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2017年6月18日 (日)

「レ・ミゼラブル」とカタール断交の意外な影響(第863回)

「レ・ミゼラブル」とカタール断交の意外な影響(第863回)2017・6・18

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1個のパンを弟たちのために盗んで、19年間も獄中に拘置されていたジャン・バルジャンの物語はご存じだろう。銀の燭台を司教にもらって正しく生きると決意する話とか、コゼットがテナルディエ夫婦からいじめられていたのを救出する話、コゼットを生んだフォンテーヌの髪や歯まで売る話とか、皆が知っているが、それでも心を打たれる。

 今回帝劇で30周年記念公演を観た。ロンドンで3回、NYで1回観て日本では10年ぶりだったが出演する俳優たちの巧いのと声のいいのにびっくり。外国の公演に劣らない。

 やっぱりショーンバーグの音楽が素晴らしい。民衆の歌、オン・マイ・オウン、宿屋の主人の歌、幼いコゼットの歌う雲の上のお城。何回聞いても感動し私は涙をと流した。恥ずかしかったが。

 ジャン・バルジャンが、重傷を負ったコゼットの恋人マリウスを救出しようと、パリの下水道を逃げ回る。ストーリーのヤマ場だ。1832年の6月暴動の夜。原作者ビクトル・ユーゴー自身が体験したバリケード近辺の緊迫感が反映している。

 現在の世界の緊迫感は、オバマ政権が「警察官」であることをやめ、トランプ政権になって、はっきりいうが一層の無責任になったこと。中国、イラン、北朝鮮など国際間の安定への「ブチ壊し屋」がますます図に乗って動き出す。米国との同盟国はワリを食う。

 私は意外な情報を聞いた。526日のG7の際に開かれた日米首脳会談では、席上トランプ大統領は中国重視発言を行い尖閣防衛義務にも触れず、安倍首相は頭越しの米中接近を危惧した、とか。もちろん公表されたステートメントにはでは「北」問題での結束強化、テロの脅威への協力での成果をうたったが、実は違った、と。またG7の討議をトランプ氏に愚弄され米欧間を取り持とうとした安倍首相の試みも挫折した、とも聞いた。

 そんな場合、世界が軽く見ている事件も大ごとになりやすい。65日と6日、サウジアラビア、エジプト、UAEなど中東の主要国はカタールとの国交断絶を表明した。2014年にもサウジとUAEはエジプトの政変に絡んでカタールと対立、自国大使を帰国させる抗議を行ったが、この時は8か月で終わった。今回は陸、空路も遮断する完全な国交断絶であり、中途で方針を緩和するとサウジ王家の権威が傷ついてしまう。

 最終的にはカタールのタミム首長の退陣、亡命まで事態は悪化するのでは、と私のワシントンの情報ソースは懸念している。

 小国カタールがここまでいじめられるには理由がある。同国の資金援助がムスリム同胞団などイランが背後にいるテロ組織を活性化している。またカタールはイランと共同で天然ガス開発を進めているし、タミム首長がイラン支持を述べた。しかし5月にトランプ大統領がサウジを訪問した折に、いろいろと情報を伝えたのが背景らしい。

 カタールから日本へのLNG・原油の輸入依存度はそれぞれ17%,8%。途絶が懸念されたがともに価格は下落、まだ世界の原油市場は大きな不安材料と解釈していない。日本としてはスポットで購入すれば大事あるまい。

 問題は二つ。第一は半導体製造に不可欠なヘリウムガスが断交後、対日出荷が止まっている。国内在庫は一か月で我が国の半導体生産の先行きが懸念される。

 第二はカタールの政府系ファンドが収入の途絶から手持ち資産とくに株式を売却する不安。4月現在で3350億ドルに達し、昨年6月の2560億ドルから急増している。370兆円だ。断交以降日本株への外国からの売りが増大しているが、本当にカタール政府系ファンドが売っているのか、ヘッジファンドが仕掛けているのか不明。

 カタール株式市場は13%下落し、国債の信用を示すCDSは急上昇している。また大株主であるフォルクスワーゲン、ドイツ銀行、資源大手のグレンコアの株価も下落している。

 もちろんコミー前FBI長官の証言、その後のセッションズ司法長官証言の打ち消し証言にもかかわらず活発に司法妨害説を流すメディア。英国選挙のメイ政権議席減、FRBイエレン利上げなどなど。売り要因は多い。しかし恐らく慎重に全体の相場をコワさないように、別の表現をとればプロらしい売りがすでに出ているのかもしれない。国交断絶が1か月やそこらで解決せず、長期間にわたれば、売却リスクは拡大してゆく。

 トランプ・ツイッターでは断絶直後サウジ支持、カタール批判を述べていたが、その後、和解するなら米国が交渉を取り持つ、と態度を改めた。しかし5月の訪問の時の情報提供の手前もあり、早急に仲介に動くかどうか。しょっちゅう態度が変わる男だから。

 結論。少なくとも日本株は目先、高値更新の可能性は少ない。私は慎重だ。

 別の情報では、解散総選挙は明年9月の自民党総裁選の後。そのあたりで米シムズ教授が呼ばれて恐らく消費税引き上げの延期か取り消し、永久債か100年債発行が決められるか、の論議の開始になる。秋の下げ相場の後、壮大な上昇が始まるだろう。その時は、その時。

 ミュージカル「レ・ミゼラブル」の30周年公演で特別なカーテンコールが45分間もあり、最後に画面に歌詞が出て「民衆の歌」を劇場内の全員で歌い、もちろん私も歌った。

 「戦う者の歌が聞こえるか?

 鼓動があのドラムと響き合えば

 新たに熱い生命(いのち)が始まる

 明日が来た時 そうさ明日が!」

景気の鼓動と政策のドラムが響き合えば、明日の日本は明るくなる。

 

オマケです。今週発売の「週刊新潮」6月22日号111ページに私が昭和50年代に「財界」誌で紹介したサウジアラビアの武器商人アドナン・カショーギの死が紹介されています。私が山一証券経済研究所で仕事をしていた時、誰も日本人が知らなかった武器商人ビジネスのことを書きました。1日25万ドルを平気で使った大富豪です。立ち読みでいいですからお読みください。

2017年6月11日 (日)

映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と近未来の大幅安(第862回)

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映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と近未来の大幅安(第862回)2017・6・11

 本年度アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞を獲得した秀作。大きすぎる悲劇で壊れてしまった男の再生を、淡々としたドラマで見せる。私はシドニー・ルメットの「質屋」を想いだした。音楽も素晴らしく、終盤にマスネーの歌劇「ケルビーノ」で明るくシメている。

 主人公リーは暗い影がある中年男でアパートの管理人兼便利屋で、なにに怒っているのか機会さえあれば、殴り合いの喧嘩を始める。ある日リーの兄が危篤という電話があり、生まれ故郷に帰るが、兄はすでに他界。遺言書に高校生の甥の後見人になるとあり、そのためリーはマンチェスターに引っ越さなければならない。しかしリーはかつて三人の子供を自宅の火事で焼死させ、妻と離婚した過去がある(ここらはアルビーノの「アダージョ」。冒頭はヘンデル)。

