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2017年6月11日 (日)

映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と近未来の大幅安(第862回)

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映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と近未来の大幅安(第862回)2017・6・11

 本年度アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞を獲得した秀作。大きすぎる悲劇で壊れてしまった男の再生を、淡々としたドラマで見せる。私はシドニー・ルメットの「質屋」を想いだした。音楽も素晴らしく、終盤にマスネーの歌劇「ケルビーノ」で明るくシメている。

 主人公リーは暗い影がある中年男でアパートの管理人兼便利屋で、なにに怒っているのか機会さえあれば、殴り合いの喧嘩を始める。ある日リーの兄が危篤という電話があり、生まれ故郷に帰るが、兄はすでに他界。遺言書に高校生の甥の後見人になるとあり、そのためリーはマンチェスターに引っ越さなければならない。しかしリーはかつて三人の子供を自宅の火事で焼死させ、妻と離婚した過去がある(ここらはアルビーノの「アダージョ」。冒頭はヘンデル)。

 結局、甥も主人公も立ち直り、再婚していた妻も子を設け明るい未来を示して終わる。

 6月8日のスーパーサーズディが終わった、英国総選挙、前FBI長官コミー氏証言、ECBミーティングなどなど重要イベントが押すな押すなで、市場の反応が注目され,9日金曜の東京市場が不安視されたが、とりあえず104円高で様子見。来週月曜の海外市場の反応を見てということなのだろう。

 リーマン・ショックや少し昔ではブラックマンデーなど歴史に残る大暴落は、私に記憶にまだ生々しい。ITバブルもそのひとつ。NASDAQがNYダウよりも日経平均との相関度が高いので心配していたが、2000年4月の2万833円から、2003年4月の7607円までの長期大幅下落だった。その後デフレ進行と円高との悪循環、政権交代――。本当に嫌な記憶ばかりだ。

 ところが現在はいいことが多い。米国のNYダウ、S&P500,NASDAQと三指数とも歴史的高値を更新、日本の方は6月に入って2万円のカベを破った。

 当分、ハイテク株の天下は終わりそうにないと誰もが考えている。アップル,アルファベット(グーグル)、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックの業績はいいし、メチャ高いPERもリクツをこじつけて合理化している。しかし若林栄四さんによると、ことし6月8日でNYダウは天井の公算大。10月以降下落の大きなのがある、との予想。日本の方も夏以降、下げるのではないか。

 私はあまり星回りをこのブログで使ったことがない。しかし「一白水星」「丁酉(ひのととり)」。これは「大変化で囲いの外へ出る」又は「終わり、死、落下」。私流に考えると20015年6月の2万952円を抜くものの、7~9の間で、下値の方は1万4860円台の強力な下値低拡線が維持できるか、どうか、だ。もちろん大丈夫だろうが。

 上げても下げてもファンダメンタルな材料がきっかけになるものだが、下げの方は―。とんでもない方から。

トランプ辞任。これはないと思う。理由は支持率上昇。ラスムッセン調査では6月1日43%に対し6月9日46%。次は「北」主導で文在寅大統領の韓国が合邦し、難民がどっと押し寄せる。第三は欧州の銀行(イタリア、ドイツ銀行など)の破綻。第四は(誰も驚くまいが)米国の景気悪化、なにしろ6月で、8年上昇だ。2018年には間違いなくジ・エンドだろう。パリ協定脱退のハラいせに米国系ハイテク企業に欧州とくにメルケル女史が意趣返しでいじめるかも。カタールいじめで首長の亡命ともなれば、同国が大株主のドイツ銀行、VWに影響があるかも。

韓国と北朝鮮からの難民のお話の現実性を疑っちゃいけない。文在寅大統領は1980年に「北が提唱した「高麗連邦」、1992年では「一民族一国家、二制度二政府」を信じ政策の基本にしている。かならず韓米同盟は空洞化し、米軍は撤退することになる。

 一方、財閥解体、借金取り消し徳政令、公務員の81万人雇用で韓国経済は社会主義化。同時に開城工業団地、金剛山観光を再開など「北」への援助を開始。国連制裁の効果をうすめる。すでに文大統領は10件も民間ベースの対「北」経済援助を人道主義の名で認可している。

 安倍首相は衆議院の決算委員会の答弁で「避難民の保護に続いて上陸手続き、収容設備設置、「北」工作員の偽装難民分別」を必要としている。」と述べた。

 中国はどうするか。秋の党大会で、「北」派のナンバー3,5,7の三人を退け、習近平再選になった後、米中露の三国信託統治を受けるだろう。朝鮮半島全体は中国の傘下衛星国になり、これは習近平の功績になる。明春には米国側は米国軍人家族を主に沖縄に疎開させ、空母三隻以上を派遣、中国が「北」の非核化をさせなければ「あらゆる選択肢」があるとオドかすだろう。マティス国防長官は優れた軍人で戦略に長けているという評判だ。数時間で「北」の武力を制圧するプランがあるらしい。まあそんなことになるまい、が。

 たびたび申し上げてきたが、かりにNYダウが20%下落なら日経平均はせいぜい10%の下げに止まるだろう。理由はこのブログでこれまた何回も主張してきた。肝心なのはNYは米国に近く訪れる景気後退があるし、日本の方は設備投資がようやく動き出し、2018年度の成長は今年度より上回る。需給関係でも日銀のETF、GPIFの買いが下値を支える。ここらが根幹だ。

 余分なことだが6月2日に「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯した。テクニカル指標としては①5%以上の株価下落が77%②クラッシュが51%③重大な下落が24%の確率で発生するといわれている。2015年6月に点灯したときは8月の上海株暴落を受けNYダウは1万8000ドル台から1万5000ドル台に15%下落した。NYの信用取引買い残は空前の水準なのでいったん下落したら15%以上になるだろう。結論。6~7月の利食い作戦が私のおすすめだ。

 

 映画のセリフから。映画の終わりにリーは甥のパトリックに言う。「お前が来ても泊まれるように二つ部屋のあるアパートを探している。引っ越したら、いつでも来てくれ」。そして二人は仲良く釣りを始める。ここでリーが深い傷から立ち直り、前途に希望を見ていることがわかる。いい幕切れだ。

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