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2017年5月21日 (日)

ヒッチコック「鳥」と恐怖が生む投資(第859回)

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ヒッチコック「鳥」と恐怖が生む投資(第859回)2017・5・21


この傑作には原作の短編があり、作者は「レベッカ」を書いたダフネ・デユ・モーリアだということは知っていた。今回読んでみたら、驚いた!

 原作の舞台は英国の地方の町で主役は自動車者修理工。へえ、サンフランシスコから100マイルのボデガ湾ではないし、主役の弁護士ミッチもお金持ちの道楽娘メラニーも、ミッチの母親も全部シナリオ上での創作なんだ。流石,エド・マクベイン(この作品ではエヴァン・ハンターの名前だが)!

 鳥の攻撃が始まってレストランに町の人たちが集まる。鳥類学者を名乗る老婦人は鳥が世界の終わりを招くなんてありえないと主張、これが常識。「世界にとってそんな重大な事柄がたかが鳥のために起こるはずがない、という通念に凝り固まっている(ヒッチコック「映画術」)。」

 核を手にしている国はこの世の終わりの核戦争を起こしうる。だから北朝鮮は人口2000万人の小国でも世の中の注目を浴び、しかも地続きの韓国、中国、ロシア、もちろん日、米も重大な関心を持つ。

 その軸になるお騒がせ男金正恩が一番喜んでいるのが5月9日の文在寅韓国大統領の当選だろう。

 この新大統領がこれからすることは「超太陽政策」で、親北朝鮮、親中国。もちろん反米、反日で、韓国へのTHAAD配備を拒否し、米軍を朝鮮半島から追放する。これは中国、北朝鮮そして文在寅にとって共通のメリットだ。任期中にやるだろう。

 文大統領はまず「非正規雇用ゼロ」を強行し、公共部門で81万人、民間で50万人の雇用を公約している。財源は不明だし、大企業にとっては迷惑だが、財閥叩きは人気取りに不可欠なので、強行する。まあ大変なコスト高と国際競争力の劣化につながる。外国人投資家が韓国株を売り、ウオン暴落も、もう見えている。韓国側の姿勢が拒否体制なので、米国も日本も助けようがない。中国が今展開している「韓国いじめ」をやめ経済優遇策を与え、チャイナ経済圏への取り込みを図るだろう。結局「北」優位の南北統一が進展する。

 では米国は。切り捨てもプランとしてすでにある、と思う。トランプ大統領は10億ドルのTHAADミサイル配備費用を選挙戦の最中に韓国に対し要求した。親米候補に不利になる発言をあえてしたのは、米中の取引の中で韓国切り捨てをカードの一つに考えているのだろう。

 昨年末に来日した米国務省次官補東アジア担当は、北朝鮮の金正恩体制が終われば米、中、露の共同信託統治を予告していた。ロシアを入れるのは、中国に日本海に接した軍港までは与えないという米国の意図だろう。

 日本としては、北朝鮮の脅威が対馬海峡の向こう側まで来て、その時発生する大量の難民の流入が「そこにある危機」になってしまう。国会はまだ森友だ加計だとさわいでいる場合か。

 

 もう一つ。トランプ大統領のコミーFBI長官の解任とロシアへの機密漏洩は確かに危機だろう。しかもトランプ政権の支持率は3月51%が5月18日44%で下落。

 「トランプが2018年までに辞任」のカケ率は60%と高いが、株価の方はNYダウが高値でモミ合い、NASDAQは新高値でアレレ?という感じ。足元をすくわれて、株価は急落、円高になった。しかしトランプ・ショックはせいぜい1,2日で暴落はないだろう。米世論は78%が「特別検察官設置」に賛成しているので、この問題のカギだが、弾劾は数年かかる。不透明感は残るだろうが。NYも日本もまだ株高は続く。

 米国政治の先行き不透明、南北朝鮮のほか、投資家に聞くと日銀のマイナス金利導入に伴う資金運用難、それに財務省と同省に飼われているポチたちの宣伝によるハイパーインフレ不安(私は全く信じないが)。

 その結果究極の安全資産「金投資」が歴史的な転換、つまり急増している。

 金の需要はアクセサリーなどが「宝飾用」と金地金、金貨の「資産用」とに分かれる。日本では前者の方が多いのが常識だった。

 ところが2016年に宝飾用は16・9トンで前年比微増だったが、資産用は20トンで15%増。初めて逆転した。今年に入っても業者に聞くと金地金、金貨は買いが続いている。私は資産の3~5%は金に、と申し上げてきたが、ようやくその時代に入った。

 問題はもうかっているかどうかだが、2016年年初の1グラム4088円が年末4330円に6%上昇。現在4486円で1割上昇。悪くない。

 あれれ、イマイ先生、株の方は?と聞かれそう。6月に発表される成長戦略「ソサイエティ5・0」を私は期待している。AI、ロボットなど自動運転、遠隔医療を含めた10以上のテーマが発表されよう。常識的にはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどが多くの分野で関連しそう。ご研究を。私はサイバー攻撃の関連を調べている。

