今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ

広告


« 2017年5月 | トップページ | 2017年7月 »

2017年6月25日 (日)

映画「海辺のリア」と防衛費と朝鮮半島の脅威(第864回)

映画「海辺のリア」と防衛費と朝鮮半島の脅威(第864回) 2017・6・25

84歳の仲代達矢の主演作。小林政広監督の前作「春との旅」「日本の悲劇」と合わせて日本の超高齢化社会で、ますます居場所がなくなる老人を描いている。

 今回は認知症老人を取り上げた。仲代演じる主役は、舞台と映画で半世紀以上活躍し俳優養成所を主宰する往年のスターという設定で、仲代達矢そのものだ。長女とその夫に遺書を書かせられた挙句に高級老人ホームに送られる。

 

 主人公は施設を脱走しパジャマの上にコートを羽織ってスーツケースを引きずりながら海辺をさまよう。その時妻以外の女に産ませた娘と突然再会する。その娘が私生児を生んだことを許せなかった主人公は、この次女を家から追い出した過去がある。

 

 認知症でセリフが覚えられず、長女の夫も分からない主人公だが、シェイクスピアの「リア王」のセリフを急に朗々と語り始める。映画はこれがヤマ場で、仲代の見せ場になっている。

 「俺は、どこにいた?どこにいる?見えるのは、日の光かー。たぶらかすのだな。俺を」。

 

 私はこの8月で82歳になる。幸い持病はあるが認知症のケもなく、歯はまだ27本あって、昨年世田谷区から表彰された。週に3回プールでウォーキングをしている。講演会でひと様に1時間半(今週は1日に2回、ダブルヘッダーをやりました!)お話して聴衆の方からいただく拍手が私の生きがい。「流水不濁 忙人不老」。

 

 ただ、その私でも年には勝てない。階段を上り下りするには辛い。駅でエスカレーターやエレベーターを探して歩きまわるし、タクシー代も、ずいぶん払っている。もう一度若くなれたら、と(誰しもが、だろうが)痛切に思う。

 

 何かある事柄が起きた場合、もう歴史を巻き戻すことはできない。いまさらオバマ政権の何もしなかったことに責任を負わせても、もうどうにもならない。

 

 すでに北朝鮮が文在寅政権を得て、南北朝鮮連合という日本にとって最大の悪夢を実現させようとしている。

 

私は先日講演会でこのことを申し上げたら、その後のアンケートで「まだ十分に理解できない」と詳しい追加説明を求める声が多かった。「北」が「南」を抑え込んでいわば吸収合併だというロジックがお分かりになっていないらしい。お答えを差し上げよう。

 

 第一に文在寅氏の思想である。「朝鮮半島の正当なナショナリズムを代表するのは北朝鮮であり、反対している韓国はアメリカ帝国主義の後押しを受けて誕生した国家」という金日成=金正日のチェチェ思想(主体思想)そのものである。

 

 反日反米は言うまでもない。現在の韓国で使われている歴史教科書は「北」の訳本である。韓国のアメリカナイズ化批判が軸。朴前大統領はこの教科書を改定したが、文氏は就任翌日に元の教科書に戻すよう命じた。

 

当然、文氏は大統領就任早々秘書室長の任鐘哲(イム・ジョンソク)を任命した。この男は日本の公安当局の調べでは「完全な北の対南工作員」である。「北」は従前から「高麗連邦共和国」という二制度の国を提案。「北」を敵とする韓米同盟は必ず空洞化し、在韓米軍2万8500の兵士の撤退になる。韓国が「北」というヤクザを雇ったのと同じで、核とミサイルで日本を脅かすこと必至である。

 

 この問題をトランプ政権は解決すべく、中国にゲタをあずけている。しかし恐らくあと数か月は動けまい。第一に習近平は何か「北」にドラスティックな政策を展開すれば習体制批判の口実を与えてしまう。第二にトランプ政権自体がロシアンゲートで動きが取れない。

 

