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2017年2月17日 (金)

映画「スノーデン」と日米首脳会談のツケ回し(第846回)

 

映画「スノーデン」と日米首脳会談のツケ回し(第846回) 2017・2・19

 何しろオリバー・ストーン監督の最新作。反政府的なので欧州系の資金で製作したーなんて聞くと私の反骨精神がウズウズして、観た。ただ映画としては私の勉強していたスノーデンとはだいぶ脚色されていた。最大の悪役NSAの大物コービンは実在していないし、スノーデンはドローンで標的を定めるプログラムに関係していない。

それでも映画のテーマは明快だ。ネット傍受はいわば「盗聴」で、これは民主主義と個人の自由を揺るがす、しかも政府が主体になって盗聴するのは許されるべきではない。だからスノーデンは米国政府を告発した。

 

映画のパンフレットを見ると、オリバー・ストーン監督はトランプ大統領に「奇妙な形だが新鮮な空気を持ち込んだ」と期待している。主要メディアへの不信感からだ。「トランプへのヒステリックな報道ぶりは、かつての赤狩りに近いし、ロシアと近いとの報道も彼を大統領にしたくない力が働いたと思う」とも。

 

産経新聞の報道によると、昨年11月17日のトランプ=安倍会談で、安倍首相はこう切り出した。

「実はあなたと私には共通点がある」

けげんな顔をするトランプを横目に安倍首相は続けた。

「あなたはニューヨーク・タイムスに徹底的にたたかれた。私も同紙と提携している朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った!」

トランプも右手の親指を立ててこう言った。

「オレも勝った!」

トランプの警戒心はここで吹っ飛んだと思われる。90分の初会談、マティス訪日、そして2月の超歓待(ゴルフ27ホール、5回の食事)もすべてこの会話から始まった、とこの報道はいう。なるほど。

 

また同記事は、1月28日の電話会談でトランプ氏は「オレは日本車が好きなんだ!」と。あれほど日本の自動車メーカーを攻撃してきたトランプのこの発言で、安倍首相はツイッター攻撃にも動じる様子はない。ふーん、なるほど。なるほど。

 

2月10日以前には①自動車問題の不均衡②為替水準につながる日銀の金融緩和の議論が警戒されていたが、実際には議題にならなかった。

 

日本側が「お土産」として用意していたはずの「日米成長雇用イニシアティブ」も温存されたようだ。日米関係の重要性は再確認され、2国間の経済対話創設で合意した。しかもペンス副大統領と麻生副総理という組み合わせだと、相手はインディアナ州前知事で知日派だからそう無茶なことは言うまい。

 

ただし、トランプ政権の4年間でずっと日米関係が安泰かといえば、飛んでもない。ビジネスマン・トランプはそう甘くない。私の知っている時事通信社外国経済部長の大嶋聖一さんは「日米経済はこれから『戦闘モード』へ」入ると言っている。

 

2月10~12日現在、経済閣僚はまだ米議会の正式承認されていなかった。いわば準備不足だったので仕事が始まれば楽観できない。共同声明に「日米間で二国間の枠組みに関し議論を行う」としたが、この枠組みにはFTAも入る。この交渉が厳しいものになること必至。トランプ貿易政策は①GDP(もちろん米国の)にプラス②貿易赤字削減③米製造業の強化、が選挙公約である。

 

私自身、ワシントンの共和党ロビーストに取材したが、次の4点が米国への「見返り」になる。だから超歓待のツケは高いよ、と。

 米国債の購入。中国が米国債を売却し続けている現状では、年金運用法人GDPIFの買い、又は日米パートナーシップによる財務省(日本)の買い。これで円安批判を回避する。

 米国インフラへの投資。例えばテキサス州の新幹線計画への協調融資。

 米国製の兵器購入または新型の兵器の日本共同開発。海上迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」、ステルス戦闘機、無人機などなど。2019年からのミサイル実戦配備がすでに決まっている。

 これが大物なのだが防衛負担の増額。兆円単位の話でせいぜい何千億円の米軍駐留経費の増額ではない。この方は思いやり予算を含めると7600億円、日本負担74・5%で、韓国の49・5%、ドイツ22・6%に比べ、確かに十分。マティス米国防長官も「モデル」と評価するほどだ。問題の防衛負担は「対GDP比率1%」のカベを少なくとも1・5%、長期で2%に上げてほしいとの長い間の米国側の要望だ(前期の③も入るが)。つまり最大5兆円の予算増の話だ。

米国自身の3・3%、英国2・0%、フランス2・1%に比べ日本はわずかに少ない。(ドイツの1・2%

も少ないと批判されている)。恐らくこの④は「密約」だろう。

 では財源をどうするか。これは次回に書くことにしよう。

 

 映画のセリフから。スノーデンが言う。「私はかつて政府のために仕事をしていました。いまは人々のために働いています」。平和維持のコストは高くつく、まあ仕方ないのでしょうなあ。

お隣にメチャクチャなことを平気でやってのける国がいるんだから。

2017年2月10日 (金)

映画「キムゾンダル大河を売った詐欺師たち」と呆韓(845回)

