にやれるのかどうか。やれなかったら―。来年以降米国景気が悪化したら、金利引き下げのノリシロが余りにも少ないので、マイナス金利になるだろう。欧日米の順で世界中マイナス金利かなあ。

 リーダーも世界の警察官もいない2016年。中国本土株のETFにカラ売りがここ何週間かで急増、昨年8月の上海株急落直前と同水準のの売り玉が蓄積されている。

 いっぽう、米国ではシェール企業大手7社の1~3月期は大幅欠損。ハイイールド債市場の不安感はある。こちらの方はメジャーオイルがいいガス田を持っているところは買収するから、大事になるまい。やはり、中国か。

 長期強気、超強気。しかし目先は今年の高値をつけた後弱気。これが私の見方だ。

 

 映画のセリフから。神様の娘エアが「新・新約聖書」を書いてくれと頼んだ老人が言う。「若いお嬢ちゃん。人生はスケート場だ。大勢が滑ってころぶ。大勢が滑ってころぶ。」人生七転び八起きです。

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