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2017年4月23日 (日)

映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」と金正恩と籠池、ルペン(第855回)

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映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」と金正恩と籠池、ルペン(第855回)2017・4・23

 ことし80歳のケン・ローチ監督の傑作でカンヌ映画祭でパルム・ド-ル賞を獲得した。英国の地方都市ニューカッスルが舞台で主人公は妻に先立たれ一人暮らしの59歳の大工。

 映画は主人公と女性職員とのやり取りから始まる。ブレイクが受けている支援手当の審査を受託している民間企業の職員だ。

 「帽子をかぶるくらい腕は上げられますか?」「手足は悪くない。カルテを読めよ。悪いのは心臓だ。」「電話のボタンは押せますか?」「悪いのは心臓だ。指じゃない。」「簡単な事柄をひとに伝えられることは?」「心臓が悪いのに伝わらない」「態度は審査に影響しますよ!急に我慢ができなくなって大便を漏らすことは?」「こんな質問が続くと漏らすかもな。」

 ブレイクが仕事中に心臓発作を起こしてドクターストップがかかり、支援手当受けに来た。しかしこの会話の結果、数か月後に「就労可能で支援手当は不要」という通知が届く。

 ここからブレイクの苦難が始まる。不服申し立てをするためには、義務的審査の申請が必要だが、それには何週間もかかる。そこで、手当てを得るためにとりあえず求職者手当を申請し、病気で仕事を止められているにもかかわらず求職。そのためには履歴書が必要とされ、今度はパソコン講座に参加義務が課せられる。マウスなんて持ったこともないのに。

少しもわかってもらえないという焦燥感。北朝鮮の独裁者金正恩の心境はこのダニエル・ブレイクに近いのではないか。核開発と燃料の固形化、小型化、それにミサイルの長距離化を委員長就任以来5年間、自らの威信をかけて推進してきた。それが米国の政権が、何もしなかったオバマからトランプに変わった途端「周囲の脅威」とされて「核をやめろ」と騒ぎ始めた。

頼りにしてきた中国も、米国のいうことを聞き始めた。石炭の輸出が止まった。中国の常務委員級のナンバー3、5,7は江沢民派(石油閥)だったが、党大会で三人とも引退してしまう。ではマンギョンボン号をロシアに月6回就航させて助けを請うが、やはり中国が助けてくれなくては―。

まあ金正恩の心境をまとめてみると、こんなものだろう。恐らく16日に中距離ミサイル発射(失敗したが)に止めて、核実験は止めたのは、中国からのけん制がきいたのかも知れない。

4月25日の建軍記念日近辺に、6回目の核実験や大陸間弾道ミサイルの実験をやれば、先制攻撃の口実を与える。

私は先週、トランプ側が本気で戦闘行為を始めるかどうか疑わしいとし、銅の価格が下落したことを挙げた。また肝心の韓国の株式市場が4月7日の「シリア攻撃」でもほとんど下落していない(日本は14日までで2%弱下落、韓国は0・7%)。日本では安倍首相がVX攻撃を口に出して危機を強調しているが、韓国の主要紙はむしろ反発している。

 私はトランプ政権は中国を動かして石油禁輸に追い込みたい。いまはそのために米国単独でも―とおどかしている。市場はそこいらを読んでいる。ヘッジファンドが円買い、日本株売り、日本国債買いと日本に集中したのは、実は森友学園で安倍首相がひょっとすると辞任すると思ったからだ。3月第三週が売りのピークだったが、23日に籠池前理事長の独演会があったあたりだった。当時毎日TVで森友問題を取り上げられていたが、最近はなくなった。そろそろ、リスク・オンをヘッジファンドは考え始めている。

2月の安倍さんの「議員もやめます」と関与を否定したのに飛びついた民進党だが、「お家芸」の内部分裂もあって、支持率はメチャ低い。一方、多少下がったが、安倍内閣の支持率はじめ世論調査でも50%以上。リスク・オン再開だ。

 

ヘッジファンドがリスク・オフの理由にしていた4月23日のフランスの大統領選も、英国のカケ屋の数字をみると中道派のマクロン氏が90%の勝利。これなら5月7日の第2回目の結果も十分に読める。オフからオンに変わるはずだ。

あと、強いてリスクオフ要因を探すと5月9日の韓国大統領選。文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党候補を追って安哲秀(アン・チョルス)国民の党候補が台頭してきた。米国は「北」の走狗でTHAAD配備に反対のムン候補を阻止したい。「北」の脅威を強調し、中国の韓国いじめを緩和させる工作が行われている。21日のKBSはブンゲリ核実験場付近の住民を避難させた、と報じ、

緊迫感をあおっている。ま、私は勝負がついていると思うが。

結論。市場関係者はテクニカル・アナリストの大方が日経平均1万8000円割れ、とか円高を予想していることはご存知だろう。しかし私はまだ市場の三分の二を占めている外国人とくにヘッジファンドの動向が、株価の急回復を狙っているとみる。弱気の向きはアレレと考えるだろうが、いぜん私は強気だ。

あともうひとつ。忘れていたが4月28日には米国の暫定予算が期限になる。4月21日まで議会はイースター休暇で1週間のうちに党派対立を超えて政府閉鎖を回避すべく歳出法案を成立させなくてはならない。共和、民主両党とも2013年10月の16日間続いた政府閉鎖の記憶が強く、回避姿勢がある。これはリスクにはならないだろうが心配症の向きも結構多いので。

 というのは政府高官の554のポストのうち就任したのはわずか22.体制つくりの遅れは深刻で万一、政府閉鎖が始まればトランプ政権への打撃は少なくない。今週末にカタがつくべく議会工作は行われているが、すでに下院の共和党指導部の調整力不足は前回のオバマケア代替え案で明らか。これに失敗すればトランプ政権の政治遂行能力への疑問も生じよう。まあ私は大丈夫、何とかなる、と楽観している。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」に話を戻す。英国ではキャメロン首相の財政緊縮化が弱者をトコトンいじめる。靴がこわれたといじめられる女の子の話なんて涙なくして見られない。そのひどい環境の中で自分の尊厳を守り続けるのは容易でない。大国の間で自分もーと声を挙げる小国、その指導者は本当はカワイソーな男なのだろうなあ。

2017年4月16日 (日)

