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2016年12月18日 (日)

映画「ローグ・ワン」と円安・株高の今後(第856回)

映画「ローグ・ワン」円安・株高の今後と目標値(第856回) 2016・12・18

 本当の題は「ローグ・ワン/スター・ウオーズ・ストーリー」で「エピソード4/新たなる希望」の直前のオハナシだ。シリーズ第一作でレイア「姫がR2―D2に託した帝国軍の巨大要塞兵器デス・スターの設計図を、誰がどうして入手したのかを画く。先般公開されたエピソード7」は旧作のメインキャメラスターが多数出演したが、今回はほとんど出番はなし。それでも「スター・ウォーズ」らしい信頼とか仲間、それに無償の貢献といった柱がキチンと出来ているので十分楽しめた、3D版。

 主演は科学者の娘のジン(フェリティ。ジョーンズ。前半はこの悪いことならなんでもしたローグ(はぐれ者の意)の娘と生き別れた父親との再会話。後半は少数精鋭のならず者部隊が、帝国軍の基地に奇襲をかける。ここはさすがに盛り上がる。一見に値する。ダース・ベーダーも少し顔を出す。レイア姫もほんの一瞬だけ。

 

 ファンド・マネジングの世界でのローグはヘッジファンドに決まっている。この連中に聞くと、ドル買い(円売り)は、当分の間続ける。

 

 それはそうだろう。円とドルの大口投機玉の円買いマイナス円売りの「ネット」は11月11日には4万3000枚の円買い。これが最新の12月13日には6万3000枚の円売り。この間に円レートは1-4円から118円まで14円も円安になった。

 「日本のFX担当者はトランプがツイッターで円安にブレーキをかける発言をするかもしれないから、もうそろそろ円安の流れは止まるかも、と言っているよ」というと「トランプは中国とメキシコには貿易でも為替でも圧力をかけつつある。同時に日本を叩くわけがない」と一蹴された。ソロス・リチャードでも「2017年前半にFRBが引き締め態勢に入れば、125円の対ドルレートも十分あり得る。

 

 なるほど。それなら1円の円安は日経平均200円強の上昇にあたるのが、相関関係の式でいわばバジョーシキだから、目標値は―。

 11月8日、105円、1万6251円

 12月16日118円、1万9401円

 13円かける200円だと2600円だから、株価の方は200円、つまり対ドルで1円の円安を先取りしていることになる。しかし1ドル125円なら、2万1000円が目標。

 

 トランプが何か失敗したら、円安ドル高にブレーキがかかるため。

 まだトランプが就任式を挙げるまで1カ月あるし、直後100日はいわゆるハネムーン期間。それに減税法案もとおっているかどうかわからないし、経済指標に新大統領の経済政策の効き目が出るには、まあ1年はかかるだろう。円安日本株買いは、この17年の大テーマとしてヘッジファンドは捉えている。

 

 私は以前~「大魔王」がやって来るかも、と言ってきたが、この言葉は今後は使わない。代わりに「ブラックマンデー2」とする。金利上昇が続くと、87年型の急落の再来の方がよっぽど可能性が大きかろう。

 

 金利上昇には、世界的な好況の裏打ちがある“良い金利上昇”と“悪い金利上昇”がある。今回が良い方なら、日本はいつの間にかひとり勝ちになる。私は40冊目の本を書いたが、実は世界は恐慌ムードに入る可能性はあるが、日本だけは別という主張だ。幸い出版後すぐ増刷で気を良くしている。

 

 映画のセリフから。奇襲部隊の隊長が言う。「ここにいるメンバーは、みなスパイやら暗殺やらで手を汚してきた。しかし今度は帝国への反乱軍全体のためになることをしたい。やるゾ!」。

 やる気のある方は、金融関連、つまり長期金利高で利ザヤが取れるグループをご研究ください。対米輸出比率の高い自動車株はメキシコ経由が多いものは、一応避けておきたい。

 

なお、来週のこのブログはお休みにさせていただきます。あしからず。


2016年12月11日 (日)

映画「七人の侍」トランプラリーの寿命(第857回)

映画「七人の侍」とトランプ・ラリーの寿命(第837回) 2016・12・11

 このブログには何回も登場している黒沢明監督の名作で私は日本映画の最高傑作と思う。ユル・ブリナーがリメークして「荒野の七人」をつくり、今回デンゼル・ワシントン主演で「マグニフィセント・セブン」が1月27日から公開される。今回の監督A・フークアは『現代の独裁』がリメイクした理由だという。

 