映画「キム・ソンダル大河を売った詐欺師たち」と呆韓(第845回) 2017・2・12

 私は嫌韓も嫌韓、食卓にキムチも出さない。TVの韓ドラも韓映も観ないのが普通だが、悪党がトクをするコン・ムービーを観たくなったのでまあタマにはいいかな、とー。

詐欺師の主人公が誠にへたくそなメークで何人もの別人に化け(ダマされる方も方だが)次から次へと詐欺に成功する。ついには韓国最高の権力者(王様よりも力がある!)に「この川から砂金が出る」と信じ込ませ河を売りつける。まあ凡作でおすすめはしない。(この間に「この世界の片隅に」を観たが戦争の被害者ものは苦手なので)

 

 3月13日には韓国朴大統領の弾劾問題が憲法裁判所で決定される。裁判官のうち二人が反対したら弾劾は成立しないし、朴支持の太極旗デモが3月10日にあって、弾劾はこのデモの動員数が決まる(ホントはね)そうなので、朴留任の可能性も残っている。また極右派が言うよウニ今回の女性占い師の国盗り関与疑惑もデッチ上げ(これもマサカ、ね)説もある。

 

 しかし現在のメイン シナリオは、朴退陣、ショート・ノーティスでの大統領選挙、野党側の候補勝利。どの候補を「北」のイキのかかった人物ばかりなので。

 日韓合意はキャンセル

 「北」は金体制、「南」は民主主義体制で「合邦」し「朝鮮連邦」ができる。

 「北」の核ミサイルを打ち込むゾと日本をおどして日本からカネを巻き上げる。

 

 私がブログで「2017年テン・サプライズ」つまり「とんでも予想」の一番目にこの「キムチ・ショック」をとりあげた。朝鮮半島からの難民を予想したからだ。もちろん原稿を書いたのは旧年中だったので、私のブログの愛読者からよく当てましたねと声をかけてくれた。しかし私の真意というか不安は、前記の②と③にある。

 

さすがに米上院は「北」の影響力増大を警戒しており「核保有が10個以上に達する前に先制攻撃」が昨年末に検討。これを受けて先週のマティス国防長官はTHAAD配属を確認したし、前提となる①については国務長官が電話で確認している。慰安婦の少女像にも一言あったらしい。①が②、③に続いてしまう前に、シメておこう、と米国は考えているに違いない。

 

 私はいつも韓国人に呆れるのは、あまりにも手前勝手な、事実を無視した強弁だ。

 BSフジの2月8日プライムニュースに出演した恵泉女子大李准教授の発言だ。「安倍政権の支持率が下がっているので、人気回復のため韓国にツラく当たっている」とぬかした。この人、安倍内閣の支持率の高さをご存じないらしい。

 だからこそ、最近の世論調査で韓国を「信頼できない」77・9%(出来るは17・0%)になってしまうのだぜ、李さん。

 韓国経済のひどさについては、この李さんを含めて三人の韓国人が、2時間の間一言も言わない。若年層の失業率9・2%というひどさ。

 96年対比で2015年に家計債務の対GDP比率は44%から85%にほぼ倍増。赤字世帯の比率も96年の16・7%から2015年21・3%に上昇。2016年も悪化しているだろう。

 外貨不足の懸念は大きいい。中国依存が裏目に出ている。「中国による韓国いじめ」もある。THAAD配備に絡んだもの。それよりも何よりも、日本の技術を盗んでウオン安で輸出を伸ばすというコソ泥商法がカベにぶつかっているためだ。

 

 実はここまで書いてきて読み直したら、韓国から「反日」で必ず自滅するという私には自明のことが十分に説明されてない。

 

 韓国は海外との試算バランスはマイナスで資金の出し手の家計の純資産はGDPの1・1倍、一方企業の純資産は1・3倍(日本はそれぞれ2・5倍、0・91倍)。このため国内資金不足に陥りやすい。だから2014年にユーロ危機で欧米金融機関が韓国から資金を引き揚げたので、韓国企業は日本での資金調達に死に物狂いになった。

 

 今回は、通貨スワップで中国に依存していたが中国が資本逃避に悩まされ韓国支援どころではない。豪州とスワップのワクを拡げたが、限度は見えている。どうしても韓国政府は日本の信頼を回復するしかないのだが、しかし、次期大統領候補には「反日」しかない。もう少し理性的になったらどうか。

 

 結論。こんなお隣さんだからどうしても日本は米国と協力して「北」の「南」制圧を回避しなければならない。そこで、私は相変わらず防衛関連株に注目する。

 

 映画のセリフから。ただのニワトリに金箔を塗り、伝説の鳳凰にして大金をせしめた。しかし大雨が降ってすべての金箔が流れ落ち、バレてしまう。

 韓国商法は金箔が消えたようなもので、サムソンはじめ商売そのものが行き詰まっている。そこいらがまだあの国ではワカっていないー。

 

 

 

2017年2月 4日 (土)

映画「ゴッドファーザーと三部作」とトランプとヘリマネ(第844回)

映画「ゴッドファーザーと三部作」とトランプとヘリマネー(第844回) 2017・2・5

 ご存知のフランシス・フォード・コッポラの三部作。原作はマリオ・プーゾで第一作は1972年、2年目に「PARTⅡ」さらに16年たって「PARTⅲ」。物語は20世紀初頭から80年あまりの大河ドラマだ。