 映画のセリフから。「鳥」はあまりいいセリフがないので、私の好きな「気まぐれ天使」(ケイリー・グラント主演)から。

 「人は老けるものよ」とある中年女性。

 「老いた心で生まれた人は老ける。若い心で生まれた人はいつまでも若い。」そのとうり!私は色紙を年輩のひとに頼まれると「流水不濁、忙人不老」と書くことにしている。ついでにこの「気まぐれ天使」にワンシーン出るタクシー運転手のセリフを。

 「この国の問題を知っていますか。目的を持たない人と、目的に向かって急ぎすぎる人の、どっちかしかいないことです。」いい意見だなあ。

2017年5月14日 (日)

映画「美女と野獣」とアベノミクス開花(第858回)

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映画「美女と野獣」とアベノミクス開花(第858回)2017・5・14

 ただいま大ヒット中の「美女と野獣」実写版は1991年のアニメ版が土台。私は1946年のジャン・コクトーの白黒映画、その後NYと東京で舞台も観た。モトは18世紀のフランスのおとぎ話だが、ディズニー版では町の人気者で頭の鈍いガストンを加えたり、今回は捕らわれの美女ベル(エマ・ワトソン)はシーツをロープ代わりに窓から逃げようとする。

 傲慢だった王子は魔女の呪いで野獣に変えられてしまう。呪いを解くにはある1本のバラの花びらが散りつくすまでに野獣である王子を愛してくれる女性を見つけなくてはならない。かつての使用人たちは日用品に変えられ、城も廃墟のよう。

 もちろん結末はご存知の通りめでたしめでたしなのだが、私は廃墟から美しい城に変貌した画面を見て、何年か前の鳩山、菅内閣の日本のドン底時代と現在を思い出した。

 デフレと円高の悪循環、そこに3・11のあの大震災1ドル50円以下説で売り出した女性エコノミストがいたあの時期だ。円高とデフレ、デフレと円高の悪循環――

 あの時の野田解散時に安倍現首相のアベノミクスの提唱。当時ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長が私に「早く登板してくれ、アベ!!」というメールを送ってくれたことを忘れない。

 「アベノミクスは本物。私は円高論者だったが転換した。円売り・日本株買いがグローバル投資の唯一の戦略だ。」この戦略にすぐ乗ったジョージ・ソロス氏が6か月で90億ドルの巨利を挙げた。何しろオニール氏はBRICSという投資シナリオを創案したグローバル・ストラテジストの第一人者の発言なのですぐ従って大戦果を挙げたのだろう。

 もうすぐアベノミクス開始後5年になる。名目GDPは971012月期のピーク時を昨年79月期で抜き、その後も順調に拡大を続けている。13月期も順調で5・四半期連続のプラス成長。

 雇用は完全雇用に近く、全都道府県で求人倍率が一を上回った。人手不足=賃上げ=デフレの完全脱出も見えてきた。SMBC日興証券のチーフエコノミスト丸山義正さんによると4月の期待インフレ率は204%になった。CPIは10月には08%に高まると見込んでいる、来春の春闘で日銀は目標を達成しよう。

 

 私はどう見てもアベノミクスは成功、と思う。

 日銀の大胆で歴史に残る大型金融緩和、大型予算や何回もの補正予算、政府と日銀の協力体制だ。GDPの中では個人消費の主力であるサービス支出は10・四半期連続で増加している。残念なのは消費税引き上げのために、だれの目にも見える形の好況になるのが遅れたことである。

 加えてトランプ政権の発足で、米国経済の活性化期待と日米間の金利差による円安、企業収益の上昇。株高と国民の財産である年金の資産増加なども見逃せない。

 

 ところがマスコミは、例えば大型金融緩和に対し、やれ出口戦略がない。また前述の女性エコノミストに至ってはドアホとまでののしっている。大切なのは正しい現実認識を正直に認めることだと私は考えている。

 とはいえ、毎日新聞外信部の「よくわかる世界の紛争1017」によると「北」を含め37ものブラックスワンがあるご時世だ。市場に突風が時として吹くのは仕方あるまい。大切なのは日本が世界の突発的不安にもかかわらず、唯一の好況持続と政治的安定を併せ持つ国だということだ。拙著「恐慌化する世界で日本が独り勝ちする」をご覧いただきたい。現実を正直に認めることが大切、と私は考える。

 あの民主党政権時代の何も決まらない政権下のどん底時代と現在と比較すれば、アベノミクスの成功は明らか。株価も2万円を超えて当たり前だろう。もちろんあと3年で3万円声を予想している私としては、ずっと強気を申し上げ続けてきた。6月の安倍首相の成長戦略発表を待っている。確信を深めたいからだ。

 対案もないまま、ただ批判を続けているある新聞やエコノミストの方々は、虚心坦懐、率直に現状を認めてほしい。決して私はザマミロなんて言わないから。

 映画のセリフから。ジャン・コクトーの主演の主役ジャン・マレエが野獣のメークでベルに言う。「私は野獣だ。愛など望むべくもない。しかし愛は人を野獣にもするし、醜い男を美しく変えることもあるのだ!」

 私は521日の講演で皆様にお会いし、自信のある投資作戦をお話しするつもりだ。どうぞご期待ください。あと少しだがまだ席は残っています。17日の水曜日に募集は完了します。DVDのご希望がすごく多いのはびっくり!

