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2016年12月11日 (日)

映画「七人の侍」トランプラリーの寿命(第857回)

映画「七人の侍」とトランプ・ラリーの寿命(第837回) 2016・12・11

 このブログには何回も登場している黒沢明監督の名作で私は日本映画の最高傑作と思う。ユル・ブリナーがリメークして「荒野の七人」をつくり、今回デンゼル・ワシントン主演で「マグニフィセント・セブン」が1月27日から公開される。今回の監督A・フークアは『現代の独裁』がリメイクした理由だという。

 

 ごく少数の者が巨大な富と権力を握り、大多数の者が苦しめられる格差社会。これが独裁にあたる。だから「マグニフィセントー」で、七人の用心棒は白人だけでなく、黒人、アジア人、メキシコ人、ネイティブ・アフリカ人と多彩で、開拓者たちの町民を代表して銃をとるのは未亡人、女性だ。「荒野の七人」と同じく、始めはカネのためだったが、次第に正しいことをするという意識を持って「悪」に立ち向かう。少し黒沢の「メシを食わせる」に似ているなあ。

 

 トランプ次期大統領当選以来、ポピュリズムはイタリアの国民投票に飛び火し、オーストリアやフランスでも反グローバル化、移民反対、反EUなどの動きが顕在化。これでは欧州に投資する気になるまい。

 

 新興国や中国もいまどき、EUと同じく魅力は感じられない。この広い世界で日本とアメリカだけが投資に適格だ。モルガン・スタンレーが「2017年12月末のTOPIXの目標値を従来予想の1190から大転換して1800とする」というレポートを11月27日に発表した。現在のTOPIXは1490からみて2割の上値をみている。円ドル130円、日本の景気好転、公的資金による株式需給好転が合わさってこの強気である。

 

 もちろんトランプ政権の外交姿勢の「中国たたき、日本への接近」が運用担当者のアタマにある。

 

トランプ次期大統領のツゥイッターでは①南シナ海の中国の軍事化②人民元の為替操作を強く批判した。

 

トランポノミクスは財政、経常収支の双子の赤字。当然この赤字を賄う海外からの資金流入が絶対に必要。ところが中国の方はまったく頼りにならない。日本が頼みの綱。だからソフトバンクの孫正義さんを大歓迎、となる。

 

 幸い、今のNYダウは急速な相場上昇に少しブレーキがかかる日柄だ。いい買い時と考える。

 

先週予告したジム・ロジャーズの講演は正直言ってガッカリした。冒頭20分近くはビデオでの二人の娘の紹介。次がロシア株を1967年に発見した自慢。ロシアの農業関連(これは自身が取締役になっている)への注目。トランプ・ラリーは「目先」で終わるとし、非常にスケプティカル。日本株はいくつかの銘柄は保有しているが、円は「買いたくない」。2025年は日本経済は「不況に突入」。ひところ円高説をとっていたのがまだひっかかっているのかなあ。もっとも最後の10分ぐらいは講演の先約があったので失礼してしまったから、内容のある話でシメたのかもしれないが。

 

こんな話を聞いた。今度の財務長官はじめ米財務の主脳はゴールドマン出身だが、みなオバマの対中国弱腰にイラついていた。習近平に米国国債を売るゾとおどかされていたか、ゴールドマン内部では、米国国債には敵対国条項がある。米国と米国同盟国へ軍事行動をとった国の保有している米国債を大統領令ですぐ無効化できる。これをオバマは習近平に云えなかった。歯がゆい。トランプ政権はちがうゾとか。ヘッジファンド経由なので真偽はわからないが。

 

 では、いつものようにイマイさん、強気なの?強気です。

 

 強いて弱気の材料を探すと、NYダウの1月に入っての急落だろう。

 

 理由は?トランプ減税だ。次期大統領は所得税を来年成立させ、1月にさかのぼって実施としている。最高税率39・6%が33%に減税される。

 減税を前に、個人投資家は年内に益出しするより1月に入って益出しした方が減税メリットを受けられる。だから、年内に売らず新年に―となる。

 

 もうひとつ。先週も先々週も書いた。①アルゴ取引②ヘッジファンド③株中心のミューチュアル・ファンド、ETFの買いの三人のバッターが期待する四番バッターの年金などの長期投資家は、まだ買い出動の気配は感じられない。トランポミクスの[影]にこだわっているだろう。これも1月NYダウ急落の理由だ。

 

 「七人の侍」の有名なラストのセリフ。志村喬の勘兵衛がいう。「今回も敗け軍(いくさ)だったな」「え?」「勝ったのは彼ら(農民)じゃよ」。私は物言わない大衆が勝つ日をいつも待っている。私は楽観的すぎるのだろうか。

 

ついでに。「マグニフィセント・セブン」のエンディングにあのバーンスタインの「荒野の七人」の

素晴らしい音楽が流れる。聞き漏らさないでほしい。


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