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2016年7月31日 (日)

映画「グランドイリュージョン」とトランプと中国(第837回)

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映画「グランド・イリュージョン見破られたトリック」とトランプと中国 (第837回) 2016・7・31

 一昨年世界的ヒットとなったマジック映画の続編。不正な儲けを権力者から盗み取り弱者たちに分配する。まあ義賊マジシャンの四人組「ホースメン」の物語だ。もちろん見せ場は奇想天外なマジック・ショー。まあお気軽に気晴らしするには格好の作品だ。ある悪徳ソフトウエア会社の新製品発表会をホースメンがハイジャックして悪だくみを暴くはずが、四人が逆に作戦を読まれて捕まってしまう。そこで「科学にマジックが勝てるはずがない」というカタキ役のエンジニア(ハリポタのダニエル・ラドクリフ)に世界中のコンピュータにアクセス可能なチップを盗め、と四人は脅迫される。盗みに成功した後取り返すシーンが見せ場になっている。

 

 米国の共和・民主両党の党大会が終わった。私は深夜目をこすりながら観ていたが、世評通り・トランプの乱暴ともいえる演説ぶりに驚いた。

たとえば警官が黒人に射殺されている事件では“Blue Lives Matter”つまり警官の安全第一を繰り返し、黒人側が主張する“Black Lives Matter”に対抗する立場をとった。

 白人、低学歴、低収入の労働者を中心に1500万票を獲得したトランプだが、民主党から1000万票が流れるとして、大統領になるには6000万票必要だから、あと3500万。黒人、女性、ヒスパニックを敵に回して、どんなマジックを使ってあと3500万票をとるつもりだろうか。

 世論調査ではわずかにトランプはヒラリーを上回る支持率。しかし「好感を持っていない(Unfavarable)がトランプ59%とヒラリーより高い。私は先日の英国離脱の件があるので世論調査不信。カケの方がまだヒラリー有利なのを信じたい。日本人としては。

というのはトランプはバカに中韓ロにやさしいため。中国の南シナ海の傍若無人の行動へは“Not Very Good”。本気で言ってるのかしら。

 

 事情通に聞くと、バブル時代トランプは日本の長銀から400億円借り入れその後バブル破裂で返済を強要され、倒産。その恨みからアンチジャパンになった、とか。

 だから中国の方はシメシメと考えているのだろう。

 元外交官の情報によると、最近の日中間は「もう対話とか説得の段階ではない。」しかも「尖閣について「中国は本気」。

 始めは接続水域どまり。しかし最近中国軍艦による領海侵犯侵入に“進化”し明らかに中国は「ゲームチェンジつまり新局面に入っている」、と。

 問題は海自と中国海軍クラスの軍事行動でなく、海上保安庁クラス同士の領土占有の戦いになった場合。中国側100隻に対し日本側は47隻と劣勢だ。

ただ全く別のソースに私が確かめたのは、トランプが大統領になっても、米国防総省とくに海軍は中国が日本を押さえ込むことは許さない。

理由は佐世保と横須賀にある原子力空母を手入れできる乾ドック。何ヵ月か航海すると船体にカキがつく。太平洋では日本の軍港がなくなるとたとえばシアトルに帰国しなければならない。つまり太平洋全部の制海権は中国のものになってしまう。現時点でトランプは海軍からの進講を開いていないので、この事実を知らない。知ったら、発言がどう変わるか。

 しかし、9,10月の米国権力の空白期で習近平がトランプ有利と読んだら、何が起きるか分からない。

 

私はこの中国リスクとヘリマネと関係あると思う。ヘッジファンドがさあヘリマネ、やるぞと騒いだ7月29日、日銀はほどほどの追加緩和に止めた。ヘリマネは法改正を伴うし、何が起きるか分からない時期。余力を残したのだろう。代わりに円高。月曜の8月1日の相場は少々心配だ。1円の円高で日経平均200円下がるから。