 政権が揺らいでいるからトランプは戦争に打って出るのではという見方も現実的でない。先制攻撃するには日本や韓国に事前通告しなくてはならないが、文政権はすぐ「北」に漏らす。秘密に米軍が動いても、ソウルにいる米軍家族を撤退させなくてはならず、これまた情報はツツ抜けになる。米国は完全な手詰まりである。

 

 そこでトランプ大統領は「金正恩をなくせば北は中国に任せる。代わりに米国は韓国から撤退する」という取引を行う可能性も否定できない。朝鮮半島は習近平のものになる。これが日本にいい話のはずがない。

 

 具体的な例は遠慮するが、韓国に有力な子会社や工場のある企業の株価はもうすでに上がっていない。すぐ売りが出る。相場はコワい。

 

 5月26日にGセブンに出席した安倍首相は「何か」を感じたのだろう。自民党の政調に命じて「防衛費をGDPの2%」倍増させる」という案を出させた。ところがNHKを見ていたら大学教授、野党議員、自民党の外務省派の反対意見を述べさせていた。何というアホさ加減か!予算をどうつけるか、を早く討論しろ!

 

 映画のセリフから。幻覚と幻聴の中、拍手、喝さいを受けて主人公が言う。「有難うございます。私に、思い出など要らないのです。みなさんの中に私の思い出さえあれば!」

 

 私の予測はいつも早すぎる。しかしこの予想も(心から当たってほしくないが)的中してしまうだろう。

2017年6月18日 (日)

「レ・ミゼラブル」とカタール断交の意外な影響(第863回)

「レ・ミゼラブル」とカタール断交の意外な影響(第863回)2017・6・18


1個のパンを弟たちのために盗んで、19年間も獄中に拘置されていたジャン・バルジャンの物語はご存じだろう。銀の燭台を司教にもらって正しく生きると決意する話とか、コゼットがテナルディエ夫婦からいじめられていたのを救出する話、コゼットを生んだフォンテーヌの髪や歯まで売る話とか、皆が知っているが、それでも心を打たれる。

 今回帝劇で30周年記念公演を観た。ロンドンで3回、NYで1回観て日本では10年ぶりだったが出演する俳優たちの巧いのと声のいいのにびっくり。外国の公演に劣らない。

 やっぱりショーンバーグの音楽が素晴らしい。民衆の歌、オン・マイ・オウン、宿屋の主人の歌、幼いコゼットの歌う雲の上のお城。何回聞いても感動し私は涙をと流した。恥ずかしかったが。

 ジャン・バルジャンが、重傷を負ったコゼットの恋人マリウスを救出しようと、パリの下水道を逃げ回る。ストーリーのヤマ場だ。1832年の6月暴動の夜。原作者ビクトル・ユーゴー自身が体験したバリケード近辺の緊迫感が反映している。

 現在の世界の緊迫感は、オバマ政権が「警察官」であることをやめ、トランプ政権になって、はっきりいうが一層の無責任になったこと。中国、イラン、北朝鮮など国際間の安定への「ブチ壊し屋」がますます図に乗って動き出す。米国との同盟国はワリを食う。

 私は意外な情報を聞いた。526日のG7の際に開かれた日米首脳会談では、席上トランプ大統領は中国重視発言を行い尖閣防衛義務にも触れず、安倍首相は頭越しの米中接近を危惧した、とか。もちろん公表されたステートメントにはでは「北」問題での結束強化、テロの脅威への協力での成果をうたったが、実は違った、と。またG7の討議をトランプ氏に愚弄され米欧間を取り持とうとした安倍首相の試みも挫折した、とも聞いた。

 そんな場合、世界が軽く見ている事件も大ごとになりやすい。65日と6日、サウジアラビア、エジプト、UAEなど中東の主要国はカタールとの国交断絶を表明した。2014年にもサウジとUAEはエジプトの政変に絡んでカタールと対立、自国大使を帰国させる抗議を行ったが、この時は8か月で終わった。今回は陸、空路も遮断する完全な国交断絶であり、中途で方針を緩和するとサウジ王家の権威が傷ついてしまう。

