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2018年2月19日 (月)

平昌五輪の後に来る「日本の国難」(第897回)2018・2・17

平昌五輪の後に来る「日本の国難」(第897回)2018・2・17

 平昌五輪もあと1週間。これまでのところ美女応援団だのロケットマンの妹・金与正派遣だの「北」はあの手この手で宣伝中だ。

 

 「北」の核は米国と日本向けの武器で、韓国向けではないーと韓国民に信じさせ、米軍を撤退させ、南北統一すれば「核」付きの強い統一朝鮮、そしてその「財布」は日本からなんぼでも引き出せるー。

 

 まあこのシナリオに文在寅韓国大統領は完全に乗せられて、7月訪朝を約束し、①4月の米韓合同演習延期②ケソン工業団地投資③金剛山観光再開などの交渉を勝手に進めようとしている。

 

 米国側はこれまでの制裁による兵糧攻めで、ようやく2月には北の外貨保有が底をつく段階に持ち込んだのにーと文大統領の勝手きわまる行動に猛反発している。

 

 文氏は米国側に「対北圧力を緩和しない」とペンス米副大統領に明言した、とか。しかし慰安婦問題で示したように2面外交・二枚舌は韓国の得意のワザ。水面下で北と融和交渉を進めているかもしれない。「北」の金正恩としてはともかく時間稼ぎができればいい、核兵器の小型化を成功させ、米国側に認めさせればいい。

 

 この間に着々と、米中双方が戦争準備を進めている。横田基地には米軍将校家族の避難用バラック7000、地下壕の建設が殆ど完了。中国側も難民キャンプを4か所作り、もう5万人の陸上兵が「北」との国境に駐在。2か月前にはゼロだったが急速に兵力を増やしている。

 

 3月にロシア経由で米朝トップ会談が「北」から申し入れられ、未だその時期、場所などが決まっていない。米側トップはペンス副大統領だが。

 

 問題はこの間、韓国が完全に「北」の手中にあり、米韓関係がどんどん空洞化していること。1月18には文政権は米海軍の原子力潜水艦の寄港を拒絶、1月26日には韓国崔統一部長官は米韓合同演習こそ平和を妨げていると発言した。

 

 

 一方、米国内では2月1日、次期駐韓大使ビクター・チャ氏の人事が白紙撤回された。「ブラディ・ノーズ作戦」にチャ氏が反対し、かわりにウォルター・シャープ大将が候補になった。氏は在韓米軍司令官を3年務め、2010年の「対北朝鮮軍事作戦5029」の策定の中心人物である。対「北」ブラフの一環だ。

 

 これら対北ブラフの頂点は、ティラーソン国務長官の発言である。

 私、マティス国防長官、統幕議長とともに、それぞれの中国のカウンターパートと会談。大量の難民、核兵器がテロリストの手に落ちないことを討議した。

 緊急時に米国は38度線を北に越えなければならないが、事態が鎮静化すれば戻ることを約束している。

要するに「金正恩体制崩壊後」の諸問題で米中は話し合っている、と明言した。(昨年12月12日アトランティック・カウンシルで演説)

 

 「北」の指導者層には相当動揺がある。「北」の李外相は1月31日「アメリカの核戦争策動を止めさせてほしい」と書簡で国連事務総長に送っている。「北」に平昌五輪参加と微笑作戦はこうした米側のブラフを切り返す外交戦略にほかならない。

 文在寅大統領の下、「北」の意図そのままに韓国世論はミスリードされつつある。

「韓国の技術と北の資源と安価な労働力を結び付けた経済発展」という幻想で、韓国財界は前向きどころか夢中だ。

 また文氏は反「北」反共産主義の中核である国家情報局を解体し、検察も弱体化させている。

文大統領は北の核兵器を保有したまま、南北首脳の会談で一挙に南北統一をすすめようとしている。

 従って今年以降、対立が起きる。日米同盟対南北対立だ。つづいて中朝同盟との対立という形になってもおかしくない。

 

 戦争?誰もやりたがらないし、その可能性は低いだろう。万一、ほんとに起きたにしても核弾頭を乗せたミサイルが、日本に発射されることはないだろう。ジム・ロジャースが言っていた通り、再建資金の供給元に核を落とすバカはいない。

ジムはかねてから「南北は必ず合併し、日本の強敵になり、日本を抜く」として、出来れば「北」に投資したい、と言っていた。

 

 平昌五輪が終わった後、真の日本の国難が始まる。防衛経費だってGDPの1%じゃあすまない。ヘッジファンドの大物レイ・ダリオが日本株をショートし始めた、なんてニュースは私をゾッとさせる。私の日本への強気論は変わらないが、ここ何ヵ月間で中長期の日本の運命が変わるかもしれない。

 

繰り返して私は主張する。永久国債発行で財源を確保し、防衛、また難民、国土強靭化などを推進すべく、安倍首相は全力を挙げてほしい。

2018年2月13日 (火)

映画「祈りの幕が下りる時」と「トランプ暴落1」と日本株と金上昇(第896回)

映画「祈りの幕が下りる時」と「トランプ暴落1」と日本株と金上昇(第896回)2018・2・11

 「加賀シリーズ」とも「新参者シリーズ」ともいわれる東野圭吾の人気ミステリーの映画化だ。“泣かせるミステリー”という新ジャンルを開拓した。初期の「赤い指」がその最たるものだが、この最終作も親子の情愛が一つの軸になっており、吉川英治文学賞をとっただけのことはある。映画もヒット中だ。主役の安倍寛がいい。

 

 葛飾区のアパートで女性が殺され、現場のアパートの住人が行方不明に。捜査一課の刑事が調べるが難航、やがて被害者と学生時代の同級だった舞台演出家浅居博美が浮上するが、確固としたアリバイがある。一方、近くで発見された身元不明の焼死体との関連も捜査担当者は疑う。その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した加賀の母に繋がっていた。

 

 今回の暴落のように、後づけでいろいろ講釈があるような事件も、そのまえから「伏線」があるものだ。

 今回のNYダウの大幅下落。いろんな説明がなされている。たとえば、吉崎達彦さんは「戒名

」として“WILD MONDAY」、つまり2月5日(月)の1175ドル下げを挙げた。しかし四ケタの下げは2月8日(木)にも発生したから「DOUBLE DIP」さらにさかのぼって2月2日(金)の665ドル安と合わせて「TRIPLE PLUNGE」と名をつけている。

