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2016年10月29日 (土)

映画「SCOOP!」とヘッジファンド解約ショック(第850回)

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映画「SCOOP!」とヘッジファンド解約ショック(第850回) 2016・10・30

 福山雅治はやはりガリレオ・シリーズや坂本竜馬がニンに合っていると思うが、今回は無精ヒゲにボサボサ頭の中年男。それでもカッコいいのはやはり大スターなんだろうな。相手役の二階堂ふみも好きな女優だし。

 

 芸能スキャンダル専門のカメラマン静(福山)は写真週刊誌の副編の定子(吉田羊)から、新人記者野火(二階堂)とコンビで仕事を任される。当初はかみ合わずケンカばかりしていた二人組は、特ダネを連発。発行部数はうなぎのぼり。取材のやり方の奇想天外な面白さ、二人の軽快な会話のおかしいこと。私は珍しく2回観た。

 

私は(ヘンに聞こえるかもしれないが)、パパラッチとヘッジファンドが似ていると思っている。共通点、かな?世の中から異端視されることが多いし、人間の本性つまり好奇心とか金もうけの期待に立ち、ショウバイにするには特殊技能が必要だ。

 

 

 私はヘッジファンドの本を世界ではじめて書き、その技法を大蔵省(当時)の検査官を年4回教育した。いまでもかなりNYやロンドンの知り合いの運用担当者から取材している。11月下旬に渡米して話を聞いてくるつもりだ。

 

 ヘッジファンドは栄枯盛衰の激しい世界だ。ここ1,2年は地獄ではないか。

 

 昨年は45%のヘッジファンドがマイナス運用だった。今年は9月まで4・4%でS&P500の7・84%より劣る。9月までで半数のマクロ型ファンドは損失を出している。そこで大口機関投資家の解約が相次いでいる。米国最大のカリフォルニア州職員退職年金(カルパース)の40億ドルの解約にならう年金が多いらしい。

 

 パナマ文書の暴露以来、世界の富裕層は税務当局の厳しい追及に悲鳴を挙げており、タックスヘイブン経由の投資はどんどん止めている。またひところ高パフォーマンスで人気を集めていたBRICS向けファンドも元本は減少。

 

 業界筋では2%の運用手数料と20%の成功報酬がヘッジファンドの通り相場だが、これが投資家の不信につながっている、と。だからこそ毎月250億ドルの解約があり、これはリーマン・ショック時の水準だ。

 

 私がこのところの市況上昇にもかかわらず、慎重な姿勢を維持しているのは、次の理由による。

 

 第一に例年の日本株の保有減少期。12月決算が多いので11月のサンクスギビング(第四木曜、今年は24日)までにポジションを終わらせる。円の買いポジションも減らしつつあり、日本側では意外高をはやすが、上値には売りが出てくる。

 

 第二は私が指摘してから有名になった「45日ルール」だ。ヘッジファンドの解約を三カ月に一回とか半年に一回と制限しているのが一般的だが、ファンドの出資者は45日前に運用会社に通知し、マネジャーはボヤきながら手持ち株を手仕舞う。12月決算なら11月15日が最終日で、TOPIXは例年その前に(幅はその年によるが)下がることがほとんどだ。

 

 

 第三にヘッジファンド全体に関係筋の目が厳しくなり、資産(三兆円)の縮小が不可避なこと。税務当局、銀行の融資ワクの減少、それにEUの成功報酬の行き過ぎ規制検討、などなど。決め打ちは去る9月の中国杭州サミットでの「資産運用業の活動に伴う構造的脆弱性への対応」つまり規制の検討開始である。その後大手資産運用会社ブラックロック、フィデリティが懸命に運動、「運用会社」でひとくくりにせず、身代わりにヘッジファンド独特の仕組みが身代わりになるとみている。2009年4月のロンドン・サミットのしめくくりだ。

 