 物語はマフィアの抗争史だが、イタリア人の一族の愛の絆は強い。マーロン・ブランドが長男に言うが「家族を大事にしないヤツは男じゃない」。そのドンが射たれて重傷を負うが、三男のマイケル(アル・パチーノ)が病院で父を守り、黒幕の二人の男を射殺し復讐する。このシーンや、赤ん坊の洗礼の時に手下を使って有力マフィアの親分を皆殺しにするシーンなど。映画としての盛り上がり迫力十分な見せ場になっている。

 父は子にしきりと教訓を垂れる。「一番親しいものを疑え」『オレのシマで手打ちをする』。というのが一番危ない。そいつが裏切り者だ」。

 

 国防長官来日で、日米安保の確認が行われ、マスコミは「ひと安心」ムードが拡まっている。尖閣やら「北」の核やらで心配の種は多かったから、やはりトランプになっても米国は頼れる同盟相手だという安心感が大きいのだろう。ただし、私は安倍=マティス会談で99%、トランプ氏の伝言の「防衛費の増額」が伝えられたと思う。GDPの1%というカベはこれまでも米国の一部では批判の対象だった。

 

 トランプ氏の欧州NATO加盟国が応分の責任を果たしていないと批判し続けてきた。NATO加盟国はGDPの2%の防衛費支出が目標だが、達成している国は英国、ポーランド、エストニアなど。中核の独、仏も2%以下である。

 三日のABCテレビでマティス国防長官は「日本に駐留費増額は要求しない」と述べていたが、防衛費(つまり米国製兵器の輸入額を含む)のワクは別だろう。米軍駐留費は7600億円で54%が日本負担。100%負担でも3500億円増に過ぎない。しかしGDPの1%増は5兆円。ケタがちがう。

 

 当然のことながら、財源をどうする、という大問題になるが、米国は連邦税としての付加価値税(消費税)は輸入品に有利、として1960年代以来反対の立場だ。とくに新商務長官ウィルパー・ロス氏は従前から消費税反対の立場をつづけている。

 トランプ氏自身もメキシコ叩きの中で「メキシコは16%の付加価値税があり、米国で販売されるメキシコ品は無税だが、米国製品はメキシコで16%課税される。長い間放置された欠陥協定だ」と述べている。

 

 では、日本はどうするか。来週、浜田宏一内閣参与の招へいで、プリンストン大のC・シムズ教授が来日する。同氏は拡張型財政政策、消費税繰り延べまたは廃案を主張している。

 またほんの数週前に、ジョージ・ソロス氏と元英FSA長官が官邸を訪問した。今後の防衛予算増、国土強靭化計画などのために、財政ファイナンスを行う意志があるかどうか、確認に来たのではないか。

 

 恐らく年後半の総選挙前には防衛予算も財源もマル秘だろうが、戦前の「高橋財政の勉強をこのブログの読者におすすめしておきたい。要するに一番大事な実例は歴史にあるということだ。だから、世界中が恐慌になっても、資産デフレを卒業した日本だけは打撃は軽く「独り勝ち」となる。私の確信だ。

 

 注目している業種・銘柄は「中長期ならいいものへの投資は必ず報いられる」と、どうぞ皆さんに確診していただきたい。そうはいかない向きはロスカットを15%とか20%と決めておくことも重要だ。

 

 映画のセリフから。PARTⅢで大親分になっているマイケルが甥にいろいろ教訓を垂れる。「目をよく開いてみる。口を開くんじゃない」。「敵を憎むな。判断が鈍る。」「政治と犯罪は一つのコインのオモテとウラだ。へええ、そうなのか。

2017年1月28日 (土)

映画「海賊とよばれた男」とトランプの栄光と転落(第842回)

 

 

 

 

 

 

 

映画「海賊とよばれた男」とトランプの栄光と転落 (第842回)2017・1・22

 百田尚樹氏の小説は出光興産の創業者・出光佐三氏の一生を描いた長編で、400万部を超えるベストセラー。「永遠のゼロ」と同じ山崎貴監督、岡田准一主演のコンビが映画化した。95年の生涯だから原作の省略がかなりあって、やはり映画は小説にかなわないのかな、というのが率直な感想。しかし「日本人はこれだけのことを成し遂げたのだ、もっと自信を持て」というテーマは、明確に打ち出されていると思う。

 

 前半は業界の閉鎖主義や官僚との戦い、中盤はセブン・シスターズと呼ばれる石油メジャーとの戦い。そしてヤマ場はイランのモサデク政権から世界でただ1社石油を買い付け、英国海軍の妨害を受けながら成功する。

 

 出光興産(映画では国岡商店)の草創期。まだ新参者なので製品を売りさばく先がない、ところが関門海峡を走る小型漁船向けに燃料油を伝馬船を漕いで売りつけた。同業者は「海賊どもが」と呼んで惜しがる。

 主演の岡田准一が35歳で60台から95歳まで特殊メークで老け役を演じたのだが、マーロン・ブランドや三船敏郎とは比べものにならない。映画としてはまずまずの出来なのだが。

 

 さて、先週は十数年ぶりに体調を崩してこのブログは休載。残念でしたが、びっくりするくらい多くの方々からお見舞いや激励の言葉をいただき、感謝感激でした。この間にトランプ・ラリーは一休みしドル高も反動安。もちろんツイッターやら大統領令やらで新大統領が指図したからだったが。

 