映画「理由なき反抗」と金正恩の斬首作戦(第854回)

映画「理由なき反抗」と金正恩の斬首作戦(第854回)2017・4・16

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 24歳で交通事故死、三本の映画しか残さなかったジェームス・ディーンの主演二作目。私もこの「永遠の青春スター」には熱を上げたものだ。

 1955年の作品で舞台はLA。17歳の高校生ジムが主人公。番長のバズから度胸を競う決闘を強いられた。チキン・ランと呼ばれるレース。ガケに向かってぎりぎりまで車を走らせ、早く飛び降りた方が臆病者(チキン)として負けになる。バズは車から抜け出しそこなって転落死してしまう。

ジムは警察への密告を恐れたグループにつけ狙われ、警察で知り合った問題児プレイトとジュディと三人で廃屋に隠れる。プレイト―は襲ってきた少年に発砲し一人を倒してしまう。

 半狂乱のプレイト―はプラネタリウムに逃げ込み警官隊に包囲される。ジムがなだめてピストルの弾丸を抜くがプレイト―は銃を手にして―。「エデンの東」は厳格な父に愛されなくて反抗する少年を演じたが、この「理由なき反抗」では、物分かりがよくご都合主義の父に反発してジムは無軌道な行為に走る。

 監督はニコラス・レイ。ジェームス・ディーンの個性が主人公と同じく「受け入れられたいという欲望と、受け入れられることに対する恐怖心」にあるのに注目して起用したとか。

 いまトランプ政権と金正恩とでチキン・レースをやっている。「本当にアメリカは「北」を攻撃するのでしょうか?」とか「日本へのミサイル攻撃は?」とかの質問を受けるようになった。TVも週刊誌も「北」のことを取り上げるようになった。森友だのマオちゃんばかりの時期とは変わってきた。ようやく1か月前から私が指摘してきた「キムチ・ショック」を市場が認識し始めた。円高と株価、長期金利安、金価格上昇、みな騒ぎを織り込んでの動きだ。

 私は昨年12月17日の米国務省ダニエル・ラッセル次官補の来日時の報告を聞いたとき4・5月にトランプ政権が、金正恩斬首作戦をやる可能性が2,3割あると考えた。そこで正月の「びっくり予想」の第一に挙げた。

 ダニエル・ラッセル氏は、トランプ時代になって次官補クラスが全員首になっている中ただ一人留任した北朝鮮専門家である。

 この人は、①トランプ政権はオバマ時代より踏み込んだ政策をとる②金正恩が暴発する前に片付け、その後米・中・露の三か国信託統治する③ポスト金正恩に現在チェコ大使、金平日。(この金平日は金日成の後妻の金聖愛の子で金正日の異母弟。1994年の核危機の折、カーター米元大統領と金日成の会談に同席し後継者とみられていたが、直後金日成が急死し金正日が継いだといういきさつがある)④日本の役割は「北」の再建資金の供給。1965年の日韓国交正常化の時に無償3億ドル有償2億ドル、現在の貨幣価値だと1兆円と少しに当たる。「北」の核やサリンやVXの心配がなくなる代金と考えれば安いものだろう。

 

 ただし、別の見方、つまりチキン・レースをしているのは米対中であって、習近平に「北」への食料、石油の禁輸をさせるかどうか。チキン・ランのガケはシリア攻撃をやってみせたり、大幅関税だったり、あるいはカール・ビンソンだったりー。党大会で再選を狙う習近平は、ケシかけられてもレースに乗ろうとしない。いや出来ない。

 ところが14日付の人民日報系の環球時報は「核実験を放棄すれば、政権を保証する」という社説を掲載した。つまり、今月や来月の話じゃない。

 私はこれだけ地政学リスクが言われても、鉄鉱石と銅の価格が急落していることに、注目している。鉄鉱石は3月16日のトン88ドルから70ドル台前半まで、銅は3か月ぶりの安値降更新だ。本来なら軍事需要で上伸するはずが、オカシイ。

 「北」へのオドシはうっかりすると朝鮮戦争ネクストになりかねないが、習近平が石油を禁輸すれば金正恩政権は自壊する。その前に対北の制裁の対象を中国企業と中国人に拡大して「いずれ」という回答が習→トランプに近く行われる。しなければこの話は来年遅くとも4月。

 今回攻撃の確率を三割としたのは、4月15日と25日の金日成記念、軍創立記念日に外国マスコミを大量に呼んで攻撃させないという苦肉の策。

 韓国大統領が北の走狗の文在寅氏になれば熟柿が落ちるように金正恩の勝ちになるので、恐らく安氏になるように工作が行われる。4月30日説は、まずない。また中東での内戦に米国がひっかかっている限り、対中、対北に注力することはできない。習近平の米国への読みは、対北の制裁が今できなければ、中東はソコソコで年内にカタチをつけ、その後北への攻撃を行う。口実は「北」の核実験だろう。1年も核開発を休めば金正恩は失脚する。

 この間日本は。長嶺大使の帰任理由に「邦人保護に万全を期する」とあったのが目を引く。旅行者を含め5万7000人いる邦人の数をできるだけ減らすのに全力をかたむけるだろう。何しろ金正恩もトランプも普通の常識で考えられる理性的な人間ではないからだ。

 映画のセリフから。ジムが父に言う。「男であることを示さなければならないときに、父さんは何ができるんだい?」マッチョが好きなアメリカ人はトランプの支持を上げ、議員の中で反対ばかりしていた人が何人もシリア攻撃を支持した。

 

 まあ間違ってもゴールデンウィークに韓国に観光旅行なんかしない方がいい。確率は三割あるんだし、外務省も「注意」としている。

2017年4月10日 (月)

映画「ムーンライト」と「北」とトランプとシリア(第853回)

映画「ムーンライト」と「北」とトランプとシリア(第853回)2017・4・10


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 先日のアカデミー賞で作品賞など三部門を獲得し秀作と評価されているが、私にはトントつまらない作品に見えた。黒人で麻薬の売人でしかもゲイというと私には共感を覚える部分がない。だから感動もない。

 しかしアメリカ南部の黒人の貧困地区の生活はよく分かった。自宅で母親は売春し収入は麻薬に使ってしまう。周囲も似たような状況で、教育現場ではひどいイジメがはびこる。まともな人生を歩める可能性はまず、ない。