 結局、甥も主人公も立ち直り、再婚していた妻も子を設け明るい未来を示して終わる。

 6月8日のスーパーサーズディが終わった、英国総選挙、前FBI長官コミー氏証言、ECBミーティングなどなど重要イベントが押すな押すなで、市場の反応が注目され,9日金曜の東京市場が不安視されたが、とりあえず104円高で様子見。来週月曜の海外市場の反応を見てということなのだろう。

 リーマン・ショックや少し昔ではブラックマンデーなど歴史に残る大暴落は、私に記憶にまだ生々しい。ITバブルもそのひとつ。NASDAQがNYダウよりも日経平均との相関度が高いので心配していたが、2000年4月の2万833円から、2003年4月の7607円までの長期大幅下落だった。その後デフレ進行と円高との悪循環、政権交代――。本当に嫌な記憶ばかりだ。

 ところが現在はいいことが多い。米国のNYダウ、S&P500,NASDAQと三指数とも歴史的高値を更新、日本の方は6月に入って2万円のカベを破った。

 当分、ハイテク株の天下は終わりそうにないと誰もが考えている。アップル,アルファベット(グーグル)、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックの業績はいいし、メチャ高いPERもリクツをこじつけて合理化している。しかし若林栄四さんによると、ことし6月8日でNYダウは天井の公算大。10月以降下落の大きなのがある、との予想。日本の方も夏以降、下げるのではないか。

 私はあまり星回りをこのブログで使ったことがない。しかし「一白水星」「丁酉(ひのととり)」。これは「大変化で囲いの外へ出る」又は「終わり、死、落下」。私流に考えると20015年6月の2万952円を抜くものの、7~9の間で、下値の方は1万4860円台の強力な下値低拡線が維持できるか、どうか、だ。もちろん大丈夫だろうが。

 上げても下げてもファンダメンタルな材料がきっかけになるものだが、下げの方は―。とんでもない方から。

トランプ辞任。これはないと思う。理由は支持率上昇。ラスムッセン調査では6月1日43%に対し6月9日46%。次は「北」主導で文在寅大統領の韓国が合邦し、難民がどっと押し寄せる。第三は欧州の銀行(イタリア、ドイツ銀行など)の破綻。第四は(誰も驚くまいが)米国の景気悪化、なにしろ6月で、8年上昇だ。2018年には間違いなくジ・エンドだろう。パリ協定脱退のハラいせに米国系ハイテク企業に欧州とくにメルケル女史が意趣返しでいじめるかも。カタールいじめで首長の亡命ともなれば、同国が大株主のドイツ銀行、VWに影響があるかも。

韓国と北朝鮮からの難民のお話の現実性を疑っちゃいけない。文在寅大統領は1980年に「北が提唱した「高麗連邦」、1992年では「一民族一国家、二制度二政府」を信じ政策の基本にしている。かならず韓米同盟は空洞化し、米軍は撤退することになる。

 一方、財閥解体、借金取り消し徳政令、公務員の81万人雇用で韓国経済は社会主義化。同時に開城工業団地、金剛山観光を再開など「北」への援助を開始。国連制裁の効果をうすめる。すでに文大統領は10件も民間ベースの対「北」経済援助を人道主義の名で認可している。

 安倍首相は衆議院の決算委員会の答弁で「避難民の保護に続いて上陸手続き、収容設備設置、「北」工作員の偽装難民分別」を必要としている。」と述べた。

 中国はどうするか。秋の党大会で、「北」派のナンバー3,5,7の三人を退け、習近平再選になった後、米中露の三国信託統治を受けるだろう。朝鮮半島全体は中国の傘下衛星国になり、これは習近平の功績になる。明春には米国側は米国軍人家族を主に沖縄に疎開させ、空母三隻以上を派遣、中国が「北」の非核化をさせなければ「あらゆる選択肢」があるとオドかすだろう。マティス国防長官は優れた軍人で戦略に長けているという評判だ。数時間で「北」の武力を制圧するプランがあるらしい。まあそんなことになるまい、が。

 たびたび申し上げてきたが、かりにNYダウが20%下落なら日経平均はせいぜい10%の下げに止まるだろう。理由はこのブログでこれまた何回も主張してきた。肝心なのはNYは米国に近く訪れる景気後退があるし、日本の方は設備投資がようやく動き出し、2018年度の成長は今年度より上回る。需給関係でも日銀のETF、GPIFの買いが下値を支える。ここらが根幹だ。

 余分なことだが6月2日に「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯した。テクニカル指標としては①5%以上の株価下落が77%②クラッシュが51%③重大な下落が24%の確率で発生するといわれている。2015年6月に点灯したときは8月の上海株暴落を受けNYダウは1万8000ドル台から1万5000ドル台に15%下落した。NYの信用取引買い残は空前の水準なのでいったん下落したら15%以上になるだろう。結論。6~7月の利食い作戦が私のおすすめだ。

 

 映画のセリフから。映画の終わりにリーは甥のパトリックに言う。「お前が来ても泊まれるように二つ部屋のあるアパートを探している。引っ越したら、いつでも来てくれ」。そして二人は仲良く釣りを始める。ここでリーが深い傷から立ち直り、前途に希望を見ていることがわかる。いい幕切れだ。

2017年5月28日 (日)

映画「トンネル 闇に鎖された男」と政策転換の開始」(第860回)

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映画「トンネル 闇に鎖された男」と政策転換の開始」(第860回)2017・5・28

 私の韓国嫌いはご存知の通りだがすすめる向きがあったし、700万人4週間興行収入首位と聞いたので。たしかに一見に値する力作だった。

 自動車ディーラーのジョンスは契約をすませて帰宅途中トンネルに差し掛かった時、突然天井が崩壊し、車ごと生き埋めに。目覚めると周囲はコンクリートの瓦礫の山。車中には2本のペトボトルの水と娘への誕生日ケーキ、それにバッテリー残量78%に携帯電話だけ。やがてトンネル崩落のニュースで救助隊が駆けつけて、1週間で助けられと隊長は約束したが、次々と問題が発生―。

 

 トンネルや坑道に埋められた男を描く映画は多い。しかし主人公ジョンスはヒーローではなく、マスコミは騒ぐだけ。政府の対応も後半後手だし、世論に弱腰。たった一人のために税金をムダ使いするな。ソウル行きに便利なもう一本のトンネルに発破をかけ工事を進行させろという大衆のヒステリーに、政府を含め皆が迎合してしまう。経済優先、大衆への迎合、人命軽視、そして崩落の原因になった工事会社の手抜き。この映画はサバイバルだが人間の本質をえぐる。被害者と救助隊長との友情も夫妻の愛情もいい。

