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2017年7月17日 (月)

名作「NINAGAWAマクベス」と安倍政権の今後(第867回)

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名作「NINAGAWAマクベス」と安倍政権の今後(第867回)2017・7・17

 1935年、わたくしと同年生まれの名演出家蜷川幸雄さんが亡くなって一周忌の追悼公演が、彩の国さいたま芸術劇場で。楽しく観た。8月には佐賀の鳥栖、本場の英国では10月にロンドンとプリマス、次がシンガポールで追悼だそうだ。私はそんな公演が世界的に行われたのを聞いたことがない。仏壇を使った舞台、バーナムの森の美しい桜、日本人の誇りだ。

 

 私は1980年の日生劇場での初演、87年の帝劇、2015年のシアターコクーンと3回観た。マクベスは平幹二朗、津嘉山正種で今回は市村正親。マクベス夫人はずっと栗原小巻だったが今回は田中裕子、演出はすこしづつ変わっているし、役者の味も違う。私には初演の時のショックが忘れられないが。

 もうすぐ82歳になる私にはマクベスが言う「思えば長いこと生きてきたものだ。おれの人生は黄ばんだ葉となって風に散るのを待っている。」は心にしみる。繰り返し登場する魔女のセリフ「言いは悪いで悪いはいい」も。

 

 今朝日、毎日が懸命になって安倍政権を叩いている。首相は内閣改造で支持率を回復していくつもりらしいが、どんな組閣をしても、少なくともこの二紙と系列TV局はやれ新味がないとかお友達内閣とか、批判をつづけるだろう。印象操作、だ。新大臣のアラ探しもあるだろう。

 

 いい例が加計学園。10日の閉会中審査で朝日、毎日は前愛媛県知事の「ゆがめられた行政が正された。岩盤規制にドリルで穴をあけていただいた」という発言をまったく報じず「疑念消えず」という見出しで印象操作が明確になった。これでは文科省が獣医学部誘致を阻止してきたことが読者には知らされない。

 

 国家戦略特区は規制改革について総理主導を制度化した仕組み。改革手法のイノベーションだった。

 

総理の利害関係があったのかどうかを「疑惑」とすること自体が「いいことを悪く」操作している。

 

 あるエコノミストは「安倍さんがどう強弁しようと優越的地位を利用した特定の利害関係者への便宜供与」とレターで述べた。この方には国家戦略特区に関する法案に目を通すことをお勧めしたい。不勉強だ。同じような人はいくらでもいる。

 

 たとえば共謀罪。パレルモ条約にようやく188番目の締結国になったが、2016年6月に成立した国際的送金システム(FATF)から追放される危険性があった。これも朝日、毎日をはじめ共謀罪反対を声高に主張していたが、その背後にいたある勢力があったことを指摘する報道はついになかった。

 

 幸い、近い将来国政選挙に予定されていないし、自民党内に安倍首相に代わる人材は見当たらない。小池新党という向きもあるが、小池百合子さんは2020東京五輪まで都知事をやる気だと確信する。そんなに無責任な人じゃない。安倍さんは結局、支持率を回復するだろう。

 

 材料は?北朝鮮が相変わらずICBMの実験を続け、中国が南沙諸島や尖閣に脅威を与える。韓国は文在寅大統領が親北政策を露骨にし、反日、反米を行動として示す。強力なリーダーシップが必要になる。

 

 私がある情報通から聞いたのだが、ある大企業の社長が「あと2か月でトランプは退陣、ペンス副大統領に地位を譲る」といっているとか。憲法修正第25条4項を利用するのだろうが、そんなに早いのかどうか。確かにトランプ・ジュニアが「I LOVE IT」とやったのはマズいが、なかなか辞任しないのではないか。

 

 私はトランプ大統領がすでにマティス国防長官に「完全な承認権」を与えているので、北朝鮮への先制攻撃を選択する公算の方がずっと大きいと考える。あのニクソンは政権末期とは外交はキッシンジャー国務長官に任せていた。

 

 トランプ支持率は低下しているものの水準は意外に高い。各月末で見ると1月51、2月50、3月43,4月47,5月43,6月46各%で7月は14日現在43%(ラスムッセン調べ)。何が起こってもトランプ支持層は「あれはマスコミのフェイクだ」と思っているのだろう。

 

 それでも、と私は思う。いくら正しい政治をやっているとご本人は確信していても、反対勢力が捻じ曲げることがある。シェイクスピアはマクベスの三人の魔女に「Fair is foul、andfoul is fair」。そのまま読めば「フェアはファウルでファウルはフェア」まあ野球の審判なら困ってしまうが。ふつう「きれは汚い、汚いはきれい」と訳される。人間のフェアは魔女の世界ではファウル。意図して印象操作するマスコミには注意しなくちゃ。

 

 マクベスの名セリフ。「明日、また明日、また明日と、時は小刻みな足取りで一日一日を歩み、ついには歴史の最後の一瞬に辿り着く。消えろ、消えろ、つかの間の燈火。人生は歩き回る影法師、哀れな役者だ!舞台の上では見得を切っても出番が終われば消えてしまう」。私はこの年になってマーケットという捕捉しがたい現実を把握しようと努めてきたことを誇りに思う。あとは最後のカーテンが閉まるのを待つだけだ。しかし、そう簡単に終わりにはしませんよ。安倍首相、へこたれないでくださいね。

 

蜷川幸雄さんは日ごろ「勝つには判定じゃあだめ。ノックアウトしなくちゃあ」といっていたとか。そのファイトを持ち続けたい。

2017年7月 9日 (日)

映画「ハクソー・リッジ」と政局と北のICBM(第868回)


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映画「ハクソー・リッジ」と政局と北のICBM(第868回)2017・7・9

「ハクソー・リッジ」はノコギリ崖、の意味。沖縄の激戦地で一人の米衛生兵が75人もの兵士の命を救った実話をもとに、メル・ギブソン監督が戦争映画の傑作にした。ただいま大ヒット中。

 バージニア州の若者デズモンド・ドスは敬虔なキリスト教信者。父は、第一次大戦の帰還兵で酒に溺れ家族を殴る。そのとき父に銃を向けてしまった主人公は、二度と銃を手にしないと神に誓う。