 なるほど、人種差別をあえて行うトランプ政権が成立したわけだ。「白人」のみのアカデミー賞への批判に応えて、キャストもスタッフも全員黒人の「ムーンライト」が選ばれたのもこうした政権の姿勢への批判からにちがいない。

 

 一つの動きが出れば必ずその反動が出るもの。最近韓国の大手新聞の朝鮮日報、中央日報、聯合ニュースが相次いで「韓国人がまだ自分の国の最高の危機に気が付いていない」と警鐘を鳴らし始めた。

 当然だろう。首位を走っている共に民主党の文在寅大統領候補は、はっきり言って「北」の走狗で、金正恩としては自分が主導して連邦制の南北統一するには便利この上ない。

 しかも「北」は米中首脳会談の直前の4月5日に中距離弾道ミサイルを発射して周辺諸国とくに「南」を威嚇している。

 一方トランプ大統領は「北朝鮮は人類の問題で米中首脳会談の協議事項になる」とし「中国が「北」への圧力を強化しなければ独自で行動する準備ができている」と繰り返し述べている。

 さらに首脳会談の最中にシリアに生化学兵器への報復としてミサイル59発を撃ち込んで見せた。金正恩への示威という効果もあるだろう。アサド政権のサリン攻撃のわずか三日後の空爆である。

 では米中首脳会談での「北」への圧力は成功したのか。ワシントン発聯合ニュースは「議論は平行線をたどり調整は失敗」と報じた。

 シリア空爆以前なら、「北」のテロ支援国再指定、対北サイバー戦強化、北と取引する第三国の企業・個人への制裁、同盟国へのミサイル防衛システム強化、ぐらいだったろう。しかし、事態は変わってしまった。何かの口実を金正恩が与えた途端、待ってましたとばかり、ミサイル攻撃が核関連基地に行われるに違いない。

 私がウォール街のニュースソースは大手機関投資家の意見として、「韓国総合とサムソンの株価が新高値に近いし、在韓米軍に核戦闘能力を持たす案がNSCから提案されている。そう心配することはない」と話す。たしかにそうだが、韓国の国民のノー天気を考えると(日本の野党のセンセイ方もほとんど同じだが)私には気休めとしか聞こえない。韓国側の一種の気分と若い独裁者の狂気とは関係ないからだ。

 

 ところで、この困った状況と株価だ。シリア攻撃のショックは一時的円高と株安。4月6日には26円円安の4か月ぶりの安値1万8597円まで下がった。この水準に株価収益率(PER)で13・6倍、昨年11月6日のトランプショックの1000円を超える大幅下げの時以来の低いPERで明らかに日経平均は下げすぎだ。

 三菱UFJモルガンスタンレーの宮田正彦チーフテクニカルアナリストは、騰落レシオを使って、大幅な株高を予想している。

 騰落レシオとは値上がりした銘柄数を値下がりした銘柄数で割った数字で25日間の移動平均を出して判断する。120%を超えると買われすぎで、70%を切ると売られすぎ。なお4月7日の騰落レシオは78・4%で売られすぎ水準に近い。

 宮田さんは「超過熱」を示すとその後の大幅株高の前ぶれとなった、として次の例を挙げている。2012年12月19日と、2014年6月24日、ともに騰落レシオは164%というメチャ高い水準だった。史上最高は昨年12月15日の165・5%で70%台まで下げたのは昨年2月以来の低水準で「修正は相当進んだ」として4~6月2万1000円台以上に達する株高を予想している。私も賛成だ。ここから大幅な下落が万一あれば、買い場の提供以外の何ものでもない。私は強気だ。

 

 映画のセリフから。主人公をかわいがっている地域ボスが言う。「自分の道は自分で決めろ。周りの人たちに決めさせるんじゃない。」本当にその通りだ。

2017年4月 2日 (日)

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」とトランプゲートと森友(第852回)

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」とトランプゲートと森友(第852回)2017・4・2

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私の大好きなピアノ曲。ロシア独特の憂鬱でしかも美しいメロディ。とくに第2楽章の神秘的でロマンティックな曲想が私は好きだ。

映画によく使われる。デビット・リーン監督の「逢引き」。夫ある女と妻ある男が知り合い、週一で会うがやがて別れるまでの物語。この映画は二人が別れるシーンから始まるがたまたま彼女の友人のおしゃべりが闖入してきたためで、惨めな気持ちで夫のいる家に帰る。夫はクロスワードパズルをやっている。彼女はそこでラフマニノフの二番のレコードをかける。大人の純愛のムードを実にうまく現していた。映画では全楽章のサワリが使われていた。

もう一つ有名なのは「7年目の浮気」で、名匠ビリイ・ワイルダー監督。NYで妻子は避暑に出かけ一人で家にいる中年男と上の階に留守番をしている美人の娘が知り合う。これがマリリン・モンローでまことにセクシーで無邪気。中年男は浮気心が出て、自分の部屋に娘を誘い、そこにラフマニノフの二番のレコードをかける。中年男はこの曲を聴くと女性は性的に興奮すると信じている。現実には娘は音楽なんて興味ゼロだったのだが。

ちなみに。中年男は娘を映画に誘う。その帰り道で地下鉄の吹き上げる風でマリリンのスカートが上までまくり上げられ美脚丸出し。誰でも知っている有名なシーンだ。

同じ曲でも、かたや大人の純愛のムードづくり。もうひとつは浮気男の妄想をたくましくする小道具に。フィギュアスケートでも村主章枝や浅田真央、高橋大輔が使っている。これは演技の盛り立て役だろう。

いま、米国ではトランプ政権の成立以降続いていた上げ相場が、上昇途中の止まり場なのか、それとも終わりか。日本では森友学園問題が一部外国メディアの言うように政変につながるか、これまた見通しが立ちにくい状況にある。同じ名曲でも解釈が違うようなものだ。今回はトランプラリーと森友政変について私の見方を簡単に述べたい。

