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2017年11月13日 (月)

映画「ゲット・アウト」とサウジ内紛とオイルマネーの売り(第885回)

映画「ゲット・アウト」とサウジ内紛とオイルマネーの売り(第885回)2017・11・12

 製作費450万ドルで営業収入約2億ドルものヒット。ホラーというジャンルに人種問題を持ち込んだ、まことにユニークな映画だ。監督は差別ネタを得意とするコメディアンのデビュー作。実に面白い。拾い物の一本だ。

 

NYで写真家として活躍している黒人男性クリスは、白人の恋人ローズの実家に招待される。過剰なまでの歓待と差別主義者でないはずの家に、黒人の使用人が二人もいることに違和感がある。「何か、おかしい」。

 後半はホラー、サスペンス、アクションと怒涛の展開。最後のハッピーエンドでのシメも、音楽の使い方も気がきいている。

 

導入部の高級住宅地で一人歩きしていた黒人男性の拉致、クリスとローズが走行中に道路でシカをはねた時の白人警官のクリスへの態度などなど、伏線が効いている。意外や意外の展開だ。

 

11月9日(木)、高値は2万3000円台だったが、結局45円安の2万2868円で終わった。私の目先の目標値2万3000円の大台近辺の順当な押し目とみるのが妥当だろう。10日金曜日のQEもこれを裏付けた。私も2,3年以内に日経平均3万円以上を主張し続けてきたので、長期強気に変わりない。しかし、やはりごく目先は天井、と見た方がいい。理由はカンタンで、オイルマネーの売りが入っているからだ。(意外ですか?ロイターが伝えています。日経もようやく書きました。)

 

さる6月、サウジでムハンマド皇太子が王族と現職閣僚38名を汚職容疑で逮捕。リッツカールトンホテルに急仕立てされた監房に監禁し、資産の凍結を行った。目的は王室経費の圧縮と皇太子への権限集中である。

 

逮捕者の中にはアルワリード王子(運用資産190億ドル)、マスコミを支配するワリード・イブラヒム(同210億ドル)など。凍結された金融資産は2000億ドル(22兆6000億円)を超え、うち6割の13兆4400億円が海外資産と推定されている。(ロイターは90兆円、と。これは大きすぎるが)

 

 その内訳は4割が米国国債、社債で3割は先進国株式、残りは不動産。日本株は7300億円程度。

この資産を没収して売却、国庫に入れているらしい。サウジアラムコの上場による利益が延期によって入らなくなった分が、補慎できる。

 

これと別にサウジの財政赤字が拡大しているのはご存知の通りだが、このため54兆円にのぼるSAMAの資産の一部が売却される。これがヘッジファンドの売りストーリーだ。これによるとSAMAの日本株保有分6300億円がプラスされ、前記分と合わせて1兆3600億円に達する。

SAMAはシャリアジャパン150のインデックス主体だが、王族や高級官僚の投資は個別銘柄で、アルワリード王子のアップルやシティ、ツィッターへの投資は有名だ。

 

 以上が先週に入ってから売り仕掛けを始めたヘッジファンドの理由づけだが、売り玉はそれほど大きくない。しかしオイルマネーの売り注文を受けている証券会社のストラテジストほど弱気。年内ダメ説を言っている。「ゲット・アウト」説ですな。

 

 私の相場観はもう少し強気だ。

 

 日経平均225種のEPSが1500円を超え、増額修正が相次いでいる。安倍首相の支持率は50%を超え長期安定政権。PER14倍台は割安、などの日本株の買い材料のほか、まだ日本人特に個人投資家の先行きに対する弱気が「懐疑のうちに育つ」長期上昇相場の環境にある。

 

 記録的なカラ売り残は減る気配はないし、信用買い残は増えない。木、金の売りはボラティリティの上昇によるプログラム売買で値幅が大きくなったが、外国人機関投資家の短期売買によらない年金や投信は、この押し目をむしろチャンスと見ている。「ゲット・イン」だ。

 

「北」のリスクがどうなるかをじっと見ており、今回のトランプ=習、プーチンの会談で解決への示唆が得られれば長期資金が流入するだろう。今、来週こそ様子見だが、ワシントンから金正恩をどう片付けるかの情報が(もし)入れば、」私は買い出動をお勧めするつもりだ。

 

 映画のセリフから。恋人の母親は神経科の医者で催眠術をクリスにかける。コーヒーカップをスプーンでかき回し、注意をそこに集中させて、クリスを眠らせる。「特定のモノに注意させればいいの。別に懐中時計をブラ下げて振るだけじゃないわ」。個人の投資家はまだ、バブル崩壊以後の日本はダメという催眠術にかけられたまま。市場の方は、もうぬけ抜け出したというサインを出しているのに。

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