 ただ8月2日の27兆円の財投出動、3回の内閣改造でどの位持ち直すか。映画ではまさかのどんでん返しがあるが、現実はやっぱり厳しいんだろうなあ。

 

映画では主人公アトラスが演じるイリュージョンが魅せる。「降っている雨を空中で止めてご覧に入れます」「次は下から上に雨を動かして見せます」。ネタは降雨の機械と照明で広場の観衆をダマしていた。超能力ではなかった。私は中国共産党政権もトランプも世間さまをダマしていると考えているのだが。

 

2016年7月23日 (土)

映画「ゴーストバスターズ」とHFが言うコワーい話(第836回)

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映画「ゴーストバスターズとHFが言うコワーい話(第836回)2016・7・24

 ビル・マーレーやダン・エイクロイドの出た旧作を27年ぶりにリメーク。今回は主役の「お化け退冶屋」を女性4人とし3Dにした。これに男性一人も脇にいて5人とゴーストとの戦いは迫力があって面白い。オバカ映画だが楽しい。難点は女性4人がブサイクなこと。これ、セクハラかしら。

 ヘリ・マネについて予想通り大騒ぎになってきた。反対の財務省ポチ達は、歯止めがきかない、とか信用低下が起きる、、とか危険なカケだ、という感情論が多い。

 戦前の高橋財政は軍部という最大最強の圧力団体のためにマネー供給の拡大は続き、2・2・6事件での殺害、それに戦費もあって歯止めがきかず、終戦後のインフレが発生した。

 まあ法改正が必要だし、やるのは来年。7月29日の日銀総裁会見は期待外れのお茶にごしだろう。

 

 27年ぶりのリメーク映画の方はどうも大ヒットになりそうもない出来だし、(NYではブーイングが起きた)ただ、高橋財政のリメークの方は成功し、名目GPP600兆円が何年か後、(2021年?)に達成されると確信している。

 時価総額はGPPから推算して700兆円を超え、日経平均は3万円以上、という私の長期シナリオは変わることはない。

 ただ、このコラムで何回も書いている「秋には天から大魔王が下りてきて」かなりの安値になる、という予想も変わりない。

 

 その大悪材料ってなに、といろんな方から質問をいただくのだが、あんまり恐ろしいからあえて言わなかった。」」今回その恐ろしい材料を書くのは私の尊敬するヘッジファンドの日本一の情報通大井幸子さんの7月号の「ヘッジファンド・ニュース」に三つ、スッパ抜かれているからだ。

 二つは金融危機、第一がイタリアの銀行数行とドイツ銀行。これは私のこのコラムの読者は先刻ご承知だろう。

 第二は中国発のサブプライム危機。直近の英エコノミスト誌が報じている二つの記事。一つは「不良債権が21兆円を超え、8年ぶりに証券化が再開された」。これってまるでサブプライム危機直前じゃないか。そして二つ目が非合法ローンで不動産市場のバブル化」。これも同じいやーなムードの話。

 伊勢志摩サミットで世界の主脳が食事しながら話した内容は公開されないが私が聞いたところでは主に中国の政治と経済の懸念だった、とか。

 だからこの第一、と第二は、ジョージ・ソロス氏が最近行動で示している通り、まあそれほどびっくりする話ではない。

 しかし第三の「戦争勃発の可能性」にはブッ飛んだ。前からヘッジファンドの一部で云っている向きはあったが、他人さまに言うほどの確信はなかったのでやめていた。

 以下大井さんの、レターを了承を得て丸ごと引用する。

 

 7月12日、中国とフィリピンの南シナ海の領有権をめぐる国際仲裁裁判で、裁判所は中国の管轄権を認めない判決を下した。

 8-10月にかけて、米大統領選や英国のEU離脱で、世界に権力の空白が生じる。8月、9月に中国人民解放軍の海軍の何らかの行動、そして北朝鮮がそれに便乗した行動を起こす可能性が高い。矛先を尖閣諸島に向け、日本に対して奇襲攻撃を彼らは仕掛けてくる可能性がある。