NYダウは31日に21169ドルの歴史的高値を付けた。安値は昨年114日の17883ドルだから、トランプ当選後3286ドル 18・4%上昇したことになる。

この上昇相場が止まったのは321日の237ドルの大幅安である。20日にFRB長官の証言があった。トランプ陣営の幹部たちがロシアと頻繁に接触したか、選挙にも影響を与えたかどうかについて捜査を続けており、重大は結果が出るだろうと述べた。その翌日に大幅下落が発生したのは「トランプゲート」を懸念したものと推察される。長期上げ相場はもう8年を超えており。警戒すべき時期に入っていることは間違いない。私の予想する最大の下げの背景は長期金利の3%台央到達で、これによって発生する「ブラックマンデー2」。

一方井、森友学園問題である。2月の国会で安倍首相が「わたくしと妻がこの問題にかかわっていたら、議員バッジを外す」と言ってしまっているから、綸言汗のごとしで具合が悪い。先週述べたように「高転びにころぶ」可能性はゼロではない。

しかし内閣支持率をみて安心した。アンチ安倍の朝日でも49%、産経57%読売が56%、共同通信55・7%。一方民進党は4%のままだ。これなら都議選と同日総選挙でも負けない。あの怪しげな理事長逮捕で幕引きではないか。

結局、NYの新値更新は当分ダメ。日本は4月から高騰期待。

それよりも北朝鮮。4月30日に米韓合同訓練が終了するがこの日に金正恩の息の根を止め、米中露の三国の信託統治にするという情報が入ってきた。日本は北に援助を1、2兆ぐらいするのだろうが、軍事費増より安く済む。対潜ミサイル防衛だけで3兆かかるのだから。

映画のセリフから。「逢引き」の女主人公のナレーション。「こんな惨めな気持ちがいつまでも続くはずがない。人生さえ長くは続かないのだから。」北の狂気で怖い思いするのもそう続かないだろう。

2017年3月26日 (日)

映画「パッセンジャー」と森友とFBI(第851回)

映画「パッセンジャー」と森友とFBI(第851回)2017・3・26


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 主演のジェニファー・ローレンスがお好みなので観た。予告編で「乗客5000人、目的地まで120年、90年も早く、二人だけが目覚めた」というのが面白そうだったし。ただこの予告は違っている。エンジニアのジムが装置の不具合で90年早く目覚め、孤独の1年後に一目ぼれした美人作家のオーロラを起こしたのだ。

巨大な宇宙船で若い美人と二人きり、なんて男の夢だ。この映画のジムは労働者階級、女性の方は大卒の作家で裕福。まるで「タイタニック」だが、あれと同じく見せ場は多く、無重力下のプールなどビジュアルも新鮮で退屈させない趣向もたっぷり。

破られるはずのない宇宙船の外壁がいん石で穴が開き、二人で必死になって修理するシーンがある。船外に放出されたジムをオーロラが救う。そこがヤマ場になっている。

米国の方はトランプ政権に第二のウォーターゲートと目される疑惑が出たし、日本の方は森友だ。4年は固いはずの長期政権に不安が出た。

 まったく、3月21日のNYのダウの急落はまいった。FBIコミー長官の下院情報委員会での議会証言がその前日にあり、ここで爆弾発言が二つもあった。我が国のマスコミは殆ど報道されなかったが、第一がトランプがツイッターで批難していたオバマによる盗聴は全くなかったーと大統領のカオをツブした。

 そして第二が大統領側近の対露接近が大統領選挙の運動最中から行われ、結果に影響を与えた可能性を捜査している。コミー長官は議員の質問に答え「今後重大な事態が明らかになろう」と述べた。翌日この発言を嫌気して238ドルもダウ平均が下げている。トランプ政権支持率は37%に下落し、不支持率は59%。

 そうでなくともトランプ政権の動きが遅くなかなか選挙公約通りに物事が進行していない。通常1月下旬の一般教書も発表は2月28日になったし、予算教書も2月上旬の通例が3月16日になった。しかも予算全体の三分の一に当たる分だけで全体の予算発表は5月になる。

2月9日にトランプ大統領は薬品業界首脳との夕食会で「2,3週間のうちびっくりするような税制案が発表される」と述べたが、現実には3月24日現在でも発表されていない。このほか機能不全の証拠はヤマほどある。

 私のワシントンの情報源は「トランプの選挙公約は口から出まかせの思いつきなので、具体的な政策のカタチになかなかならない」。だからオバマケアの代替案も共和党議会の41%しか賛成していない。今回取り下げたが仕方あるまい。

 NYタイムスはこの3週間連日7ページものトランプ批判の特集記事を掲載しており、共和党議員の中にも「このままで行ったら明年の中間選挙で大敗北必至。今のうちにペンス副大統領がホワイトハウスを仕切るような体制にすべき」との声があるという。

 NYダウは3月1日には一般教書を好感して275ドル高の2万1000ドル台を付けたが、当面これが歴史的高値で、基調は下げになりそう。

 

一方安倍政権の方。籠池森友学園理事長の証言がウソで固められていることは明らかだ。利用できるものなら天皇陛下ご夫妻や安倍首相の名も宣伝や募金の材料にし、三通りの工事契約書を出す。安倍夫人の100万円寄付もあり得ない。重大なのは理財局の隠ぺい工作だろう。内閣支持率は下落したといえ高いし、民進党の支持はメチャメチャに低い。ただ、まだ先週述べた「高転び」のリスクは残る。2月9日に「絡んでいるなら衆議院議員を辞める」と言ってしまっている

 私の描くシナリオは次の通り。秋口に総選挙をやるときに、①消費税を無期延期にする②おそらくキムチ・ショック(韓半島からの難民)への出費③防衛費増加④国土強靭化計画などの支出増(何兆円にものぼる)などの資金需要を賄うためには「伝統的出口戦略」ではムリ。これらは①財政黒字で債務返済②デフレ脱却で実質債務を削減③日銀が保有する国債を金融機関に売却、というもの。とてもムリなことは説明不要だろう。

そこで「非伝統的出口戦略」になる。①政府と日銀が既存の国債の一部を償却(保有国債を無利子永久債に転換)②財政スタンスにインフレ率に応じた弾力的対応③規律ある枠組みが不可欠(みずほ総研リサーチTODAY1月27日付)。つまり疑似ヘリコプターマネーが必要になる。

チーフエコノミスト高田創さんは「年後半に予定される衆院解散総選挙に伴う選挙対策になる可能性も」としている。

では、この疑似ヘリマネをしたらどうなるのか結論からすると日本経済は一挙に元気になり、株価は2,3年でものすごく上がる。倍は固い。このあたりは稿を改めて。

映画のセリフから。オーロラが言う。「会うはずのなかった人と会い、人生が始まったと感じているの。不運なはずなのに幸せよ」。この国は、思い切った政策をとれば、必ず幸せになります。