第二次世界大戦がはじまり、主人公は良心的兵役拒否の資格があったが、あえて志願した。射撃訓練なしの特例が許され、衛生兵で戦線に加わる。

日本名で前田高地という150メートルの絶壁の上に、陣地が構えられている。米軍は6回も攻撃したがその都度撃退された。主人公の所属する連隊はまた退却し、負傷兵は崖の上に取り残される。主人公は戦場を駆け巡って応急措置をし「オレが家に帰してやるぞ」と元気づけ、ロープに括り付けて下に吊りおろしてやる。神への祈りは「どうかあと一人、助けさせてください」。こうして75人の重傷者を救う。その中には主人公を臆病者とさげすみ、いじめていた上官も入っていた。日本兵も救われたうちに。

 都議選での自民党の惨敗を受けて、メディアのストーリーが出来上がっている。

 まず敗北の理由は「THIS」(豊田、羽生田、稲田、下村)だが、基本的に「安倍政権の傲慢、不誠実」。次に今後だが「首相の求心力が低下し、憲法改正のメドは立たず、都民ファーストの国政参入もあって、政局の流動化」を予想する。「ハクソー・リッジ」で主人公の兵役拒否を、臆病、とののしった上官に似ている。

これは認識不足ではあるまいか。都議選前ではあるが、NHKの政治意識月例調査では安倍内閣支持率は4月52%→5月51%、6月48%。自民党支持は38・1%→37・5%→36・4%。7月が出てみなければ分からないが民進党は6・7%→7・3%→7・9%。前述の予測ストーリーは地方選と国政とゴッチャにしているとしか考えられない。8月の内閣改造後に支持率が下降を続ければ別だが、それまでに北朝鮮クライシスの展開があることはだれの目にも明らか。(7月1,2日調べのTBS調査はあるが、この系統は前から偏見があるので、あえて無視します。)

加計問題にしても民進党岡山出身議員が獣医学部設置を認めよ、と国会で質問していたのは知る人ぞ知る事実。逆ねじを加えられるだろう。

 

株価の方は7月6日に2万円の大台を割り込み、7日も大幅続落。これはやはり7月4日に行われた「北」のICBM発射で「レッドライン」を超えたという認識だろう。G20や4月の米中首脳会談での「100日」ウエィテングの満期待ちで、トランプ政権は今のところ手が出せない。34月のころはカール・ビンソン一隻だった空母を今秋には三隻に増やしたら、本物と見たらいい。ヘッジファンドは日本の地政学リスクへ懸念を示し始めている。だからこそ、2万円大台割れ後、外国人売りが先物中心に継続している。

 

ただ、いつも述べている通り、私は慎重な楽観論者だ。円レートがどう見ても円安の方向だから、トランプ口撃がなければ(ないとは思うが)1ドル120円は相当な確率でありうる。株高だ。

近い将来、NY市場安につれて日経平均も大幅安があるだろうが、相対的にNYダウより日経平均の差が幅の方が小幅、立ち直りも早いだろう。ま、それまで①バイオ②AI③ロボットなどの小型成長株のご勉強を。防衛関連もジワジワ高い。

 

映画のセリフから。主人公デズモンド(アンドリュウ・ガーフィールド)は恋人ドロシーに「銃に触れないのはプライドに邪魔されているのでは」と聞かれて「信念を曲げたら生きていけない」。ドロシーは「何があろうとあなたを愛し続けるわ」と励ます。私の、日本が再び活気を取り戻す、という信念は、絶対に曲げない。

2017年7月 2日 (日)

映画「ジーサンズ 初めての強盗」と都議選とHFの作戦

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映画「ジーサンズ 初めての強盗」と都議選とHFの作戦(第865回)2017・7・2

 原題は「GOING IN STYLE」でカッコよく颯爽と物事を進めようという意味だろう。邦題の「ジーサンズ」は少しひどい。しかし主役の三人、モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキンすべて80代だ。仕方ないか。

年金を会社が都合で打ち切られた三人の老人が「せめて好きな時にパイを食べたい」「孫に会いにゆきたい」というささやかな希望を踏みにじられ、住宅ローンが支払えなくて家を追い出されかける。

「最悪、捕まったにしてもムショは一日三食付。ここより良い医療だ」と開き直って銀行強盗を計画する。“予行練習”のスーパー万引きのおかしさ。強盗の後のFBI捜査官とのやり取り。それに三人の主人公のうちアラン・アーキンがメチャもてもて(相手役は七十六歳のアン=マーグレット!)でその結婚式で終わるハッピーエンド。クライム・サスペンスには違いないが面白いエンタティメントだ。

 この原稿を書いている7月2日現在、都議選は終わっていない。小池百合子さんの人気で新党プラス公明党が勝利しそうだ。マスコミ特に朝日と毎日が無理仕掛でスキャンダル扱いにした加計は別にしても①豊田真由子議員の暴言②稲田防衛相の失言③週刊文春の下村都連会長への(恐らくムリ仕掛けの)献金などなど。自民党に逆風が吹いていることは間違いない

 私のところへヘッジファンドから「安倍内閣の長期安定政権をオマエは主張してきたが、大丈夫か?」と質問が来ている。

そのココロは、米国株は①割高②過度のITハイテク株への依存、欧州株は①テイパリング開始②欧銀破綻不安、がある。今週都議選の自民敗北で株価を先物売りで下げさせ、その後に日本株買いでもうけるというストーリー。ヘッジファンド得意中の得意ワザだ。もちろん、とりあえず円高に持って行き、政治と共に「北」攻撃の地政学リスクを大いに騒ぐー。

 私は「支持率を見てごらん。野党は最大の民進党でもひとケタ。みんなハトヤマとかカンの時代のひどさを覚えている。政権交代は政権改悪でもあり、何も決まらない政治だった。

だからNHKの世論調査(6月24日)で、都民ファースト48、自民39、公明23、共産9、民進3。それでもまあ来週はショック安、だろうなあ。

私が聞いた話では8月上旬の内閣改造説が今主流だが、7月中旬にこれを切り上げて首相の戦闘体制を強調する、とか。ヒトの噂も75日。いくらマスコミがこだわっても人は忘れる。「次」がある。例えば韓国と「北」だ。

