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2017年4月30日 (日)

映画「グレートウォール」と習近平と「北」の核攻撃(第856回)

映画「グレートウォール」と習近平と「北」の核攻撃(第856回)2017・4・30


 何しろ中国第一の映画監督チャン・イーモウの新作なので早速楽しみにして行ったが、「HERO」[LOVERS]「初恋の来た道」などの名作と違い荒唐無稽なファンタジー映画だった。主演マット・デイモンが先のアカデミー賞で司会からいじり倒され、米国では興行収入も大コケ。まあ中国市場をアテにしているのだろうが。

 私も観光旅行で行ったことがある「万里の長城」だが、建設はBC403年からBC221年の七か国の戦乱が続いた時代から始まった、とか。北方の騎馬民族の凶奴への防衛策だったし、宇宙から見える唯一の人造建造物だそうな。

 ストーリーは単純。世界を旅する傭兵ウィリアムと相棒トバールは、謎の獣に襲われ、馬で逃げ万里の長城に辿り着く。ここで怪獣が60年に1回現れる伝説の怪物トウテツで、このカベは防戦のために築かれたと知らされる。防戦に命を惜しまない中国兵を見て、金のために働いてきたウィリアムは正義に目覚める。

 いま日本には怪物トウテツが押し寄せる恐怖が言われている。「北」の12キロトン級(広島は15キロトン)の核兵器が投下されたとする。東京の国会議事堂近辺なら死者42万3627人、大阪の梅田なら死者48万2088人。これがシンクタンクのヘリテージ財団の協力で米国防総省がシミュレーションした結果だ。クワバラクワバラ。

 4月15日には翌日の中距離ミサイルの実験で失敗、4月25日にも特に核や大陸間長距離ミサイルの動きはなかった。しかし、4月18日にペンス米副大統領は安倍首相にこう述べた。

 「米国は日本と同じく平和を希求しています。しかし、米国は同時に、平和は力によってのみ始めて達成されるということを理解しています。」要するに日本は、戦闘が始まった場合には、最大の危機を迎えるということだ。

 26日のBSジャパンで国連の安保理北朝鮮制裁委の元専門家パネル委員だった古川勝久氏は、一触即発であることを認めながら、「韓国在住の米国市民を脱出させた後なら米軍の攻撃は始められるが、まだそうした事態にはなっていない」としていた。

 しかし昨年11月には7年ぶりに逃避訓練を始め、今年1月には在韓米軍の家族が核シェルターが完備している沖縄への逃避訓練に「進化」している。

 

 もちろん、誰もが期待する「中国の原油供給ストップ」は、究極の兵糧攻めで、これは効くはずだ。

 しかし、習近平主席が、その決断をするかどうか。私は怪しいと思う。長期戦になるだろう。

 秋の党大会で習氏は自分が再選されることが至上命題だ。また8人のトップのうち三人の江沢民派(ということは石油閥で「北」派)をクビにしなければならない。ナンバー・スリーの張徳江はなんと金日成大学卒業の70歳。簡単に同盟国を見捨てると何を言われるやら。

 だから自分の再選が決まった後に、原油の対北朝鮮輸出のストップを決める。「北」が備蓄に入ったわけだ。

 私は韓国の株高、銅価格の下落、それに金正恩の立場から見ると韓国大統領に「北」の走狗が就任すれば「南」は反米、超反日で「高麗」で統一される。「北」の朝鮮半島全部実質支配は時間の問題になる。そこで目先はこれまでと同じく、米国の設定するレッドラインは超えない。だから4月1525日の記念日直後のミサイルは、このラインを越えなかった。

 危ないのは1年以上核実験や長距離ミサイルを行わないことで失われる金正恩の「威信」だろう。まさか米国の圧力で、なんて言えないし、そこらでクーデターが起きて、めでたしめでたしになるなら言うことはないが。

 先週予測した株高は当たった。1週間で日経平均1000円以上も上昇。ヘッジファンドのマネジャーが情報源だが、リスク・オフの理由にしていた森友学園問題で安倍内閣が突然死する危険性は消えた。まだ韓国大統領選(5月9日)と米国補正予算と政府閉鎖懸念は残るが大問題じゃない。5月8日までに米国が仕掛ける可能性もゼロではないが韓国株価と銅価格から見て、まず、ない。

 空母の数で判断する手もある。いまのところカール・ビンソン一隻、横須賀にいるロナルド・レーガンは5月に入って動き出す。それでも2隻だ。リビア空爆の時の3隻、湾岸戦争の6隻、アフガン攻撃の4隻。だから3隻以上にならないと、米国側からの仕掛けはない。長期の兵糧攻め。