2017年3月20日 (月)

映画「知りすぎていた男」と想定外のリスク(第850回)

映画「知りすぎていた男」と想定外のリスク(第850回)2017・3・20

 

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先々週ヒッチコックの名作を書いたら、何の因縁かBSで56年の「知りすぎていた男」を放映したので。この作品は英国時代の「暗殺者の家」の再映画化、ヒッチコックが自作をリメークしたのはこれだけ。主演はジェームス・スチュアートとドリス・ディで、主題歌の「ケ・セラ・セラ」はこの映画のためのオリジナル。この歌が映画の中で決定的な役割を果たす。

 ドリス・ディはもともと歌手だが主演映画は好きで、ずいぶん観た。「二人でお茶を」「夜を楽しく」「ミンクの手ざわり」、それに私のお気に入りでは「先生のお気に入り」でクラーク・ゲーブルと組んだ。

 医師夫婦が息子を連れてモロッコにバカンス旅行するがバスでフランス人の男と知り合う。翌日マラケシュの市場で瀕死のその男に医師は「政治家がロンドンで暗殺される。アンブローズ・チャペル」と耳元でささやかれる。暗殺犯行のグループは「何も話すな。息子を誘拐した」と脅され、舞台はロンドンへ―。

 首相を暗殺から救い、お礼に大使館に招待され、有名歌手の妻はまず大声で「ケ・セラ・セラ」を歌い、息子の口笛で軟禁されていることを知った医師が救いにゆく。

 「ケ・セラ・セラ」の歌詞がいい。

 私が小さい女の子だった時、ママに聞いた。私は何になるの?きれいになる?お金持ちになれる?そしたらママはこう答えた。

 ケ・セラ・セラ なるようになるのよ。

 先のことなど わからない。

 ケ・セラ・セラ なるようになるのよ

 私は「先のことなどわからない」のに、何とか先を読んで、このショウバイを何十年も続けてきた。幸い証券と銀行の業務がわかり、英語もそこそこできた。またオカルトじみて聞こえたら笑ってほしいが「予知能力」もあったので、市場の曲がり角でヒト様よりうまく立ち回ることができた。間違いはヤマのようにあったが、びっくりするようなファンの方々に支えられ、おかげさまで81歳と半年、この好きな仕事を続けてこられた。

 私はこのブログやほかの著作で、毎週ひとさまの余り気づいていない事件や物の見方、始まりかけている芽をご紹介してきた。①シェールガス革命を「21世紀最大のエネルギー革命」として2011年に紹介②アベノミクス第一の矢で「円高とデフレ」の悪循環が「円安と株高」に変わる、とHFが180度投資方針を転換したニュース③いわゆる「中国リスク」をNY大学ヌリエル・ルービニ教授の指摘より早く2012年に指摘。

 とくに第二次安倍政権の成立直前、当時のゴールドマン・サックス・マネジメントの会長のジム・オニール氏が「円売り日本株買いが投資家の唯一の作戦」として「早く安倍さん当選してくれ!」をメールで述べたと紹介したのは、日本中で私だけだったと思う。

 すぐにジョージ・ソロス氏がこの作戦で3か月で90億ドルももうけた。しかし日本人はバカなことに、売り向かった!

 当時小池百合子さんに口惜しさをブチまけたことを思い出す。

 私はこれまで絶対にこのブログで書かなかった自慢話をしなかった。年寄りの過去のヒットの話は読者に退屈に決まっているから。しかし、今回だけですから。

 私はかつて安国寺恵が毛利家に送った情報で「信長公はここ3、5年は勢威が高まる一方だが、その後あおのけざまに高転びに転ばれるだろう」と述べた。(手紙は「藤吉郎さりとはの者に候」という言が入っており「中国大返し」の時にこれがひびく)。

 実はわたくしはここ2,3週間森友学園問題をしてきた。内閣支持率は高いし、経済指標は良好、外国とも(どうにもならない中・韓国は除いて)対トランプを含めてもうエクセレント。でも危機対応への緊張感が欠けていると、飛んでもないことになってしまう。今がそうだ。

 私は16日の参院予算委の与野党議員にあの学園理事長が「100万円首相夫人から建設寄付金として“安倍晋三からです”として手渡された」としたことが心配のひとつ。(これはそのご否定される証言は籠池側から出ていなかったと思う)。

 首相側は全面否定だが、23日の証人喚問で新たな爆弾証言が飛び出すかもー。心配は尽きない。これで鎮静化がうまくいけば4月から株価急騰に一挙に変わるのだが。

 もともと昭恵夫人が森友学園の名誉校長になっていたのは、何ともワキが甘かったというしかない。稲田防衛大臣も、観ていられない。

 幸い民進党の支持率は低い。しかし「何かあったら自分は衆議院議員を辞める」と言ってしまっている。私の心配はつきない。悪材料出尽くしを待つことを待つことにしよう。

 トリビアをひとつ。「ケ・セラ・セラ」は実はフランス語でもイタリア語でもない。作曲したジェイ・リビングストンが「裸足の伯爵夫人」でエヴァ・ガードナーと結婚する伯爵家の古い城を見たときに書いてあった家訓をメモして題にした、とか。この作曲家は「ボタンとリボン」の主題歌(あのバッテンボーです)「モナ・リザ」(ナット・キング・コール)が大ヒット。この「ケ・セラ・セラ」と合わせて三回アカデミー賞をとっている。

 なるようになる。気を病んでも仕方がない。「ケ・セラ・セラ」だ。


2017年3月12日 (日)

映画「お嬢さん」と防衛と難民の財源(第849回)

映画「お嬢さん」と防衛と難民の財源(第849回) 2017・3・12 

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 面白いよ、とすすめる知人がいて私としては珍しく韓国映画を観た。原作がサラ・ウォーターズの「「荊(いばら)の城」(「これミス」の一位をとった)だし、監督パク・チャヌクも「オールド・ボーイ」が面白かったので。