 最終的にはカタールのタミム首長の退陣、亡命まで事態は悪化するのでは、と私のワシントンの情報ソースは懸念している。

 小国カタールがここまでいじめられるには理由がある。同国の資金援助がムスリム同胞団などイランが背後にいるテロ組織を活性化している。またカタールはイランと共同で天然ガス開発を進めているし、タミム首長がイラン支持を述べた。しかし5月にトランプ大統領がサウジを訪問した折に、いろいろと情報を伝えたのが背景らしい。

 カタールから日本へのLNG・原油の輸入依存度はそれぞれ17%,8%。途絶が懸念されたがともに価格は下落、まだ世界の原油市場は大きな不安材料と解釈していない。日本としてはスポットで購入すれば大事あるまい。

 問題は二つ。第一は半導体製造に不可欠なヘリウムガスが断交後、対日出荷が止まっている。国内在庫は一か月で我が国の半導体生産の先行きが懸念される。

 第二はカタールの政府系ファンドが収入の途絶から手持ち資産とくに株式を売却する不安。4月現在で3350億ドルに達し、昨年6月の2560億ドルから急増している。370兆円だ。断交以降日本株への外国からの売りが増大しているが、本当にカタール政府系ファンドが売っているのか、ヘッジファンドが仕掛けているのか不明。

 カタール株式市場は13%下落し、国債の信用を示すCDSは急上昇している。また大株主であるフォルクスワーゲン、ドイツ銀行、資源大手のグレンコアの株価も下落している。

 もちろんコミー前FBI長官の証言、その後のセッションズ司法長官証言の打ち消し証言にもかかわらず活発に司法妨害説を流すメディア。英国選挙のメイ政権議席減、FRBイエレン利上げなどなど。売り要因は多い。しかし恐らく慎重に全体の相場をコワさないように、別の表現をとればプロらしい売りがすでに出ているのかもしれない。国交断絶が1か月やそこらで解決せず、長期間にわたれば、売却リスクは拡大してゆく。

 トランプ・ツイッターでは断絶直後サウジ支持、カタール批判を述べていたが、その後、和解するなら米国が交渉を取り持つ、と態度を改めた。しかし5月の訪問の時の情報提供の手前もあり、早急に仲介に動くかどうか。しょっちゅう態度が変わる男だから。

 結論。少なくとも日本株は目先、高値更新の可能性は少ない。私は慎重だ。

 別の情報では、解散総選挙は明年9月の自民党総裁選の後。そのあたりで米シムズ教授が呼ばれて恐らく消費税引き上げの延期か取り消し、永久債か100年債発行が決められるか、の論議の開始になる。秋の下げ相場の後、壮大な上昇が始まるだろう。その時は、その時。

 ミュージカル「レ・ミゼラブル」の30周年公演で特別なカーテンコールが45分間もあり、最後に画面に歌詞が出て「民衆の歌」を劇場内の全員で歌い、もちろん私も歌った。

 「戦う者の歌が聞こえるか?

 鼓動があのドラムと響き合えば

 新たに熱い生命(いのち)が始まる

 明日が来た時 そうさ明日が!」

景気の鼓動と政策のドラムが響き合えば、明日の日本は明るくなる。

 

 

オマケです。今週発売の「週刊新潮」6月22日号111ページに私が昭和50年代に「財界」誌で紹介したサウジアラビアの武器商人アドナン・カショーギの死が紹介されています。私が山一証券経済研究所で仕事をしていた時、誰も日本人が知らなかった武器商人ビジネスのことを書きました。1日25万ドルを平気で使った大富豪です。立ち読みでいいですからお読みください。

2017年6月11日 (日)

映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と近未来の大幅安(第862回)

映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と近未来の大幅安(第862回)2017・6・11

 本年度アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞を獲得した秀作。大きすぎる悲劇で壊れてしまった男の再生を、淡々としたドラマで見せる。私はシドニー・ルメットの「質屋」を想いだした。音楽も素晴らしく、終盤にマスネーの歌劇「ケルビーノ」で明るくシメている。