 リスクは57日の仏でのルベン当選で、BREXITやトランプ予想のようにアレレになれば連休後の株価はまたひと休み。5月2日の連休直前が目先高値だろう。6月まで株は高い。長期では2020年近辺で日経平均3万円以上という目標は変えない。

 では何を狙うか。私なら伊東秀広君が注目しているアクスル(2678)が面白いと思う。2月の物流倉庫の大火事で減益となり売られたが、昔から「災害に売りなし」、というがいい例だ。

 もうひとつ。こういう時こそ産業革命4・0の関連で私が近著でもおすすめしているJIG-SAW(3914)とかCYBERDYNE(7779)などに注目したい。ただご投資は自己責任で。

 映画のセリフから。軍師が怪獣の発生の由来を説明して言う。「2000年前、悪い王が現れて国民はひどく苦しんだ。天が怒って隕石を落としこれがトウテツになった。」北朝鮮の独裁者の場合は、天から武力介入によるミサイル攻撃が来るかもしれない。国民を三代にわたって苦しめたツケだろう。


 なお、緊急で公表できないいろんな情報を皆様にどうしてもお話ししたく、次の要領で講演会を開きます。

 日時  2017521日(日)13時から16

 会場  東京・TKPガーデンシティ PREMIAM神保町

 

なお私とコラボして会社四季報読みの達人で複眼経済観測所(株)代表取締役社長渡部清二さんにも、私の第一部に続く第二部、そして会場の皆様の質問にもお答えします。

 忘れていました。セミナーのタイトルは

「超変動2017大予測セミナー ー政治・カネ・株価が動き出す!!」です。

主催はフォレスト出版です。

募集は次のアドレスからお願いします。

https://www.forestpub.co.jp/author/imai/lp/w20170521/

2017年4月23日 (日)

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」と金正恩と籠池、ルペン(第855回)

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」と金正恩と籠池、ルペン(第855回)2017・4・23

 ことし80歳のケン・ローチ監督の傑作でカンヌ映画祭でパルム・ド-ル賞を獲得した。英国の地方都市ニューカッスルが舞台で主人公は妻に先立たれ一人暮らしの59歳の大工。

 映画は主人公と女性職員とのやり取りから始まる。ブレイクが受けている支援手当の審査を受託している民間企業の職員だ。

 「帽子をかぶるくらい腕は上げられますか?」「手足は悪くない。カルテを読めよ。悪いのは心臓だ。」「電話のボタンは押せますか?」「悪いのは心臓だ。指じゃない。」「簡単な事柄をひとに伝えられることは?」「心臓が悪いのに伝わらない」「態度は審査に影響しますよ!急に我慢ができなくなって大便を漏らすことは?」「こんな質問が続くと漏らすかもな。」

 ブレイクが仕事中に心臓発作を起こしてドクターストップがかかり、支援手当受けに来た。しかしこの会話の結果、数か月後に「就労可能で支援手当は不要」という通知が届く。

 ここからブレイクの苦難が始まる。不服申し立てをするためには、義務的審査の申請が必要だが、それには何週間もかかる。そこで、手当てを得るためにとりあえず求職者手当を申請し、病気で仕事を止められているにもかかわらず求職。そのためには履歴書が必要とされ、今度はパソコン講座に参加義務が課せられる。マウスなんて持ったこともないのに。

少しもわかってもらえないという焦燥感。北朝鮮の独裁者金正恩の心境はこのダニエル・ブレイクに近いのではないか。核開発と燃料の固形化、小型化、それにミサイルの長距離化を委員長就任以来5年間、自らの威信をかけて推進してきた。それが米国の政権が、何もしなかったオバマからトランプに変わった途端「周囲の脅威」とされて「核をやめろ」と騒ぎ始めた。

頼りにしてきた中国も、米国のいうことを聞き始めた。石炭の輸出が止まった。中国の常務委員級のナンバー3、5,7は江沢民派(石油閥)だったが、党大会で三人とも引退してしまう。ではマンギョンボン号をロシアに月6回就航させて助けを請うが、やはり中国が助けてくれなくては―。

まあ金正恩の心境をまとめてみると、こんなものだろう。恐らく16日に中距離ミサイル発射(失敗したが)に止めて、核実験は止めたのは、中国からのけん制がきいたのかも知れない。