 

 工事もいい加減で竪坑を掘削しても設計図通りに建てられていず、推定されていた救助位置と150メートルも離れている。

 

 見通しが全くつかめないトンネルの中。この状況に似ているのがご存知わが国の財政健全化目標で、2020年度のプライマリーバランス(PB)の黒字化達成は困難だ。

 最近政府与党内で、この問題に関する議論が活発化。5月21日のNHKは「対GPP比の債務残高を目標に加える」案があることを報じた。また先週、FRB前議長バーナンキ氏も来日して日銀で講演した。何か、起きるぞと私は感じる。

 このプランは自民党の「財政再建に関する特命委員会」が提言したことがあり、2015年春ごろ活発に論議されたが、復活してきている。

 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストによると「政府は早ければ今年6月に対GPP比債務残高を財政健全化の目標とし、目標時期を延期するかも知れない」

 5月26日のレポートによるとこう結論を出した。対GDP債務残高の目標に完全移行するなら、「歳出入改革を行わなくても、金利水準を抑えて各月名目成長率を高めれば、との議論につながりやすく財政比率も緩みやすいだろう」。その点は規律をキチンとしておけばいい。

 私は従前から注目している「永久債」発行での利払い圧縮が、財源の決め手になると考えている。次第に巨大財源を賄う作戦が内々で固まり、準備工作が始まったように見受けられる。

 

 私はこの6月でまる8年になる米国景気の好調が来年には、おわりになり、ワシントンの混乱と相まって、秋には株の大幅下げがあると考えている。

 あるいは中国の金融危機かしれない。3月の全人代で幹部だけに報告されていた機密文書がある。「2000年から20150までに国有企業、金融、証券、保険業界で極秘裏に処分された不良債権は20兆元に達する」。これは香港の「東方日報」が最近すっぱ抜いた。同紙の巨額資金が海外に流出したことからも判明できる。これは空前の危機で国家安全保障や社会の安泰にかかわる爆弾だ、とした。

 宮崎正弘さんはいずれ黒幕とされる劉雲山の息子、江沢民の孫ら香港で怪しげなファンドとの結びつきが強い。これまでアンタッチャブルとされてきた高官一族への捜査が、もし行われると、市場は一挙に爆発するだろう」としている。これは時期不定。

 私が近著「恐慌化する世界で日本が一人勝ちする」で述べた通り、政府債務1200兆円は大ウソ、だ。日本国債の暴落だとかハイパーインフレだけが、ひどいときには預金封鎖だとかー。

バカなセリフは休み休み言ってもらわないとくたびれちゃう。ま、そこらはいずれ、また。

 大事なことは、秋ごろに多少大きい下げがあっても、日本経済と株式市場には途方もないいい材料が出そう、ということだ。

 いつが天井で、いつ下落が始まってどのくらいで下げ止まって、いつが買い時か。神様でない限り、分かるはずはないでショ。でも私の大体の画はお分かりでしょう。これはテクニカルア

ナリストの世界です。

 映画のセリフから。ついに救出された主人公はタンカで運ばれ救急車に乗る。直前にTV局が呆れたことに「どんなお気持ちですか?」と聞く。「オマエたちはみんなクソだ!」マスコミも政治家もポカンとして人公の怒りがわかっていない!皆さんのご不満はわかりますが、まだコトが起きるまで間があります。

 なお私が「下げ相場の予測屋」とからかっている(もちろん打率は高い!)プラザ投資顧問代表取締役伊東秀広さんが株式講演会を開きます。私も聞きに行こうかな。

 7月1日(土)13時30分から2時間

 会場はTKP横浜駅西口カンファレスセンター。神奈川区鶴屋町2-24-1横浜谷川ビルANNEXB2F 会費は会員1万5000円、一般1万9800円(6月10日まで早割1万5000円)

 終わりに感謝を。5月22日のフォレスト出版主催の講演会にご参加いただいた方々、初めから終わりまで私のつたない講演を聞いてくださいました。ありがとうございます!

2017年5月21日 (日)

ヒッチコック「鳥」と恐怖が生む投資(第859回)

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ヒッチコック「鳥」と恐怖が生む投資(第859回)2017・5・21


この傑作には原作の短編があり、作者は「レベッカ」を書いたダフネ・デユ・モーリアだということは知っていた。今回読んでみたら、驚いた!

 原作の舞台は英国の地方の町で主役は自動車者修理工。へえ、サンフランシスコから100マイルのボデガ湾ではないし、主役の弁護士ミッチもお金持ちの道楽娘メラニーも、ミッチの母親も全部シナリオ上での創作なんだ。流石,エド・マクベイン(この作品ではエヴァン・ハンターの名前だが)!

 鳥の攻撃が始まってレストランに町の人たちが集まる。鳥類学者を名乗る老婦人は鳥が世界の終わりを招くなんてありえないと主張、これが常識。「世界にとってそんな重大な事柄がたかが鳥のために起こるはずがない、という通念に凝り固まっている(ヒッチコック「映画術」)。」

 核を手にしている国はこの世の終わりの核戦争を起こしうる。だから北朝鮮は人口2000万人の小国でも世の中の注目を浴び、しかも地続きの韓国、中国、ロシア、もちろん日、米も重大な関心を持つ。

 その軸になるお騒がせ男金正恩が一番喜んでいるのが5月9日の文在寅韓国大統領の当選だろう。

 この新大統領がこれからすることは「超太陽政策」で、親北朝鮮、親中国。もちろん反米、反日で、韓国へのTHAAD配備を拒否し、米軍を朝鮮半島から追放する。これは中国、北朝鮮そして文在寅にとって共通のメリットだ。任期中にやるだろう。

 文大統領はまず「非正規雇用ゼロ」を強行し、公共部門で81万人、民間で50万人の雇用を公約している。財源は不明だし、大企業にとっては迷惑だが、財閥叩きは人気取りに不可欠なので、強行する。まあ大変なコスト高と国際競争力の劣化につながる。外国人投資家が韓国株を売り、ウオン暴落も、もう見えている。韓国側の姿勢が拒否体制なので、米国も日本も助けようがない。中国が今展開している「韓国いじめ」をやめ経済優遇策を与え、チャイナ経済圏への取り込みを図るだろう。結局「北」優位の南北統一が進展する。

 では米国は。切り捨てもプランとしてすでにある、と思う。トランプ大統領は10億ドルのTHAADミサイル配備費用を選挙戦の最中に韓国に対し要求した。親米候補に不利になる発言をあえてしたのは、米中の取引の中で韓国切り捨てをカードの一つに考えているのだろう。

 昨年末に来日した米国務省次官補東アジア担当は、北朝鮮の金正恩体制が終われば米、中、露の共同信託統治を予告していた。ロシアを入れるのは、中国に日本海に接した軍港までは与えないという米国の意図だろう。