 6月29,30日文在寅大統領は訪米した。トランプ大統領が4秒握手したとか自分の寝室を見せたとか。韓国マスコミは合意を強調しているが、対日本でも言っていることと行動は違う男だからどうなるやら。ティラーソン国務長官訪韓の時には夕食会も開かれなかった。

それよりも、この何か月で続々と欧米の銀行、資産運用会社が韓国から逃げ出しているのをご存じだろうか。

 6月には米ゴールドマン・サックス、スペインのビルバオ・ビスカヤ、英ロイヤル・バンク・オブスコットランドが撤退した。昨年スペイン最大の銀行サンタンデール、香港HSBC、ゴールドマン資産運用部門、米フィディティ、スイスUBS、英バークレイズー、きりがない。

 

ゴールドマンといえば2009年9月に「韓国と北朝鮮が経済面で統合すれば、40年後に一人当たりGDPはドイツ、日本を抜き世界第2位になる」というレポートを出した銀行だ。

当時のオバマ政権は露骨に日本叩き、韓国支持。G20入りとソウルでの2010年G20会議を押し込み、国連事務総長にも韓国人を選んだ。ヒラリー・クリントン国務長官が推進役だ。米国の「日本叩き」につけこんで、李明博大統領が竹島上陸や陛下への不敬発言など対日強硬策に転じたのは記憶に新しい。

文在寅大統領が親北、親中国、反日、反米なことはこのブログで何回も述べた。何しろ日本統治時代に得た土地などの資産は国有化するとか、釜山の少女像建立を推進した男だし、官房長官に当たる秘書室長として慮泰愚政権当時、親北政策を行った当事者だ。THAAS配備の延期を、就任早々決めている。

外国投資家が韓国から逃げ出しているのは、もちろん米軍2万8500の撤退を読んでいるのだろう。日本としては対馬海峡まで「北」又は中国の勢力が及んでくるのは何ともイヤなことに違いない。防衛予算がGDP1%でいいのか。もりとか、かけとか、、ソバやさんにうつつをぬかしている場合か。

 映画のセリフから。モーガン・フリーマンが幕切れにマイケル・ケインに言う。「オレは今後20年生きることにする」「そんなに長生きして大丈夫か?」「まあ10年ということに」。アメリカでも長寿リスクはあるんだな。


2017年6月25日 (日)

映画「海辺のリア」と防衛費と朝鮮半島の脅威(第864回)

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映画「海辺のリア」と防衛費と朝鮮半島の脅威(第864回) 2017・6・25

84歳の仲代達矢の主演作。小林政広監督の前作「春との旅」「日本の悲劇」と合わせて日本の超高齢化社会で、ますます居場所がなくなる老人を描いている。

 今回は認知症老人を取り上げた。仲代演じる主役は、舞台と映画で半世紀以上活躍し俳優養成所を主宰する往年のスターという設定で、仲代達矢そのものだ。長女とその夫に遺書を書かせられた挙句に高級老人ホームに送られる。

 

 主人公は施設を脱走しパジャマの上にコートを羽織ってスーツケースを引きずりながら海辺をさまよう。その時妻以外の女に産ませた娘と突然再会する。その娘が私生児を生んだことを許せなかった主人公は、この次女を家から追い出した過去がある。

 

 認知症でセリフが覚えられず、長女の夫も分からない主人公だが、シェイクスピアの「リア王」のセリフを急に朗々と語り始める。映画はこれがヤマ場で、仲代の見せ場になっている。

 「俺は、どこにいた?どこにいる?見えるのは、日の光かー。たぶらかすのだな。俺を」。

 

 私はこの8月で82歳になる。幸い持病はあるが認知症のケもなく、歯はまだ27本あって、昨年世田谷区から表彰された。週に3回プールでウォーキングをしている。講演会でひと様に1時間半(今週は1日に2回、ダブルヘッダーをやりました!)お話して聴衆の方からいただく拍手が私の生きがい。「流水不濁 忙人不老」。

 

 ただ、その私でも年には勝てない。階段を上り下りするには辛い。駅でエスカレーターやエレベーターを探して歩きまわるし、タクシー代も、ずいぶん払っている。もう一度若くなれたら、と(誰しもが、だろうが)痛切に思う。

 

 何かある事柄が起きた場合、もう歴史を巻き戻すことはできない。いまさらオバマ政権の何もしなかったことに責任を負わせても、もうどうにもならない。

 

 すでに北朝鮮が文在寅政権を得て、南北朝鮮連合という日本にとって最大の悪夢を実現させようとしている。

 

私は先日講演会でこのことを申し上げたら、その後のアンケートで「まだ十分に理解できない」と詳しい追加説明を求める声が多かった。「北」が「南」を抑え込んでいわば吸収合併だというロジックがお分かりになっていないらしい。お答えを差し上げよう。

 

 第一に文在寅氏の思想である。「朝鮮半島の正当なナショナリズムを代表するのは北朝鮮であり、反対している韓国はアメリカ帝国主義の後押しを受けて誕生した国家」という金日成=金正日のチェチェ思想(主体思想)そのものである。

 

 反日反米は言うまでもない。現在の韓国で使われている歴史教科書は「北」の訳本である。韓国のアメリカナイズ化批判が軸。朴前大統領はこの教科書を改定したが、文氏は就任翌日に元の教科書に戻すよう命じた。

 

当然、文氏は大統領就任早々秘書室長の任鐘哲(イム・ジョンソク)を任命した。この男は日本の公安当局の調べでは「完全な北の対南工作員」である。「北」は従前から「高麗連邦共和国」という二制度の国を提案。「北」を敵とする韓米同盟は必ず空洞化し、在韓米軍2万8500の兵士の撤退になる。韓国が「北」というヤクザを雇ったのと同じで、核とミサイルで日本を脅かすこと必至である。

 

 この問題をトランプ政権は解決すべく、中国にゲタをあずけている。しかし恐らくあと数か月は動けまい。第一に習近平は何か「北」にドラスティックな政策を展開すれば習体制批判の口実を与えてしまう。第二にトランプ政権自体がロシアンゲートで動きが取れない。