 

 私はヘッジファンドが引き起こしたのが主因、副要因は高金利とVXと考えている。しかも下げの背景はワシントンの混乱だから、恐らく後世「トランプ暴落1(ワン)」。ナンバーがついているのは、これからも何回かあるからという私のシャレだ。

 

 2月2日の下げ665ドルの直前、二人のトランプ擁護者として知られるヘッジファンドの大物が「米国株売り」方針を発表していた。

 

 ダブルライン・キャピタルのCEOジェフリー・ガンドラック氏、もう一人はルネサンス・テクノロジーの主宰者ロバート・マーサー氏。「トランプ大統領の執政力への不安」「政権内部での不測の事態が起こり、そこで「turbullance(下降乱気流)」の懸念を、株・債券売りつまりベア作戦の理由にした。

 

 とくにマーサー氏は自分の娘をホイトハウスのスタッフに送り込んでいる人物だけに、トランプ政権の混迷に具体的な情報を掴んでいると推測されている。

 

 となると誰もが考えるのが、米国憲法修正第25条第四節による「閣僚、議会の認定した重要組織の長の過半数が、大統領が義務と債務を遂行できない、と文書で申し立てた場合、副大統領は大統領に交代できる」という合法的クーデター」である。

 

 著名な共和党系ロビーストの調べでは、「トランプ留任」が9、「解任支持」が11、3名がまだ「判断据え置き」。具体的にはマティス国防長官。ジンク内務長官、プライス保健福祉長官。 解任支持のティラーソン国務長官が1月中に辞任のうわさが高かった、トランプ大統領の巻きかえし、かも。

 

 またワシントンの噂では、今のところ後任のはずだったポンペオCIA長官が国務長官の地位を拒否している、と。その代わりに、というわけではないだろうが、対「北」戦争を主張しているマクマスター安保担当補佐官の辞任説が浮上している。政権内部はガタガタしているらしい。

 ワシントンの激動は「北」核問題、あるいは米国の在韓米軍撤退という日本にとって大問題を絡むから始末が悪い。

 

 10年物国債の金利上昇が株安につながることも、このブログでしばしば述べた。10年間の金利の平均は258%。現在284%だから機関投資家の手持債券は赤字。とてもリスク資産である株は買えないし、レバレッジを効かせるための借入金による投資拡大はなおありえない。

 

 これに最高水準に達していたVIX先物ポジションは、130日の週と26日の週に6000枚が買い戻された。まだリーマン以降の平均まで3000枚の買戻しが必要で、NYダウはあともう一回の1000ドルの下げはあり得る。オドカシでなく、計算上、そうなる。

 もうひとつ。各国の大手年金中心に23兆円はある「リスク・パリティ・ファンド」のバラスト売買がけっこうバカにならない。

 

 それでも日本株を絶好の押し目買いチャンスと見て一部のヘッジファンドは買ってきているし、前述したヘッジファンドの大物二人は貴金属特に金を推奨し「資源投資の時代の始まり」を予言してもいる。中東の動乱によるエネルギー価格の上昇→長期金利の一段の上昇というリスクもあり得るが、これは資源高につながる。

 

 私は日経平均の底値は21000円でいい所と考えているし、8月の27000円近辺の目標も変えていない。NYの方は?当分126日の26000ドル台がスッ天井に決まってるでショ。

 映画のセリフから。山崎努演じる加賀の父が死が迫っているのに見舞いにも来ない息子について看護婦に言う。「オレは死ぬのはコワくない。空の上から息子が何してるか、良く見えるからね」。天上で魂になってすべてを見られたら、ずい分ラクだろうなあ。

2018年2月 5日 (月)

映画「スリー・ビルボード」NY株急落(第895回)

映画「スリー・ビルボード」NY株急落(第895回)2018年2月4日


劇作家として著名なマーティン・マクドナーの映画進出で注目していたが、期待にたがわない一作だった。

 舞台は米国ミズーリ州の田舎町、うららかな風景の中に巨大な赤の広告看板が三つ。7か月前に娘を殺された母親が、一向に進まない捜査に怒って出した広告で警察を非難する。女主人公ミルドレッドは口も態度も悪く時には法に触れるような行動も。一方警察署長のウィロビーは重いガンを患いながら家族思いで、これまた意外な行動を起こす。ウィロビーを父のように慕うディクソン巡査は暴力的な差別主義者でマザコン。登場人物たちの行動は私の予想をはるかに超えて激しい。犯人捜しのミステリー劇ではない。テーマは「許し」。一筋縄ではゆかない群像劇で、アカデミー賞脚本賞が有力視されている。

 

 この1週間、NYダウの下げがきつく、2月2日には665ドル安、2万5520ドルになった。1月26日の2万6616ドルからほぼ1000ドル、4・5%下げた。当然の調整だろう。25日移動平均とのカイリ率が高値日の4・53%から2月1日に1・91%に下降、スピード調整に違いない。

 

 ただ、私にはそれだけですむのかな?という恐怖感がぬぐい切れない。長期金利の急上昇である。私にいつもヤマほど数字や資料を送ってくれる市岡繁男君は早くから「米国10年債利回りが520週移動平均を上回ったら米国株は要注意」と言っていた。

 

 10年間移動平均は2・58%、2月2日には2・82%だから、米国の機関投資家は皆、含み損を抱える。当然、株などリスク資産保有は難しくなる。

 

 私は先物でヘッジするだろうし、物価が下落歩調なので、金利の急上昇の可能性は大きくない、と考えていた。しかしFRBは満期が来ている債券には再投資しないので、需給関係から長期金利はジリ高になっている。長期金利が上昇する、わけだ。

 

 そこにエド・ハイマンさんが「火に油」と評した法人税引き下げ、設備投資即時償却が効いて米国景気は、過熱と言わないまでも相当景気がいい。物価はジリ高基調だ。このストーリーだとNYダウは1000ドル下げではきかない。

 

 流れが変わった真因は①仮想通貨の流出②アップルのiphoneXの販売低調、のニュースだろう。もうひとつ、サウジなどのオイルマネーによる米国債券、株式売りである。

 

 私は昨年9月10日、芝パークホテルでフォレスト出版主催の講演会で「近く発生するNY急落と背景」をタイトルにした。10~11月という予想よりずいぶん遅れたが、お詫び申し上げるしかない。