 日本としては、北朝鮮の脅威が対馬海峡の向こう側まで来て、その時発生する大量の難民の流入が「そこにある危機」になってしまう。国会はまだ森友だ加計だとさわいでいる場合か。

 

 もう一つ。トランプ大統領のコミーFBI長官の解任とロシアへの機密漏洩は確かに危機だろう。しかもトランプ政権の支持率は3月51%が5月18日44%で下落。

 「トランプが2018年までに辞任」のカケ率は60%と高いが、株価の方はNYダウが高値でモミ合い、NASDAQは新高値でアレレ?という感じ。足元をすくわれて、株価は急落、円高になった。しかしトランプ・ショックはせいぜい1,2日で暴落はないだろう。米世論は78%が「特別検察官設置」に賛成しているので、この問題のカギだが、弾劾は数年かかる。不透明感は残るだろうが。NYも日本もまだ株高は続く。

 米国政治の先行き不透明、南北朝鮮のほか、投資家に聞くと日銀のマイナス金利導入に伴う資金運用難、それに財務省と同省に飼われているポチたちの宣伝によるハイパーインフレ不安(私は全く信じないが)。

 その結果究極の安全資産「金投資」が歴史的な転換、つまり急増している。

 金の需要はアクセサリーなどが「宝飾用」と金地金、金貨の「資産用」とに分かれる。日本では前者の方が多いのが常識だった。

 ところが2016年に宝飾用は16・9トンで前年比微増だったが、資産用は20トンで15%増。初めて逆転した。今年に入っても業者に聞くと金地金、金貨は買いが続いている。私は資産の3~5%は金に、と申し上げてきたが、ようやくその時代に入った。

 問題はもうかっているかどうかだが、2016年年初の1グラム4088円が年末4330円に6%上昇。現在4486円で1割上昇。悪くない。

 あれれ、イマイ先生、株の方は?と聞かれそう。6月に発表される成長戦略「ソサイエティ5・0」を私は期待している。AI、ロボットなど自動運転、遠隔医療を含めた10以上のテーマが発表されよう。常識的にはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどが多くの分野で関連しそう。ご研究を。私はサイバー攻撃の関連を調べている。

 映画のセリフから。「鳥」はあまりいいセリフがないので、私の好きな「気まぐれ天使」(ケイリー・グラント主演)から。

 「人は老けるものよ」とある中年女性。

 「老いた心で生まれた人は老ける。若い心で生まれた人はいつまでも若い。」そのとうり!私は色紙を年輩のひとに頼まれると「流水不濁、忙人不老」と書くことにしている。ついでにこの「気まぐれ天使」にワンシーン出るタクシー運転手のセリフを。

 「この国の問題を知っていますか。目的を持たない人と、目的に向かって急ぎすぎる人の、どっちかしかいないことです。」いい意見だなあ。

2017年5月14日 (日)

映画「美女と野獣」とアベノミクス開花(第858回)

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映画「美女と野獣」とアベノミクス開花(第858回)2017・5・14

 ただいま大ヒット中の「美女と野獣」実写版は1991年のアニメ版が土台。私は1946年のジャン・コクトーの白黒映画、その後NYと東京で舞台も観た。モトは18世紀のフランスのおとぎ話だが、ディズニー版では町の人気者で頭の鈍いガストンを加えたり、今回は捕らわれの美女ベル(エマ・ワトソン)はシーツをロープ代わりに窓から逃げようとする。

 傲慢だった王子は魔女の呪いで野獣に変えられてしまう。呪いを解くにはある1本のバラの花びらが散りつくすまでに野獣である王子を愛してくれる女性を見つけなくてはならない。かつての使用人たちは日用品に変えられ、城も廃墟のよう。

 もちろん結末はご存知の通りめでたしめでたしなのだが、私は廃墟から美しい城に変貌した画面を見て、何年か前の鳩山、菅内閣の日本のドン底時代と現在を思い出した。

 デフレと円高の悪循環、そこに3・11のあの大震災1ドル50円以下説で売り出した女性エコノミストがいたあの時期だ。円高とデフレ、デフレと円高の悪循環――

 あの時の野田解散時に安倍現首相のアベノミクスの提唱。当時ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長が私に「早く登板してくれ、アベ!!」というメールを送ってくれたことを忘れない。

 「アベノミクスは本物。私は円高論者だったが転換した。円売り・日本株買いがグローバル投資の唯一の戦略だ。」この戦略にすぐ乗ったジョージ・ソロス氏が6か月で90億ドルの巨利を挙げた。何しろオニール氏はBRICSという投資シナリオを創案したグローバル・ストラテジストの第一人者の発言なのですぐ従って大戦果を挙げたのだろう。

 もうすぐアベノミクス開始後5年になる。名目GDPは971012月期のピーク時を昨年79月期で抜き、その後も順調に拡大を続けている。13月期も順調で5・四半期連続のプラス成長。

 雇用は完全雇用に近く、全都道府県で求人倍率が一を上回った。人手不足=賃上げ=デフレの完全脱出も見えてきた。SMBC日興証券のチーフエコノミスト丸山義正さんによると4月の期待インフレ率は204%になった。CPIは10月には08%に高まると見込んでいる、来春の春闘で日銀は目標を達成しよう。

 

 私はどう見てもアベノミクスは成功、と思う。

 日銀の大胆で歴史に残る大型金融緩和、大型予算や何回もの補正予算、政府と日銀の協力体制だ。GDPの中では個人消費の主力であるサービス支出は10・四半期連続で増加している。残念なのは消費税引き上げのために、だれの目にも見える形の好況になるのが遅れたことである。

 加えてトランプ政権の発足で、米国経済の活性化期待と日米間の金利差による円安、企業収益の上昇。株高と国民の財産である年金の資産増加なども見逃せない。

 

 ところがマスコミは、例えば大型金融緩和に対し、やれ出口戦略がない。また前述の女性エコノミストに至ってはドアホとまでののしっている。大切なのは正しい現実認識を正直に認めることだと私は考えている。

 とはいえ、毎日新聞外信部の「よくわかる世界の紛争1017」によると「北」を含め37ものブラックスワンがあるご時世だ。市場に突風が時として吹くのは仕方あるまい。大切なのは日本が世界の突発的不安にもかかわらず、唯一の好況持続と政治的安定を併せ持つ国だということだ。拙著「恐慌化する世界で日本が独り勝ちする」をご覧いただきたい。現実を正直に認めることが大切、と私は考える。

 あの民主党政権時代の何も決まらない政権下のどん底時代と現在と比較すれば、アベノミクスの成功は明らか。株価も2万円を超えて当たり前だろう。もちろんあと3年で3万円声を予想している私としては、ずっと強気を申し上げ続けてきた。6月の安倍首相の成長戦略発表を待っている。確信を深めたいからだ。

 対案もないまま、ただ批判を続けているある新聞やエコノミストの方々は、虚心坦懐、率直に現状を認めてほしい。決して私はザマミロなんて言わないから。

 映画のセリフから。ジャン・コクトーの主演の主役ジャン・マレエが野獣のメークでベルに言う。「私は野獣だ。愛など望むべくもない。しかし愛は人を野獣にもするし、醜い男を美しく変えることもあるのだ!」

 私は521日の講演で皆様にお会いし、自信のある投資作戦をお話しするつもりだ。どうぞご期待ください。あと少しだがまだ席は残っています。17日の水曜日に募集は完了します。DVDのご希望がすごく多いのはびっくり!