 以上から、私は日経平均のジリ高は好感し、腕に覚えのある方は日経ブルでひと回転をどうぞ、と申し上げる。しかし「大魔王」候補としてのヘッジファンドへの認識があまりにも欠けているので。

 

 映画のセリフから。「なぜカメラマンになったの?」「中学の時、ロバート・キャパの兵士の死を撮った有名な写真を見て、自分も何か世の中に残したいと思ったのさ。現実にはオレは何もしていないが。」ヘッジファンドはたしかにひとつの時代をつくった。しかし運用の世界にはAIがいつの日か次の世代をつくるだろう。いけない、いけない。このテーマは次の本にとっておくつもりだったのに。

 

最後にオマケ。ヒラリーにFBIがEメールゲートを蒸し返した。すぐに為替市場では円安の流れにストップがかかった。展開次第ではトランプ・ショックの可能性も出ている。ここはやはり慎重に。

 

2016年10月22日 (土)

映画「ハドソン川の奇跡」とトランプ・ショック第849回)10・23

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映画「ハドソン川の奇跡」とトランプ・ショック(第849回) 2016・10・23

 監督クリント・イーストウッド、主演トム・ハンクスの組み合わせならハズれはない。恐らく今年のベスト5に入る佳作だ。

 NYラ・ガーディア空港を飛び立ったUSエア1549便が離陸直後に、鳥の群れが双発エンジン両方に飛び込み航行は不可能に。そこで機長サレンバーガー(愛称サリー、トム・ハンクス)はとっさの判断で、もう近くの空港に着陸するのは不可能とみてハドソン川に着水。乗客乗務員合わせて155人は全員無事に助かった。

 ところがこの英雄的行為が危険すぎた操縦だったのではないか、と航空事故調査委員会はサリーに追及を始める。「当日飲酒していたか?」「家庭でケンカしたか?」等々。質問ひとつにしても「どのように機体は『墜落』したのか?」これに対して「墜落ではありません『着水』でした」と何回も反論しなければならなかった。そこに左のエンジンは鳥の死体で完全に停止していなかったのでは、という疑いも出て、サリーは苦境におちいってしまう。

 

 いまの世界情勢は、双発の航空機のエンジンに鳥が飛び込んで止った状況に似ている。いつ、何が起きるか分からない。私がこのブログでよく使う「大魔王」である。ブラックスワンと呼んでもいい。

 いつ、大魔王が来るか、それが読めれば苦労はいらない。一つの方法として、いろんな分野での達人に話を伺うことにしている。もちろん私なりによくソシャクして、おなかに落ちて自分の決断として結論を出すのだが。

 目先はほんの、2週間に迫った米国大統領選で、意外や意外、ドナルド・トランプが大統領になるショックだろう。日本株は20日に1万7000円の大台を抜いたが、これはクリントン確実、とベットで出たカネが動いた、との情報。別に新しくもないが、ここ何週間も持合いでエネルギーがたまっていたのだろう。その割には円安の幅は大したことはなかったが。

 

 BREXITの時に似て、ヒラリー有利は「もう確実」に変わっている。90%以上のマスコミはヒラリーの見方だし、州ごとの選挙人予想でも(例クック・ポリティカル)はヒラリー272人、トランプ197人で残る69人を全部とってもトランプの敗け。また3回のTV討論でもCNNによると勝敗は明白だ。

 

 それだけに、万一トランプ勝利となれば大変。BREXITの時の6月24日(1万6389円→1万4864円)の1500円の急落が11月8日(日本時間9日)に発生するかも。可能性としては30%あるか、ないかだが。私はヘソ曲がりだし、米国でピーター・ディールがトランプに献金した、とか。この人はすごい予知能力を持っているベンチャーキャピタリストで有名だ。

 

 日柄から言っても11月始めは急落の危険がある、と言っているのが、伊東秀広さん。私が信頼する下げ予想にツヨいテクニカル・アナリストだ。

 伊東さんは「ヒラリーもトランプも不人気。しかし米国人に聞くと、最高裁の判事は民主党だとリベラルを選ぶ。しかし人工中絶や同性結婚など本来の米国人はイヤなので容認する立場のリベラルにつながるヒラリーに投票しない」と言っている。伊東さんがトランプ、と見ている背景だ。