 

 政権が揺らいでいるからトランプは戦争に打って出るのではという見方も現実的でない。先制攻撃するには日本や韓国に事前通告しなくてはならないが、文政権はすぐ「北」に漏らす。秘密に米軍が動いても、ソウルにいる米軍家族を撤退させなくてはならず、これまた情報はツツ抜けになる。米国は完全な手詰まりである。

 

 そこでトランプ大統領は「金正恩をなくせば北は中国に任せる。代わりに米国は韓国から撤退する」という取引を行う可能性も否定できない。朝鮮半島は習近平のものになる。これが日本にいい話のはずがない。

 

 具体的な例は遠慮するが、韓国に有力な子会社や工場のある企業の株価はもうすでに上がっていない。すぐ売りが出る。相場はコワい。

 

 5月26日にGセブンに出席した安倍首相は「何か」を感じたのだろう。自民党の政調に命じて「防衛費をGDPの2%」倍増させる」という案を出させた。ところがNHKを見ていたら大学教授、野党議員、自民党の外務省派の反対意見を述べさせていた。何というアホさ加減か!予算をどうつけるか、を早く討論しろ!

 

 映画のセリフから。幻覚と幻聴の中、拍手、喝さいを受けて主人公が言う。「有難うございます。私に、思い出など要らないのです。みなさんの中に私の思い出さえあれば!」

 

 私の予測はいつも早すぎる。しかしこの予想も(心から当たってほしくないが)的中してしまうだろう。

2017年6月18日 (日)

「レ・ミゼラブル」とカタール断交の意外な影響(第863回)

「レ・ミゼラブル」とカタール断交の意外な影響(第863回)2017・6・18

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1個のパンを弟たちのために盗んで、19年間も獄中に拘置されていたジャン・バルジャンの物語はご存じだろう。銀の燭台を司教にもらって正しく生きると決意する話とか、コゼットがテナルディエ夫婦からいじめられていたのを救出する話、コゼットを生んだフォンテーヌの髪や歯まで売る話とか、皆が知っているが、それでも心を打たれる。

 今回帝劇で30周年記念公演を観た。ロンドンで3回、NYで1回観て日本では10年ぶりだったが出演する俳優たちの巧いのと声のいいのにびっくり。外国の公演に劣らない。

 やっぱりショーンバーグの音楽が素晴らしい。民衆の歌、オン・マイ・オウン、宿屋の主人の歌、幼いコゼットの歌う雲の上のお城。何回聞いても感動し私は涙をと流した。恥ずかしかったが。

 ジャン・バルジャンが、重傷を負ったコゼットの恋人マリウスを救出しようと、パリの下水道を逃げ回る。ストーリーのヤマ場だ。1832年の6月暴動の夜。原作者ビクトル・ユーゴー自身が体験したバリケード近辺の緊迫感が反映している。

 現在の世界の緊迫感は、オバマ政権が「警察官」であることをやめ、トランプ政権になって、はっきりいうが一層の無責任になったこと。中国、イラン、北朝鮮など国際間の安定への「ブチ壊し屋」がますます図に乗って動き出す。米国との同盟国はワリを食う。

 私は意外な情報を聞いた。526日のG7の際に開かれた日米首脳会談では、席上トランプ大統領は中国重視発言を行い尖閣防衛義務にも触れず、安倍首相は頭越しの米中接近を危惧した、とか。もちろん公表されたステートメントにはでは「北」問題での結束強化、テロの脅威への協力での成果をうたったが、実は違った、と。またG7の討議をトランプ氏に愚弄され米欧間を取り持とうとした安倍首相の試みも挫折した、とも聞いた。

 そんな場合、世界が軽く見ている事件も大ごとになりやすい。65日と6日、サウジアラビア、エジプト、UAEなど中東の主要国はカタールとの国交断絶を表明した。2014年にもサウジとUAEはエジプトの政変に絡んでカタールと対立、自国大使を帰国させる抗議を行ったが、この時は8か月で終わった。今回は陸、空路も遮断する完全な国交断絶であり、中途で方針を緩和するとサウジ王家の権威が傷ついてしまう。

 最終的にはカタールのタミム首長の退陣、亡命まで事態は悪化するのでは、と私のワシントンの情報ソースは懸念している。

 小国カタールがここまでいじめられるには理由がある。同国の資金援助がムスリム同胞団などイランが背後にいるテロ組織を活性化している。またカタールはイランと共同で天然ガス開発を進めているし、タミム首長がイラン支持を述べた。しかし5月にトランプ大統領がサウジを訪問した折に、いろいろと情報を伝えたのが背景らしい。

 カタールから日本へのLNG・原油の輸入依存度はそれぞれ17%,8%。途絶が懸念されたがともに価格は下落、まだ世界の原油市場は大きな不安材料と解釈していない。日本としてはスポットで購入すれば大事あるまい。

 問題は二つ。第一は半導体製造に不可欠なヘリウムガスが断交後、対日出荷が止まっている。国内在庫は一か月で我が国の半導体生産の先行きが懸念される。

 第二はカタールの政府系ファンドが収入の途絶から手持ち資産とくに株式を売却する不安。4月現在で3350億ドルに達し、昨年6月の2560億ドルから急増している。370兆円だ。断交以降日本株への外国からの売りが増大しているが、本当にカタール政府系ファンドが売っているのか、ヘッジファンドが仕掛けているのか不明。

 カタール株式市場は13%下落し、国債の信用を示すCDSは急上昇している。また大株主であるフォルクスワーゲン、ドイツ銀行、資源大手のグレンコアの株価も下落している。

 もちろんコミー前FBI長官の証言、その後のセッションズ司法長官証言の打ち消し証言にもかかわらず活発に司法妨害説を流すメディア。英国選挙のメイ政権議席減、FRBイエレン利上げなどなど。売り要因は多い。しかし恐らく慎重に全体の相場をコワさないように、別の表現をとればプロらしい売りがすでに出ているのかもしれない。国交断絶が1か月やそこらで解決せず、長期間にわたれば、売却リスクは拡大してゆく。