 ごく少数の者が巨大な富と権力を握り、大多数の者が苦しめられる格差社会。これが独裁にあたる。だから「マグニフィセントー」で、七人の用心棒は白人だけでなく、黒人、アジア人、メキシコ人、ネイティブ・アフリカ人と多彩で、開拓者たちの町民を代表して銃をとるのは未亡人、女性だ。「荒野の七人」と同じく、始めはカネのためだったが、次第に正しいことをするという意識を持って「悪」に立ち向かう。少し黒沢の「メシを食わせる」に似ているなあ。

 

 トランプ次期大統領当選以来、ポピュリズムはイタリアの国民投票に飛び火し、オーストリアやフランスでも反グローバル化、移民反対、反EUなどの動きが顕在化。これでは欧州に投資する気になるまい。

 

 新興国や中国もいまどき、EUと同じく魅力は感じられない。この広い世界で日本とアメリカだけが投資に適格だ。モルガン・スタンレーが「2017年12月末のTOPIXの目標値を従来予想の1190から大転換して1800とする」というレポートを11月27日に発表した。現在のTOPIXは1490からみて2割の上値をみている。円ドル130円、日本の景気好転、公的資金による株式需給好転が合わさってこの強気である。

 

 もちろんトランプ政権の外交姿勢の「中国たたき、日本への接近」が運用担当者のアタマにある。

 

トランプ次期大統領のツゥイッターでは①南シナ海の中国の軍事化②人民元の為替操作を強く批判した。

 

トランポノミクスは財政、経常収支の双子の赤字。当然この赤字を賄う海外からの資金流入が絶対に必要。ところが中国の方はまったく頼りにならない。日本が頼みの綱。だからソフトバンクの孫正義さんを大歓迎、となる。

 

 幸い、今のNYダウは急速な相場上昇に少しブレーキがかかる日柄だ。いい買い時と考える。

 

先週予告したジム・ロジャーズの講演は正直言ってガッカリした。冒頭20分近くはビデオでの二人の娘の紹介。次がロシア株を1967年に発見した自慢。ロシアの農業関連(これは自身が取締役になっている)への注目。トランプ・ラリーは「目先」で終わるとし、非常にスケプティカル。日本株はいくつかの銘柄は保有しているが、円は「買いたくない」。2025年は日本経済は「不況に突入」。ひところ円高説をとっていたのがまだひっかかっているのかなあ。もっとも最後の10分ぐらいは講演の先約があったので失礼してしまったから、内容のある話でシメたのかもしれないが。

 

こんな話を聞いた。今度の財務長官はじめ米財務の主脳はゴールドマン出身だが、みなオバマの対中国弱腰にイラついていた。習近平に米国国債を売るゾとおどかされていたか、ゴールドマン内部では、米国国債には敵対国条項がある。米国と米国同盟国へ軍事行動をとった国の保有している米国債を大統領令ですぐ無効化できる。これをオバマは習近平に云えなかった。歯がゆい。トランプ政権はちがうゾとか。ヘッジファンド経由なので真偽はわからないが。

 

 では、いつものようにイマイさん、強気なの?強気です。

 

 強いて弱気の材料を探すと、NYダウの1月に入っての急落だろう。

 

 理由は?トランプ減税だ。次期大統領は所得税を来年成立させ、1月にさかのぼって実施としている。最高税率39・6%が33%に減税される。

 減税を前に、個人投資家は年内に益出しするより1月に入って益出しした方が減税メリットを受けられる。だから、年内に売らず新年に―となる。

 

 もうひとつ。先週も先々週も書いた。①アルゴ取引②ヘッジファンド③株中心のミューチュアル・ファンド、ETFの買いの三人のバッターが期待する四番バッターの年金などの長期投資家は、まだ買い出動の気配は感じられない。トランポミクスの[影]にこだわっているだろう。これも1月NYダウ急落の理由だ。

 

 「七人の侍」の有名なラストのセリフ。志村喬の勘兵衛がいう。「今回も敗け軍(いくさ)だったな」「え?」「勝ったのは彼ら(農民)じゃよ」。私は物言わない大衆が勝つ日をいつも待っている。私は楽観的すぎるのだろうか。

 

ついでに。「マグニフィセント・セブン」のエンディングにあのバーンスタインの「荒野の七人」の

素晴らしい音楽が流れる。聞き漏らさないでほしい。


2016年12月 3日 (土)

映画「アラビアのロレンス」と私のNY出張報告(第836回)

 2016・12・4

 映画史上に残る傑作中の傑作。デビッド・リーン監督のこの作品を見たことのない方は、死ぬ前に1回は観るべきだ。七つのアカデミー賞獲得の大作で70ミリ映像だからできれ大画面で。モーリス・ジャールの素晴らしい音楽も是非よく聞いてほしい。ロレンス役のピーター・オトゥールが火をつけたマッチから砂漠の朝焼けに切り替わる有名なカット、オマー・シャリフが砂漠の蜃気楼からすがたを現わすシーン、そしてアカバへの攻撃など、誰もが1回観たら忘れられない。