 戦争は米ロ代理戦争であり、全面的な核戦争になるかどうかの瀬戸際で短期間で終結すると予想される。」ただし、戦争により当然、金融市場には大きな動揺が走るだろう。不測の出来事に世界同時株安や急激な円高が予想される。戦争終結後に交わされる契約(賠償金や領土問題など)により、通貨市場は大きな変動を余儀なくされるだろう。

 

 まあ、夏だしオバケのシーズンでもある。怖がらずにお聞きください。

 

 映画のセリフから。NYの劇場に出たオバケを見事4人で捕まえハコの中に入れたが、市長は言う。「人間の脳はあまりにも常識外れのことが起きるとパニック状態になる。幽霊なんていないはずだから、君たち四人はサギで逮捕する」。いやはや、どうか私や大井さんが逮捕されませんように。


2016年7月17日 (日)

野村萬斎「マクベス」と新アベノミクス相場開始(第835回)

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野村萬斎「マクベス」と新アベノミクス相場開始(835)2016・7・18

 狂言師野村萬斎が主演、演出してたった5人の俳優で「マクベス」を上演、NY、パリなどで成功。凱旋公演を観に行った。

 パンフレットを読んだら演出意図が面白かった。幕開けに三人の魔女たちが言う「きれいは汚い、汚いはきれい」。このセリフは「正しいと正しくない」と言い換えることも可能だ。文明生活とゴミ、原発が生む廃棄物、正の財産と負の財産が実は同居しているというのが、このセリフの意味。萬斎は「世の中の何をを見ても、双方向から見ないと公平ではない」という。なるほど。

 

 今回の選挙でも、アベノミクスの成長戦略への低評価がずいぶんアンチ安倍と思われる大マスコミで目に付いた。株価が上がっただけ、とか。ひどいところは「なぜ失敗したのか」とまで。私はこうした報道姿勢は公平ではないと思う。

 失業率が超完全雇用水準になり、法人実効税率は三年間で37%から29%台に下げ、ビザ発給条件付き緩和で外国人訪日客を短期間に2000万人にした。TPP合意もある。成功した、となんで言えないのか。

 一方、岩盤規制とされる既得権益の抵抗も明確に打破されつつある。

 36年間も医師会に抑え込まれていた大学医学部新設も2校、農地の株式会社による参加も「特区」を使って風穴を開けた。空港などのインフラも「コンセツッション」で民営化が進んでいる。

 

 にもかかわらず「アベノミクス行き詰まり」説が言われるのは、円高と株安それに例の「保育園落ちた日本死ね」の印象だろう。中国やEUなどの世界の不安が企業行動を極めて慎重にし、設備投資が手控えられ、人手不足でも賃上げの幅は小幅。その代りに150兆円もの企業による預金が、動かざること山の如しで、日本経済全体に沈滞感を与えている。

 となればこれだけ金融緩和しても少しも「2%の物価上昇」への期待感が出ない。円高も原油価格低下も重石になっている。円高犠打説は先週書いた。

 

 いうまでもないが、諸悪の根源はデフレにある。

 保育所不足、介護士の老人虐待、行政サービスの劣化、政府の借金―。みんな本当にこの国がデフレにならず、世界の普通の国のように日本のGDPが拡大していれば発生しなかった問題ばかりだ。

 

 ところが①日本ギリシャ化説②プライマリーバランス黒字化論③」ハコもの中心の公共事業不要論が横行している。みんなウソっぱちだ。ここでは省くが、くわしくは内閣官房参与藤井聡京大教授の本をどれでもいいからお読みなさい。(特に「国民所得を80万円増やす経済政策」晶文社)

 