 では、かりに下げがあったら―。私は下げ幅次第だがもちろん勝負に出る。キャッシュ・ポジションはそのために高めてあったのだし、値がさ株での大きく値下がりはチャンスだ。もし、なかったらー、いぜん慎重な作戦を継続する。

 

 私は大きく下げた後、長期で大きなスケールの上昇を予想しているのは、まったく変わりない。前記したように空売り比率は過去最高水準だし、裁定買い残シェアはこれまた過去最少(9月9日に0・07%)で、弱気派が多数ななかで、日本株の上昇エネルギーは高まっている。そんな短期の動きで見ないで、日本の金融力が世界でただ一国伸びている現実を見るだけで「日本の時代」に入りかけていることがわかる。ここいらは近く刊行される新著をご覧ください。

 

 さて、今回は「トランプが本当に米国大統領になったら、NYと日本の株、為替(ドル円)はどうなるか」を万一のためにまとめておきたい(ムダになることを願うが。)

 市場についてより、日本人として気になる中国の尖閣侵略時の米軍の行動。大統領が動く気がない場合でも、中国の高官が米国内に持つ資産を差し押さえしたり、ロサンゼルスにある「お妾さん村」の住民を公表したり、これは簡単にできる。中国からのサイバー攻撃するゾというおどしを押さえ込む。中国共産党の内部はガタガタになる。中国の攻撃は終わるにちがいない。

 

 トランプの財政政策はとりあえずドル安、円高。株は安い。

 ただこの人の経済政策は1980年のロナルド・レーガンのレーガノミクスに似ている。インフラ整備や防衛関連支出の増大と法人税、所得税の減税は強力な「ケインズ効果」をもたらす。(このことは安達誠司さんも指摘している)。

 TPP反対なので保護貿易主義者というレッテルが張られているが、NAF×TA重視、WT0中心の自由貿易を維持する、としている。クリントン政策より長期停滞を脱するには、トランプの方が有効だ。

 トランプ大統領なら、同氏支持を続けてきたコンチネンタル・リソーシズ、ボルナド・リアルティ、ニューコア。どの経営者もトランプの経済アドバイザーだ。株は買われるだろう。

 半面、税法でいじめられるヘッジファンドは手痛い打撃を受けるし、マスコミ、とくにアマゾン(傘下にワシントン・ポスト紙を保有)、NYタイムスにも攻撃があろう。

 

 映画のセリフから。サリー機長が言う。「208秒の間に決断した。これが40年間の私の経歴をポシャらせるなんて」。結局は左のエンジンが操作不能、近くの空港への着陸も時間的に無理、と分かって犯人扱いから英雄に戻るのだが。トランプ、このメチャメチャな自己顕示欲満々の男は、英雄になれるのだろうか。

2016年10月15日 (土)

映画「グッドモーニングショー}」と円・株の今後と作戦(848回)

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映画「グッドモーニングショー」と円・株相場の今後と作戦(第848回) 2016・10・16

 私はもうずいぶん昔のことになってしまったが、TBSの「サンデーモーニング」のレギュラーだった。当時浦和に住んでいたが、午前8時の放映開始の3時間前に車が出迎えが来て、そんなに早く、とたまげた記憶がある。TV番組を舞台にしたこの映画は楽しかった。

 

 落ち目のワイドショーのキャスター澄田(中井貴一)は出がけに息子からデキ婚の意志を伝えられ、大ショック。やがてオンエアになるが、局の近くのカフェに男が銃と爆弾を持って立てこもる臨時ニュースと共に情勢は一変する。犯人が名指しでキャスター澄田を交渉人に指名し、防弾チョッキをつけて現場に。

 