 原作は19世紀のロンドンだが、映画は1930年代の日本統治下の朝鮮に置き換え、セリフも日本語が六割。しかし演技もセリフも違和感はない。R18+にランクされ、官能的な同性愛シーンはドキドキする位美しい。

 この映画の面白さはエロスだけではない。不意打ちのドンデン返しが何回も起き、女性の男性支配からの逃亡が主題で明確だ。

 登場人物は四人。金鉱の持ち主の金持ち。その姪で莫大な財産を相続した日本の華族令嬢。その財産を狙う詐欺師の自称伯爵とその指令で侍女に送り込まれた女スリ。伯爵が令嬢をたぶらかして結婚するのを侍女に手伝わせ、結婚したら令嬢を精神病院に入れ、財産処分益を山分けに―。ところが侍女は令嬢に仕えるうちに愛し合うようになる。

 私の三週間前のブログ。私は①日米首脳会談のツケ回しで防衛費がいまのGDP1%が、すぐとは言わないが2%へ上昇②消費税増税は米国側からみると日本の輸入防止策なので恐らく不可能の二つの理由で巨額の財源が必要、とこのブログで述べた。

 その内容を2回延期したら、ある敏腕編集者から「なぜですか」とお問い合わせがあった。本当は来週かなり有力な情報源の方にお話を伺うのでもう一週、書くのは延ばしたかったのだが、もう七分は確信があるし、本にも書いた。ま、いいか。

 何兆円もの財源をひねり出すには、増税じゃムリ。とくにルビコンを渡るように思い切った政策転換がないと、なおムリ。後で書くが難民にカネがかかるから。

 幸い米国のムニユーシン財務長官が「100年もの国債」発行をブチ上げた。これにならって「100年もの」を出すか「永久債」にすればいい。

それだけ?これだけです。

 一生県命財務省のイキのかかった記者や学者がヘリマネの弊害(実際はないのだが)つまり歯止めのかからない場合の怖さを書きまくっていた。しかし最近になって有力シンクタンクのチーフエコノミストが「転向」している。恐らく年末(トランプ来日以降)の総選挙で安倍内閣2021年までの超長期政権のための「人気取り」で、ヘリマネをやるという説だ。いちいち名前は言わない。財務省の委員会に絡んでいる人もいる。

 ヘリマネをやると円安。物価上昇で明年4月には黒田総裁は満足して退任、後任は大体もう決まっている。来年度の予算に関連法案を通し、2018年後半からの国土強靭化計画、防衛費増を支える。これでも「北」や「南」の情勢を考えたら遅すぎるかも。

 3月10日。朴大統領は罷免され、これで2か月の間に大統領選があり、現在の支持率からみると文在寅(ムン・ジョイン)の「共に民主党」前代表が最有力。この男はメチャ左派だった盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で大統領秘書長を務めていて、「北」の意を受けて動く男だ。

 

 当選後もちろん国連決議などは無視して、「北」は「北」、「南」もそのままで「高麗」という統一連邦国家を創立する。日本の慰安婦像でも竹島でも推進し、15年末の日韓合意も無効宣言する。いまは欧州のこととして他人事と思っているが、ワザとスパイを含めた難民を大量に日本に送りこむ。またはあからさまかどうか、分からないが核兵器を日本にブチ込むゾと脅して、「北」再建の予算を我が国から持ってゆく。沖縄にはすでに左翼の中国か「北」のイキのかかった暴力的な反米、反政府勢力が「沖縄独立」と称して激しい暴力活動を行っている。難民はここに流れ込むだろう。翁長知事がとり続けている反米姿勢は、この悪意を持つ外部勢力に利用されるだけなのだが、ご本人は気づいているか、どうか。

 映画のトリビアから。原作「荊の城」の原題「フィンガースミス(Fingersmith)」とはスリの俗語で、レズの巧みな指先を連想させる。男にはとてもできない深い快感。令嬢は広い屋敷に閉じ込められており、教えてくれる侍女に「凄くうまいけど、どこで習ったの?生まれ持っての才能なの?」令嬢は侍女がダマそうとしていると百も承知で知らないふりをしている。

 何ごとでも本当のことは、知らない顔をしているうちに進行しているものです。

2017年3月 5日 (日)

映画「北北西に進路をとれ」とトランプ演説(第848回)

映画「北北西に進路をとれ」とトランプ演説(第848回)2017・3・5

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 アカデミー賞が決まった。私は作品賞、監督賞を一生取れなかったヒッチコックのことをいつも思い出す。ハリウッドって、どうもヘンだ。伝記を読むと、やれ外国人監督だとかサンフランシスコに住んでいてロスに友人が少なかったからとか。バカじゃなかろか。「サイコ」「裏窓」「鳥」この傑作が賞をとれなかったなんてー。

 今回「北々西に―」したのは、この題が実は「ハムレット」のセリフに由来していると聞いたから。「(ハムレットの)狂気は北北西の風のときに限るのだ。南風になればけっこう物のけじめはつく」。なるほど、この傑作が次から次への予想がつかない展開が続いたわけだ。

 そこでトランプ大統領の議会演説。事前には「ツイッターと同じで、この男は何を言い出すかわからない」と不安がられていた。風は北を西に吹いていたのだが、フタを明けてみたら、実は南の風だった。

 「けじめ」がついていた理由は次の通り、まず歴代の大統領の演説のカタチを踏襲。例えば殉職した警官の妻などを呼び、上階両院の両党議員の拍手を得たり、大統領“らしく”話したり、リンカーン、アイゼンハワーの業績を引用したり(二人とも共和党)。1時間ちょっとのスピーチは丸暗記だったし最後のシメは神への祈り。カタチはちゃんと、作った。NYダウが快調にブッ飛ばしたのも「減税」「インフラ」「雇用増加」が効いている。

 一方、東京株式市場は「円について“不規則発言があるのでは”と懸念していた。これに先週書いた①「北」の「南」実質支配②森友学園問題③東芝があって、相場がモタモタしていた。まだ完全にすべてが解決しているわけではないから快調に飛ばすわけにはゆくかどうか。