 私はこの7月29日の日銀の決定会合で①マイナス金利の引き下げ②ETFの買い入れ額増加がある。一方安倍内閣側は十兆円以上の財政出動。9月に米FRBの利上げがあって円高から円安への転換と三つが合わさり、この夏は意外高、と思う。すでにここ2週間で出来高を伴って株価は上昇。26週移動平均を上回ったので、買い方はホッとしたことだろう。

 

 早くも「新アベノミクス相場」と名前までついたらしい。私も大賛成だ。特に来年から法改正を行った後に永久債や、企業の持つ大量の銀行預金(150兆!)への課税またはインフラファンドへの投資の税制優遇によるあぶり出しで、日本経済が明確に活性化し、それが3~5年続くという条件だ。

 

 もちろん、イタリアの銀行大手やドイツ銀行の信用問題とかEUという組織の崩壊。それよりも何よりも中国の政争の行方などなど。案外騒がれていないのがお隣の韓国の経済破綻。まあ不安材料はかぎりない。しかし、BREXITを懸念して各国が流動性を供給したせいもあり、肝心かなめのNYダウが新高値更新だ。1万7000円台の上の方に行って少しもおかしくない。

 恐らく秋にはどこかからの「大魔王」が天から降りてきて大騒ぎがあって一時的にメチャ安い。長期上昇相場の起点になり、そこから何年かかけて私の目標3万円に到達するだろう。

 

 マクベス第5幕第5場のセリフ「おれは恐怖の味をほとんど忘れてしまった。それが今では恐怖に慣れてしまっている。この血なまぐさい頭にはどんな恐ろしいことでもビクともしなくなってしまった」。ブラックスワンはどこにいてもおかしくない。財政金融良政策の効果で、内需中心に成長性を取り戻し、名目GDP600兆円が達成されるメドがつく―。このシナリオを織り込む大相場の開始。コワーいお話しは、カヤの外に。

2016年7月11日 (月)

映画{日本で一番悪い奴ら」と日本の針路のプラン(第834回)

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映画「日本で一番悪い奴ら」と日本の進路のプラン(834)2016・7・10

 北海道警察で日本警察史上最悪の事件を起こした悪徳警官を画いた実話映画。ヒット作だし充分に面白い。主演の綾野剛もなかなか良く、案外女性の観客も多かった。

 柔道で名を挙げた諸星は北海道警察に入り刑事となるが先輩の悪徳刑事から「点数をかせいでエラくなりたかったら、現場でS(スパイ)を作れ」とアドバイスされる。日本一の刑事になりたい一心で、ほとんど違法な捜査をしながら、のし上がってゆく。時代は1990年代で成績を挙げるため裏社会の兄弟分(?)を利用してロシアから密輸拳銃を買ったり、おとり捜査をしたり―。

 びっくりさせられたのは拳銃を大量に押収するため、中国からの覚せい剤の密輸を関税当局に認めさせるくだり。主人公が言う。「シャブとチャカとどっちが大事なんですか?」。上司が「年間量を下回っているなら見逃してもいいかも」。腐った組織というほかないやり取りだ。シャブは関東、こちら北海道の責任は主にロシアから入るチャカというロジックだ。

 

 私は安倍内閣の経済重視と政治(安保・改憲)重視期が入れ違いになってきていることを残念に思う。

 参議院選挙前に景気刺激策は発表されなかった。事前の情勢調査でもう大丈夫だからやめておけ、ということになったのだろう。セコいし、何となく官僚的な感じがする。まるで同警察のチャカ論じゃないか。

 

 円レートで口先介入しかできないのは、人民元が大幅急落するのを米国の要請で実行できないためだろう。まあ「犠打」ですな。

 となると外銀が邦銀にドルを貸すと、高い収益を得て円レートはジリジリと円高に進む。

 日本国内の投資家は外国債投資を猛烈に行っている。本来なら円売り・外資買いで円安のはず。しかし先物市場で円買い・外貨売りでヘッジしているので円安は起きていない。

 一方外債投資家でドルを調達するスワップ市場でドル調達コストが大幅に上昇。日本勢のコストは高く、海外勢の収益はますます上がる。対策は乏しく円はジリジリと高い。株価は上昇の勢いはますます乏しくなる。