 トランプ・ツイッターでは断絶直後サウジ支持、カタール批判を述べていたが、その後、和解するなら米国が交渉を取り持つ、と態度を改めた。しかし5月の訪問の時の情報提供の手前もあり、早急に仲介に動くかどうか。しょっちゅう態度が変わる男だから。

 結論。少なくとも日本株は目先、高値更新の可能性は少ない。私は慎重だ。

 別の情報では、解散総選挙は明年9月の自民党総裁選の後。そのあたりで米シムズ教授が呼ばれて恐らく消費税引き上げの延期か取り消し、永久債か100年債発行が決められるか、の論議の開始になる。秋の下げ相場の後、壮大な上昇が始まるだろう。その時は、その時。

 ミュージカル「レ・ミゼラブル」の30周年公演で特別なカーテンコールが45分間もあり、最後に画面に歌詞が出て「民衆の歌」を劇場内の全員で歌い、もちろん私も歌った。

 「戦う者の歌が聞こえるか?

 鼓動があのドラムと響き合えば

 新たに熱い生命(いのち)が始まる

 明日が来た時 そうさ明日が!」

景気の鼓動と政策のドラムが響き合えば、明日の日本は明るくなる。

 

オマケです。今週発売の「週刊新潮」6月22日号111ページに私が昭和50年代に「財界」誌で紹介したサウジアラビアの武器商人アドナン・カショーギの死が紹介されています。私が山一証券経済研究所で仕事をしていた時、誰も日本人が知らなかった武器商人ビジネスのことを書きました。1日25万ドルを平気で使った大富豪です。立ち読みでいいですからお読みください。

2017年6月11日 (日)

映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と近未来の大幅安(第862回)

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映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と近未来の大幅安(第862回)2017・6・11

 本年度アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞を獲得した秀作。大きすぎる悲劇で壊れてしまった男の再生を、淡々としたドラマで見せる。私はシドニー・ルメットの「質屋」を想いだした。音楽も素晴らしく、終盤にマスネーの歌劇「ケルビーノ」で明るくシメている。

 主人公リーは暗い影がある中年男でアパートの管理人兼便利屋で、なにに怒っているのか機会さえあれば、殴り合いの喧嘩を始める。ある日リーの兄が危篤という電話があり、生まれ故郷に帰るが、兄はすでに他界。遺言書に高校生の甥の後見人になるとあり、そのためリーはマンチェスターに引っ越さなければならない。しかしリーはかつて三人の子供を自宅の火事で焼死させ、妻と離婚した過去がある(ここらはアルビーノの「アダージョ」。冒頭はヘンデル)。

 結局、甥も主人公も立ち直り、再婚していた妻も子を設け明るい未来を示して終わる。

 6月8日のスーパーサーズディが終わった、英国総選挙、前FBI長官コミー氏証言、ECBミーティングなどなど重要イベントが押すな押すなで、市場の反応が注目され,9日金曜の東京市場が不安視されたが、とりあえず104円高で様子見。来週月曜の海外市場の反応を見てということなのだろう。

 リーマン・ショックや少し昔ではブラックマンデーなど歴史に残る大暴落は、私に記憶にまだ生々しい。ITバブルもそのひとつ。NASDAQがNYダウよりも日経平均との相関度が高いので心配していたが、2000年4月の2万833円から、2003年4月の7607円までの長期大幅下落だった。その後デフレ進行と円高との悪循環、政権交代――。本当に嫌な記憶ばかりだ。

 ところが現在はいいことが多い。米国のNYダウ、S&P500,NASDAQと三指数とも歴史的高値を更新、日本の方は6月に入って2万円のカベを破った。

 当分、ハイテク株の天下は終わりそうにないと誰もが考えている。アップル,アルファベット(グーグル)、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックの業績はいいし、メチャ高いPERもリクツをこじつけて合理化している。しかし若林栄四さんによると、ことし6月8日でNYダウは天井の公算大。10月以降下落の大きなのがある、との予想。日本の方も夏以降、下げるのではないか。

 私はあまり星回りをこのブログで使ったことがない。しかし「一白水星」「丁酉(ひのととり)」。これは「大変化で囲いの外へ出る」又は「終わり、死、落下」。私流に考えると20015年6月の2万952円を抜くものの、7~9の間で、下値の方は1万4860円台の強力な下値低拡線が維持できるか、どうか、だ。もちろん大丈夫だろうが。

 上げても下げてもファンダメンタルな材料がきっかけになるものだが、下げの方は―。とんでもない方から。

トランプ辞任。これはないと思う。理由は支持率上昇。ラスムッセン調査では6月1日43%に対し6月9日46%。次は「北」主導で文在寅大統領の韓国が合邦し、難民がどっと押し寄せる。第三は欧州の銀行(イタリア、ドイツ銀行など)の破綻。第四は(誰も驚くまいが)米国の景気悪化、なにしろ6月で、8年上昇だ。2018年には間違いなくジ・エンドだろう。パリ協定脱退のハラいせに米国系ハイテク企業に欧州とくにメルケル女史が意趣返しでいじめるかも。カタールいじめで首長の亡命ともなれば、同国が大株主のドイツ銀行、VWに影響があるかも。

韓国と北朝鮮からの難民のお話の現実性を疑っちゃいけない。文在寅大統領は1980年に「北が提唱した「高麗連邦」、1992年では「一民族一国家、二制度二政府」を信じ政策の基本にしている。かならず韓米同盟は空洞化し、米軍は撤退することになる。

 一方、財閥解体、借金取り消し徳政令、公務員の81万人雇用で韓国経済は社会主義化。同時に開城工業団地、金剛山観光を再開など「北」への援助を開始。国連制裁の効果をうすめる。すでに文大統領は10件も民間ベースの対「北」経済援助を人道主義の名で認可している。