 ただ、その時でも私は「日本株は大丈夫」と大強気を主張。すぐ10月2日から24日まで、立ち合い日数にして16日連騰という新記録を樹立したから、そこだけは自慢させていただく。

 

 ただ、米国金利上昇と株安は、とんでもないところで発火する可能性がある。

 

 「スリー・ビルボード」の中のセリフ。主人公の別れた夫が若い女性を連れているのにレストランでバッタリ会い夫は言う。「この娘が言ってた“怒りは怒りを来(きた)す。実際にそうだ。」

 

 怒りが怒りを呼ぶ例は、中国だ。今の外貨準備は借入増で賄っており、金利上昇はハードランディングの可能性を大きくする。また新興国の借入金も切負担増で金融引き締め→景気下降リスク、と相成ってロクなことはない。

 

 私は強気だが、その強気でグローバルなシステミック・リスクを過小評価していたことがある。2006年ごろからサブプライム・ショックの前兆はあったが「残高は1兆ドル強で住宅ローンの1割。欧米の大手銀行は無縁」と考えられていた。

 これが間違っていると教えてくださったのは日鉄住金総研の北井義久さん。米国内だけでなくグローバルな金融システムの危機につながることを詳しく説明してくださった。

 

 それでは、と現地に行って―となって2007年10月にNYに行ったが、時すでに遅し、でリーマン破綻でウォール街の金融システムが殆どマヒしていた。改めて複雑・怪奇な「証券化」の仕組みがマル秘の世界から表面化されて、とんでもない所が崩れ始めて居た。あとは「100年に一度」のあの騒ぎだった。

 

 今回は、ひょっとすると仮想通貨と思えないこともない。サブプライムの時も当初は軽視されていたんだから。「ビットコインが時価総額3000億ドルが1800億ドルになった。この程度なら米国時価は0・5%押し下げる程度」なんて説明を聞くと、逆に不安になる。

 

 まあ世界中が不安材料だらけだが、日本は大丈夫、という考えに変わりはない。前提として「永久債」が必要、ということも同じだ。

2018年1月29日 (月)

映画「北北西に進路をとれ」とトランプ発言と秋の株安材料(第894回)

映画「北北西に進路をとれ」とトランプ発言と秋の株安材料(第894回)2018.1.28

ご存知ヒッチコックの傑作で、サスペンス物の中の「巻き込まれ型」の代表だ。主人公ケイリー・グラントはNYの広告代理店の男。クライアントと打ち合わせのためにホテルに行き、電話をかけることを思い出して立ちあがる。ちょうどホテルのボーイが「キャプラン様」と呼んだ瞬間だった。キャプランはFBIの一員で、敵国のスパイはキャプランを消そうと企んでいた。呼ばれたら同時に立ち上がったので、主人公をキャプランと思い込み、人違いのため主人公は殺されそうになり、巻き込まれ型の途方もない大冒険が始まる。

 

 私は長い間の「北北西―」の題名を飛行機が向かうスパイの国の方向と思っていたが、実はシェイクスピアの「ハムレット」のセリフだそうだ。

 「私(ハムレット)の狂気は北北西の風の時に限るのだ。南になれば、けっこう物のけじめはつく。鷹と鷲の違いくらいはな」。

 

 へえー。トランプ大統領のくるくる変わる発言も、風の向き次第なのかも。

 

 となるとTPP容認とか、ドル高とか。日本市場では円レートと、日本株はムニューシン財務長官のドル安説で円高・株安になった後のトランプ発言で戸惑っている。

 一方、NYダウは目を見張るほどのスピードで上昇している。法人税減税と設備投資の即時償却、さらに1月30日に発表されるインフラ投資計画で、好調な米国経済にさらにアクセルが踏み込まれている。「火に油」とエド・ハイマンさんが言っているが、さもありなん、財政赤字が拡大するので、調整が必ず必要となる。2022年以降の成長率は低下するが、2010年までは「火に油」だろう。

 

 となると、2018年はいいけど、好調すぎて長期金利は上昇。新FRB議長は年1回利上げという市場予測だが、3回になると短期金利との逆転が起き、債券価格と株価の同時下落が起きる「第二(又は第三)のブラックマンデー」が起きかねない。クワバラクワバラ。

 

 私は今年8,9月に日経平均2万7000円の高値へ、真空地帯を駆け上がり、その後10~11月には「何か」が起き、大幅な値幅調整。日経平均3万円は2019年というシナリオを描いている。その「何か」とはー。

 

 「北」での「何か」。つまり米国トランプ政権の攻撃。金漢率(キムハンソル)が金正恩に代わる騒動。一時外国人投資家が日本市場から退避して暴落のコース

 中東での「何か」。たとえばイエメンの反政府組織フーシ派の対サウジのミサイル攻撃で王宮とか石油の輸送設備などに被弾、原油価格がバレル80ドル以上に。原油価格上昇ショックへの日本経済の「弱み」から株価は下落。

 米国政治での異変。又はワシントンでのロシアンゲート、弾劾などの展開によるトランプ失脚不安。米憲法修正第25条第4節による閣僚、主力政府機関代表の週半が大統領ヒメンもある。

  まあ米FRBの誤断による(というか米経済好調の行き過ぎ)金利引き上げが起こす「第2のブラックマンデー」も入る。

 

 しかし、日本はどのケースで株価が大幅下落しても、永久債という武器がある。騒ぎが大きければ大きいほど、この武器を使って立ち直りは早いだろう。

 トランプ大統領のダボス会議出席中には、米国マスコミはロシアンゲートのミュラー特別検察官を昨年12月にクビにしようとした、とスクープした。やはりこの人には「北北西」の風が吹いているのだろうか。

 

 映画のセリフから。シカゴに逃げる列車の中で主人公は謎の美女エヴァ・マリー・セイントと知り合う。女は広告マンであることを踏まえて言う。「あなたはいらないものを売りつけるだけじゃなくて、知らない女に恋をさせるのね」。このエヴァ・マリ・―セイントが、実はスパイの首脳の情婦で、しかも政府の情報機関のために敵中に潜入した美女で、最後はこの二重スパイと主人公は結ばれてめでたしめでたし、となる。私は日本株も日本経済も最後はめでたし、となると考えている。私は慎重な楽観主義者だ。


