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2016年12月 3日 (土)

映画「アラビアのロレンス」と私のNY出張報告(第836回)

 2016・12・4

 映画史上に残る傑作中の傑作。デビッド・リーン監督のこの作品を見たことのない方は、死ぬ前に1回は観るべきだ。七つのアカデミー賞獲得の大作で70ミリ映像だからできれ大画面で。モーリス・ジャールの素晴らしい音楽も是非よく聞いてほしい。ロレンス役のピーター・オトゥールが火をつけたマッチから砂漠の朝焼けに切り替わる有名なカット、オマー・シャリフが砂漠の蜃気楼からすがたを現わすシーン、そしてアカバへの攻撃など、誰もが1回観たら忘れられない。

 ロレンスが初めて砂漠にガイドについてもらって旅し、井戸に辿り着く。ガイドはハジミ族、そこに現われたハリ族のアリは「私の井戸だ」として射殺する。水泥棒のヨソ者は殺せという掟のためだ。怒ったロレンスは云う。「アラブがいまのように慾深く残酷で野蛮なままなら、未開で救いのない民族だ。」と怒る。

 

 11月30日、OPECは定時総会で原油減産に合意した。OPEC加盟国以外他の有力産油国ロシアの日量30万バレルに減産を含め60万バレル。加盟国ではサウジが48万6000バレル、イラク21万バレルの削減に合意したが第3位のイランは経済制限前の水準回復への希望が一部受け入れられて9万バレル増産。

 以上を合わせると日量180万バレルの協調減産が実現、明年1月から半年間実施される。

 

シーア派とスンニ派の対立という歴史的背景もあり、イランへとの対立が続いていたサウジが減産を引き受け、漸くまとまった。サウジが我慢し、イランはトクをした形。アラブ全体としてはロレンスの言う欲深い民族ではなかった、ということか。

 

つれて原油価格は11月中旬には43~4ドルだったが12月に入り51ドル台まで急伸した。今後も50ドル台、うまくいけば60ドルは維持されよう。この原油価格で推移すれば、明年に予定されているサウジアラムコの株式公開は成功する。

 

 原油価格高は世界的期待インフレ率の上伸、長期金利上昇を伴う。米国10年もの国債金利は11月9日に2・09%と2%大台に乗せ本稿を書いている12月3日現在2・43%。これがドル高の背景になり、円安→輸出企業の収益増期待→株高で日経平均は上昇中だ。NYダウの新高値もご存じの通りだ。

 

11月9日とわざと強調したのは、云うまでもなくトランプ登場で米株ラリーが始まったからである。

 

私は18日にNYに出張、この株価上昇が「誰が買っているのか」を調べた。

 私の結論は、一番手はアルゴリズム取引。トランプ当選で公約を調べたら「減税、規制緩和インフラに1兆ドル」という見出しで買いを入れた。米国時間で前日の日経平均は急落し、NYダウも9日は安く、特に市場が始まる前の先物では700ドルの下落で始まるはずだった。しかし現実には株価は上昇。ヘッジファンドのマネジャーたちは休日の休みを放り出して猛烈に買った。これが第二番手。

 三番手は株中心のミューチュアル・ファンドやETF。10月と11月第一週で475億ドルもの資金流出があった。それまでの1カ月流出記録は2016年1月の205億ドルだから、大統領選挙を控えて投資家の警戒心がいかに大きかったか、わかるだろう。

 

 私はこのトップバッターから三番バッター、まで市場関係者に会って確認した。

 

 結論は、少なくとも12月の決算期末までNYのドル高、株高はつづく公算大。うまくゆくと1,2月かも。理由は四番バッターの米国公的、私的年金、大学などの基金、財団などの長期投資家がまだ買いに出る体制に入っていないから。投資委員会を開いて方針変更を決めるには時間がかかる。

 

 この四番バッターが1,2,3月から買いに入ったら、1,2,3番バッターは手持ちをブツける作戦だ。まあ年金もバカじゃないから、少し売ってみせたリ駆け引きはあるだろうが

 

 NYはわかった。日本は?

 

 円レートが1円、円安になると日経平均は200円上昇する。米国の長期金利が上昇し日本の方は、マイナスからプラスに転じたといえいぜんゼロ近辺。金利裁定で円安はまだ進む。米国側はどこかで牽制球を投げて来るだろうが、政権交代期の谷間だし、オニのいぬ間のセンタクだ。今後の日米金利差を考えたら、120円だっておかしくない。日経平均1万9000円台もユメじゃない。

 トランプ氏も共和党も大幅減剤を主張しているから「景気と物価押し上げ」の期待はまだ続く。長期金利は上昇が続く。円安も。

 

 ただし、長期金利の上昇が1987年のブラックマンデー暴落を呼んだことを忘れてはなるまい。すでに現水準でも10年国債の7年間の移動平均利回りだ。10年間の移動平均は2・84%。ここを超えると、債券を保有する投資家はよほどのヘッジをしていない限り、全員が含み損を抱えてリスク・オフにせざるを得なくなる。当分強気相場だが、私は「ブラックマンデー2」の危険性はそう遠くない将来に「必ず起きる」と警告しておく。ただ今は上昇場の日柄は若いので心配は不要だが、1,2年先はコワい。

 

近くジム・ロジャーズに会うが、6月にはなかった日本株への投資作戦を変更したとか。

 そこらを含めて、まだつづいて手持ちのNYみやげを書くつもりです。乞ご期待。

 

 

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