 安倍首相は衆議院の決算委員会の答弁で「避難民の保護に続いて上陸手続き、収容設備設置、「北」工作員の偽装難民分別」を必要としている。」と述べた。

 中国はどうするか。秋の党大会で、「北」派のナンバー3,5,7の三人を退け、習近平再選になった後、米中露の三国信託統治を受けるだろう。朝鮮半島全体は中国の傘下衛星国になり、これは習近平の功績になる。明春には米国側は米国軍人家族を主に沖縄に疎開させ、空母三隻以上を派遣、中国が「北」の非核化をさせなければ「あらゆる選択肢」があるとオドかすだろう。マティス国防長官は優れた軍人で戦略に長けているという評判だ。数時間で「北」の武力を制圧するプランがあるらしい。まあそんなことになるまい、が。

 たびたび申し上げてきたが、かりにNYダウが20%下落なら日経平均はせいぜい10%の下げに止まるだろう。理由はこのブログでこれまた何回も主張してきた。肝心なのはNYは米国に近く訪れる景気後退があるし、日本の方は設備投資がようやく動き出し、2018年度の成長は今年度より上回る。需給関係でも日銀のETF、GPIFの買いが下値を支える。ここらが根幹だ。

 余分なことだが6月2日に「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯した。テクニカル指標としては①5%以上の株価下落が77%②クラッシュが51%③重大な下落が24%の確率で発生するといわれている。2015年6月に点灯したときは8月の上海株暴落を受けNYダウは1万8000ドル台から1万5000ドル台に15%下落した。NYの信用取引買い残は空前の水準なのでいったん下落したら15%以上になるだろう。結論。6~7月の利食い作戦が私のおすすめだ。

 

 映画のセリフから。映画の終わりにリーは甥のパトリックに言う。「お前が来ても泊まれるように二つ部屋のあるアパートを探している。引っ越したら、いつでも来てくれ」。そして二人は仲良く釣りを始める。ここでリーが深い傷から立ち直り、前途に希望を見ていることがわかる。いい幕切れだ。

2017年5月28日 (日)

映画「トンネル 闇に鎖された男」と政策転換の開始」(第860回)

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映画「トンネル 闇に鎖された男」と政策転換の開始」(第860回)2017・5・28

 私の韓国嫌いはご存知の通りだがすすめる向きがあったし、700万人4週間興行収入首位と聞いたので。たしかに一見に値する力作だった。

 自動車ディーラーのジョンスは契約をすませて帰宅途中トンネルに差し掛かった時、突然天井が崩壊し、車ごと生き埋めに。目覚めると周囲はコンクリートの瓦礫の山。車中には2本のペトボトルの水と娘への誕生日ケーキ、それにバッテリー残量78%に携帯電話だけ。やがてトンネル崩落のニュースで救助隊が駆けつけて、1週間で助けられと隊長は約束したが、次々と問題が発生―。

 

 トンネルや坑道に埋められた男を描く映画は多い。しかし主人公ジョンスはヒーローではなく、マスコミは騒ぐだけ。政府の対応も後半後手だし、世論に弱腰。たった一人のために税金をムダ使いするな。ソウル行きに便利なもう一本のトンネルに発破をかけ工事を進行させろという大衆のヒステリーに、政府を含め皆が迎合してしまう。経済優先、大衆への迎合、人命軽視、そして崩落の原因になった工事会社の手抜き。この映画はサバイバルだが人間の本質をえぐる。被害者と救助隊長との友情も夫妻の愛情もいい。

 

 工事もいい加減で竪坑を掘削しても設計図通りに建てられていず、推定されていた救助位置と150メートルも離れている。

 

 見通しが全くつかめないトンネルの中。この状況に似ているのがご存知わが国の財政健全化目標で、2020年度のプライマリーバランス(PB)の黒字化達成は困難だ。

 最近政府与党内で、この問題に関する議論が活発化。5月21日のNHKは「対GPP比の債務残高を目標に加える」案があることを報じた。また先週、FRB前議長バーナンキ氏も来日して日銀で講演した。何か、起きるぞと私は感じる。

 このプランは自民党の「財政再建に関する特命委員会」が提言したことがあり、2015年春ごろ活発に論議されたが、復活してきている。

 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストによると「政府は早ければ今年6月に対GPP比債務残高を財政健全化の目標とし、目標時期を延期するかも知れない」

 5月26日のレポートによるとこう結論を出した。対GDP債務残高の目標に完全移行するなら、「歳出入改革を行わなくても、金利水準を抑えて各月名目成長率を高めれば、との議論につながりやすく財政比率も緩みやすいだろう」。その点は規律をキチンとしておけばいい。

 私は従前から注目している「永久債」発行での利払い圧縮が、財源の決め手になると考えている。次第に巨大財源を賄う作戦が内々で固まり、準備工作が始まったように見受けられる。

 

 私はこの6月でまる8年になる米国景気の好調が来年には、おわりになり、ワシントンの混乱と相まって、秋には株の大幅下げがあると考えている。

 あるいは中国の金融危機かしれない。3月の全人代で幹部だけに報告されていた機密文書がある。「2000年から20150までに国有企業、金融、証券、保険業界で極秘裏に処分された不良債権は20兆元に達する」。これは香港の「東方日報」が最近すっぱ抜いた。同紙の巨額資金が海外に流出したことからも判明できる。これは空前の危機で国家安全保障や社会の安泰にかかわる爆弾だ、とした。

 宮崎正弘さんはいずれ黒幕とされる劉雲山の息子、江沢民の孫ら香港で怪しげなファンドとの結びつきが強い。これまでアンタッチャブルとされてきた高官一族への捜査が、もし行われると、市場は一挙に爆発するだろう」としている。これは時期不定。

 私が近著「恐慌化する世界で日本が一人勝ちする」で述べた通り、政府債務1200兆円は大ウソ、だ。日本国債の暴落だとかハイパーインフレだけが、ひどいときには預金封鎖だとかー。

バカなセリフは休み休み言ってもらわないとくたびれちゃう。ま、そこらはいずれ、また。

 大事なことは、秋ごろに多少大きい下げがあっても、日本経済と株式市場には途方もないいい材料が出そう、ということだ。

 いつが天井で、いつ下落が始まってどのくらいで下げ止まって、いつが買い時か。神様でない限り、分かるはずはないでショ。でも私の大体の画はお分かりでしょう。これはテクニカルア