 2月27日には個人投資家協会の設立23周年記念「2018年大局を読む」に出演。木村喜由氏と対談します。このセミナーは幸田正則氏の不動産市況、世界の大局は長谷川慶太郎理事長が講演します。会場は「ダノイ日本橋」。16時~20時 夕食付です。先着順

2018年1月22日 (月)

名作「ガリバー旅行記」と建設株(第893回)

名作「ガリバー旅行記」と建設株(第893回)2018・1・21


 ご存知の冒険物語で小人たちの国、巨人たちの国、空飛ぶ島の国、馬たちの国―。イギリスに妻子を残し、懲りずに旅に出たガリバー。しかしよく読むと、1726年に出版されたこの物語は階級制度への批判、人間のいやらしい面を辛辣にえぐった凄い作品だ。

 

 第三話で、私はとんでもないエピソードを改めて発見した。ラグナグ国でストラルドブルグつまり不老のひとがほんの少し生まれる。この話をガリバーは聞いて興奮する。不死!誰でも本来なら死は少しでも先延ばしし、遅ければ遅いほどありがたいと思う。ところが、不死でも「不老」ではないところが問題で、80歳になると「頑固で気難しく、陰気で、独りよがりで、自然な愛情を抱けるのはせいぜい孫までで、その後はそんな感情も枯れはててしまう」へえ、スウィフトはそんな風に老人を見ていたのか。

 

 90歳になると、歯も髪も抜け落ち、食べ物の味もわからなくなる。この国の言葉は常に変化しているので、200年もたつと普通の人間とは、ごく一般的な言葉を除いて会話が成立しなくなってしまう。

 

 この話を読んで、日本はインフラの老朽化にどう立ち向かうべきかと、いう大問題に似ていると考えた。

 

 日本の社会資本ストック(2009年推計)は786兆円(再取得価格ベース)で、道路が348兆円、上下水道130兆円でこの二つで6割、建物2割、残りが港湾など。

 

 1960年代からインフラ投資は加速化し、ピークは1990年代半ばで年45兆円の公的資産形成が行われたが、財政構造改革から抑制され、現在は半分。事業費の急減で専門人材も減少し、元の水準に戻るのは極めて困難になっている。

 

 2016年度の全国の橋のうち4万6572か所、トンネル1122か所を点検したところ、橋の61%、トンネルの96%は老朽化し修繕が必要とされた(国交省調べ)。

 

 橋や道路、トンネルは人間に例えれば「不死」つまり永久にあるべきもの。しかし「ガリバー旅行記」のように「不老」ではない。維持のための修繕が不可避だが、予算の制約でこれが思うに任せない。

 

 プライマリーバランスの縛りさえなければ―と思うのは私だけではあるまい。これを解決するのは、私が主張している永久国債が名案で他には兆円単位の巨額予算を調達することはできない。

 私は日本建設業連合会が発行した「再生と進化に向けて―建設業の長期ビジョン」を読んだが、ここでも「財政制約」を前提にしており、作成者はさぞ歯がゆかったんだろうなあ。

 

 安倍首相は「リーマン並みの大変な事態が発生したら」という条件付きで「何か」を考えている。恐らく財務省のプライマリーバランスのくびきをどう外すか、頭の中にあるのだろう。もう「低圧経済」でなく「高圧経済」に転換しているのだから、何かしなければいけない。ここいらを詳しく書く余裕がありません。次回以降に。

 

 私は建設株特にゼネコン大手を、2,3年のつもりで有望銘柄として注目している。折も折、昨年12月に東京地検と公正取引委員会が独占禁止止法違反で捜査が行われた。株価は下落、漸く1月下旬に入り反発したが昨年11月の高値より15%ぐらい下値を低迷している。

 営業停止とか課徴金などのペナルティのリスクはある。しかし土木事業の収益性が構造的に悪化するような事件とは考えられない。

 

 一方、2017年度の建設投資額は55兆円(国交省予想)。2010年度比31%アップで2010年度以来15年ぶりの高水準。私は建設大手に魅力を感じる。

 

 ところで、2月4日(日)に私の講演会を開きます。

主催はフォレスト出版、会場はコングレススクエア日本橋。地下鉄銀座線日本橋B9出口で直結。

セミナーの題は「世界経済2018大予測セミナー。ブラックスワンの後に訪れる日経4万円突破は」です。少しオーバーかなあと思われますか?そうじゃあありません。

 私は13時から70分。今年の高値いくらで、いつあるかの見通しと、秋ごろあると予想している大幅下落の激動リスクをお話しします。

 またSAIL代表大井幸子さん、短期見通しで定評ある熊谷亮さんにも手伝っていただきます

終了は17時。

お申込みは以下のページからです。

https://www.forestpub.co.jp/author/imai/seminar/22022

また講演会の詳細内容に興味のある方は

http://frstp.jp/we18pi

※詳しい内容を説明してあります。

のURLをプチッとおしてください。お願いばかりですみません。よろしくお願い申し上げます。

2018年1月15日 (月)

歌舞伎「勧進帳」と原油と金価格の高騰(第892回)

歌舞伎「勧進帳」と原油と金価格の高騰(第892回)2018・1・14

 歌舞伎座で「勧進帳」を観た。9代目幸四郎が2代目白鴎を。染五郎が幸四郎を、まだ12歳の孫が染五郎を襲名した。ズラリと名優が並んだ口上も見ごたえがあったが、やはり高麗屋のお家芸に近い弁慶をどう新・幸四郎が演じるか。12歳の新・染五郎が義経をやれるのか。両人ともまずまずだった。吉右衛門の富樫は凄い出来だった。当たり前か。人間国宝なんだから。

 

 ストーリーは、ご存じだろう。兄の頼朝と不和になり都を落ちた義経は、山伏の荷物運びの強力にに身をやつして奥州平泉を目指す。加賀国安宅関で富樫が関所を守り、山伏を通さぬ決意だ。

 

 そこへ義経一行。関所を通るべく弁慶は富樫に白紙の勧進帳を読み上げ、富樫の疑念にも弁舌鮮やかに答え、いったん関所の通過を許す。ところが山伏一行に従う強力の容姿が義経に似ていると番卒が告げ、一気に空気は緊迫。

 

 弁慶はあらぬ疑いと怒り、金剛杖で義経を打ち据える。その様子から弁慶の忠義心と苦衷を察し、富樫は一行の通行を許す。ここがヤマ場だ。

 