4月25日の建軍記念日近辺に、6回目の核実験や大陸間弾道ミサイルの実験をやれば、先制攻撃の口実を与える。

私は先週、トランプ側が本気で戦闘行為を始めるかどうか疑わしいとし、銅の価格が下落したことを挙げた。また肝心の韓国の株式市場が4月7日の「シリア攻撃」でもほとんど下落していない(日本は14日までで2%弱下落、韓国は0・7%)。日本では安倍首相がVX攻撃を口に出して危機を強調しているが、韓国の主要紙はむしろ反発している。

 私はトランプ政権は中国を動かして石油禁輸に追い込みたい。いまはそのために米国単独でも―とおどかしている。市場はそこいらを読んでいる。ヘッジファンドが円買い、日本株売り、日本国債買いと日本に集中したのは、実は森友学園で安倍首相がひょっとすると辞任すると思ったからだ。3月第三週が売りのピークだったが、23日に籠池前理事長の独演会があったあたりだった。当時毎日TVで森友問題を取り上げられていたが、最近はなくなった。そろそろ、リスク・オンをヘッジファンドは考え始めている。

2月の安倍さんの「議員もやめます」と関与を否定したのに飛びついた民進党だが、「お家芸」の内部分裂もあって、支持率はメチャ低い。一方、多少下がったが、安倍内閣の支持率はじめ世論調査でも50%以上。リスク・オン再開だ。

 

ヘッジファンドがリスク・オフの理由にしていた4月23日のフランスの大統領選も、英国のカケ屋の数字をみると中道派のマクロン氏が90%の勝利。これなら5月7日の第2回目の結果も十分に読める。オフからオンに変わるはずだ。

あと、強いてリスクオフ要因を探すと5月9日の韓国大統領選。文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党候補を追って安哲秀(アン・チョルス)国民の党候補が台頭してきた。米国は「北」の走狗でTHAAD配備に反対のムン候補を阻止したい。「北」の脅威を強調し、中国の韓国いじめを緩和させる工作が行われている。21日のKBSはブンゲリ核実験場付近の住民を避難させた、と報じ、

緊迫感をあおっている。ま、私は勝負がついていると思うが。

結論。市場関係者はテクニカル・アナリストの大方が日経平均1万8000円割れ、とか円高を予想していることはご存知だろう。しかし私はまだ市場の三分の二を占めている外国人とくにヘッジファンドの動向が、株価の急回復を狙っているとみる。弱気の向きはアレレと考えるだろうが、いぜん私は強気だ。

あともうひとつ。忘れていたが4月28日には米国の暫定予算が期限になる。4月21日まで議会はイースター休暇で1週間のうちに党派対立を超えて政府閉鎖を回避すべく歳出法案を成立させなくてはならない。共和、民主両党とも2013年10月の16日間続いた政府閉鎖の記憶が強く、回避姿勢がある。これはリスクにはならないだろうが心配症の向きも結構多いので。

 というのは政府高官の554のポストのうち就任したのはわずか22.体制つくりの遅れは深刻で万一、政府閉鎖が始まればトランプ政権への打撃は少なくない。今週末にカタがつくべく議会工作は行われているが、すでに下院の共和党指導部の調整力不足は前回のオバマケア代替え案で明らか。これに失敗すればトランプ政権の政治遂行能力への疑問も生じよう。まあ私は大丈夫、何とかなる、と楽観している。

 

「わたしは、ダニエル・ブレイク」に話を戻す。英国ではキャメロン首相の財政緊縮化が弱者をトコトンいじめる。靴がこわれたといじめられる女の子の話なんて涙なくして見られない。そのひどい環境の中で自分の尊厳を守り続けるのは容易でない。大国の間で自分もーと声を挙げる小国、その指導者は本当はカワイソーな男なのだろうなあ。

2017年4月16日 (日)

映画「理由なき反抗」と金正恩の斬首作戦(第854回)

映画「理由なき反抗」と金正恩の斬首作戦(第854回)2017・4・16


 24歳で交通事故死、三本の映画しか残さなかったジェームス・ディーンの主演二作目。私もこの「永遠の青春スター」には熱を上げたものだ。

 1955年の作品で舞台はLA。17歳の高校生ジムが主人公。番長のバズから度胸を競う決闘を強いられた。チキン・ランと呼ばれるレース。ガケに向かってぎりぎりまで車を走らせ、早く飛び降りた方が臆病者(チキン)として負けになる。バズは車から抜け出しそこなって転落死してしまう。