ナリストの世界です。

 映画のセリフから。ついに救出された主人公はタンカで運ばれ救急車に乗る。直前にTV局が呆れたことに「どんなお気持ちですか?」と聞く。「オマエたちはみんなクソだ!」マスコミも政治家もポカンとして人公の怒りがわかっていない!皆さんのご不満はわかりますが、まだコトが起きるまで間があります。

 なお私が「下げ相場の予測屋」とからかっている(もちろん打率は高い!)プラザ投資顧問代表取締役伊東秀広さんが株式講演会を開きます。私も聞きに行こうかな。

 7月1日(土)13時30分から2時間

 会場はTKP横浜駅西口カンファレスセンター。神奈川区鶴屋町2-24-1横浜谷川ビルANNEXB2F 会費は会員1万5000円、一般1万9800円(6月10日まで早割1万5000円)

 終わりに感謝を。5月22日のフォレスト出版主催の講演会にご参加いただいた方々、初めから終わりまで私のつたない講演を聞いてくださいました。ありがとうございます!

2017年5月21日 (日)

ヒッチコック「鳥」と恐怖が生む投資(第859回)

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ヒッチコック「鳥」と恐怖が生む投資(第859回)2017・5・21


この傑作には原作の短編があり、作者は「レベッカ」を書いたダフネ・デユ・モーリアだということは知っていた。今回読んでみたら、驚いた!

 原作の舞台は英国の地方の町で主役は自動車者修理工。へえ、サンフランシスコから100マイルのボデガ湾ではないし、主役の弁護士ミッチもお金持ちの道楽娘メラニーも、ミッチの母親も全部シナリオ上での創作なんだ。流石,エド・マクベイン(この作品ではエヴァン・ハンターの名前だが)!

 鳥の攻撃が始まってレストランに町の人たちが集まる。鳥類学者を名乗る老婦人は鳥が世界の終わりを招くなんてありえないと主張、これが常識。「世界にとってそんな重大な事柄がたかが鳥のために起こるはずがない、という通念に凝り固まっている(ヒッチコック「映画術」)。」

 核を手にしている国はこの世の終わりの核戦争を起こしうる。だから北朝鮮は人口2000万人の小国でも世の中の注目を浴び、しかも地続きの韓国、中国、ロシア、もちろん日、米も重大な関心を持つ。

 その軸になるお騒がせ男金正恩が一番喜んでいるのが5月9日の文在寅韓国大統領の当選だろう。

 この新大統領がこれからすることは「超太陽政策」で、親北朝鮮、親中国。もちろん反米、反日で、韓国へのTHAAD配備を拒否し、米軍を朝鮮半島から追放する。これは中国、北朝鮮そして文在寅にとって共通のメリットだ。任期中にやるだろう。

 文大統領はまず「非正規雇用ゼロ」を強行し、公共部門で81万人、民間で50万人の雇用を公約している。財源は不明だし、大企業にとっては迷惑だが、財閥叩きは人気取りに不可欠なので、強行する。まあ大変なコスト高と国際競争力の劣化につながる。外国人投資家が韓国株を売り、ウオン暴落も、もう見えている。韓国側の姿勢が拒否体制なので、米国も日本も助けようがない。中国が今展開している「韓国いじめ」をやめ経済優遇策を与え、チャイナ経済圏への取り込みを図るだろう。結局「北」優位の南北統一が進展する。

 では米国は。切り捨てもプランとしてすでにある、と思う。トランプ大統領は10億ドルのTHAADミサイル配備費用を選挙戦の最中に韓国に対し要求した。親米候補に不利になる発言をあえてしたのは、米中の取引の中で韓国切り捨てをカードの一つに考えているのだろう。

 昨年末に来日した米国務省次官補東アジア担当は、北朝鮮の金正恩体制が終われば米、中、露の共同信託統治を予告していた。ロシアを入れるのは、中国に日本海に接した軍港までは与えないという米国の意図だろう。

 日本としては、北朝鮮の脅威が対馬海峡の向こう側まで来て、その時発生する大量の難民の流入が「そこにある危機」になってしまう。国会はまだ森友だ加計だとさわいでいる場合か。

 

 もう一つ。トランプ大統領のコミーFBI長官の解任とロシアへの機密漏洩は確かに危機だろう。しかもトランプ政権の支持率は3月51%が5月18日44%で下落。

 「トランプが2018年までに辞任」のカケ率は60%と高いが、株価の方はNYダウが高値でモミ合い、NASDAQは新高値でアレレ?という感じ。足元をすくわれて、株価は急落、円高になった。しかしトランプ・ショックはせいぜい1,2日で暴落はないだろう。米世論は78%が「特別検察官設置」に賛成しているので、この問題のカギだが、弾劾は数年かかる。不透明感は残るだろうが。NYも日本もまだ株高は続く。

 米国政治の先行き不透明、南北朝鮮のほか、投資家に聞くと日銀のマイナス金利導入に伴う資金運用難、それに財務省と同省に飼われているポチたちの宣伝によるハイパーインフレ不安(私は全く信じないが)。

 その結果究極の安全資産「金投資」が歴史的な転換、つまり急増している。

 金の需要はアクセサリーなどが「宝飾用」と金地金、金貨の「資産用」とに分かれる。日本では前者の方が多いのが常識だった。

 ところが2016年に宝飾用は16・9トンで前年比微増だったが、資産用は20トンで15%増。初めて逆転した。今年に入っても業者に聞くと金地金、金貨は買いが続いている。私は資産の3~5%は金に、と申し上げてきたが、ようやくその時代に入った。

 問題はもうかっているかどうかだが、2016年年初の1グラム4088円が年末4330円に6%上昇。現在4486円で1割上昇。悪くない。

 あれれ、イマイ先生、株の方は?と聞かれそう。6月に発表される成長戦略「ソサイエティ5・0」を私は期待している。AI、ロボットなど自動運転、遠隔医療を含めた10以上のテーマが発表されよう。常識的にはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどが多くの分野で関連しそう。ご研究を。私はサイバー攻撃の関連を調べている。