 警察から「絶対に(相手を)否定しない、信用しない、約束しない、この三原則を守ってください」と言われる。しかし澄田は三つとも守らないままに犯人(浜田岳)と交渉。身に着けていたカメラを通じやり取りは放映され視聴率はうなぎのぼり―。

 長沢まさみ演じる女子アナから生放送中に澄田との不倫を自ら暴露しようとするあたり、私は爆笑した。面白いしTV業界に興味がある向きにはお勧めだ。

 

 テクニカルアナリストのシティグループ証券の高島修さんが、最近の米ドル指数のチャートで、「半年ぶりに中長期的な買い指標がすべて点灯」と指摘。目先は102~104円の対ドル円相場でのレンジ内だろうが、年初来の円高は終わったのでは、と述べている。

 また高島さんに、全面的なドル高よりも、その結果生じるドル円の動きが、NYダウでなく為替レートに連動していることに注目している。リスクのオンかオフかに敏感な円ドル相場の地合いはもう相当に進んでいる、とも。私も同感だ。

 

 それでも私は株価の今後には慎重である。

 ドル円相場と日経平均との相関度は極めて高い。三井住友アセットマネジメント市川雅浩さんによると、2011年11月以降、今年8月までの相関係数は96・33%と高い。(式はY=241・15×-10027)。

 1ドル104円でも、市川さんの推計式を使うと日経平均の妥当値は1万5089円。1万7000円近辺の時価は2000円近く割高ということになる。アンチ安倍の人なら、「日銀のETF買いとGPIFのせい」と言うかも知れない。

 

 私は人工的にそんな大きな差をつくれるはずがないと思う。理由はチャンとある。

 

 理由は①採用期間に問題があり、アベノミクス登場の2013年11月から計算してみたら②円レートそのものが過大評価されている、の二つを「犯人」として注目している。

 丸三証券の経済調査部長安達誠司さんは河上肇賞・シンクタンク賞を獲得している人気エコノミストだが、日米のマネタリーベースをもととした「ソロスチャート」に手を加えた独自の為替均衡点を算出している。的中率は高い。

 

 先日お目にかかって、最近の長期的均衡値をおねだりしたが「1ドル109-110円」とのことだった。110円で前期の市川方式で妥当日経平均を算出すると1万6500円。1万7000円近辺は株価からみるとやや割高。円レートでみると111円で充分、ということになる。(ただ、均衡値自体がマネタリベース比率で変化し年末予想値は125-130になるが。)

 

 では今後、円レートはどうなるか。まだ米財務省はトランプに遠慮しているのか最近の報告書でも、日本側が円安への発言を繰り返した、と不満顔だ。しかし私は11月8日の大統領選挙が終わったあとは日米の関係が大きく変わり、円安になると思う。

 

 私の調べたところでは「安倍首相は大統領選と上下両院選が終わり、バラク・オバマ現大統領が退任する2017年1月までに米議会がTPPを承認する。この「勝算」の背景は第一にTPP賛成派議員たちの予備選での勝利。第二のヒラリー・クリントン候補の本音が「再交渉にはとてつもないエネルギーが必要だから現政権でTPPを成立させてもらいたい」という見方があること。そして「12月に入ればホワイトハウスは本気で臨戦態勢に入る」という情報が入っていることだ。もちろんドナルド・トランプ候補の敗北90%という読みがあることも。

 

 日本の外交は6月の外務省次官交代以降、アンチ安倍が180度転換したのかも。9月に国連総会が開かれたNYで安倍首相はヒラリー・クリントンと55分単独会見した。外交情報からだ。健康問題が出て不安感が出ていたヒラリーに恩を売った。これ、実は大きい「貸し」だ。

 

 ある情報筋はトランプへの接触を指摘している。同氏の外交安全分野の最高実力者マイケル・フリン元国防局(DNI)長官に接触した。政府は前面に出ずサイバーセキュリティの民間会社が招待する形で、9月末に同元長官は来日した。そこではトランプ当選の暁には長女イヴァンセ氏を駐日大使として招聘する案も示唆された、とか。10%の可能性に対しても、キチンと「つないで」ある。へえ、なかなかやるじゃないか。