2017年5月 7日 (日)

映画「無限の住人」と地政学リスクとメタ・ハイ(第857回)

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映画「無限の住人」と地政学リスクとメタ・ハイ(第857回)2017・5・7

 なにしろキムタクのチャンバラモノ、三池崇史監督だから面白そうと考え、観た。原作になっているコミックは読んだことはない。しかし、これは丹下左膳のパクリだな、と考えた。右眼、右腕がなく赤の長襦袢を着たニヒルな80年前ヒーローの平成版、といったところか。

主人公万次は罠にかけられ目の前で最愛の妹を殺され、自身も瀕死の重傷を負うが、謎の老婆によって永遠の生命を与えられる。死ねない万次は生きる勇気もなく孤独な日々を送っていたが、50年もあとにご両親を殺された少女凛から用心棒になってくれと頼まれる。仇は逸刀流という暗殺集団。これに幕府軍も加わりクライマックスは300人を相手に何とも物凄いバトル。「十三人の刺客」を思い出させる。

 次から次へ現われ刺客の中ではなんと市川海老蔵や金髪の美女などコスチュームも凝っていて楽しい。

 キムタクの万次は何しろ300人の敵と斬り結ぶのだから前後左右から同時にとびかかられる。私はまるで、今の世界の凄い広範囲の地政学リスクじゃないかと思った。そして謎の老婆はやはりトランプ、かなとも。


 順不同だが思いつくままに。①北朝鮮。3月の発射実験では在日米軍と表明。米国は空母カール・ビンソンを派遣したが、目先は中国にゲタをあづけた形だ。②中国の海洋進出。尖閣は言うに及ばず、中国の岩礁埋め立てで軍事拠点を整備しているため領有権をめぐり周辺国との対立。ただフィリピンは中国の経済援助とバーターでこの問題を棚上げ。③シリア。2011年から内線状態の政府軍の化学兵器の使用疑惑を受けて米国が巡航ミサイルでシリアの空軍基地攻撃。④イラン。核開発の制限に合意。経済制裁は解除された。シリア支援をめぐって欧米やサウジと対立が続く。ロシアと共にシリアへのミサイル攻撃を批判、トランプ大統領は核合意の見直しに言及。

 このほか、今回参考にさせていただいた資料「地政学リスク増大の背景に戦略的忍耐からの転換最低限核抑止」。(みずほ総研専務取締役高田創さん)はトルコ、イスラエルも挙げている。

 もちろん、この地政学リスク増大の背景は「何もしなかったオバマ」から「ともかく何かをやる、あるいはやりたいトランプ」への政權交代である。「北」の核が代表的な例だが、5月7日のフランス、5月9日の韓国、5月19日のイラン、それぞれ大統領選挙がある。5月26日、27日にはイタリアでG7サミット、6月8日には英国で総選挙がある。地政学イベントが文字通り目白押し、その都度いろんなリスクが言われること必至だ。

ヘッジファンドがリスク・オン、リスク・オフの繰り返しには格好の材料。市場が大きい日本の円と国債、もちろん株はヘッジファンドの好餌。当事者の韓国はウォン安を好感して株価は新高値。私が現地のソースに聞くと「韓国人はみな二つの固定観念を持っている。第一が中国は北朝鮮を見捨てない、第二は米国は「北」を攻撃しない、というもの」。ヘエ、そんなに楽天的でいいの、と聞きたくなる。時代は大きく変化しているのに、気づいていないんですか。

まあ気づいてもいないから、「北」の走狗を大統領にしようとしているんだろうなあ。

ところで今回、私が待望していた情報があった。5月4日愛知県沖合にメタンハイドレートの採掘に成功、3~4週間は採掘をつづける。」前回の4年前の時はポンプに砂が入ってしまい6日間で打ち切りになったのに比べて大変な進歩だ。

私は近著「恐慌化する世界で日本が独り勝ちする(フォレスト出版)」でメタンハイドレート関連として次の三銘柄を挙げた。

 日本海洋掘削(1606)、三井海洋開発(6269)三井造船(17003)。

 前回はなんと5倍に跳ね上がった銘柄も出た「夢を買う」投資だが、今回も同じ大飛躍を遂げるか、どうか。ご投資はどうぞ自己責任で。

 映画のセリフから。幕切れに万次はズタズタにされ、死んだと思った凜が「万次さん!」と泣くと、不死の体がモノを言い、片目を明けていう「お兄さんと言え!バーカ」。何ともカッコいいエンディングだ。

2017年4月30日 (日)

映画「グレートウォール」と習近平と「北」の核攻撃(第856回)

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映画「グレートウォール」と習近平と「北」の核攻撃(第856回)2017・4・30


 何しろ中国第一の映画監督チャン・イーモウの新作なので早速楽しみにして行ったが、「HERO」[LOVERS]「初恋の来た道」などの名作と違い荒唐無稽なファンタジー映画だった。主演マット・デイモンが先のアカデミー賞で司会からいじり倒され、米国では興行収入も大コケ。まあ中国市場をアテにしているのだろうが。

 私も観光旅行で行ったことがある「万里の長城」だが、建設はBC403年からBC221年の七か国の戦乱が続いた時代から始まった、とか。北方の騎馬民族の凶奴への防衛策だったし、宇宙から見える唯一の人造建造物だそうな。

 ストーリーは単純。世界を旅する傭兵ウィリアムと相棒トバールは、謎の獣に襲われ、馬で逃げ万里の長城に辿り着く。ここで怪獣が60年に1回現れる伝説の怪物トウテツで、このカベは防戦のために築かれたと知らされる。防戦に命を惜しまない中国兵を見て、金のために働いてきたウィリアムは正義に目覚める。

 いま日本には怪物トウテツが押し寄せる恐怖が言われている。「北」の12キロトン級(広島は15キロトン)の核兵器が投下されたとする。東京の国会議事堂近辺なら死者42万3627人、大阪の梅田なら死者48万2088人。これがシンクタンクのヘリテージ財団の協力で米国防総省がシミュレーションした結果だ。クワバラクワバラ。

 4月15日には翌日の中距離ミサイルの実験で失敗、4月25日にも特に核や大陸間長距離ミサイルの動きはなかった。しかし、4月18日にペンス米副大統領は安倍首相にこう述べた。

 「米国は日本と同じく平和を希求しています。しかし、米国は同時に、平和は力によってのみ始めて達成されるということを理解しています。」要するに日本は、戦闘が始まった場合には、最大の危機を迎えるということだ。