 ロレンスが初めて砂漠にガイドについてもらって旅し、井戸に辿り着く。ガイドはハジミ族、そこに現われたハリ族のアリは「私の井戸だ」として射殺する。水泥棒のヨソ者は殺せという掟のためだ。怒ったロレンスは云う。「アラブがいまのように慾深く残酷で野蛮なままなら、未開で救いのない民族だ。」と怒る。

 

 11月30日、OPECは定時総会で原油減産に合意した。OPEC加盟国以外他の有力産油国ロシアの日量30万バレルに減産を含め60万バレル。加盟国ではサウジが48万6000バレル、イラク21万バレルの削減に合意したが第3位のイランは経済制限前の水準回復への希望が一部受け入れられて9万バレル増産。

 以上を合わせると日量180万バレルの協調減産が実現、明年1月から半年間実施される。

 

シーア派とスンニ派の対立という歴史的背景もあり、イランへとの対立が続いていたサウジが減産を引き受け、漸くまとまった。サウジが我慢し、イランはトクをした形。アラブ全体としてはロレンスの言う欲深い民族ではなかった、ということか。

 

つれて原油価格は11月中旬には43~4ドルだったが12月に入り51ドル台まで急伸した。今後も50ドル台、うまくいけば60ドルは維持されよう。この原油価格で推移すれば、明年に予定されているサウジアラムコの株式公開は成功する。

 

 原油価格高は世界的期待インフレ率の上伸、長期金利上昇を伴う。米国10年もの国債金利は11月9日に2・09%と2%大台に乗せ本稿を書いている12月3日現在2・43%。これがドル高の背景になり、円安→輸出企業の収益増期待→株高で日経平均は上昇中だ。NYダウの新高値もご存じの通りだ。

 

11月9日とわざと強調したのは、云うまでもなくトランプ登場で米株ラリーが始まったからである。

 

私は18日にNYに出張、この株価上昇が「誰が買っているのか」を調べた。

 私の結論は、一番手はアルゴリズム取引。トランプ当選で公約を調べたら「減税、規制緩和インフラに1兆ドル」という見出しで買いを入れた。米国時間で前日の日経平均は急落し、NYダウも9日は安く、特に市場が始まる前の先物では700ドルの下落で始まるはずだった。しかし現実には株価は上昇。ヘッジファンドのマネジャーたちは休日の休みを放り出して猛烈に買った。これが第二番手。

 三番手は株中心のミューチュアル・ファンドやETF。10月と11月第一週で475億ドルもの資金流出があった。それまでの1カ月流出記録は2016年1月の205億ドルだから、大統領選挙を控えて投資家の警戒心がいかに大きかったか、わかるだろう。

 

 私はこのトップバッターから三番バッター、まで市場関係者に会って確認した。

 

 結論は、少なくとも12月の決算期末までNYのドル高、株高はつづく公算大。うまくゆくと1,2月かも。理由は四番バッターの米国公的、私的年金、大学などの基金、財団などの長期投資家がまだ買いに出る体制に入っていないから。投資委員会を開いて方針変更を決めるには時間がかかる。

 

 この四番バッターが1,2,3月から買いに入ったら、1,2,3番バッターは手持ちをブツける作戦だ。まあ年金もバカじゃないから、少し売ってみせたリ駆け引きはあるだろうが

 

 NYはわかった。日本は?

 

 円レートが1円、円安になると日経平均は200円上昇する。米国の長期金利が上昇し日本の方は、マイナスからプラスに転じたといえいぜんゼロ近辺。金利裁定で円安はまだ進む。米国側はどこかで牽制球を投げて来るだろうが、政権交代期の谷間だし、オニのいぬ間のセンタクだ。今後の日米金利差を考えたら、120円だっておかしくない。日経平均1万9000円台もユメじゃない。

 トランプ氏も共和党も大幅減剤を主張しているから「景気と物価押し上げ」の期待はまだ続く。長期金利は上昇が続く。円安も。

 

 ただし、長期金利の上昇が1987年のブラックマンデー暴落を呼んだことを忘れてはなるまい。すでに現水準でも10年国債の7年間の移動平均利回りだ。10年間の移動平均は2・84%。ここを超えると、債券を保有する投資家はよほどのヘッジをしていない限り、全員が含み損を抱えてリスク・オフにせざるを得なくなる。当分強気相場だが、私は「ブラックマンデー2」の危険性はそう遠くない将来に「必ず起きる」と警告しておく。ただ今は上昇場の日柄は若いので心配は不要だが、1,2年先はコワい。

 

近くジム・ロジャーズに会うが、6月にはなかった日本株への投資作戦を変更したとか。

 そこらを含めて、まだつづいて手持ちのNYみやげを書くつもりです。乞ご期待。

 

 

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