 でも、と私は思う。数多くの人がトランプ政策の矛盾を突き、何年か後に「破局」か「自らの誤りを認めて路線変更」を予測している。逆にいうと「このまま、少なくとも1,2年はトランプ・ラリーは、見かけはうまくゆくーと見ているのだろう。

 

 わたくしもそう思う。まず先進国も途上国もみな景気は好転中で珍しくいい環境だ。とくに米国は2018年前半ぐらいまでは相当に景気がいい。日本は日本で、短、中、長、それは超長期の景気循環がすべて上昇というゴールデンサイクルが今年から始まっている(嶋中雄二さんの研究による)。

 

 ではトランプ政策の何が米国景気のブレーキをかけるのか。

 公約のひとつの「10年間で2500万人の雇用創出」がある。米国の労働力人口は1億5~6000万人で失業者数の三倍を超える。

 労働力人口の六分の一もの雇用創出は、もちろんすぐに可能なわけではない。しかしその中途でも賃金の大幅上昇とインフレが発生するに決まっている。

 

 公約はまだある。「TPP脱退とNAFTA再交渉」「4%成長」「減税」「インフラ投資」。

 要するに保護主義+財政拡張+経済成長は望ましいことではあるが、可能ではない。大切なのは米国産業界に国際競争力も強化を促すことだが、トランプ氏にその気配はなく、その代わりに気候温暖化の虫が強行されようとしている。

 

 わたくしは先日の記者会見、またその前からメディアを軽視、敵視しているツケがいずれ回ってくると思う。私がCNNの社長ならば敏腕記者を選んで「トランプ氏が失脚するような材料を探してこい、動かぬ証拠つきで」と命令するだろう。ウォーターゲート事件はニクソン再選の選挙運動中に発生し、2年後の弾劾裁判直前の辞任で幕を閉じた。マスコミをバカにしちゃあいけない。

 

 為替の方も同じ。資金を世界中から集めるにはドル高は必須の条件だが、米国産業界が嫌がるに決まっている。これもどこかで限界が来るに違いない。要するにトランプ政権は、栄枯盛衰の言葉通り。春には花は咲くかもしれないが、すぐに急転直下、秋は木枯らしが吹く冬になるだろう。それでも、日本は大丈夫。私の最近作「恐慌化する世界で日本がひとり勝ちする」をご覧ください。

 

 映画のセリフから。イランに日章丸を派遣した出光佐三社主を評して部下が言う、「のるかそるかの大バクチだが、考えてみればウチの会社は創立した時からバクチを続けてきたんだなあ」。トランプ氏は選挙という大バクチに勝ったが、勝ち続けられるか、どうか。

2017年1月22日 (日)

お知らせです。

私のブログをご覧いただいている皆様へ。大変申し訳ございませんが、わたくしが少し体調を崩しましたので、今週のブログはお休みにさせていただきます。どうぞ悪しからず。今井澂

2017年1月16日 (月)

映画「沈黙―サイレンス」とトランプ会見とお年玉(第841回)

映画「沈黙―サイレンス」とトランプ会見とお年玉(第841回)2017・1・8


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遠藤周作の小説「沈黙」は、戦後日本文学の代表作の一つとして高く評価され、20か国語に翻訳。日本映画では篠田正浩監督が1971年に映画化、93年には松村禎三作曲でオペラにも。今回はマーチン・スコセッシ監督が28年かけて実施した映画化で、本年度アカデミー賞最有力とされている。試写会で見たが格調の高い力作だ。日米の俳優も熱演だし画面も美しい。遠藤周作の「弱者の神」「同伴者イエス」のキリスト教への解釈がメイン主題。日本の精神的土壌とキリスト教の背反がサブテーマだ。徳川政権の日本人のキリシタン、外国人神父に棄教を迫り、そのために踏み絵をさせる。そこがヤマ場となっている。

 島原の乱が終わって間もない1630年代。イエズス会の高名な神学者フェレイラが棄教した謎を追い、同時にキリスト教の灯を絶やさないため若い神父2名が日本に潜入する。

 ガイド役のキチジローの裏切りで長崎奉行所に捕われ、一人は命を落とす。主人公のロドリゴも神の栄光に満ちた殉教を求めていたが、問されている信者の命を自分の棄教で助けられると知る。またフェレイラが棄教したのも同じ理由だった。

 私はトランプ次期米大統領のツイッターによる企業攻撃は「踏み絵」だと思う。キャリア、フォード、GM、そしてトヨタに高率の関税をかけると脅した。一見自発的に見えるが何社も「棄教」した。自分はさぞいい気持ちだろうが、先行き、つまり高い人件費で販売させられる企業はたまったもんじゃない。

 11日の記者会見でもトランプ氏の「選挙モード」そのままで、1月20日の就任演説以降「統治モード」にキチンと移行できるのか怪しい。トランプ政権が大失敗に終わるか、レーガン大統領のような成功を収めるのか、まだ分からない。だからこそ投資家特にヘッジファンドは、ドル高是正とリスク・オンでトランプ銘柄(G、サックス、チェース、キャタピラー)が堅調だ。期待感は消えていない。