 

 78日発表の6月の米雇用統計はたしかに良かった。前月の38000人や6月の予想コンセンサスの175000人より高い287000人。しかしこの数字はBREXITの前で7月数字は良いはずがない。3か月でまとめれば米国景気の鈍化見通しが決定的になる。発表直後に円レートは一時安かったがすぐに元の黙阿弥になった。

 

 ほとんどの経済指標がアベノミクス登場前の水準に戻ってしまったことを、安倍さん、あなたにもっと注目して頂きたいと思う。

 

 私は内閣官房参与の藤井聡京大教授の「国民所得を80万円増やす経済政策」を読んだ。そこに五つの提案がある。

 20174月の消費税増税延期

 600兆円経済実現のため財政政策を基本とすることを宣言

 デフレ完全脱却こそ最大の財政健全化策と宣言

 3年以内のデフレ完全脱却を目指し初年度1520兆の財政拡大

 デフレ脱却後に中立的な財政運営を図る。

この中で著者は「財投債」の利用と思われる「民間な大量の資金を実質上無利子で貸し付けること」を主張している。この本の帯は安倍首相の「日本経済再生に必要な「具体的かつ実践的な提案だ」と書いてある。私は同感だし賛成する。

 

 近くヘリコプター・ベンと呼ばれるバーナンキ前連銀議長を呼んで話を聞く、とか。永久債の日銀引き受けも日銀保有国債の永久債へのスワップも財政法改正を必要とするので、その準備工作開始だろう。歯止めが利かないという懸念は云われているが、戦前の軍部のような圧力団体は現在の日本には存在しない。懸念に及ぶまい。

 

 もうひとつ。マイナス利幅を拡大して企業の内部留保をいぶりだし、インフラファンドなどに誘導するという方法も、政界の一部で検討されているとか聞いた。

 これなら、実施は来年にしても効果は大きい。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の景気循環研究所のチャート(これは嶋中雄二所長に頼んで宮嵜君がつくってくれた)をご覧ください。2014年で286000億もあるんですゾ。今なら30兆あるだろう。

 結論。いま1月の信用取引の投げで大手建設、道路株がメチャ安い。森を見ず木をみましょう。今は長期上昇前のダメ押し期。こういう時は警戒論が強く、買いの手が出ないが、思い切ってやる人はもうかる。

 

 映画のラストで歌われる歌から。「恨まずに終わりにしようか 嫌な夢 いいことばかりじゃないが お前を連れてゆきたい 俺たちの時代も未来は見えなかった 夢一つあとは 何ひとつのぞまない」夢は持ち続けたい。

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チャート:三菱東京UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 景気循環研究所 作成

2016年7月 2日 (土)

映画「エクス・マキナ」と英EU離脱後の恐ろしいこと(第833回)

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映画「エクス・マキナ」と英国離脱の後に起きる恐ろしいこと(第833回)2016・7・2

先週私はベットの賭率から「BREXIT」はないだろうと書いた。

 まさかの離脱でご存じの通り世界株式市場の時価総額は5%も下がった。リーマン並みだ。

 私の不明を心からお詫び申し上げる。616日の15434円が底、と書いたが簡単に破られてしまっている。これまた、すみませんと申し上げるしかない。

 625日には私の知っているヘッジファンドは皆、残留を前提に日経先物500円高まで先物買いを入れていた。離脱の報を聞いて慌てて買いを投げ、売りを出したので下げ幅があんなに大きくなってしまった。

 今後、政治的なショックだけでなくこれが金融面での不安につながるのか。どんな形で、いつ発生するか。

 常識的には第一が昨年89月頃から指摘しているドイツ銀行の破綻だろう。デリバティブを中心にした経理内容の悪さ、大量解雇手持ち、証券の苦し紛れの売却等々リーマンの破綻前の状況に酷似。また銀行ストレステストに不合格になり、おまけにジョージ・ソロス氏がドイツ銀行株を売っていた事実が判明。もちろん株価は下落に次ぐ下落だ。