 関所を無事に通過した義経は弁慶の働きを讃え、感謝する。そこに富樫が現れ一行に酒をすすめ、盃を受けた弁慶の「延年の舞」、幕の外での「飛び六方」を踏んでの引っ込みまで、息もつかせない展開。確かに緩急取り混ぜた歌舞伎を代表する名作に違いない。

 

 意外な番卒の告げ口で一挙に緊迫ムードになったように、昨年前半には下げ歩調だった原油価格が10,11,12月と上昇、ヘッジファンドの仕掛けと、ある思惑材料のためだ。

 バレル当たり昨年6月に44ドル、これが10月に50ドル、11月末に58ドル、12月末に59ドル、新年に入って65ドル。

 

 その材料はイエメンの反政府武装組織フーシ派のサウジへのミサイルによる無差別攻撃。11月にはリヤドのヤママ王宮に5発のミサイルを打ち込んだがパトリオット・ミサイルで迎撃目的に達せられなかったが、前記の通り原油価格(WIT)は上昇した。

 

 今後はどうか。フーシ派の背後にいるイランで反政府暴動が深刻化しかけている。きっかけは昨年末のローハニ大統領の経済引き締めで、公務員の雇用カット、増税で、度重なる失政に猛烈の暴動が発生、最高指導者ハメネイ師まで批判し、民衆に13人の死者も発生している。

 

 イランの窮状は昨年6月からパナマ運河の拡張(これまでの倍の幅)で米国のシェールガスの輸出が急増。イランの原油輸出がこれにシェアを奪われ、政府の資金繰りがつかなくなっている。

 

 専門家は2012年のアフマディネジャド大統領の政権崩壊時より深刻な事態と考えている。

 また今後不況が悪化した場合、ハメネイ、ローハニのイラン首脳部がサウジ攻撃つまり原因を外敵に求める可能性も指摘されている。

 

 世界の投資家が最も恐れるのは、原油価格の急騰とインフレ、世界中銀の金利引き上げ、株価急落の悪循環にほかならない。当然、ヘッジとして考えられるのは「金」である。ここ2か月の動きをみると、オンス当たり1270ドルから1330ドルに上昇。円の売りも目立っており、ヘッジファンドによる円売り玉は、12万枚から14万枚(IMMの大口投機玉)に増加している。

 

 評判の悪いトランプ大統領が対イラン経済制裁の解除を継続したのは、ヘッジファンド大手のトップがこうした情勢を伝えたためだろう。4月前後に「北」との戦闘もありうるので、中東は、

この際、騒ぎが起きてほしくない、というところか。

 

 「勧進帳」のラストの長唄で「虎の尾を踏み、毒蛇の口を、逃れたるここちして、陸奥の国へぞ、下りける。」観客はその逃げ込んだ奥州で義経主従が殺されてしまうことを知っている。いま、NYも東京も片や歴史的高値、片や戻り高値と好調だが、このブログで指摘してきた通り「ゴルディロック」の状態がずっと1年間続くか、どうか。私は慎重な楽観主義者だが、この何週間か続いている上げ歩調が、ずっと続くことはあり得ないことはよく知っている。

2018年1月 9日 (火)

名曲「美しく青きドナウ」「ラデッキー行進曲」と新年の日本の災厄(第891回)

謹賀新年

本年もどうぞよろしくお願いします。今回は事務上の問題が生じ、1週遅れになりましたが、新年の皆様のご健勝とご多幸、ご発展を祈っております。このブログも微力ですが、皆様のお役に立つ情報を差し上げ続けたいと念じております。




名曲「美しく青きドナウ」「ラデッキー行進曲」と新年の日本の災厄(第891回)

私ども夫婦は例年1231日深夜、サントリーホールで行われるジルベスター・コンサートに行くことにしている。それが妻の扶美子が転んでヒザの皿にヒビが入り、左足をギプス、松葉杖をつく騒ぎで、三男と楽しんだ。

 ジルベスター・コンサートの終わりにはオーストリア第二の国歌といわれる「美しく青きドナウ」。これは1867年の普墺戦争の敗北でウィーンの陰鬱なムードを払拭しようと、ウィーン男声合唱協会に依頼されてヨハン・シュトラウス二世が作曲したもので、歌詞はこんな出だしだった。

 「ウィーンの連中よ 楽しくすごせ。さあもっと元気を出そう。どうしてかって?周りをみろよ。謝肉祭じゃないか。明るさが見えるだろう?」

 これを合唱とオーケストラ用に編曲したときに、曲の名が決まったそうだ。今の合唱の歌詞はドナウ川賛歌だが。

デフレと円高の悪循環に苦しんで来た日本。ところが最近ようやく、そう、ようやく少しずつデフレ脱却ムードが出始めた。株価が永い間押さえ込まれていた日経2万1000円台の壁を突破、23000円台を勢いよくつけた。 まだマスコミの一部はアベノミクスの成功を認めようとしないが、成果は次第に誰の目にも明らかになっている。いちいち例示しないが、その今後を明確に示すのが株価だ。まあ見ててごらんなさい。2万7000円までは真空地帯。あれよあれよと走るから。

 

 では、何がこの上昇にブレーキをかけるのか。サプライズの悪材料を考えてみた。

 

 何が発生してもサプライズになるのが、北朝鮮問題だろう。

 今私の最新の情報は次の通り。

 既存の金融制裁、貿易制裁の効果がこれまで以上で、20182月に「北」の外貨は底をつく。3月以降、交渉のテーブルに着かざるを得なくなる。

 これに先立って1月中に、ティラーソン米国務長官が辞任、後任にポンペオ現CIA長官、さらにCIA長官にはトム・コットン上院議員が就任。二人とも親トランプで、修正25条第四節により合法的クーデターの可能性は大幅に減少。この材料だと4月の攻撃はあり得る。

 日本と米国の方針はここへ来て食い違いがある。日本は核とICBMの廃棄を求めるが米側は開発凍結で十分。米国はICBMが届かなければ良いと。ただ、米中で合意しているのは金正恩が現在の地位に留まる「北」は想定していない。

 後継として金正男の息子金漢率(キムハンソル)を元首に想定。金正恩の亡命を提案したロシアに対し米中は拒否したもよう。「斬首」か。

 では、戦いとなったら株価、円レートはどうなるか。とりあえずヘッジファンドの作戦は「円買い日本株売り」である。

 昨年4月の東京株式市場を思い出していただきたい。外国人投資家は現物を2月終わりから売り始め、3月売り越し、4月は10月先物を売って現物を買った。日経平均は319000円台になり418000円に。