ジムは警察への密告を恐れたグループにつけ狙われ、警察で知り合った問題児プレイトとジュディと三人で廃屋に隠れる。プレイト―は襲ってきた少年に発砲し一人を倒してしまう。

 半狂乱のプレイト―はプラネタリウムに逃げ込み警官隊に包囲される。ジムがなだめてピストルの弾丸を抜くがプレイト―は銃を手にして―。「エデンの東」は厳格な父に愛されなくて反抗する少年を演じたが、この「理由なき反抗」では、物分かりがよくご都合主義の父に反発してジムは無軌道な行為に走る。

 監督はニコラス・レイ。ジェームス・ディーンの個性が主人公と同じく「受け入れられたいという欲望と、受け入れられることに対する恐怖心」にあるのに注目して起用したとか。

 いまトランプ政権と金正恩とでチキン・レースをやっている。「本当にアメリカは「北」を攻撃するのでしょうか?」とか「日本へのミサイル攻撃は?」とかの質問を受けるようになった。TVも週刊誌も「北」のことを取り上げるようになった。森友だのマオちゃんばかりの時期とは変わってきた。ようやく1か月前から私が指摘してきた「キムチ・ショック」を市場が認識し始めた。円高と株価、長期金利安、金価格上昇、みな騒ぎを織り込んでの動きだ。

 私は昨年12月17日の米国務省ダニエル・ラッセル次官補の来日時の報告を聞いたとき4・5月にトランプ政権が、金正恩斬首作戦をやる可能性が2,3割あると考えた。そこで正月の「びっくり予想」の第一に挙げた。

 ダニエル・ラッセル氏は、トランプ時代になって次官補クラスが全員首になっている中ただ一人留任した北朝鮮専門家である。

 この人は、①トランプ政権はオバマ時代より踏み込んだ政策をとる②金正恩が暴発する前に片付け、その後米・中・露の三か国信託統治する③ポスト金正恩に現在チェコ大使、金平日。(この金平日は金日成の後妻の金聖愛の子で金正日の異母弟。1994年の核危機の折、カーター米元大統領と金日成の会談に同席し後継者とみられていたが、直後金日成が急死し金正日が継いだといういきさつがある)④日本の役割は「北」の再建資金の供給。1965年の日韓国交正常化の時に無償3億ドル有償2億ドル、現在の貨幣価値だと1兆円と少しに当たる。「北」の核やサリンやVXの心配がなくなる代金と考えれば安いものだろう。

 

 ただし、別の見方、つまりチキン・レースをしているのは米対中であって、習近平に「北」への食料、石油の禁輸をさせるかどうか。チキン・ランのガケはシリア攻撃をやってみせたり、大幅関税だったり、あるいはカール・ビンソンだったりー。党大会で再選を狙う習近平は、ケシかけられてもレースに乗ろうとしない。いや出来ない。

 ところが14日付の人民日報系の環球時報は「核実験を放棄すれば、政権を保証する」という社説を掲載した。つまり、今月や来月の話じゃない。

 私はこれだけ地政学リスクが言われても、鉄鉱石と銅の価格が急落していることに、注目している。鉄鉱石は3月16日のトン88ドルから70ドル台前半まで、銅は3か月ぶりの安値降更新だ。本来なら軍事需要で上伸するはずが、オカシイ。

 「北」へのオドシはうっかりすると朝鮮戦争ネクストになりかねないが、習近平が石油を禁輸すれば金正恩政権は自壊する。その前に対北の制裁の対象を中国企業と中国人に拡大して「いずれ」という回答が習→トランプに近く行われる。しなければこの話は来年遅くとも4月。

 今回攻撃の確率を三割としたのは、4月15日と25日の金日成記念、軍創立記念日に外国マスコミを大量に呼んで攻撃させないという苦肉の策。

 韓国大統領が北の走狗の文在寅氏になれば熟柿が落ちるように金正恩の勝ちになるので、恐らく安氏になるように工作が行われる。4月30日説は、まずない。また中東での内戦に米国がひっかかっている限り、対中、対北に注力することはできない。習近平の米国への読みは、対北の制裁が今できなければ、中東はソコソコで年内にカタチをつけ、その後北への攻撃を行う。口実は「北」の核実験だろう。1年も核開発を休めば金正恩は失脚する。

 この間日本は。長嶺大使の帰任理由に「邦人保護に万全を期する」とあったのが目を引く。旅行者を含め5万7000人いる邦人の数をできるだけ減らすのに全力をかたむけるだろう。何しろ金正恩もトランプも普通の常識で考えられる理性的な人間ではないからだ。