 26日のBSジャパンで国連の安保理北朝鮮制裁委の元専門家パネル委員だった古川勝久氏は、一触即発であることを認めながら、「韓国在住の米国市民を脱出させた後なら米軍の攻撃は始められるが、まだそうした事態にはなっていない」としていた。

 しかし昨年11月には7年ぶりに逃避訓練を始め、今年1月には在韓米軍の家族が核シェルターが完備している沖縄への逃避訓練に「進化」している。

 

 もちろん、誰もが期待する「中国の原油供給ストップ」は、究極の兵糧攻めで、これは効くはずだ。

 しかし、習近平主席が、その決断をするかどうか。私は怪しいと思う。長期戦になるだろう。

 秋の党大会で習氏は自分が再選されることが至上命題だ。また8人のトップのうち三人の江沢民派(ということは石油閥で「北」派)をクビにしなければならない。ナンバー・スリーの張徳江はなんと金日成大学卒業の70歳。簡単に同盟国を見捨てると何を言われるやら。

 だから自分の再選が決まった後に、原油の対北朝鮮輸出のストップを決める。「北」が備蓄に入ったわけだ。

 私は韓国の株高、銅価格の下落、それに金正恩の立場から見ると韓国大統領に「北」の走狗が就任すれば「南」は反米、超反日で「高麗」で統一される。「北」の朝鮮半島全部実質支配は時間の問題になる。そこで目先はこれまでと同じく、米国の設定するレッドラインは超えない。だから4月1525日の記念日直後のミサイルは、このラインを越えなかった。

 危ないのは1年以上核実験や長距離ミサイルを行わないことで失われる金正恩の「威信」だろう。まさか米国の圧力で、なんて言えないし、そこらでクーデターが起きて、めでたしめでたしになるなら言うことはないが。

 先週予測した株高は当たった。1週間で日経平均1000円以上も上昇。ヘッジファンドのマネジャーが情報源だが、リスク・オフの理由にしていた森友学園問題で安倍内閣が突然死する危険性は消えた。まだ韓国大統領選(5月9日)と米国補正予算と政府閉鎖懸念は残るが大問題じゃない。5月8日までに米国が仕掛ける可能性もゼロではないが韓国株価と銅価格から見て、まず、ない。

 空母の数で判断する手もある。いまのところカール・ビンソン一隻、横須賀にいるロナルド・レーガンは5月に入って動き出す。それでも2隻だ。リビア空爆の時の3隻、湾岸戦争の6隻、アフガン攻撃の4隻。だから3隻以上にならないと、米国側からの仕掛けはない。長期の兵糧攻め。

 リスクは57日の仏でのルベン当選で、BREXITやトランプ予想のようにアレレになれば連休後の株価はまたひと休み。5月2日の連休直前が目先高値だろう。6月まで株は高い。長期では2020年近辺で日経平均3万円以上という目標は変えない。

 では何を狙うか。私なら伊東秀広君が注目しているアクスル(2678)が面白いと思う。2月の物流倉庫の大火事で減益となり売られたが、昔から「災害に売りなし」、というがいい例だ。

 もうひとつ。こういう時こそ産業革命4・0の関連で私が近著でもおすすめしているJIG-SAW(3914)とかCYBERDYNE(7779)などに注目したい。ただご投資は自己責任で。

 映画のセリフから。軍師が怪獣の発生の由来を説明して言う。「2000年前、悪い王が現れて国民はひどく苦しんだ。天が怒って隕石を落としこれがトウテツになった。」北朝鮮の独裁者の場合は、天から武力介入によるミサイル攻撃が来るかもしれない。国民を三代にわたって苦しめたツケだろう。


 なお、緊急で公表できないいろんな情報を皆様にどうしてもお話ししたく、次の要領で講演会を開きます。

 日時  2017521日(日)13時から16

 会場  東京・TKPガーデンシティ PREMIAM神保町

 

なお私とコラボして会社四季報読みの達人で複眼経済観測所(株)代表取締役社長渡部清二さんにも、私の第一部に続く第二部、そして会場の皆様の質問にもお答えします。

 忘れていました。セミナーのタイトルは

「超変動2017大予測セミナー ー政治・カネ・株価が動き出す!!」です。

主催はフォレスト出版です。

募集は次のアドレスからお願いします。

https://www.forestpub.co.jp/author/imai/lp/w20170521/

2017年4月23日 (日)

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」と金正恩と籠池、ルペン(第855回)

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映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」と金正恩と籠池、ルペン(第855回)2017・4・23

 ことし80歳のケン・ローチ監督の傑作でカンヌ映画祭でパルム・ド-ル賞を獲得した。英国の地方都市ニューカッスルが舞台で主人公は妻に先立たれ一人暮らしの59歳の大工。

 映画は主人公と女性職員とのやり取りから始まる。ブレイクが受けている支援手当の審査を受託している民間企業の職員だ。

 「帽子をかぶるくらい腕は上げられますか?」「手足は悪くない。カルテを読めよ。悪いのは心臓だ。」「電話のボタンは押せますか?」「悪いのは心臓だ。指じゃない。」「簡単な事柄をひとに伝えられることは?」「心臓が悪いのに伝わらない」「態度は審査に影響しますよ!急に我慢ができなくなって大便を漏らすことは?」「こんな質問が続くと漏らすかもな。」

 ブレイクが仕事中に心臓発作を起こしてドクターストップがかかり、支援手当受けに来た。しかしこの会話の結果、数か月後に「就労可能で支援手当は不要」という通知が届く。

 ここからブレイクの苦難が始まる。不服申し立てをするためには、義務的審査の申請が必要だが、それには何週間もかかる。そこで、手当てを得るためにとりあえず求職者手当を申請し、病気で仕事を止められているにもかかわらず求職。そのためには履歴書が必要とされ、今度はパソコン講座に参加義務が課せられる。マウスなんて持ったこともないのに。

少しもわかってもらえないという焦燥感。北朝鮮の独裁者金正恩の心境はこのダニエル・ブレイクに近いのではないか。核開発と燃料の固形化、小型化、それにミサイルの長距離化を委員長就任以来5年間、自らの威信をかけて推進してきた。それが米国の政権が、何もしなかったオバマからトランプに変わった途端「周囲の脅威」とされて「核をやめろ」と騒ぎ始めた。

頼りにしてきた中国も、米国のいうことを聞き始めた。石炭の輸出が止まった。中国の常務委員級のナンバー3、5,7は江沢民派(石油閥)だったが、党大会で三人とも引退してしまう。ではマンギョンボン号をロシアに月6回就航させて助けを請うが、やはり中国が助けてくれなくては―。

まあ金正恩の心境をまとめてみると、こんなものだろう。恐らく16日に中距離ミサイル発射(失敗したが)に止めて、核実験は止めたのは、中国からのけん制がきいたのかも知れない。

