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2017年3月 5日 (日)

映画「北北西に進路をとれ」とトランプ演説(第848回)

映画「北北西に進路をとれ」とトランプ演説(第848回)2017・3・5


 アカデミー賞が決まった。私は作品賞、監督賞を一生取れなかったヒッチコックのことをいつも思い出す。ハリウッドって、どうもヘンだ。伝記を読むと、やれ外国人監督だとかサンフランシスコに住んでいてロスに友人が少なかったからとか。バカじゃなかろか。「サイコ」「裏窓」「鳥」この傑作が賞をとれなかったなんてー。

 今回「北々西に―」したのは、この題が実は「ハムレット」のセリフに由来していると聞いたから。「(ハムレットの)狂気は北北西の風のときに限るのだ。南風になればけっこう物のけじめはつく」。なるほど、この傑作が次から次への予想がつかない展開が続いたわけだ。

 そこでトランプ大統領の議会演説。事前には「ツイッターと同じで、この男は何を言い出すかわからない」と不安がられていた。風は北を西に吹いていたのだが、フタを明けてみたら、実は南の風だった。

 「けじめ」がついていた理由は次の通り、まず歴代の大統領の演説のカタチを踏襲。例えば殉職した警官の妻などを呼び、上階両院の両党議員の拍手を得たり、大統領“らしく”話したり、リンカーン、アイゼンハワーの業績を引用したり(二人とも共和党)。1時間ちょっとのスピーチは丸暗記だったし最後のシメは神への祈り。カタチはちゃんと、作った。NYダウが快調にブッ飛ばしたのも「減税」「インフラ」「雇用増加」が効いている。

 一方、東京株式市場は「円について“不規則発言があるのでは”と懸念していた。これに先週書いた①「北」の「南」実質支配②森友学園問題③東芝があって、相場がモタモタしていた。まだ完全にすべてが解決しているわけではないから快調に飛ばすわけにはゆくかどうか。

 論より証拠。3月1日のNYダウは303ドル 1・5%も上がったが、日経の方は171円で0・9%(3月2日)。やはり差はある。

 ただ「北」と「南」の方はトランプ政権は本気でしかも強気の対策を準備していることを公表。金正恩も、北の手先の野党候補も当分手が出まい。

 森友学園の件。私が調べたところでは、安倍首相の政治関与はない。高橋洋一嘉悦大学教授によると「万一この問題に関与していれば、財務省が安倍政権の弱みを握ったら、とっくにリークして内閣はツブれているはずだ」と述べている。この問題は「近畿財務局の事務ミスということになり、大山鳴動してネズミ一匹に終わる公算大」と高橋さん。

 東芝。これはもうホンハイの会長発言でもう上げ始めた。

 以上、三つの日本株の足を引っ張っている材料は、重荷から解放されつつある。1万9600円台をはっきりと上回るのは時間の問題だと思う。日経平均の目標値は4~6月の2万1000~2000円は全く変える意志はない。

 NY?トランプ・ラリーの第2発目が始まっていると考える超強気、例えば2009年からのエリオット波動のV波(つまり最終上昇波で一番大きい波)もある。またシラー教授の株価判断水準ではメチャ割高とみる弱気も。

 私は少なくとも今年夏ぐらいまではNYダウは上昇し長期金利10年国債がFRB利上げの影響で3%(現在は2.4%近辺)の大台に乗ったら、1987年10月のブラックマンデーの再現が心配である。私なりの名をつければ「ブラックマンデー2」の不安だ。長期金利が上がれば債券価格が下落、3%を超えれば過去10年間の債券保有分はすべて赤字になる。先物売りでヘッジしても全保有分をカバーできない。だからこそ、債券売り株買いのグレートローテーションが起こり、これがトランプ・ラリーの理論的(?)背景になっている。しかし債券金利が上がると、利回りと株の益回りとのスプレッドで株価が割高になり、これがある程度続いてから、ある日突然、NY株の暴落、それも大幅な暴落が起こる。このあまり起こってほしくないシナリオが「ブラックマンデー2」である。ただ今年中に起きない―とは思うが。

 ヒッチコックの得意のサスペンスもの分類のひとつに「巻き込まれ」型である。普通のなんでもない人物がひょんなきっかけから、大事件に巻き込まれ、冒険、冒険また冒険。ヒッチコックのこのジャンルでは「バルカン超特急」「知りすぎていた男」そしてこの「型」の集大成が「北北西に進路をとれ」だと思う。

 いまの世界。トランプという従来になかったタイプの最高権力者の一挙手一投足に振り回されている。まあ「巻き込まれ世界」である。

 私は今回もまたお約束した「財源」についての私の見方を書き損ねた。必ず、書きます。

 それにしても、安倍総理がトランプ大統領とウマが合うのは、大きい。大変に大きいと思う。

 映画では主人公ケイリー・グラントはNYの広告代理店の社員で、スパイたちにFRBの人物と間違えられ殺されそうになる。そのスパイ組織に入り込んで首脳の情婦になっている女がエヴァ・マリー・セイントでまあなんとも魅力的だったが、汽車の中でケィリー・グラントに言う。「あなたはいらないものを売りつけるだけじゃなくって、まだろくに知らない女に恋をさせるのね」。オバマとは合わなくて苦労したらしいが。まあ良かった。良かった。

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