 映画のセリフから。ジムが父に言う。「男であることを示さなければならないときに、父さんは何ができるんだい?」マッチョが好きなアメリカ人はトランプの支持を上げ、議員の中で反対ばかりしていた人が何人もシリア攻撃を支持した。

 

 まあ間違ってもゴールデンウィークに韓国に観光旅行なんかしない方がいい。確率は三割あるんだし、外務省も「注意」としている。

2017年4月10日 (月)

映画「ムーンライト」と「北」とトランプとシリア(第853回)

映画「ムーンライト」と「北」とトランプとシリア(第853回)2017・4・10

 先日のアカデミー賞で作品賞など三部門を獲得し秀作と評価されているが、私にはトントつまらない作品に見えた。黒人で麻薬の売人でしかもゲイというと私には共感を覚える部分がない。だから感動もない。

 しかしアメリカ南部の黒人の貧困地区の生活はよく分かった。自宅で母親は売春し収入は麻薬に使ってしまう。周囲も似たような状況で、教育現場ではひどいイジメがはびこる。まともな人生を歩める可能性はまず、ない。

 なるほど、人種差別をあえて行うトランプ政権が成立したわけだ。「白人」のみのアカデミー賞への批判に応えて、キャストもスタッフも全員黒人の「ムーンライト」が選ばれたのもこうした政権の姿勢への批判からにちがいない。

 

 一つの動きが出れば必ずその反動が出るもの。最近韓国の大手新聞の朝鮮日報、中央日報、聯合ニュースが相次いで「韓国人がまだ自分の国の最高の危機に気が付いていない」と警鐘を鳴らし始めた。

 当然だろう。首位を走っている共に民主党の文在寅大統領候補は、はっきり言って「北」の走狗で、金正恩としては自分が主導して連邦制の南北統一するには便利この上ない。

 しかも「北」は米中首脳会談の直前の4月5日に中距離弾道ミサイルを発射して周辺諸国とくに「南」を威嚇している。

 一方トランプ大統領は「北朝鮮は人類の問題で米中首脳会談の協議事項になる」とし「中国が「北」への圧力を強化しなければ独自で行動する準備ができている」と繰り返し述べている。

 さらに首脳会談の最中にシリアに生化学兵器への報復としてミサイル59発を撃ち込んで見せた。金正恩への示威という効果もあるだろう。アサド政権のサリン攻撃のわずか三日後の空爆である。

 では米中首脳会談での「北」への圧力は成功したのか。ワシントン発聯合ニュースは「議論は平行線をたどり調整は失敗」と報じた。

 シリア空爆以前なら、「北」のテロ支援国再指定、対北サイバー戦強化、北と取引する第三国の企業・個人への制裁、同盟国へのミサイル防衛システム強化、ぐらいだったろう。しかし、事態は変わってしまった。何かの口実を金正恩が与えた途端、待ってましたとばかり、ミサイル攻撃が核関連基地に行われるに違いない。

 私がウォール街のニュースソースは大手機関投資家の意見として、「韓国総合とサムソンの株価が新高値に近いし、在韓米軍に核戦闘能力を持たす案がNSCから提案されている。そう心配することはない」と話す。たしかにそうだが、韓国の国民のノー天気を考えると(日本の野党のセンセイ方もほとんど同じだが)私には気休めとしか聞こえない。韓国側の一種の気分と若い独裁者の狂気とは関係ないからだ。

 

 ところで、この困った状況と株価だ。シリア攻撃のショックは一時的円高と株安。4月6日には26円円安の4か月ぶりの安値1万8597円まで下がった。この水準に株価収益率(PER)で13・6倍、昨年11月6日のトランプショックの1000円を超える大幅下げの時以来の低いPERで明らかに日経平均は下げすぎだ。

 三菱UFJモルガンスタンレーの宮田正彦チーフテクニカルアナリストは、騰落レシオを使って、大幅な株高を予想している。

 騰落レシオとは値上がりした銘柄数を値下がりした銘柄数で割った数字で25日間の移動平均を出して判断する。120%を超えると買われすぎで、70%を切ると売られすぎ。なお4月7日の騰落レシオは78・4%で売られすぎ水準に近い。

 宮田さんは「超過熱」を示すとその後の大幅株高の前ぶれとなった、として次の例を挙げている。2012年12月19日と、2014年6月24日、ともに騰落レシオは164%というメチャ高い水準だった。史上最高は昨年12月15日の165・5%で70%台まで下げたのは昨年2月以来の低水準で「修正は相当進んだ」として4~6月2万1000円台以上に達する株高を予想している。私も賛成だ。ここから大幅な下落が万一あれば、買い場の提供以外の何ものでもない。私は強気だ。