 為替市場では「円買い韓国ウォン売り」。ただ円レートは対ドル111円から4月下旬108円。株価も為替もヘッジファンドが期待したほど大きな利益は出ていない。押し目買いを待つ買い手の存在があるからだ。

 

 今回はどうか。軍事行動があり、金正恩が「斬首」され、中国が38度線まで支配し、核兵器は北朝鮮とシェアリングする。 キムハンソルがカイライ政権で、現在の米国による保護からピョンヤンに帰るのだろう。戦闘はごく短時間で終り、形式はクーデターとなり、日本人がとりあえず一番心配するミサイル攻撃はないだろう。

 

 「次」の段階が「災厄」だ。日本の頭痛のタネは難民、そして復興資金の提供だろう。また文韓国大統領が強気になって、二年が経過した「不可逆的な」慰安婦問題を反故にし、反日、反米の姿勢を明確にする。要するに、韓国は「北」と合併し、中国の属国になりそうだ。日本は非核三原則の見直しで国論は二分されることになる。またアホなマスコミがヘンなアオリかたをしなければいいが。

 

 ご報告です。最近著の「日経平均3万円 だから日本株は高騰する!」は早くも第二刷りです。また少し前にご報告した講演会が追加、123日(火)18時~20時、ザ キャピトルホテル東急。主催は経営塾。経営塾フォーラム第348回で、演題は前述の拙著と同じです。

 

 「ラデッキー行進曲」がジルベスター・コンサートの終わりに必ず演奏され、音楽に合わせたみんなの手拍子で大いに盛り上がる。ラデッキーとは19世紀のオーストリア軍参謀で1815年の対ナポレオン戦争で勝利した英雄。ヨハン・シュトラウスのオヤジの方の傑作。日本株の前途は私はうんと明るいと思うが、やはり日本の個人投資家が本格的に買いれ出なくちゃあ。さあ、皆で手を叩きましょう。

 

 ここから先はオマケです。私の2018年テン・サプライズです。

 AIIOTなどの第4次産業革命が成功、世界の成長率は4%台に。

 サウジとイランの対立が中東全体に拡大、原油価格がバレル80ドルと急騰。

 安倍首相が北朝鮮を単独で訪問し、拉致被害者を連れ帰る。代わりに多額の援助。

 教育、防衛、国土強靭化など多額の予算が必要な巨大プロジェクトに備えるため、永久国債の発行を決め、借り換え債のシステムを根本的に改める。

 FAANG中心にNYダウは3万ドル。その後はコワーい。

 イタリア総選挙で五つ星運動が圧勝し、EU離脱の国民投票が実施され、EUの基盤がゆらぐ。

 中国は債務問題を何とか克服すべく、AIIBへの日本の支援を要請。

 トランプ政権はティラーソン国務長官を交代させ、セクハラなど民主党への悪宣伝もふくめ、無所属候補との乱立戦に持ち込む。中間選挙をこれで乗り切り、次に30%台の固定票でも自分が再選される作戦に出る。同時に修正25条第4節による「合法的クーデター」を阻止する。

 投機資金流入でビットコインは急騰し4万ドルを突破するが、規制強化で大暴落。

 

 サッカーW杯で日本はベスト8。平昌五輪の女子活躍と合せ大スポーツブーム。意外や意外、巨人が優勝。

2017年12月25日 (月)

映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」とサウジ異変と原油高(第890回)

映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」とサウジ異変と原油高(第890回)2017・12・24

 「最後のジェダイ」は実は2回観た。お話がなかなか進行しないのでつい眠ってしまって観なおした。十分楽しめたのは映像美とカジノのシーンの途方もない生き物たちの創造。オヤジになったマーク・ハミルや、もう故人になったキャリー・フィッシャーのクローズアップを観ても面白くもおかしくもない。あとは航空戦というか宇宙戦とライトセーバーのチャンバラだ。一見に値するがよほどのスター・ウォーズのファンでないと153分は苦痛だろう。

 

 この号が2017年の最終。2018年のテン・サプライズは、まだ考えている最中で、まあ来年のお楽しみ。

 

 今回は年末から年始にかけて、おめでたいムードをブチこわすようなリスクをひとつ挙げます。それはサウジ王宮へのイエメンの「フーシ派」によるミサイル攻撃です。

 12月19日、サウジの首都リヤドの中心部にあるヤママ宮殿に向け、イエメンからミサイルが発射されサウジ空軍の防空網によって破壊された。サウジ政府、フーシ派ともに認める発表を行っている。前回11月4日のキングハリド国際空港へのミサイル発射は成功、つまり迎撃失敗し空港に着弾した時の爆発音が聞こえた。

 原油相場はWITで11月には数秒でバレル1ドル急騰。今回もバレル57ドル近辺から58ドル半ばまで上昇している。

 フーシ派が無差別化、高頻度化した背景はイランから供給資金と兵器の配分だ。現大統領ハーディ派とフーシ派で分けていたがサウジと大統領が秘密裏に紛争解決交渉を行っていたことが露見。フーシ派はサウジへの報復を始めているのが背景だ。

 

 ミサイル攻撃への防御率はあまり高くない。宮殿に落ちて王族が負傷、死亡した場合や、石油積み出し設備に被害が出た場合、一部の専門家はバレル70ドルと予想している。

 文字通りある日突然発生するリスク、として把握されるべき問題だろう。

 

 これでイマイ先生、おしまい?いやいや、サービス精神に充ちている私はこれでは終わりませんよ。現在流れている米国軍が中国の協力を得て北朝鮮を攻撃するらしい、というウワサを「あれはグラフ」とご説明します。

 

 騒ぎのもとは韓国軍部からの情報漏曵。かいつまんで内容を書くとー

 米軍兵の家族の韓国から一時退避を前提に、横田基地にバラックを建設中。

 ビジネスマンにはクリスマス休暇で米国に帰国した後、家族は暫時米国に留めよと勧告。

 一方中国人民解放軍は四個師団2万人が北朝鮮国境に集結している。

 へえ、これじゃあ騒ぎは近い、と誰だって思う。吉林省に中国側は難民キャンプを5か所も建設した、なんて聞くとなおさらだ。

 しかし、しかしですゾ。

 軍事専門家の意見を聞くと「現在やっていることは北朝鮮への威嚇(ブラフ)と考えるべきです。

 理由。現在まったく十分な兵站の準備が出来ていない。どのような先制攻撃でもその後も考えて食料、補充兵器が必要だが、やっていない。3月以降のフリーズ・トゥ・フリーズ、つまり交換条件として「北」のは核とICBM開発を凍結、代わりに米韓日の合同軍事演習を見合わせる。要するに交渉のテーブルに着かせるためのブラフという。