4月25日の建軍記念日近辺に、6回目の核実験や大陸間弾道ミサイルの実験をやれば、先制攻撃の口実を与える。

私は先週、トランプ側が本気で戦闘行為を始めるかどうか疑わしいとし、銅の価格が下落したことを挙げた。また肝心の韓国の株式市場が4月7日の「シリア攻撃」でもほとんど下落していない(日本は14日までで2%弱下落、韓国は0・7%)。日本では安倍首相がVX攻撃を口に出して危機を強調しているが、韓国の主要紙はむしろ反発している。

 私はトランプ政権は中国を動かして石油禁輸に追い込みたい。いまはそのために米国単独でも―とおどかしている。市場はそこいらを読んでいる。ヘッジファンドが円買い、日本株売り、日本国債買いと日本に集中したのは、実は森友学園で安倍首相がひょっとすると辞任すると思ったからだ。3月第三週が売りのピークだったが、23日に籠池前理事長の独演会があったあたりだった。当時毎日TVで森友問題を取り上げられていたが、最近はなくなった。そろそろ、リスク・オンをヘッジファンドは考え始めている。

2月の安倍さんの「議員もやめます」と関与を否定したのに飛びついた民進党だが、「お家芸」の内部分裂もあって、支持率はメチャ低い。一方、多少下がったが、安倍内閣の支持率はじめ世論調査でも50%以上。リスク・オン再開だ。

 

ヘッジファンドがリスク・オフの理由にしていた4月23日のフランスの大統領選も、英国のカケ屋の数字をみると中道派のマクロン氏が90%の勝利。これなら5月7日の第2回目の結果も十分に読める。オフからオンに変わるはずだ。

あと、強いてリスクオフ要因を探すと5月9日の韓国大統領選。文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党候補を追って安哲秀(アン・チョルス)国民の党候補が台頭してきた。米国は「北」の走狗でTHAAD配備に反対のムン候補を阻止したい。「北」の脅威を強調し、中国の韓国いじめを緩和させる工作が行われている。21日のKBSはブンゲリ核実験場付近の住民を避難させた、と報じ、

緊迫感をあおっている。ま、私は勝負がついていると思うが。

結論。市場関係者はテクニカル・アナリストの大方が日経平均1万8000円割れ、とか円高を予想していることはご存知だろう。しかし私はまだ市場の三分の二を占めている外国人とくにヘッジファンドの動向が、株価の急回復を狙っているとみる。弱気の向きはアレレと考えるだろうが、いぜん私は強気だ。

あともうひとつ。忘れていたが4月28日には米国の暫定予算が期限になる。4月21日まで議会はイースター休暇で1週間のうちに党派対立を超えて政府閉鎖を回避すべく歳出法案を成立させなくてはならない。共和、民主両党とも2013年10月の16日間続いた政府閉鎖の記憶が強く、回避姿勢がある。これはリスクにはならないだろうが心配症の向きも結構多いので。

 というのは政府高官の554のポストのうち就任したのはわずか22.体制つくりの遅れは深刻で万一、政府閉鎖が始まればトランプ政権への打撃は少なくない。今週末にカタがつくべく議会工作は行われているが、すでに下院の共和党指導部の調整力不足は前回のオバマケア代替え案で明らか。これに失敗すればトランプ政権の政治遂行能力への疑問も生じよう。まあ私は大丈夫、何とかなる、と楽観している。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」に話を戻す。英国ではキャメロン首相の財政緊縮化が弱者をトコトンいじめる。靴がこわれたといじめられる女の子の話なんて涙なくして見られない。そのひどい環境の中で自分の尊厳を守り続けるのは容易でない。大国の間で自分もーと声を挙げる小国、その指導者は本当はカワイソーな男なのだろうなあ。

2017年4月16日 (日)

映画「理由なき反抗」と金正恩の斬首作戦(第854回)

映画「理由なき反抗」と金正恩の斬首作戦(第854回)2017・4・16

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 24歳で交通事故死、三本の映画しか残さなかったジェームス・ディーンの主演二作目。私もこの「永遠の青春スター」には熱を上げたものだ。

 1955年の作品で舞台はLA。17歳の高校生ジムが主人公。番長のバズから度胸を競う決闘を強いられた。チキン・ランと呼ばれるレース。ガケに向かってぎりぎりまで車を走らせ、早く飛び降りた方が臆病者(チキン)として負けになる。バズは車から抜け出しそこなって転落死してしまう。

ジムは警察への密告を恐れたグループにつけ狙われ、警察で知り合った問題児プレイトとジュディと三人で廃屋に隠れる。プレイト―は襲ってきた少年に発砲し一人を倒してしまう。

 半狂乱のプレイト―はプラネタリウムに逃げ込み警官隊に包囲される。ジムがなだめてピストルの弾丸を抜くがプレイト―は銃を手にして―。「エデンの東」は厳格な父に愛されなくて反抗する少年を演じたが、この「理由なき反抗」では、物分かりがよくご都合主義の父に反発してジムは無軌道な行為に走る。

 監督はニコラス・レイ。ジェームス・ディーンの個性が主人公と同じく「受け入れられたいという欲望と、受け入れられることに対する恐怖心」にあるのに注目して起用したとか。

 いまトランプ政権と金正恩とでチキン・レースをやっている。「本当にアメリカは「北」を攻撃するのでしょうか?」とか「日本へのミサイル攻撃は?」とかの質問を受けるようになった。TVも週刊誌も「北」のことを取り上げるようになった。森友だのマオちゃんばかりの時期とは変わってきた。ようやく1か月前から私が指摘してきた「キムチ・ショック」を市場が認識し始めた。円高と株価、長期金利安、金価格上昇、みな騒ぎを織り込んでの動きだ。

 私は昨年12月17日の米国務省ダニエル・ラッセル次官補の来日時の報告を聞いたとき4・5月にトランプ政権が、金正恩斬首作戦をやる可能性が2,3割あると考えた。そこで正月の「びっくり予想」の第一に挙げた。

 ダニエル・ラッセル氏は、トランプ時代になって次官補クラスが全員首になっている中ただ一人留任した北朝鮮専門家である。

 この人は、①トランプ政権はオバマ時代より踏み込んだ政策をとる②金正恩が暴発する前に片付け、その後米・中・露の三か国信託統治する③ポスト金正恩に現在チェコ大使、金平日。(この金平日は金日成の後妻の金聖愛の子で金正日の異母弟。1994年の核危機の折、カーター米元大統領と金日成の会談に同席し後継者とみられていたが、直後金日成が急死し金正日が継いだといういきさつがある)④日本の役割は「北」の再建資金の供給。1965年の日韓国交正常化の時に無償3億ドル有償2億ドル、現在の貨幣価値だと1兆円と少しに当たる。「北」の核やサリンやVXの心配がなくなる代金と考えれば安いものだろう。

 