ついでに。シカゴの為替市場ではヘッジファンドが円の買い玉を急激に減らしている。(9月27日の10万2000枚から10月11日に7万9000枚に。)

 

 結論。円安に転じれば前述の安達誠司さんは年末1ドル125~130も、と言っているし。1万7000~1万7200円のカベを抜くかもしれない。しかし何ヵ月かのうちに「大魔王」がやって来て、ガタンと来るかも。腕におぼえの方は目先日経ブル、下げは入ったら日経ベアを、忙しいかもしれないが、(冗談だが)右手のクスリ指がヒトサシより長い方はどうぞ。

 

 映画のセリフから。プロデューサーがいう。「昔から漁師は暖流と寒流のぶつかる所に船を出すんだ。小さな魚は暖流に乗って来るが寒流で立ち止まる。大きな魚はそこで食料を手に入れるが、漁師は両方ともつかまえるのさ。」当面、リスクオンの流れにつくが、近い将来の「大魔王」にもそなえよう。リャンメン待ちだ。

 

 

 

2016年10月 8日 (土)

映画「セルフレス覚醒した記憶」とドイツ銀行とノーベル賞847

 

映画「セルフレス/覚醒した記憶」とドイツ銀行とノーベル賞(第847回) 2016・10・9

 すべての老人がもう一度青春時代に戻りたいという願いを持つ。ゲーテの「ファウスト」やオスカー・ワイルドの「ドリアン・グレイの画像」。映画ではルネ・クレールの「悪魔の美しさ」-。みんなこの願望がテーマ。だんだんと老化を遅らせる不老不死プロジェクトが進行している現在では、たとえSFにしても、もっともらしい近未来だ。

 

 この映画のファウスト博士は建築の世界の帝王まで百万長者。ガンで余命がわずかと知った老人は、老人の心を若い肉体に転送するという科学者の実験に乗ることにする。科学者は老人の意識を35歳の特別部隊の兵士の体に転送する。

 老人役は名優ベン・キングズレーで兵士の方はイケメンのライアン・レイノルズ。なかなかいい。監督はインドのタンセム・シン。

 

 老人の方は兵士の記憶が幻覚となって現われるという副作用に悩まされ始める。次第に若い兵士の人生、つまり肉体に戻ってゆく。いろいろ考えさせられるSFだ。

 

 市場に残っている記憶の方は、リーマンショックの再来、だろう。

 

 問題のドイツ銀行について、CNBCが有力証券KBWの銀行アナリストフレッド・キャノン氏とキャスターが対談した。

 結論だけまとめると次の通り。

 今回のドイツ銀行の危機はリーマンショック時と違う。懸念されているデリバティブについては、どんな監督機関のガイドラインにも適正な範囲内だ。問題はバランスシートではない。

 米司法省による過去の違法販売に対する課徴金140億ドルも現実には半分ぐらいだろうし、60億ドルの引当金がある。

 では何が問題なのかというと、現在のドイツ銀行は全く利益が出ないし、将来の収益源もない。株価が新安値になったのは、当然。これほど安ければ増資は不可能だろう。

 ヘッジファンドがプライムブローカーとしてのドイツ銀行から他行に乗り換えているのは、事実だが、顧客の「取り付け」とは違う。また資産へのヘッジファンドの比重は7%に過ぎないが、不安感を与えるので、不安感は去らない。

 デリバティブは想定元本ベースでは巨大だが現実の負担は大きくない。

ロイター電ではドイツ政府の高官は「たとえばコメルツ銀行との合併」を示唆して選挙前に銀行を救済する政府は世界中にない」とも。

 

 私は先ほど引用したキャノン氏の楽観的な見方は、本音ベースで怪しいと思う。ヘッジファンドと格付け機関は「ひとつ穴のムジナ」だ。いまは底値から多少、買い戻しで株価は戻っている。140億ドルが半額にでもなれば、もう少し上がっても不思議でない。