 日本のマスコミは自分の国の名前が2回出てきて、中国、メキシコと並べられたのに不安がっている。トランプ発言に今後も一喜一憂するに違いない。わたくしが見るところ「トランプ政権の大問題は外交・安保チーム(安全保障担当補佐官、国防長官、国務長官)の不調和だろう。フリンは事務管理能力に問題があり、マティスは国防総省内の人事でトランプ周辺と意見の不一致があるもよう、ティラーソンは議会の承認が親ロシア過ぎるとして、認められるかどうか疑問だ。戦略の一致とチームの機能開始に時間がかかるだろう。

 となると、対中戦略がどうなっても、日本としては防衛予算の増額は、やらなくてはなるまい。

 実は昨年11月から、防衛関連銘柄の株価は急上昇している。トランプ政権が①衝突するリスク②電撃的に和解して太平洋の安全保障を分担するリスク、どちらにしても防衛費が増大すること必至、とみてヘッジファンドが買い始めているためだ。

 三菱重工(7011)

 川崎重工(7012)

 新明和(7224)

 ついでに言うと防衛向けでは殆ど実績のない三井造船(7003)まで株価は上昇しており、前記三銘柄を含め40~60%もの株高だ。しかもまだ売る気配はない。

 米軍駐留費の負担増が3500億円、今後日本はGDP1%のワクを倍増させる、特に艦船(護衛艦、潜水艦)の建造が繁忙になる、という読みからだ。

 では、この安全保障の巨大な変化で財源はどうする?これも防衛予算同様、大変化をヘッジファンドは読んでいる。これはトランプ陣営の閣僚人事に絡んでいるので、来週に。お楽しみにしていてください。

 映画のセリフから。夜明けにロドリゴは踏み絵を強制され、足を擦り減った銅板に刻まれた神の顔に近づけた時、彼の足を激しい痛みが襲う。そのとき踏み絵の中のイエスが言う。「踏むがいい。お前の足の痛みは私がよく知っている。その痛みを分かつため私はこの世に生まれ、十字架を背負ったのだ。」またキチジローを通じて語りかける。「わたくしは沈黙していたのではない。お前たちとともに苦しんでいたのだ。」「弱いものが強いものより苦しまなかった、と誰が言えるのか?」私だけが感動したのではない。映画で全観衆が心を打たれたと思う。トランプは強いものとして全世界に君臨しようとしているが、弱い面も出てくるだろう。予測不可能性、暴力性はどの国も感じ警戒している。

2017年1月 8日 (日)

映画「アイ・イン・ザ・スカイ世界一安全な戦場」と一時的円高(第860回)

映画「アイ・イン・ザ・スカイ世界一安全な戦場」と一時的円高(第860回)2017・1・8


Another

 戦争映画というと戦闘シーンがつきものだ。しかし今回私が観た「アイ・イン・ザ・スカイ」はドローンによる戦争と、その戦争から生まれる倫理的問題を取り上げた。なかなかの力作だ。

 英米合同でテロリストを追う英軍大佐パウエル(ヘレン・ミレン)はドローンで得た情報からケニアのナイロビに潜む過激派の拠点を発見、自爆テロ計画がわかり、テロリスト5人の殺害を指示する。

 ネバダの米軍から遠隔操縦ミサイルを発射しようとしたその時、攻撃目標の近くにパンを売っている少女を見つける。攻撃の道徳性と合法性の議論が英米の政治家、軍人で構成される指揮チームで激しく行われる。とくに大きなテーマは巻き添え被害。

 死者を出してしまったら反欧米感情でわき上がり、大物テロリストを仕留めてもプロパガンダとしてはマイナスになる。一方パウエル大佐など現場は、6年間追ってきた大物テロリストを抹消したい。政治家は「やれ」という決断を何とか回避して責任を取りたくない。決断は米国大統領に持ち込まれ、顧問が「やれ」と。これでミサイル発射になる。

 実は「世界一安全な」という題は責任を取らない政治家を皮肉った題。政務官×無任所大臣⇒外相⇒法相⇒英首相⇒米大統領とたらい回しだ。

 決断の責任をだれも取りたくないのは日本もおんなじ。新年にあたって方々の研究所のエコノミストたちが、思い切った決断をしたがらないのに似ている。いい例が日本経済で、もう上昇軌道に乗っていると思うのだが、数字になって出てきていない。

 まだ日本経済がいい数字も続出させないと、2017年のアベノミクス成功は大方の同意を得られないのだろう。

 バイロン・ウィーン氏の10サプライズに「日本経済は実質2%成長、株式市場は他の先進国の上昇率を抜く」とした。世の中30%の確率でしか信じられていないが、ウィーン氏が70%起こりうるというのが、サプライズの理由だからだ。

 これを含めてブラックストーン副会長としては、こんなごく当たり前の見通しがサプライズ?と思わせるものが多い、多すぎる。

 トランプ大統領は過激な発言を政策面ではやわらかくする

 米国成長率は3%をこえる

 S&P500は2500を超える

 ユーロは下落し対ドルでは1対1を割り込む

 10年物米国債利回りは4%を超える

 メルケル首相は10月に選挙で敗北

 原油価格は60ドルいかな

 トランプ大統領は自分が対中戦略で誤っていたと認める

 日本

 ISは脅威でなくなる。

へええ、この中でサプライズは⑧ぐらいじゃないか。

私が注目した「決断」がある。2017年の世界経済のリスク要因は、人民元安が引き起こす円高の指摘。SMBC日興のチーフエコノミスト牧野潤一さんだ。(1月4日付マクロレビュー)