 ただし、別の見方、つまりチキン・レースをしているのは米対中であって、習近平に「北」への食料、石油の禁輸をさせるかどうか。チキン・ランのガケはシリア攻撃をやってみせたり、大幅関税だったり、あるいはカール・ビンソンだったりー。党大会で再選を狙う習近平は、ケシかけられてもレースに乗ろうとしない。いや出来ない。

 ところが14日付の人民日報系の環球時報は「核実験を放棄すれば、政権を保証する」という社説を掲載した。つまり、今月や来月の話じゃない。

 私はこれだけ地政学リスクが言われても、鉄鉱石と銅の価格が急落していることに、注目している。鉄鉱石は3月16日のトン88ドルから70ドル台前半まで、銅は3か月ぶりの安値降更新だ。本来なら軍事需要で上伸するはずが、オカシイ。

 「北」へのオドシはうっかりすると朝鮮戦争ネクストになりかねないが、習近平が石油を禁輸すれば金正恩政権は自壊する。その前に対北の制裁の対象を中国企業と中国人に拡大して「いずれ」という回答が習→トランプに近く行われる。しなければこの話は来年遅くとも4月。

 今回攻撃の確率を三割としたのは、4月15日と25日の金日成記念、軍創立記念日に外国マスコミを大量に呼んで攻撃させないという苦肉の策。

 韓国大統領が北の走狗の文在寅氏になれば熟柿が落ちるように金正恩の勝ちになるので、恐らく安氏になるように工作が行われる。4月30日説は、まずない。また中東での内戦に米国がひっかかっている限り、対中、対北に注力することはできない。習近平の米国への読みは、対北の制裁が今できなければ、中東はソコソコで年内にカタチをつけ、その後北への攻撃を行う。口実は「北」の核実験だろう。1年も核開発を休めば金正恩は失脚する。

 この間日本は。長嶺大使の帰任理由に「邦人保護に万全を期する」とあったのが目を引く。旅行者を含め5万7000人いる邦人の数をできるだけ減らすのに全力をかたむけるだろう。何しろ金正恩もトランプも普通の常識で考えられる理性的な人間ではないからだ。

 映画のセリフから。ジムが父に言う。「男であることを示さなければならないときに、父さんは何ができるんだい?」マッチョが好きなアメリカ人はトランプの支持を上げ、議員の中で反対ばかりしていた人が何人もシリア攻撃を支持した。

 

 まあ間違ってもゴールデンウィークに韓国に観光旅行なんかしない方がいい。確率は三割あるんだし、外務省も「注意」としている。

2017年4月10日 (月)

映画「ムーンライト」と「北」とトランプとシリア(第853回)

映画「ムーンライト」と「北」とトランプとシリア(第853回)2017・4・10


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 先日のアカデミー賞で作品賞など三部門を獲得し秀作と評価されているが、私にはトントつまらない作品に見えた。黒人で麻薬の売人でしかもゲイというと私には共感を覚える部分がない。だから感動もない。

 しかしアメリカ南部の黒人の貧困地区の生活はよく分かった。自宅で母親は売春し収入は麻薬に使ってしまう。周囲も似たような状況で、教育現場ではひどいイジメがはびこる。まともな人生を歩める可能性はまず、ない。

 なるほど、人種差別をあえて行うトランプ政権が成立したわけだ。「白人」のみのアカデミー賞への批判に応えて、キャストもスタッフも全員黒人の「ムーンライト」が選ばれたのもこうした政権の姿勢への批判からにちがいない。

 

 一つの動きが出れば必ずその反動が出るもの。最近韓国の大手新聞の朝鮮日報、中央日報、聯合ニュースが相次いで「韓国人がまだ自分の国の最高の危機に気が付いていない」と警鐘を鳴らし始めた。

 当然だろう。首位を走っている共に民主党の文在寅大統領候補は、はっきり言って「北」の走狗で、金正恩としては自分が主導して連邦制の南北統一するには便利この上ない。

 しかも「北」は米中首脳会談の直前の4月5日に中距離弾道ミサイルを発射して周辺諸国とくに「南」を威嚇している。

 一方トランプ大統領は「北朝鮮は人類の問題で米中首脳会談の協議事項になる」とし「中国が「北」への圧力を強化しなければ独自で行動する準備ができている」と繰り返し述べている。

 さらに首脳会談の最中にシリアに生化学兵器への報復としてミサイル59発を撃ち込んで見せた。金正恩への示威という効果もあるだろう。アサド政権のサリン攻撃のわずか三日後の空爆である。

 では米中首脳会談での「北」への圧力は成功したのか。ワシントン発聯合ニュースは「議論は平行線をたどり調整は失敗」と報じた。

 シリア空爆以前なら、「北」のテロ支援国再指定、対北サイバー戦強化、北と取引する第三国の企業・個人への制裁、同盟国へのミサイル防衛システム強化、ぐらいだったろう。しかし、事態は変わってしまった。何かの口実を金正恩が与えた途端、待ってましたとばかり、ミサイル攻撃が核関連基地に行われるに違いない。

 私がウォール街のニュースソースは大手機関投資家の意見として、「韓国総合とサムソンの株価が新高値に近いし、在韓米軍に核戦闘能力を持たす案がNSCから提案されている。そう心配することはない」と話す。たしかにそうだが、韓国の国民のノー天気を考えると(日本の野党のセンセイ方もほとんど同じだが)私には気休めとしか聞こえない。韓国側の一種の気分と若い独裁者の狂気とは関係ないからだ。

 

 ところで、この困った状況と株価だ。シリア攻撃のショックは一時的円高と株安。4月6日には26円円安の4か月ぶりの安値1万8597円まで下がった。この水準に株価収益率(PER)で13・6倍、昨年11月6日のトランプショックの1000円を超える大幅下げの時以来の低いPERで明らかに日経平均は下げすぎだ。

 三菱UFJモルガンスタンレーの宮田正彦チーフテクニカルアナリストは、騰落レシオを使って、大幅な株高を予想している。

 騰落レシオとは値上がりした銘柄数を値下がりした銘柄数で割った数字で25日間の移動平均を出して判断する。120%を超えると買われすぎで、70%を切ると売られすぎ。なお4月7日の騰落レシオは78・4%で売られすぎ水準に近い。

 宮田さんは「超過熱」を示すとその後の大幅株高の前ぶれとなった、として次の例を挙げている。2012年12月19日と、2014年6月24日、ともに騰落レシオは164%というメチャ高い水準だった。史上最高は昨年12月15日の165・5%で70%台まで下げたのは昨年2月以来の低水準で「修正は相当進んだ」として4~6月2万1000円台以上に達する株高を予想している。私も賛成だ。ここから大幅な下落が万一あれば、買い場の提供以外の何ものでもない。私は強気だ。

 

 映画のセリフから。主人公をかわいがっている地域ボスが言う。「自分の道は自分で決めろ。周りの人たちに決めさせるんじゃない。」本当にその通りだ。

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