 主人公リーは暗い影がある中年男でアパートの管理人兼便利屋で、なにに怒っているのか機会さえあれば、殴り合いの喧嘩を始める。ある日リーの兄が危篤という電話があり、生まれ故郷に帰るが、兄はすでに他界。遺言書に高校生の甥の後見人になるとあり、そのためリーはマンチェスターに引っ越さなければならない。しかしリーはかつて三人の子供を自宅の火事で焼死させ、妻と離婚した過去がある(ここらはアルビーノの「アダージョ」。冒頭はヘンデル)。

 結局、甥も主人公も立ち直り、再婚していた妻も子を設け明るい未来を示して終わる。

 6月8日のスーパーサーズディが終わった、英国総選挙、前FBI長官コミー氏証言、ECBミーティングなどなど重要イベントが押すな押すなで、市場の反応が注目され,9日金曜の東京市場が不安視されたが、とりあえず104円高で様子見。来週月曜の海外市場の反応を見てということなのだろう。

 リーマン・ショックや少し昔ではブラックマンデーなど歴史に残る大暴落は、私に記憶にまだ生々しい。ITバブルもそのひとつ。NASDAQがNYダウよりも日経平均との相関度が高いので心配していたが、2000年4月の2万833円から、2003年4月の7607円までの長期大幅下落だった。その後デフレ進行と円高との悪循環、政権交代――。本当に嫌な記憶ばかりだ。

 ところが現在はいいことが多い。米国のNYダウ、S&P500,NASDAQと三指数とも歴史的高値を更新、日本の方は6月に入って2万円のカベを破った。

 当分、ハイテク株の天下は終わりそうにないと誰もが考えている。アップル,アルファベット(グーグル)、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックの業績はいいし、メチャ高いPERもリクツをこじつけて合理化している。しかし若林栄四さんによると、ことし6月8日でNYダウは天井の公算大。10月以降下落の大きなのがある、との予想。日本の方も夏以降、下げるのではないか。

 私はあまり星回りをこのブログで使ったことがない。しかし「一白水星」「丁酉(ひのととり)」。これは「大変化で囲いの外へ出る」又は「終わり、死、落下」。私流に考えると20015年6月の2万952円を抜くものの、7~9の間で、下値の方は1万4860円台の強力な下値低拡線が維持できるか、どうか、だ。もちろん大丈夫だろうが。

 上げても下げてもファンダメンタルな材料がきっかけになるものだが、下げの方は―。とんでもない方から。

トランプ辞任。これはないと思う。理由は支持率上昇。ラスムッセン調査では6月1日43%に対し6月9日46%。次は「北」主導で文在寅大統領の韓国が合邦し、難民がどっと押し寄せる。第三は欧州の銀行(イタリア、ドイツ銀行など)の破綻。第四は(誰も驚くまいが)米国の景気悪化、なにしろ6月で、8年上昇だ。2018年には間違いなくジ・エンドだろう。パリ協定脱退のハラいせに米国系ハイテク企業に欧州とくにメルケル女史が意趣返しでいじめるかも。カタールいじめで首長の亡命ともなれば、同国が大株主のドイツ銀行、VWに影響があるかも。

韓国と北朝鮮からの難民のお話の現実性を疑っちゃいけない。文在寅大統領は1980年に「北が提唱した「高麗連邦」、1992年では「一民族一国家、二制度二政府」を信じ政策の基本にしている。かならず韓米同盟は空洞化し、米軍は撤退することになる。

 一方、財閥解体、借金取り消し徳政令、公務員の81万人雇用で韓国経済は社会主義化。同時に開城工業団地、金剛山観光を再開など「北」への援助を開始。国連制裁の効果をうすめる。すでに文大統領は10件も民間ベースの対「北」経済援助を人道主義の名で認可している。