牧野さんは「2017年のリスクは二つ。中国と欧州」。欧州のほうを先にすると「選挙リスク」だがEU離脱派がオランダ総選挙とフランス大統領選挙で勝つ確率は低い。

中国は①景気リスク②元安リスクの二つ。①の方は景気対策の息切れと3,4月ごろに急減速。

②の方がすでに外貨準備の急減で表面化しているが、1月20日に就任するトランプ大統領が中国を為替操作国に認定する見込み、当然、人民銀行が行っているドル売り元買い介入は不可能になり、一気に元安が進む。これは世界市場のリスクオフ要因であり、円高リスクにつながる。

 一方日経平均は大発会からの大幅上昇は、当り屋の三菱UFJモルガンスタンレー証券の宮田直彦さんの「4-6月2万3000円」という目標値で、それゆけやれゆけになったのだろう。まあスピード違反だし、一服するのはいいことだ。年初の一時的円高株安は大歓迎。押し目を待っている投資家はゴマンといる。私の長期上昇説、カンカンの強気はご存じのはずだ。

私はマスコミも悪いと思う。強気より弱気の見方を重視し、いまだにアベノミクスによる景気上昇は認めない。

 私が最も信用しているエコノミストの嶋中雄二さんは、昨年年央から世界的に景気上昇と見せたと言っている。一方私が重視する鉄スクラップ価格は文字通り急騰している。全都道府県で求人倍率が1を超え、東京は2倍、民主党政権時代の0.47と天と地ほど違う。いずれ人手不足で賃上げから消費好転に向かうのは必至とみている。上げ相場の開始期は景気までよくなるのを織り込んでいるのが普通だ。

 「上昇相場は懐疑のうちに育つ」と私の師サー・ジョン・マークス・テンプルトンは言っている。

映画のセリフから。映画の中で、女性の英政務次官が終わりに言う。「本当に恥ずべき戦争だったわ。あなたは安全な場所から戦争したのよ。」この次官は責任を取らないで、そのくせ正義ぶる。昔の社会党の女性議員にそんなのがいたなあ。今だと某女性大学教授かしら。

なお、トヨタをトランプ氏がツィッターで叩いたとさわいでいるが、フォード、GMと来るトヨタにひと言やらなきゃあバランスがとれない。カローラのメキシコ生産は対米ではない。大騒ぎすることじゃない。

2017年1月 1日 (日)

映画「ドント・プリーズ」と新年のテン・サプライズ(第839回)

映画「ドント・プリーズ」と新年のテン・サプライズ(第839回)2017・1・1

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「ドント・ブリーズ」は世評通り2016年公開洋画のベストスリーに入る傑作だ。ホラーでありサスペンスであり、ともかく練りに練ったシナリオで息もつかせない展開。映画館中がシーンと静まり返って手に汗握って画面に見入る。もちろん、ヒソヒソ話もポップコーンをつまむ音もない。まあコワーい話がお好きな方は必見。

大酒のみの母親に愛想を尽かし幼い妹を連れてカリフルニアに行きたい若い娘が、ボーイフレンドとその悪友と三人で強盗をたくらむ。ターゲットは盲目の老人。娘を交通事故で失い事故を起こした女性の家から、多額の賠償金をもらい家に隠している。周囲は自動車不況で空き家、警察も巡回しない。まず楽勝、と考え三人は乗り込む。猛犬は睡眠薬入りの肉を食べさせておとなしくさせ、一人が父の勤めるガードマン会社から預かっているドアのかぎを使って開けた。

 ところが簡単だったのはここまで。盲目で60代の男はマッチョで、一人が持ち込んだ拳銃は簡単に奪われ、殺される。

 そこから先はー。意外や意外まったく意外の展開でコワくて書けない。血なまぐさくないし残酷シーンも目をそむけるほどではないが、ともかく怖い。しかも映画のオチもハッピーで、これまた結構。もういっぺん見たくなった。

 例年年初に「テン・サプライズ」つまり「とんでも予想」が流行る。可能性は低いものの万一、このリスクが生じた場合の影響が大きく、重要度が高い。今井版を今回はどうぞ。怖いって?まあご覧ください。

 韓国で朴大統領が退任し、北朝鮮から送り込まれた工作員が主権を握り、韓国という国家は「北」に吸収されて消滅。朝鮮半島からの難民。いま欧州で起きている問題が日本で発生する。(後世キムチ・ショックと呼ばれる)

 中国習近平主席が米国トランプ大統領の中国いじめに猛反発。軍事的小ぜり合いがつづき、中国人民軍の空母が撃沈される。幸い全面戦争には至らないが、かつてのキューバ危機が連想され、世界的に株価急落、金価格暴騰が発生する。

 (これはみんなが言ってますが)欧州の反EU気運が拡大しメルケル首相退陣。ユーロ崩壊始まる。

 トランプノミクスは成功。グレート・ローテーションが起こり世界的な株高。資源高が中国のハードランディング回避から発生。NYダウ、日経平均ともに上伸。つれて好景気。弱気のエコノミストがノイローゼになり、アホノミクスと悪口を言っていた某女性教授は髪の色を黒に変える。

 トランプ大統領が円安をツィッターで批判。日銀は物価目標を2%から1%に引き下げて「いよいよ出口戦略開始」という思惑で長期金利急上昇。ただ米、欧の金利上昇で円高は起きない。