2017年5月 7日 (日)

映画「無限の住人」と地政学リスクとメタ・ハイ(第857回)

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映画「無限の住人」と地政学リスクとメタ・ハイ(第857回)2017・5・7

 なにしろキムタクのチャンバラモノ、三池崇史監督だから面白そうと考え、観た。原作になっているコミックは読んだことはない。しかし、これは丹下左膳のパクリだな、と考えた。右眼、右腕がなく赤の長襦袢を着たニヒルな80年前ヒーローの平成版、といったところか。

主人公万次は罠にかけられ目の前で最愛の妹を殺され、自身も瀕死の重傷を負うが、謎の老婆によって永遠の生命を与えられる。死ねない万次は生きる勇気もなく孤独な日々を送っていたが、50年もあとにご両親を殺された少女凛から用心棒になってくれと頼まれる。仇は逸刀流という暗殺集団。これに幕府軍も加わりクライマックスは300人を相手に何とも物凄いバトル。「十三人の刺客」を思い出させる。

 次から次へ現われ刺客の中ではなんと市川海老蔵や金髪の美女などコスチュームも凝っていて楽しい。

 キムタクの万次は何しろ300人の敵と斬り結ぶのだから前後左右から同時にとびかかられる。私はまるで、今の世界の凄い広範囲の地政学リスクじゃないかと思った。そして謎の老婆はやはりトランプ、かなとも。


 順不同だが思いつくままに。①北朝鮮。3月の発射実験では在日米軍と表明。米国は空母カール・ビンソンを派遣したが、目先は中国にゲタをあづけた形だ。②中国の海洋進出。尖閣は言うに及ばず、中国の岩礁埋め立てで軍事拠点を整備しているため領有権をめぐり周辺国との対立。ただフィリピンは中国の経済援助とバーターでこの問題を棚上げ。③シリア。2011年から内線状態の政府軍の化学兵器の使用疑惑を受けて米国が巡航ミサイルでシリアの空軍基地攻撃。④イラン。核開発の制限に合意。経済制裁は解除された。シリア支援をめぐって欧米やサウジと対立が続く。ロシアと共にシリアへのミサイル攻撃を批判、トランプ大統領は核合意の見直しに言及。

 このほか、今回参考にさせていただいた資料「地政学リスク増大の背景に戦略的忍耐からの転換最低限核抑止」。(みずほ総研専務取締役高田創さん)はトルコ、イスラエルも挙げている。

 もちろん、この地政学リスク増大の背景は「何もしなかったオバマ」から「ともかく何かをやる、あるいはやりたいトランプ」への政權交代である。「北」の核が代表的な例だが、5月7日のフランス、5月9日の韓国、5月19日のイラン、それぞれ大統領選挙がある。5月26日、27日にはイタリアでG7サミット、6月8日には英国で総選挙がある。地政学イベントが文字通り目白押し、その都度いろんなリスクが言われること必至だ。

ヘッジファンドがリスク・オン、リスク・オフの繰り返しには格好の材料。市場が大きい日本の円と国債、もちろん株はヘッジファンドの好餌。当事者の韓国はウォン安を好感して株価は新高値。私が現地のソースに聞くと「韓国人はみな二つの固定観念を持っている。第一が中国は北朝鮮を見捨てない、第二は米国は「北」を攻撃しない、というもの」。ヘエ、そんなに楽天的でいいの、と聞きたくなる。時代は大きく変化しているのに、気づいていないんですか。

まあ気づいてもいないから、「北」の走狗を大統領にしようとしているんだろうなあ。

ところで今回、私が待望していた情報があった。5月4日愛知県沖合にメタンハイドレートの採掘に成功、3~4週間は採掘をつづける。」前回の4年前の時はポンプに砂が入ってしまい6日間で打ち切りになったのに比べて大変な進歩だ。

私は近著「恐慌化する世界で日本が独り勝ちする(フォレスト出版)」でメタンハイドレート関連として次の三銘柄を挙げた。

 日本海洋掘削(1606)、三井海洋開発(6269)三井造船(17003)。

 前回はなんと5倍に跳ね上がった銘柄も出た「夢を買う」投資だが、今回も同じ大飛躍を遂げるか、どうか。ご投資はどうぞ自己責任で。

 映画のセリフから。幕切れに万次はズタズタにされ、死んだと思った凜が「万次さん!」と泣くと、不死の体がモノを言い、片目を明けていう「お兄さんと言え!バーカ」。何ともカッコいいエンディングだ。

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