 

 一方北朝鮮にも対話模索ムードが漂い始めている。

 2013年金正恩が政権を握った直後、核をやめるといったら、クーデターが起きていたろう。しかしごく最近「核保有国になり国家的偉業を達成し後は経済発展に専念する」という意味の発言に変わった。ティラーソン米国務長官の方も最近のいくつかの発言は「核とミサイルの実験を自粛すれば、米国は対話を考えていい」という意味にとれる。北朝鮮にとっては万々歳だろうが日本にとっては、まことに困った事態だろう。

 

 安倍首相には、この対話ムードを巧みに使って訪朝し拉致問題を片づけ、日本の立場を悪くしないようにする外交的手腕が求められる。

 米=韓、中=「北」の核シェアが始まり、2018年は「非核三原則」をめぐって我が国の国論を二分する大騒ぎが始まるに違いない。

 

 米国はどうなるか。トランプ大統領の例のエルサレム問題はエヴァンジェリストの支持を狙ったのだろうが(明らかにバノンの助言で)、見事に失敗、支持率は低下中だ。恐らく人気回復のため先制攻撃して、6割近い攻撃支持の世論を味方にしたい。トランプ氏の心中はそんなところだろう。

 ティラーソン、マティスなど反戦派は「自殺協定」と呼ばれる同盟を組んで、何とか戦って見せたいトランプに対抗している。ピョンチャン五輪、パラリンピックの後、何が起きるやら。

 

 「イマイセンセイ。あまり楽しい話じゃありませんね。」「そうです。皆が日本株が3万円や4万円と言ってますが、そういう時に限って足元をすくわれやすいもんです。しかし、私は強気です。心から、ね。あんまり世の中が明るいというとヘソ曲がりの私としては、ブラックスワンもありますよ、とー。

 

 映画のセリフから。レイアがいう「希望は太陽のようなものよ。信じて待てば夜明けは必ず来るの。」


2017年12月18日 (月)

映画「DESTINY鎌倉ものがたり」とサウジの株売り(第889回)

映画「DESTINY鎌倉ものがたり」とサウジの株売り(第889回)2017・12・18


 「三丁目の夕日」の西岸良平のベストセラー漫画の映画化。山岸貴監督の何とも不思議な映画で、鎌倉という土地に何千年も昔から妖気が止まりに留まっていて、怪奇現象が続々と起こる。だから人間と幽霊、妖怪、死神、貧乏神、が仲良く暮らしている。

 その鎌倉に住むミステリー作家の一色正和(堺雅人)に19も違う若い妻の亜希子が嫁いでくる。高畑充希がかわいらしくて適役だ。この妻が思わざる事故で亡くなってしまう。妻の魂を取り戻すために、一色は黄泉の国へ向かう。

 まあギリシャ神話のオルフェウスとエウリディーチェのパクリだ。危機に陥るが、一色家にとりついていた貧乏神を手厚くもてなしてやった亜希子への贈り物の古茶碗が意外な切り札。夫婦は現世に立ち戻る―。

 

 いまの世界経済はゴルディロック、つまりまことに適温で気持ちいい状況で、世界の株式は一斉に高い。

 11月末日までの今年のトータルリターンを見ると①新興国株式27・3②先進国株式17・2③米国リート9・0④世界ハイイールド再建7・4、各%。マイナスはコモディティの1・7%のみだ。今年がいい年だったことがわかる。ちなみに日経平均は18%。

 

 2018年はどんな年になるだろうか。現状維持とみるのが一番やさしいが、映画で鎌倉市民の平和な生活と妖怪が同居しているように、2018年は文字ヤマのようリスク要因がある。

 

 第一はサウジに絡んだ原油価格の急騰。バレル70ドルとなれば、日本への打撃は特に大きい。

 第二はワシントンとNY。減税法案でひところのトランプ政権の早期退陣説はやや下火だが、まだ危ない要因は多い。NY株が割高と見えるのも心配。イールドカーブの動きも。

 第三は言うまでもなくお隣の物騒な国。どう決着がつくにしても2018年には変化が起きそう。

 第四は欧州。BRXITの立ち往生、ECBの金融政策、ドイツやイタリアの政治、数えだすときりがない。

 きりがないと言えば、中国のクレジット・クランチ不安、人民元急落リスク、富士山の大噴火、南海トラフ、首都圏直下型地震、テロまで入れたら数限りない。

 

 予算のいることばかりだ。教育、難民、防衛、国土強靭化、防災対策、みんな兆円単位のカネの要る事業に違いない。これに介護などの老齢化予算を加えたら、そして、財務省に任せたら、消費税は20%じゃきかない。

 

 これは以前から私のいっている永久国債によるしかない。

 今週の「エコノミスト」誌には「出口の迷路 金融政策を問う」として、東京大大学院客員教授の松田学さんが「に日銀保有国債の一部を永久化せよ」言う論文を発表している。

 劇薬として批判が多い永久国債だが、一定の歯止めをもとに部分的に実験する。1年度10兆円を上限とし、総額の100兆円。この歯止めでやれハイパーインフレだのモラルハザードだのはなくなる。

 詳しくは12月26日号「エコノミスト」をご覧ください。(76~77ページ)

 

さて、本日のテーマはやはりサウジの「今、そこにある危機」つまり保有していた日本株の売りが出ています、という指摘。どこの誰も言わないけども。

 

 元第四皇子アルフリードが買い増していたNY株式市場では、ヒルトンホテルス、アコール、エアバスなど、資産没収が発表され12月6日から30&%下落。

 日本では島津製作所、ファナック、ナブテスコ、ヤクルト本社スタートトゥデーが10%近辺の下げ。これはサウジ王室ファンド(SAJAP)の最大保有銘柄で11月末以来の下落だ。

 サウジのSWF(ソブリンウエルスファンド)に2014年には最高7380億ドルに直していたが、最新の6月末までは4890億ドルに減少。その後も売却が進んでいること確実。