 401K年金 NISAなど個人投資家への投資誘導政策が大成功。80年代と同じ投資ブームの再現。井戸端会議で株のわからない主婦が疎外されるという現場が起きる。

 (バカみたいな強気ばかりじゃありません)世界の保護貿易が拡大し、日本の景気は好転せず、安倍首相は①消費税引き上げ再延期②永久債発行を決意。格付け会社は日本国債をトリプルBに格下げする。

 米国をはじめとした金利高は1987年のブラック・マンデーの再来を呼ぶ。2017年後半のトランプ政権への過度の期待への反動、それに10年に一度の「七」のジンクスも手伝ってNYダウは短期だが大幅に急落する。ブラック・マンデー2とよばれる。

 習近平の暗殺もしくは失脚。中国は大混乱し、人民元はとめどのない大暴落する。

 日本ではシェアリング・エコノミーの発達とインバウンドの急拡大。それにオリンピックへの投資も重なってホテル不足で民泊ブーム。タクシーはシェア乗車の拡大で初乗り410円が常識化する。

 

おまけです。

世界的にAI革命が進展し、自動運転、ロボット、それにフィンテックが急進展し、事務を中心としたサラリーマンの半分は失職する。最大市場が自動運転。勝利者はOSではグーグル、自動車はトヨタ自動車で市場を分け合うことになる。2017年には第5世代移動体通信システム(5G)実用化と合わせて、関連株の長期ブームが始まる。

まあ希望とオドカシとごっちゃですが、私のファンの方々には、またか、という方も多いでしょうなあ。

 いつもなら、映画のセリフから、でシメるのだが今回はありません。悲鳴ばかりでセリフらしいセリフはなかったです。ホント。

 

2016年12月18日 (日)

映画「ローグ・ワン」と円安・株高の今後(第856回)

映画「ローグ・ワン」円安・株高の今後と目標値(第856回) 2016・12・18

 本当の題は「ローグ・ワン/スター・ウオーズ・ストーリー」で「エピソード4/新たなる希望」の直前のオハナシだ。シリーズ第一作でレイア「姫がR2―D2に託した帝国軍の巨大要塞兵器デス・スターの設計図を、誰がどうして入手したのかを画く。先般公開されたエピソード7」は旧作のメインキャメラスターが多数出演したが、今回はほとんど出番はなし。それでも「スター・ウォーズ」らしい信頼とか仲間、それに無償の貢献といった柱がキチンと出来ているので十分楽しめた、3D版。

 主演は科学者の娘のジン(フェリティ。ジョーンズ。前半はこの悪いことならなんでもしたローグ(はぐれ者の意)の娘と生き別れた父親との再会話。後半は少数精鋭のならず者部隊が、帝国軍の基地に奇襲をかける。ここはさすがに盛り上がる。一見に値する。ダース・ベーダーも少し顔を出す。レイア姫もほんの一瞬だけ。

 

 ファンド・マネジングの世界でのローグはヘッジファンドに決まっている。この連中に聞くと、ドル買い(円売り)は、当分の間続ける。

 

 それはそうだろう。円とドルの大口投機玉の円買いマイナス円売りの「ネット」は11月11日には4万3000枚の円買い。これが最新の12月13日には6万3000枚の円売り。この間に円レートは1-4円から118円まで14円も円安になった。

 「日本のFX担当者はトランプがツイッターで円安にブレーキをかける発言をするかもしれないから、もうそろそろ円安の流れは止まるかも、と言っているよ」というと「トランプは中国とメキシコには貿易でも為替でも圧力をかけつつある。同時に日本を叩くわけがない」と一蹴された。ソロス・リチャードでも「2017年前半にFRBが引き締め態勢に入れば、125円の対ドルレートも十分あり得る。

 

 なるほど。それなら1円の円安は日経平均200円強の上昇にあたるのが、相関関係の式でいわばバジョーシキだから、目標値は―。

 11月8日、105円、1万6251円

 12月16日118円、1万9401円

 13円かける200円だと2600円だから、株価の方は200円、つまり対ドルで1円の円安を先取りしていることになる。しかし1ドル125円なら、2万1000円が目標。

 

 トランプが何か失敗したら、円安ドル高にブレーキがかかるため。

 まだトランプが就任式を挙げるまで1カ月あるし、直後100日はいわゆるハネムーン期間。それに減税法案もとおっているかどうかわからないし、経済指標に新大統領の経済政策の効き目が出るには、まあ1年はかかるだろう。円安日本株買いは、この17年の大テーマとしてヘッジファンドは捉えている。

 

 私は以前~「大魔王」がやって来るかも、と言ってきたが、この言葉は今後は使わない。代わりに「ブラックマンデー2」とする。金利上昇が続くと、87年型の急落の再来の方がよっぽど可能性が大きかろう。

 

 金利上昇には、世界的な好況の裏打ちがある“良い金利上昇”と“悪い金利上昇”がある。今回が良い方なら、日本はいつの間にかひとり勝ちになる。私は40冊目の本を書いたが、実は世界は恐慌ムードに入る可能性はあるが、日本だけは別という主張だ。幸い出版後すぐ増刷で気を良くしている。

 