 

 

 映画のセリフから。主人公をかわいがっている地域ボスが言う。「自分の道は自分で決めろ。周りの人たちに決めさせるんじゃない。」本当にその通りだ。

2017年4月 2日 (日)

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」とトランプゲートと森友(第852回)

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」とトランプゲートと森友(第852回)2017・4・2


私の大好きなピアノ曲。ロシア独特の憂鬱でしかも美しいメロディ。とくに第2楽章の神秘的でロマンティックな曲想が私は好きだ。

映画によく使われる。デビット・リーン監督の「逢引き」。夫ある女と妻ある男が知り合い、週一で会うがやがて別れるまでの物語。この映画は二人が別れるシーンから始まるがたまたま彼女の友人のおしゃべりが闖入してきたためで、惨めな気持ちで夫のいる家に帰る。夫はクロスワードパズルをやっている。彼女はそこでラフマニノフの二番のレコードをかける。大人の純愛のムードを実にうまく現していた。映画では全楽章のサワリが使われていた。

もう一つ有名なのは「7年目の浮気」で、名匠ビリイ・ワイルダー監督。NYで妻子は避暑に出かけ一人で家にいる中年男と上の階に留守番をしている美人の娘が知り合う。これがマリリン・モンローでまことにセクシーで無邪気。中年男は浮気心が出て、自分の部屋に娘を誘い、そこにラフマニノフの二番のレコードをかける。中年男はこの曲を聴くと女性は性的に興奮すると信じている。現実には娘は音楽なんて興味ゼロだったのだが。

ちなみに。中年男は娘を映画に誘う。その帰り道で地下鉄の吹き上げる風でマリリンのスカートが上までまくり上げられ美脚丸出し。誰でも知っている有名なシーンだ。

同じ曲でも、かたや大人の純愛のムードづくり。もうひとつは浮気男の妄想をたくましくする小道具に。フィギュアスケートでも村主章枝や浅田真央、高橋大輔が使っている。これは演技の盛り立て役だろう。

いま、米国ではトランプ政権の成立以降続いていた上げ相場が、上昇途中の止まり場なのか、それとも終わりか。日本では森友学園問題が一部外国メディアの言うように政変につながるか、これまた見通しが立ちにくい状況にある。同じ名曲でも解釈が違うようなものだ。今回はトランプラリーと森友政変について私の見方を簡単に述べたい。

NYダウは31日に21169ドルの歴史的高値を付けた。安値は昨年114日の17883ドルだから、トランプ当選後3286ドル 18・4%上昇したことになる。

この上昇相場が止まったのは321日の237ドルの大幅安である。20日にFRB長官の証言があった。トランプ陣営の幹部たちがロシアと頻繁に接触したか、選挙にも影響を与えたかどうかについて捜査を続けており、重大は結果が出るだろうと述べた。その翌日に大幅下落が発生したのは「トランプゲート」を懸念したものと推察される。長期上げ相場はもう8年を超えており。警戒すべき時期に入っていることは間違いない。私の予想する最大の下げの背景は長期金利の3%台央到達で、これによって発生する「ブラックマンデー2」。

一方井、森友学園問題である。2月の国会で安倍首相が「わたくしと妻がこの問題にかかわっていたら、議員バッジを外す」と言ってしまっているから、綸言汗のごとしで具合が悪い。先週述べたように「高転びにころぶ」可能性はゼロではない。

しかし内閣支持率をみて安心した。アンチ安倍の朝日でも49%、産経57%読売が56%、共同通信55・7%。一方民進党は4%のままだ。これなら都議選と同日総選挙でも負けない。あの怪しげな理事長逮捕で幕引きではないか。

結局、NYの新値更新は当分ダメ。日本は4月から高騰期待。

それよりも北朝鮮。4月30日に米韓合同訓練が終了するがこの日に金正恩の息の根を止め、米中露の三国の信託統治にするという情報が入ってきた。日本は北に援助を1、2兆ぐらいするのだろうが、軍事費増より安く済む。対潜ミサイル防衛だけで3兆かかるのだから。

 

映画のセリフから。「逢引き」の女主人公のナレーション。「こんな惨めな気持ちがいつまでも続くはずがない。人生さえ長くは続かないのだから。」北の狂気で怖い思いするのもそう続かないだろう。

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