 論より証拠。3月1日のNYダウは303ドル 1・5%も上がったが、日経の方は171円で0・9%(3月2日)。やはり差はある。

 ただ「北」と「南」の方はトランプ政権は本気でしかも強気の対策を準備していることを公表。金正恩も、北の手先の野党候補も当分手が出まい。

 森友学園の件。私が調べたところでは、安倍首相の政治関与はない。高橋洋一嘉悦大学教授によると「万一この問題に関与していれば、財務省が安倍政権の弱みを握ったら、とっくにリークして内閣はツブれているはずだ」と述べている。この問題は「近畿財務局の事務ミスということになり、大山鳴動してネズミ一匹に終わる公算大」と高橋さん。

 東芝。これはもうホンハイの会長発言でもう上げ始めた。

 以上、三つの日本株の足を引っ張っている材料は、重荷から解放されつつある。1万9600円台をはっきりと上回るのは時間の問題だと思う。日経平均の目標値は4~6月の2万1000~2000円は全く変える意志はない。

 NY?トランプ・ラリーの第2発目が始まっていると考える超強気、例えば2009年からのエリオット波動のV波(つまり最終上昇波で一番大きい波)もある。またシラー教授の株価判断水準ではメチャ割高とみる弱気も。

 私は少なくとも今年夏ぐらいまではNYダウは上昇し長期金利10年国債がFRB利上げの影響で3%(現在は2.4%近辺)の大台に乗ったら、1987年10月のブラックマンデーの再現が心配である。私なりの名をつければ「ブラックマンデー2」の不安だ。長期金利が上がれば債券価格が下落、3%を超えれば過去10年間の債券保有分はすべて赤字になる。先物売りでヘッジしても全保有分をカバーできない。だからこそ、債券売り株買いのグレートローテーションが起こり、これがトランプ・ラリーの理論的(?)背景になっている。しかし債券金利が上がると、利回りと株の益回りとのスプレッドで株価が割高になり、これがある程度続いてから、ある日突然、NY株の暴落、それも大幅な暴落が起こる。このあまり起こってほしくないシナリオが「ブラックマンデー2」である。ただ今年中に起きない―とは思うが。

 ヒッチコックの得意のサスペンスもの分類のひとつに「巻き込まれ」型である。普通のなんでもない人物がひょんなきっかけから、大事件に巻き込まれ、冒険、冒険また冒険。ヒッチコックのこのジャンルでは「バルカン超特急」「知りすぎていた男」そしてこの「型」の集大成が「北北西に進路をとれ」だと思う。

 いまの世界。トランプという従来になかったタイプの最高権力者の一挙手一投足に振り回されている。まあ「巻き込まれ世界」である。

 私は今回もまたお約束した「財源」についての私の見方を書き損ねた。必ず、書きます。

 それにしても、安倍総理がトランプ大統領とウマが合うのは、大きい。大変に大きいと思う。

 映画では主人公ケイリー・グラントはNYの広告代理店の社員で、スパイたちにFRBの人物と間違えられ殺されそうになる。そのスパイ組織に入り込んで首脳の情婦になっている女がエヴァ・マリー・セイントでまあなんとも魅力的だったが、汽車の中でケィリー・グラントに言う。「あなたはいらないものを売りつけるだけじゃなくって、まだろくに知らない女に恋をさせるのね」。オバマとは合わなくて苦労したらしいが。まあ良かった。良かった。

2017年2月26日 (日)

映画「ナイスガイズ!」と新値NYとモタモタ東京(第847回)


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映画「ナイスガイズ!」と新値NYとモタモタ東京(第847回)2017・2・26

 「ラ・ラ・ランド」が「タイタニック」級14のオスカー候補というので早速観たが、本音を言うとガッカリ。昔の傑作ミュージカルへのオマージュがたくさん織り込まれて、そこらは楽しめたが。「ザ・コンサルタント」も面白かったが、なんといっても楽しめたのは「ナイスガイズ!」。館内でも五分に一回は笑っていた。

 主演はラッセル・クロウとライアン・ゴズリング。シェーン・ブラック監督お得意の「バディ(相棒)」映画。アクションに加えてスラップスティック・コメディとスリルが入ったお気軽な娯楽作だ。

 示談屋のヒーリー(クロウ)と私立探偵マーチ(ゴズリング)。ツッコミが腕っぷしの強い有能なヒーリー。これに対し全く無能でドジな探偵マーチは、トンデモ演技でボケる。ラ・ラ・ランドのミュージカル演技と違いコメディ演技のセンスも抜群だ。この二人組が人さがしに始まって巨悪と戦うというお定まりの展開だが、1970年代のLAだから、米自動車ビッグスリーの環境規制の引き延ばし暗躍からだ。規制に合格した日本車が米国勢の心理的圧迫になっていたことは言うまでもない。

 この何週間か、米国株式市場は快調で、NYダウ、ナズダック、S&P500すべて歴史的高値を更新中。

 一方日経平均の方は1万9500円がカベになってなかなか抜けない。どうして?いつこのカベを抜くの?とお問い合わせが多い。先週の予告の財源問題は様子を見て。

何せ市場の売買の四分の三は外国人だし、先頭に立っているのはヘッジファンドだから早速何人かの運用担当者に聞いてみた。果せるかな、理由はいくつも。

 2月10日の日米首脳会談を終えた今でもトランプ政権が、どんな難題を日本の自動車業界に押し付けるのか、まだ分からない。先の見えない日本株を買い増しする意欲がそがれたままだ。円レート一つにしても同じことだ。

 安倍首相夫人の学校と国有地安値払い下げのスキャンダル疑惑。長期安定政権のストーリーに不安が出ている。

 韓国の朴大統領弾劾が決まれば、2か月のショート・ノーティスで大統領選。「北」の息のかかった政権が、財閥の不正蓄財、外国企業の資産差し押さえは、野党(左派)の公約に入っている。欧州の難民騒ぎが日本にも起きるのではないか。

私はこうお答えしている。

 日本の自動車メーカーは90年代の貿易摩擦以来、現地工場での「地産地消」で、トランプ氏の認識は間違っている。ペンス副大統領は日本のことをよく知っており、ここでまとめるのでメチャなことは言うまい。それに日本の自動車、同部品メーカーはどんな状況での対応できる手段を十分に知っている。

為替でもムニューチン財務長官は、操作国は4月の為替報告書などの手続きを踏んでから、ているし、ドル安よりドル高が好ましい、と発言している。FEDの金利引き上げもあり、円安で企業収益上昇と株高は目に見えている。第一、株価収益率15倍弱はどう見ても割安。私の5,6月に2万1~2000円の目標は変えない。円レートは118円に行っているだろう。