 安倍首相は衆議院の決算委員会の答弁で「避難民の保護に続いて上陸手続き、収容設備設置、「北」工作員の偽装難民分別」を必要としている。」と述べた。

 中国はどうするか。秋の党大会で、「北」派のナンバー3,5,7の三人を退け、習近平再選になった後、米中露の三国信託統治を受けるだろう。朝鮮半島全体は中国の傘下衛星国になり、これは習近平の功績になる。明春には米国側は米国軍人家族を主に沖縄に疎開させ、空母三隻以上を派遣、中国が「北」の非核化をさせなければ「あらゆる選択肢」があるとオドかすだろう。マティス国防長官は優れた軍人で戦略に長けているという評判だ。数時間で「北」の武力を制圧するプランがあるらしい。まあそんなことになるまい、が。

 たびたび申し上げてきたが、かりにNYダウが20%下落なら日経平均はせいぜい10%の下げに止まるだろう。理由はこのブログでこれまた何回も主張してきた。肝心なのはNYは米国に近く訪れる景気後退があるし、日本の方は設備投資がようやく動き出し、2018年度の成長は今年度より上回る。需給関係でも日銀のETF、GPIFの買いが下値を支える。ここらが根幹だ。

 余分なことだが6月2日に「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯した。テクニカル指標としては①5%以上の株価下落が77%②クラッシュが51%③重大な下落が24%の確率で発生するといわれている。2015年6月に点灯したときは8月の上海株暴落を受けNYダウは1万8000ドル台から1万5000ドル台に15%下落した。NYの信用取引買い残は空前の水準なのでいったん下落したら15%以上になるだろう。結論。6~7月の利食い作戦が私のおすすめだ。

 

 映画のセリフから。映画の終わりにリーは甥のパトリックに言う。「お前が来ても泊まれるように二つ部屋のあるアパートを探している。引っ越したら、いつでも来てくれ」。そして二人は仲良く釣りを始める。ここでリーが深い傷から立ち直り、前途に希望を見ていることがわかる。いい幕切れだ。

2017年6月 4日 (日)

映画「ゴールド」と金投資時代の開始(第861回)

映画「ゴールド」と金投資時代の開始(第861回)2017・6・4


 1988年の実話をもととしたある山師の物語で、マシュー・マコノヒー主演。主人公ケニーは地質学者マイクとボルネオの密林の中に目星をつけ、ついに史上最大の金鉱を発見するが、そこから飛んでもない展開が始まる。

 金についての映画はゴールドラッシュを中心とした冒険映画(「チャップリンの黄金狂時代」「マッケンナの黄金」)とゴールドに目がくらんだ人間同士の騙し合い、殺し合い(ジョン・ヒューストン監督ハンフリー・ボガートの「黄金」)の2種ある。主人公ケニーの金鉱企業はニューヨーク証券取引所に上場し栄華を極めるが、実は金鉱がインチキだったと判明、株価は暴落する。この映画は後者風ミステリーだが、一ひねりしてあって面白い。ネタバレになるので書けないが。

 あぶないイカサマな政治と経済がお隣の国で進行している。世界の眼は南、北朝鮮とロシアンゲートに集中しているが、私が本当に危機だと感じるのが中国のメチャ・バブルだ。

 中国経済の各シンクタンク担当者は必ず大丈夫と言い張るが、どう見ても中国の工業化は終わり、現在進行中の習近平政治は維持不可能。ひとつの例が都市化政策だ。

 2020年までに都市人口を60%にするため40兆元(670兆円)を使うと中国国務院が2014年に発表した。年100兆円に当たる。特別区(新城新区と呼ばれる)を3050か所作り、2020年までに完成する。

 私が呆れているのは、収容可能人口が34億人と計画されている。現在の人口14億人だから20億人分余る。これを中央政府が打ち出して地方政府にやらせている。現在中国の景気が持ち直しているのは、この不動産バブルの寄与が大きい。

 バブルの破裂の兆候となりそうなのは、建設に不可欠な鉄鉱石の価格で、3月のトン89ドルが6月1日現在60・7ドル。私がFRB元議長グリーンスパン氏に直伝された鉄スクラップ価格も内外ともに新安値。次は人民元と上海株だろう。多分暴落が、あと何か月かだ。外れたらゴメンナサイ。