 しかしそのあたりで格付け会社が格付けを引き下げたら―。それこそ選挙前で救済しにくいタイミングで。どうなるかは、神のみぞ知る、だ。

 

 先週木曜日、元FRB議長のアラン・グリーンスパン氏がCNBCに出演し「BREXITの影響がまだ顕在化していないが、問題はこれからだ」。と警告した。

 

 このところの円安、日経平均のジリ高で、そろそろ何か買いたくなるのが腕に覚えのある投資家の常だ。1万7000~1万7200円のインネン場にさしかかっているし、そこいらがすんなりと抜けるかどうか。

 裁定買いの低水準とか、円レートがチャートのフシ目を抜いたとか、中国経済が平静だとか、ドナルド・トランプがミスを重ねて当選の可能性が減っているとかー。私が証券会社のヒールスマンならお客様に「買いましょう!」と勧める場面だが。まだ私は慎重だ。

 

 それでも何かやりたい、という向きには、ノーベル賞の東工大・大隅氏の関連のタカラバイオ(4974)、コスモバイオ(3386)、医学生物(4557)。もう少しバイオ全体に拡大してペプチドリーム(4587)、そーせい(4565)もご検討いただきたい。もちろん長期投資だ。

 

 19世紀は化学、20世紀は物理が技術がブレイクするスルーして、成長産業はそこから生まれた。化学は人造繊維、人造肥料、物理は半導体、原子力、そしてエンジン(自動車、航空機)もちろん別の流れに情報、新エネルギーがあるが。

 しかし物理と化学が出来上がっているこの世界は問題がある。文明として未成熱で公害とか産業廃棄物など、人類の幸せに阻害あるアタマの痛い問題が発生した。ところが自然には現代の産業社会より文明としてずっと上なものがいくらでもある。

 

 たとえばジャガイモ。ほとんど窒素だが、陽光と空気、大地と水があれば、つくれる。苔や歯はもう一度土に返るのでムダがない。だから、化学、物理につづく成長産業は「生物学」(いまのバイオ)。

 この考え方を推し進めると、たしかに21世紀に入って、DNAとかクローンとかIP細胞とか、ここ10年の間に常識になった。

 

 永々と書いたが、今から35年前に私はこの歴史的な見方をある巨大企業の未来担当の役員に教えてもらった。長男が数、理が得意だったのでバイオをやれ、といった。何回も。

 時代が早すぎたので始めは苦労したが、バイオ専門のトップランナーになり、40歳で国立センターの学部長になった。相談もされなかったが、孫娘も生命理工学部のリケジョに。

 

 今回のテーマにしたSF映画も。バイオの発展が後ろにある。いつも映画のセリフでシメるが、科学者が言うセリフ「誰のために、何のためにこの老人の回春を推進するのかが問題だ」。私も次第に神の領域に近づいている科学をソラ恐ろしくさえ感じる。私自身あと何年もつか分からないが、ある日突然バタリがいいなあ。その日まで生きて、仕事をしたい。

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2016年10月 1日 (土)

映画「ブリジット・ジョーンズの日記」とTV討論会とドイツ銀行

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映画「ブリジット・ジョーンズの日記」と第一回TV討論会とドイツ銀行(第846回) 2016・10・2

女性に大人気の「ブリジット・ジョーンズ」シリーズの第三弾。「ダメな私の最後のモテ期」という副題がつく。第一作は2001年でブリジット32歳、2005年が第二作だったから、47歳のはずだが映画では43歳。今やTVの敏腕プロデューサーになったブリジットだが、相変わらずドジで天然ボケキャラクターでこれも相変わらず部屋がゴチャゴチャ。でも失敗してもカワいいし魅力的。レニー・ゼルウィガーの当たり役だ。

