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2017年1月16日 (月)

映画「沈黙―サイレンス」とトランプ会見とお年玉(第841回)

映画「沈黙―サイレンス」とトランプ会見とお年玉(第841回)2017・1・8


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遠藤周作の小説「沈黙」は、戦後日本文学の代表作の一つとして高く評価され、20か国語に翻訳。日本映画では篠田正浩監督が1971年に映画化、93年には松村禎三作曲でオペラにも。今回はマーチン・スコセッシ監督が28年かけて実施した映画化で、本年度アカデミー賞最有力とされている。試写会で見たが格調の高い力作だ。日米の俳優も熱演だし画面も美しい。遠藤周作の「弱者の神」「同伴者イエス」のキリスト教への解釈がメイン主題。日本の精神的土壌とキリスト教の背反がサブテーマだ。徳川政権の日本人のキリシタン、外国人神父に棄教を迫り、そのために踏み絵をさせる。そこがヤマ場となっている。

 島原の乱が終わって間もない1630年代。イエズス会の高名な神学者フェレイラが棄教した謎を追い、同時にキリスト教の灯を絶やさないため若い神父2名が日本に潜入する。

 ガイド役のキチジローの裏切りで長崎奉行所に捕われ、一人は命を落とす。主人公のロドリゴも神の栄光に満ちた殉教を求めていたが、問されている信者の命を自分の棄教で助けられると知る。またフェレイラが棄教したのも同じ理由だった。

 私はトランプ次期米大統領のツイッターによる企業攻撃は「踏み絵」だと思う。キャリア、フォード、GM、そしてトヨタに高率の関税をかけると脅した。一見自発的に見えるが何社も「棄教」した。自分はさぞいい気持ちだろうが、先行き、つまり高い人件費で販売させられる企業はたまったもんじゃない。

 11日の記者会見でもトランプ氏の「選挙モード」そのままで、1月20日の就任演説以降「統治モード」にキチンと移行できるのか怪しい。トランプ政権が大失敗に終わるか、レーガン大統領のような成功を収めるのか、まだ分からない。だからこそ投資家特にヘッジファンドは、ドル高是正とリスク・オンでトランプ銘柄(G、サックス、チェース、キャタピラー)が堅調だ。期待感は消えていない。

 日本のマスコミは自分の国の名前が2回出てきて、中国、メキシコと並べられたのに不安がっている。トランプ発言に今後も一喜一憂するに違いない。わたくしが見るところ「トランプ政権の大問題は外交・安保チーム(安全保障担当補佐官、国防長官、国務長官)の不調和だろう。フリンは事務管理能力に問題があり、マティスは国防総省内の人事でトランプ周辺と意見の不一致があるもよう、ティラーソンは議会の承認が親ロシア過ぎるとして、認められるかどうか疑問だ。戦略の一致とチームの機能開始に時間がかかるだろう。

 となると、対中戦略がどうなっても、日本としては防衛予算の増額は、やらなくてはなるまい。

 実は昨年11月から、防衛関連銘柄の株価は急上昇している。トランプ政権が①衝突するリスク②電撃的に和解して太平洋の安全保障を分担するリスク、どちらにしても防衛費が増大すること必至、とみてヘッジファンドが買い始めているためだ。

 三菱重工(7011)

 川崎重工(7012)

 新明和(7224)

 ついでに言うと防衛向けでは殆ど実績のない三井造船(7003)まで株価は上昇しており、前記三銘柄を含め40~60%もの株高だ。しかもまだ売る気配はない。

 米軍駐留費の負担増が3500億円、今後日本はGDP1%のワクを倍増させる、特に艦船(護衛艦、潜水艦)の建造が繁忙になる、という読みからだ。

 では、この安全保障の巨大な変化で財源はどうする?これも防衛予算同様、大変化をヘッジファンドは読んでいる。これはトランプ陣営の閣僚人事に絡んでいるので、来週に。お楽しみにしていてください。

 映画のセリフから。夜明けにロドリゴは踏み絵を強制され、足を擦り減った銅板に刻まれた神の顔に近づけた時、彼の足を激しい痛みが襲う。そのとき踏み絵の中のイエスが言う。「踏むがいい。お前の足の痛みは私がよく知っている。その痛みを分かつため私はこの世に生まれ、十字架を背負ったのだ。」またキチジローを通じて語りかける。「わたくしは沈黙していたのではない。お前たちとともに苦しんでいたのだ。」「弱いものが強いものより苦しまなかった、と誰が言えるのか?」私だけが感動したのではない。映画で全観衆が心を打たれたと思う。トランプは強いものとして全世界に君臨しようとしているが、弱い面も出てくるだろう。予測不可能性、暴力性はどの国も感じ警戒している。

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