 第二が中国。これは経済面でのハードランディングでなく、習近平に対する共青団グループ、江沢民などの上海閥の対立。要するに政治混乱だ。これにパナマ文書による中国上層部のカネの問題が絡む。暗殺や意外な高官の左遷などなど。上海株式市場と人民元がとめどない暴落を始めてもだれも驚くまい。

 第三は米大統領選。今回BREXITの離脱賛成組は白人、低学歴で低収入、男性、だ。この階層は貧富格差拡大に怒り、対象は移民、エスタブリッシュメントに向けられる。米国のトランプ支持層と重なる。要するに不満が、ナショナリズムの形になり、不健全で無責任で時として暴力になって現われる。ドナルド・トランプの大衆迎合主義が、ひょっとして現実のものとなったら。米ドルは暴落、もちろん株価も悲惨なことになり世界的デフレ経済が定着。その時にBREGRETでなく、DONALDREGRETになっても遅い。

 最後がヨルダン、サウジアラビアの王制の崩壊。原油価格はバレル数十ドルに急上昇するだろう。

 時期?もちろん予測の限りではないが、早ければ9月だろう。

 私は日本だけがデフレ経験面での先進国として世界経済の不振の中、内需を中心として相対的に高成長し希望の星となると思う。期待のカギは財投債などの日銀の買いきりと満期までの保有、消費税再増税撤廃を安倍首相が決意し、黒田総裁が合意することだ。これならデフレ脱却は十二分に可能だ。

 

 いつも書き出しに使う映画のことを忘れていた。今週は「エクス・マキナ」。「スター・ウォ-ズ」や「マッドマックス」などの大作を押しのけてアカデミー視覚効果賞を獲得した。SFスリラーと云えるジャンルで人間とAI(人工知能)との一種の闘争を扱っている。

 超富豪のIT企業オーナーの広大な自宅にプログラマーのケイレブが招待される。そこでロボットの美女に紹介され―またお話しは映画でご覧ください。

 

 実は私がこの映画を使った理由は、映画の題にある。

 「デウス・エクス・マキナ」というラテン語がある。デウスは「神」でエクス・マキナは「機械仕掛けの」と訳される。

 古代ギリシャの演劇で、劇の内容がもつれにもつれて解決困難になると、絶対的な存在つまり神が現れ混乱した状況をおさめて大団円。ギリシャ悲劇でもゲーテの「ファウスト」モーツアルト「イドメネオ」、シェイクスピア「真夏の夜の夢」などが「デウス・エクス・マキナ」の実例だ。

 世界の混乱が一挙におさまることは、まず、ない。しかし少なくとも日本は永久債でも財投債でも、このマイナス金利による国債のゼロ以下の利率を利用してヘリコプターマネーを使う。円安と物価の程よい上昇、それにタンス預金の活性化の大きな力を与える。投資先は国内強靭化でもリニアでもいい。ガスパイプラインの全国敷設でもいい。

 

 もうひとつ。ご投資へのアドバイスは、バイオ、ロボットなどの有望株のマザーズ上場物を狙うこと。719日のマザーズ先物取引開始を控え、また先般の値崩れを貸し株で狙ったヘッジファンドが貸し株を買って返さなくてはならない。その買いに便乗する。ここは市場の反発をとるよりも中長期の成長企業の仕込み期と考えることだ。

 

 映画のセリフから。別荘のオーナーがいう。「税金と死は向こうからやって来て不可避だが、この別荘は停電がしょっちゅう発生するんだ。」世界経済には何年かに1回、必ずドカンがある。BREXITの導火線に火をつけた。一過性と片づけるのは早計にすぎるだろう。

 

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