 世の中の「負け犬」女性たちの感情移入先だから、ハンサムな男性にモテモテになるお話しは本来はこのシリーズに合わない。しかし今回は二人の男性とセックスして赤ちゃんが出来、どっちの子か悩むというストーリーなので予想外の展開だ。最後は―。まあ見てのお楽しみ。

 

 ダメ女は絶対に負け犬から脱却して「いい子」になれない。26日のNY州での大統領候補TV討論会を観たが、トランプはやはり大統領じゃない。そのウツワじゃないことが、よく見えた。

 

 CNNのTV放映後の世論調査では62対27の比率でヒラリーが勝った、となった。一方私が良く使う掛け率のオッズも同様。TV放映前と後との比較

   ヒラリー 1・44倍→1・40倍

   トランプ 2倍→3・33倍

 たしかに9月下旬までのトランプの進撃は目覚ましかった。クック社の選挙人数調べだと8月15日の190人が9月29日には197に増加。一方ヒラリーの方は同じ期間で272と不変だった。しかし残る69人の選挙人がトランプに入れても、次期大統領はヒラリー。

 

 このほか米国では大学教授がいろんな指標から予測あるモデル予測が有名なものだけで九つあるが7対2でヒラリー有利。的中率の高いNY州立大は51・2%対48対48・6%。ペンシルバニア対ウォートン・スクールは52・3%対47・4%。(ちなみにウォートンの予想は9月29日のTV討論後のものだ)

 まあ「トランプ暴落」が言われていたが、よほどのヒラリーの失敗または健康不安が起きない限り心配なさそうだ。

 

 ところがドイツ銀行問題が急に重要視されてきた。昨年8月に私はおかしいぞと指摘したときは33ドルだった同行株価は10ドル。

 イタリアの大手銀行数行やコメルツ銀行も経営危機が市場の注目点になり、欧→米と金融関連株の急落が株価全体の足をひっぱっている。

 こちらの方は不良資産、特にデリバティブの損失が明確に公表されていない。

 

ドイツ銀行は訴訟が膨大な損失をもたらすが、それ以前に米司法当局の140億ドルもの和解金を払うと、一遍にテキサス・レシオが悪化する。

 このテキサス・レシオは不良債権を貸倒引当金+自己資本で割ったもの。日本のビッグ三行は9~10%、米国の大銀行もひとケタだが、ドイツ銀行は和解金を支払ったら100%を超える。ちなみにイタリアのモンテバスキは何と141%。

 

しかも欧州では、銀行の損失はまず預金者や債券保有者の負担するベイルイン方式で、さわぎが起きたら恐慌心理になり取り付け騒ぎが発生するだろう。

ドイツ銀行の貸付リスクへの保険料(CDS)は542%で、危機接近を示している。リーマンの危機前の5月2%、危機が起きた8月が6%だった。(ふつう1%以下)。

 

まあ私としては昨年8月からドイツ銀行は危ないといい続けて来たし、リーマンと全く同じことをしているので、末路は知れている。影響がリーマン並みになるか。まだ分からないが株価とCDSはほとんど同じひどさだが。

 

秋に天から大魔王が来るゾ、とは前から言っておいたがやはり10月に始まるのか。こんな分かりやすい大魔王じゃない公算は残るがここでは作戦はふたつ。キャッシュポジションを上げるか、日経ベアを買うか。

 

映画のセリフから。ヒョンな成り行きで前夫のマーク(ロリン・ファースト)とベッドイン。その前に野外ロックのフェスに行き泥酔して、コトに及んでいたのは米国のセレブ実業家ジャック(パトリック・デンプシー)。万事休したブリジットが言う。「私のお腹には、あなたたちのどっちかの子がいるってわけなの…」二人は「大事なのはベビーだ」と大人の対応。この事態の原因は使用期限切れのコンドーム!ドイツ銀行の方も、始めはデリバティブの損失は大したことはなかったのだろうが、ギリシャに入れ込んだのがキズ口を大きくした背景だ。

 

 

 

 

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