 しかし資産家は時代の不透明さを敏感にかぎ取るもので、実はわたくしのみるところ金投資の時代がもう始まっている。

 金地金と金貨への投資が「投資用」、アクセサリーなどが「宝飾用」と2種に分かれるが、昨年から、始めて、わが国で投資用が宝飾用を上回り、貴金属店への個人客の売りと買いでずっと買い越しが続いている。知り合いから最近「やっとグラム4500円を抜いた」という喜びの声を聞いた。2005年に1600円だったから3倍近い。「長期では少なくとも7~8000円が見込めますよ」、とお答えしている。

 では、金価格がどんな時、どんな材料で上がりまた下がるか。

 第一にインフレ。このヘッジに金はツヨい。デフレは逆。第二は米ドル。ドル高は金の下げ。第三は金利で金には配当や利子はないので、金利上昇は金価格安。第四は機関投資家中心のETF。この残高が増加すると金価格高。現象は下落につながる。

 私は「金価格は“米国の不快指数”といっている。何か米国にとって悪いこと、不安なことが発生すると金価格は上昇する。

 2001年9月11日、あのワールドトレードセンターへの連続テロ事件の時、私は講演で熊本にいた。金先物業者のトップ第一商品から電話があり、羽田に帰るのは何時ですか。私が東京に帰ったら、迎えの車が着て同社の録画スタジオのある支店につれてゆかれた。私は当時オンス300ドル近辺だったが、手許の目標は600ドル。長期で1000ドルと。理由は「対テロ戦争はキリがない。カネも人命もこれまでとケタ違い。常勝の正規軍戦争と違い、長すぎる戦いに米国国民はイヤ気がさす。予算は赤字化の金は資産家の不安へとヘッジだから上がる。」

 もうひとつ。忘れていたが、BRICSの交流以降、中国とインドの金需要の上昇がある。宝飾用の61%、金地金・金貨の投資用の41%をこの両国が占めている。両国の政府の金への規制や景気によって需要は大きく左右される。

 これに加えて今年から世界で16億人いるイスラム教徒が金投資をすることが解禁されている。従来は宝飾用の金の保有は自由だったがイスラム法で「金融商品としての金」は規定がなかったが、昨年末に「100%特定保管された金現物の裏付けのあるものが認められた。これに金ETFや金鉱山株が解禁された。イスラム教徒は中国やインドより多い。

 オンス価格で2011年9月の1920ドルが史上最高値で現在1270ドル近辺だが、今回の上昇相場はオンス2000ドルはもちろん大きく抜く。メドは2700ドルと思っている。

 私は年配の方には、「財産の3%を金の現物買いにして、お孫さんへの遺産にしなさい」とアドバイスしている。米国ではお孫さんが生まれると多くの人々はウオルト・ディズニー・プロダクションの株を買う。理由は名作とテーマパーク運用で長期安定成長、リスクがほとんどないから。日本では、その代わりに金。

 最近、九州で金の密輸とか代金の空輸とか事件が多い。亡国が近い韓国の逃亡資金とのからみだろう。バカな大統領を選んでしまった自分たちの失敗。今回は日本のせいにはできないだろう。ザマミロ。

 映画のセリフから。主人公は言う。「金持ちになった人間は真実など気にしない。いたるところに警告がばつていたのに、知りたくないから真実を見ようとしないのさ。」

私の予想はヒトさまより何年も早い。早すぎるが、知っておいた方がいい。“真実”を押し上げてきた。シェール革命でも、昔はデリバティブやヘッジファンドで日本で一番初めに注目しご紹介してきた。どうぞ頭の中に私の発言を覚えておいてください。お願いします。

 ところで、株はイマイ先生どうなるんですかって?ここ1,2ヵ月のうちに今年の最高値が付き、秋にはいろんな材料で大きな下落がある、こう考えています。まだ今週来週の話ではありませんが、この高値は利食いのチャンスでしょう。

 

« 2017年5月 | トップページ | 2017年7月 »