 映画のセリフから。奇襲部隊の隊長が言う。「ここにいるメンバーは、みなスパイやら暗殺やらで手を汚してきた。しかし今度は帝国への反乱軍全体のためになることをしたい。やるゾ!」。

 やる気のある方は、金融関連、つまり長期金利高で利ザヤが取れるグループをご研究ください。対米輸出比率の高い自動車株はメキシコ経由が多いものは、一応避けておきたい。

 

なお、来週のこのブログはお休みにさせていただきます。あしからず。


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2016年12月11日 (日)

映画「七人の侍」トランプラリーの寿命(第857回)

映画「七人の侍」とトランプ・ラリーの寿命(第837回) 2016・12・11

 このブログには何回も登場している黒沢明監督の名作で私は日本映画の最高傑作と思う。ユル・ブリナーがリメークして「荒野の七人」をつくり、今回デンゼル・ワシントン主演で「マグニフィセント・セブン」が1月27日から公開される。今回の監督A・フークアは『現代の独裁』がリメイクした理由だという。

 

 ごく少数の者が巨大な富と権力を握り、大多数の者が苦しめられる格差社会。これが独裁にあたる。だから「マグニフィセントー」で、七人の用心棒は白人だけでなく、黒人、アジア人、メキシコ人、ネイティブ・アフリカ人と多彩で、開拓者たちの町民を代表して銃をとるのは未亡人、女性だ。「荒野の七人」と同じく、始めはカネのためだったが、次第に正しいことをするという意識を持って「悪」に立ち向かう。少し黒沢の「メシを食わせる」に似ているなあ。

 

 トランプ次期大統領当選以来、ポピュリズムはイタリアの国民投票に飛び火し、オーストリアやフランスでも反グローバル化、移民反対、反EUなどの動きが顕在化。これでは欧州に投資する気になるまい。

 

 新興国や中国もいまどき、EUと同じく魅力は感じられない。この広い世界で日本とアメリカだけが投資に適格だ。モルガン・スタンレーが「2017年12月末のTOPIXの目標値を従来予想の1190から大転換して1800とする」というレポートを11月27日に発表した。現在のTOPIXは1490からみて2割の上値をみている。円ドル130円、日本の景気好転、公的資金による株式需給好転が合わさってこの強気である。

 

 もちろんトランプ政権の外交姿勢の「中国たたき、日本への接近」が運用担当者のアタマにある。

 

トランプ次期大統領のツゥイッターでは①南シナ海の中国の軍事化②人民元の為替操作を強く批判した。

 

トランポノミクスは財政、経常収支の双子の赤字。当然この赤字を賄う海外からの資金流入が絶対に必要。ところが中国の方はまったく頼りにならない。日本が頼みの綱。だからソフトバンクの孫正義さんを大歓迎、となる。

 

 幸い、今のNYダウは急速な相場上昇に少しブレーキがかかる日柄だ。いい買い時と考える。

 

先週予告したジム・ロジャーズの講演は正直言ってガッカリした。冒頭20分近くはビデオでの二人の娘の紹介。次がロシア株を1967年に発見した自慢。ロシアの農業関連(これは自身が取締役になっている)への注目。トランプ・ラリーは「目先」で終わるとし、非常にスケプティカル。日本株はいくつかの銘柄は保有しているが、円は「買いたくない」。2025年は日本経済は「不況に突入」。ひところ円高説をとっていたのがまだひっかかっているのかなあ。もっとも最後の10分ぐらいは講演の先約があったので失礼してしまったから、内容のある話でシメたのかもしれないが。

 

こんな話を聞いた。今度の財務長官はじめ米財務の主脳はゴールドマン出身だが、みなオバマの対中国弱腰にイラついていた。習近平に米国国債を売るゾとおどかされていたか、ゴールドマン内部では、米国国債には敵対国条項がある。米国と米国同盟国へ軍事行動をとった国の保有している米国債を大統領令ですぐ無効化できる。これをオバマは習近平に云えなかった。歯がゆい。トランプ政権はちがうゾとか。ヘッジファンド経由なので真偽はわからないが。

 

 では、いつものようにイマイさん、強気なの?強気です。

 

 強いて弱気の材料を探すと、NYダウの1月に入っての急落だろう。

 

 理由は?トランプ減税だ。次期大統領は所得税を来年成立させ、1月にさかのぼって実施としている。最高税率39・6%が33%に減税される。

 減税を前に、個人投資家は年内に益出しするより1月に入って益出しした方が減税メリットを受けられる。だから、年内に売らず新年に―となる。

 

 もうひとつ。先週も先々週も書いた。①アルゴ取引②ヘッジファンド③株中心のミューチュアル・ファンド、ETFの買いの三人のバッターが期待する四番バッターの年金などの長期投資家は、まだ買い出動の気配は感じられない。トランポミクスの[影]にこだわっているだろう。これも1月NYダウ急落の理由だ。

 

 「七人の侍」の有名なラストのセリフ。志村喬の勘兵衛がいう。「今回も敗け軍(いくさ)だったな」「え?」「勝ったのは彼ら(農民)じゃよ」。私は物言わない大衆が勝つ日をいつも待っている。私は楽観的すぎるのだろうか。

 

ついでに。「マグニフィセント・セブン」のエンディングにあのバーンスタインの「荒野の七人」の

素晴らしい音楽が流れる。聞き漏らさないでほしい。


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