 大した問題じゃないと見ている。1か月先にまだ問題になっていないだろう。

 弾劾自体、裁判官八人のうち二人が同意しなければ成立しないし、まだ態度を決めていない投票者は現在の首相を支持するかもしれない。「北」は「南」を吸収合併して連邦制の「朝鮮」という国家をつくりたいだろうが、米国も中国もそんな企てを許すと思えない。

 私はいま東芝の行方が、日経平均1万9500円のカベになっていると見ている。昨年も2月にはシャープが「悪役」になったが、3月には株高になった。日本の景気先行指標は1月まで5か月連続で上昇、個人消費の6割を占めるサービス支出は9・四半期連続で上昇している。日本のマスコミが景気上昇と認めないだけだ。市場が織り込んで動き出す日は近いと確信する。

 映画のセリフから。ヒーリーが結局真相がヤミの中になったのを怒って言う。「(環境規制への努力をしないで、実施を延期させてばかり)、すぐにビッグスリーは日本製の電気自動車に取って代わられて、ビッグスリーみんなアウトになるぞ」。私は自動車業界のアナリストを数年やっていたからよくわかる。ビッグスリーの経営は日本勢の努力にくらべて、怠けている。左ハンドルをどうして右にしないのか。

2017年2月17日 (金)

映画「スノーデン」と日米首脳会談のツケ回し(第846回)

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映画「スノーデン」と日米首脳会談のツケ回し(第846回) 2017・2・19

 何しろオリバー・ストーン監督の最新作。反政府的なので欧州系の資金で製作したーなんて聞くと私の反骨精神がウズウズして、観た。ただ映画としては私の勉強していたスノーデンとはだいぶ脚色されていた。最大の悪役NSAの大物コービンは実在していないし、スノーデンはドローンで標的を定めるプログラムに関係していない。

それでも映画のテーマは明快だ。ネット傍受はいわば「盗聴」で、これは民主主義と個人の自由を揺るがす、しかも政府が主体になって盗聴するのは許されるべきではない。だからスノーデンは米国政府を告発した。

 

映画のパンフレットを見ると、オリバー・ストーン監督はトランプ大統領に「奇妙な形だが新鮮な空気を持ち込んだ」と期待している。主要メディアへの不信感からだ。「トランプへのヒステリックな報道ぶりは、かつての赤狩りに近いし、ロシアと近いとの報道も彼を大統領にしたくない力が働いたと思う」とも。

 

産経新聞の報道によると、昨年11月17日のトランプ=安倍会談で、安倍首相はこう切り出した。

「実はあなたと私には共通点がある」

けげんな顔をするトランプを横目に安倍首相は続けた。

「あなたはニューヨーク・タイムスに徹底的にたたかれた。私も同紙と提携している朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った!」

トランプも右手の親指を立ててこう言った。

「オレも勝った!」

トランプの警戒心はここで吹っ飛んだと思われる。90分の初会談、マティス訪日、そして2月の超歓待(ゴルフ27ホール、5回の食事)もすべてこの会話から始まった、とこの報道はいう。なるほど。

 

また同記事は、1月28日の電話会談でトランプ氏は「オレは日本車が好きなんだ!」と。あれほど日本の自動車メーカーを攻撃してきたトランプのこの発言で、安倍首相はツイッター攻撃にも動じる様子はない。ふーん、なるほど。なるほど。

 

2月10日以前には①自動車問題の不均衡②為替水準につながる日銀の金融緩和の議論が警戒されていたが、実際には議題にならなかった。

 

日本側が「お土産」として用意していたはずの「日米成長雇用イニシアティブ」も温存されたようだ。日米関係の重要性は再確認され、2国間の経済対話創設で合意した。しかもペンス副大統領と麻生副総理という組み合わせだと、相手はインディアナ州前知事で知日派だからそう無茶なことは言うまい。

 

ただし、トランプ政権の4年間でずっと日米関係が安泰かといえば、飛んでもない。ビジネスマン・トランプはそう甘くない。私の知っている時事通信社外国経済部長の大嶋聖一さんは「日米経済はこれから『戦闘モード』へ」入ると言っている。

 

2月10~12日現在、経済閣僚はまだ米議会の正式承認されていなかった。いわば準備不足だったので仕事が始まれば楽観できない。共同声明に「日米間で二国間の枠組みに関し議論を行う」としたが、この枠組みにはFTAも入る。この交渉が厳しいものになること必至。トランプ貿易政策は①GDP(もちろん米国の)にプラス②貿易赤字削減③米製造業の強化、が選挙公約である。

 

私自身、ワシントンの共和党ロビーストに取材したが、次の4点が米国への「見返り」になる。だから超歓待のツケは高いよ、と。

 米国債の購入。中国が米国債を売却し続けている現状では、年金運用法人GDPIFの買い、又は日米パートナーシップによる財務省(日本)の買い。これで円安批判を回避する。

 米国インフラへの投資。例えばテキサス州の新幹線計画への協調融資。

 米国製の兵器購入または新型の兵器の日本共同開発。海上迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」、ステルス戦闘機、無人機などなど。2019年からのミサイル実戦配備がすでに決まっている。

 これが大物なのだが防衛負担の増額。兆円単位の話でせいぜい何千億円の米軍駐留経費の増額ではない。この方は思いやり予算を含めると7600億円、日本負担74・5%で、韓国の49・5%、ドイツ22・6%に比べ、確かに十分。マティス米国防長官も「モデル」と評価するほどだ。問題の防衛負担は「対GDP比率1%」のカベを少なくとも1・5%、長期で2%に上げてほしいとの長い間の米国側の要望だ(前期の③も入るが)。つまり最大5兆円の予算増の話だ。

米国自身の3・3%、英国2・0%、フランス2・1%に比べ日本はわずかに少ない。(ドイツの1・2%

も少ないと批判されている)。恐らくこの④は「密約」だろう。

 では財源をどうするか。これは次回に書くことにしよう。

 

 映画のセリフから。スノーデンが言う。「私はかつて政府のために仕事をしていました。いまは人々のために働いています」。平和維持のコストは高くつく、まあ仕方ないのでしょうなあ。

お隣にメチャクチャなことを平気でやってのける国がいるんだから。

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