 

 それでもNYも東京も株式市場は高いからこのサウジ売りは大きな悪材料になっていないのだが、それでも売り対象銘柄の株主には打撃に違いない。

 映画のセリフから。もう亡くなっている主人公の父が言う。「「ここ黄泉は次に生まれ変わる前の腰掛けなんだ」。なるほど。このロジックなら。ゴルディロック状態は、長続きしない。

 

 イマイ先生。強気はどこへ行ったの?いや、日本については、強気です。

 ついでに、もう新年の講演会が決まり初めまして。

1月12日(金)10時 時事通信社の紹介で神奈川農協中央会主催、会場、平塚プレジール。「2018年日本と世界の政治、経済」

119日(金)15時 主催CWM総研、会場大宮ソニックシティ

120日(土)13時 主催第一商品(株)会場同社新宿支店

125日(木)1510分 主催TACT高井法博法律事務所、会場岐阜グランドホテル

2017年11月27日 (月)

映画「ローガン・ラッキー」と日本経済と株価の夜明け(第887回)

映画「ローガン・ラッキー」と日本経済と株価の夜明け(第887回)2017・11・26 

アカデミー賞監督スティーブン・ソダーバーグが4年間のブランクを置いて「脚本にホレ込んだから」の理由でこの作品を監督した。

 私はこの「ローガン・ラッキー」を観て、古典落語の「時そば」を思い出した。例の「何どきだ?」ここのつでー。10,11・・・」と一文ゴマかしたのを見て、マネした間抜けがドジるオハナシだ。当時の蕎麦は16文、九つは午前0時。

 

ソダーバーグ監督は「トラフィック「(アカデミー賞受賞作)や「エレン・ブロコビッチ」でも有名だが「オーシャンズ」の11,12,13の三部作が一番知られている。

 この三本はジョージ・クルーニー、マット・ディモン、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツなどオールスターキャスト。新鋭の武器とプロの技術、ち密な作戦で難攻不落の金庫から巨額の金を盗み出す。

 

 この映画はその逆。「オーシャンズ」ほど大スターはいないし、登場人物はドジでマヌケ。素人犯罪の間抜けなところがスリルと笑いを生む。脚の悪い兄、義手を装置した弟が、モーターレース当日、気送管を通って地下金庫に流れ込む巨額の現金を狙う。

 服役中の金庫爆発の専門家を、看守に気づかれずに脱獄させ、盗んでから刑務所に帰らせなくてはならない。この難問を含め悪運とツキのおかげで何とか成功させる。

 

 ところが盗んだ金は相当部分トラックに積んだまま置き去り、公表された損害ゼロ。被害者お保険会社がOKしたので、そのまま事件はなかったことに。世間は不明の犯人を「田舎者のヒーロー」とさげすむのだがー。

 私は主役よりダニエル・クレイグ、ライリー・キーオ(エルヴィス・プレスリーの孫娘)、ヒラリー・スワンクなどの役どころが面白かった。

 「不運なローガン」が「ラッキー」に変わり、かくしてあった現金の一部は分配されて、関係者皆ハッピー。幕切れはFBI捜査官のヒラリー・スワンクが左腕のない弟と結ばれて、ジ・エンド。

 

 少し長々と映画の紹介をしてしまったが、実は今週のこのコラムはこの映画の「不運」が「ラッキー」に変わるように、日本経済が変わると言いたかったんです。

 

 私が言うと、それイマイさんがまたーと笑われそうだ。しかし、日銀副総裁がロンドンでの講演で「真の夜明けが近いと信じるに足る多くの理由がある」と述べて、外国人投資家が、この発言で日本への見方が変わり始めた。これ、ホントです。去る105日、日銀中曽根宏副総裁が

「日本経済の底力と構造改革」と題して講演。要旨は以下の通り。

 

 長寿化と余暇の増加で、日本の経済厚生は1985年以降年平均425%増!G7の中で最も高い。表面上の一人当たりGDP年平均の伸び率は225%でG7の最下位だが、現実は数字よりずっといい。

 今後の人口の老齢化、少子化を考えると労働生産性の向上が不可欠だが、労働市場の流動性向上で十分に達成できる余地がある。

 深刻な人手不足は省力化投資の増加とビジネスプロセスの見直しにつながっている。これは日本の労働生産性の伸びを高めており、米、英などの生産性伸び率鈍化と合わせてキャッチアップできると考えられる。

 長い目で見れば、物価の押し下げ圧力は減少してゆく。日本企業が生産性向上の余地が少なくなれば、賃金上昇を価格に転嫁してゆかなければならない。これは時間の問題だろう。

中曽根副総裁は「これまで何度も“偽りの夜明け”を経験してきたが今度こそ、“真の夜明け”が近い、と信じるに足る多くの理由がある」と結論付けた。

 

 最後に柿本人麻呂の有名な歌「東の野にかぎろひの立つ見へてかへり見すれば月かたぶきぬ」を引用。「朝日が差し込んできたとき、長い夜のあとに日がまた昇ってきてことを、実感するでしょう」と結んだ。

 

 この何週間も私は、マーケットが時代の転換を大声で告げていると主張してきた。中央銀行の首脳が経済についても変化を主張し始めたのはもっと注目されていい。

 

 実は今週、欧州政策研究所センター部長のダニエル・グロス氏の「高齢化日本の欧州が学ぶべき二つの教訓(ニューズウィーク11月11日号)」もご紹介したかったが今回は省略。中曽根副総裁の「今後の展開」の方が株式市場の先見性を考えるとずっとずっと楽しい。

 

 今週、ある新聞社主催のセミナーに出て、著名ストラテジストの見通しを聞いた。統計が2015年度が最新で、それが現在まで続いていると本気で信じている。下げ相場しか知らない世代が慎重なうちは「懐疑のうちに育つ」上昇相場の天井はまだまだ。私はこの格言を言ったサー・ジョン・マークス・テンプルトンの弟子なことをお忘れなく。

 

 映画の中でローガン家の妹が歌うジョン・デンバーの「カントリー・ロード」がとても良かった。

 「カントリー・ロード、私がいるべき場所、私のふるさとへ連れて行っておくれ。」今の日本はアベノミクスの成功で、再び世界に影響力を持つ存在に復活しつつある。政治でも経済でも。

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