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2017年1月28日 (土)

映画「海賊とよばれた男」とトランプの栄光と転落(第842回)

映画「海賊とよばれた男」とトランプの栄光と転落 (第842回)2017・1・22

 百田尚樹氏の小説は出光興産の創業者・出光佐三氏の一生を描いた長編で、400万部を超えるベストセラー。「永遠のゼロ」と同じ山崎貴監督、岡田准一主演のコンビが映画化した。95年の生涯だから原作の省略がかなりあって、やはり映画は小説にかなわないのかな、というのが率直な感想。しかし「日本人はこれだけのことを成し遂げたのだ、もっと自信を持て」というテーマは、明確に打ち出されていると思う。

 

 前半は業界の閉鎖主義や官僚との戦い、中盤はセブン・シスターズと呼ばれる石油メジャーとの戦い。そしてヤマ場はイランのモサデク政権から世界でただ1社石油を買い付け、英国海軍の妨害を受けながら成功する。

 

 出光興産(映画では国岡商店)の草創期。まだ新参者なので製品を売りさばく先がない、ところが関門海峡を走る小型漁船向けに燃料油を伝馬船を漕いで売りつけた。同業者は「海賊どもが」と呼んで惜しがる。

 主演の岡田准一が35歳で60台から95歳まで特殊メークで老け役を演じたのだが、マーロン・ブランドや三船敏郎とは比べものにならない。映画としてはまずまずの出来なのだが。

 

 さて、先週は十数年ぶりに体調を崩してこのブログは休載。残念でしたが、びっくりするくらい多くの方々からお見舞いや激励の言葉をいただき、感謝感激でした。この間にトランプ・ラリーは一休みしドル高も反動安。もちろんツイッターやら大統領令やらで新大統領が指図したからだったが。

 

 でも、と私は思う。数多くの人がトランプ政策の矛盾を突き、何年か後に「破局」か「自らの誤りを認めて路線変更」を予測している。逆にいうと「このまま、少なくとも1,2年はトランプ・ラリーは、見かけはうまくゆくーと見ているのだろう。

 

 わたくしもそう思う。まず先進国も途上国もみな景気は好転中で珍しくいい環境だ。とくに米国は2018年前半ぐらいまでは相当に景気がいい。日本は日本で、短、中、長、それは超長期の景気循環がすべて上昇というゴールデンサイクルが今年から始まっている(嶋中雄二さんの研究による)。

 

 ではトランプ政策の何が米国景気のブレーキをかけるのか。

 公約のひとつの「10年間で2500万人の雇用創出」がある。米国の労働力人口は1億5~6000万人で失業者数の三倍を超える。

 労働力人口の六分の一もの雇用創出は、もちろんすぐに可能なわけではない。しかしその中途でも賃金の大幅上昇とインフレが発生するに決まっている。

 

 公約はまだある。「TPP脱退とNAFTA再交渉」「4%成長」「減税」「インフラ投資」。

 要するに保護主義+財政拡張+経済成長は望ましいことではあるが、可能ではない。大切なのは米国産業界に国際競争力も強化を促すことだが、トランプ氏にその気配はなく、その代わりに気候温暖化の虫が強行されようとしている。

 

 わたくしは先日の記者会見、またその前からメディアを軽視、敵視しているツケがいずれ回ってくると思う。私がCNNの社長ならば敏腕記者を選んで「トランプ氏が失脚するような材料を探してこい、動かぬ証拠つきで」と命令するだろう。ウォーターゲート事件はニクソン再選の選挙運動中に発生し、2年後の弾劾裁判直前の辞任で幕を閉じた。マスコミをバカにしちゃあいけない。

 

 為替の方も同じ。資金を世界中から集めるにはドル高は必須の条件だが、米国産業界が嫌がるに決まっている。これもどこかで限界が来るに違いない。要するにトランプ政権は、栄枯盛衰の言葉通り。春には花は咲くかもしれないが、すぐに急転直下、秋は木枯らしが吹く冬になるだろう。それでも、日本は大丈夫。私の最近作「恐慌化する世界で日本がひとり勝ちする」をご覧ください。

 

 映画のセリフから。イランに日章丸を派遣した出光佐三社主を評して部下が言う、「のるかそるかの大バクチだが、考えてみればウチの会社は創立した時からバクチを続けてきたんだなあ」。トランプ氏は選挙という大バクチに勝ったが、勝ち続けられるか、どうか。

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