 映画のセリフから。「鳥」はあまりいいセリフがないので、私の好きな「気まぐれ天使」(ケイリー・グラント主演)から。

 「人は老けるものよ」とある中年女性。

 「老いた心で生まれた人は老ける。若い心で生まれた人はいつまでも若い。」そのとうり!私は色紙を年輩のひとに頼まれると「流水不濁、忙人不老」と書くことにしている。ついでにこの「気まぐれ天使」にワンシーン出るタクシー運転手のセリフを。

 「この国の問題を知っていますか。目的を持たない人と、目的に向かって急ぎすぎる人の、どっちかしかいないことです。」いい意見だなあ。

2017年5月14日 (日)

映画「美女と野獣」とアベノミクス開花(第858回)

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映画「美女と野獣」とアベノミクス開花(第858回)2017・5・14

 ただいま大ヒット中の「美女と野獣」実写版は1991年のアニメ版が土台。私は1946年のジャン・コクトーの白黒映画、その後NYと東京で舞台も観た。モトは18世紀のフランスのおとぎ話だが、ディズニー版では町の人気者で頭の鈍いガストンを加えたり、今回は捕らわれの美女ベル(エマ・ワトソン)はシーツをロープ代わりに窓から逃げようとする。

 傲慢だった王子は魔女の呪いで野獣に変えられてしまう。呪いを解くにはある1本のバラの花びらが散りつくすまでに野獣である王子を愛してくれる女性を見つけなくてはならない。かつての使用人たちは日用品に変えられ、城も廃墟のよう。

 もちろん結末はご存知の通りめでたしめでたしなのだが、私は廃墟から美しい城に変貌した画面を見て、何年か前の鳩山、菅内閣の日本のドン底時代と現在を思い出した。

 デフレと円高の悪循環、そこに3・11のあの大震災1ドル50円以下説で売り出した女性エコノミストがいたあの時期だ。円高とデフレ、デフレと円高の悪循環――

 あの時の野田解散時に安倍現首相のアベノミクスの提唱。当時ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長が私に「早く登板してくれ、アベ!!」というメールを送ってくれたことを忘れない。

 「アベノミクスは本物。私は円高論者だったが転換した。円売り・日本株買いがグローバル投資の唯一の戦略だ。」この戦略にすぐ乗ったジョージ・ソロス氏が6か月で90億ドルの巨利を挙げた。何しろオニール氏はBRICSという投資シナリオを創案したグローバル・ストラテジストの第一人者の発言なのですぐ従って大戦果を挙げたのだろう。

 もうすぐアベノミクス開始後5年になる。名目GDPは971012月期のピーク時を昨年79月期で抜き、その後も順調に拡大を続けている。13月期も順調で5・四半期連続のプラス成長。

 雇用は完全雇用に近く、全都道府県で求人倍率が一を上回った。人手不足=賃上げ=デフレの完全脱出も見えてきた。SMBC日興証券のチーフエコノミスト丸山義正さんによると4月の期待インフレ率は204%になった。CPIは10月には08%に高まると見込んでいる、来春の春闘で日銀は目標を達成しよう。

 

 私はどう見てもアベノミクスは成功、と思う。

 日銀の大胆で歴史に残る大型金融緩和、大型予算や何回もの補正予算、政府と日銀の協力体制だ。GDPの中では個人消費の主力であるサービス支出は10・四半期連続で増加している。残念なのは消費税引き上げのために、だれの目にも見える形の好況になるのが遅れたことである。

 加えてトランプ政権の発足で、米国経済の活性化期待と日米間の金利差による円安、企業収益の上昇。株高と国民の財産である年金の資産増加なども見逃せない。

 

 ところがマスコミは、例えば大型金融緩和に対し、やれ出口戦略がない。また前述の女性エコノミストに至ってはドアホとまでののしっている。大切なのは正しい現実認識を正直に認めることだと私は考えている。

 とはいえ、毎日新聞外信部の「よくわかる世界の紛争1017」によると「北」を含め37ものブラックスワンがあるご時世だ。市場に突風が時として吹くのは仕方あるまい。大切なのは日本が世界の突発的不安にもかかわらず、唯一の好況持続と政治的安定を併せ持つ国だということだ。拙著「恐慌化する世界で日本が独り勝ちする」をご覧いただきたい。現実を正直に認めることが大切、と私は考える。

 あの民主党政権時代の何も決まらない政権下のどん底時代と現在と比較すれば、アベノミクスの成功は明らか。株価も2万円を超えて当たり前だろう。もちろんあと3年で3万円声を予想している私としては、ずっと強気を申し上げ続けてきた。6月の安倍首相の成長戦略発表を待っている。確信を深めたいからだ。

 対案もないまま、ただ批判を続けているある新聞やエコノミストの方々は、虚心坦懐、率直に現状を認めてほしい。決して私はザマミロなんて言わないから。

 映画のセリフから。ジャン・コクトーの主演の主役ジャン・マレエが野獣のメークでベルに言う。「私は野獣だ。愛など望むべくもない。しかし愛は人を野獣にもするし、醜い男を美しく変えることもあるのだ!」

 私は521日の講演で皆様にお会いし、自信のある投資作戦をお話しするつもりだ。どうぞご期待ください。あと少しだがまだ席は残っています。17日の水曜日に募集は完了します。DVDのご希望がすごく多いのはびっくり!

2017年5月 7日 (日)

映画「無限の住人」と地政学リスクとメタ・ハイ(第857回)

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映画「無限の住人」と地政学リスクとメタ・ハイ(第857回)2017・5・7

 なにしろキムタクのチャンバラモノ、三池崇史監督だから面白そうと考え、観た。原作になっているコミックは読んだことはない。しかし、これは丹下左膳のパクリだな、と考えた。右眼、右腕がなく赤の長襦袢を着たニヒルな80年前ヒーローの平成版、といったところか。

主人公万次は罠にかけられ目の前で最愛の妹を殺され、自身も瀕死の重傷を負うが、謎の老婆によって永遠の生命を与えられる。死ねない万次は生きる勇気もなく孤独な日々を送っていたが、50年もあとにご両親を殺された少女凛から用心棒になってくれと頼まれる。仇は逸刀流という暗殺集団。これに幕府軍も加わりクライマックスは300人を相手に何とも物凄いバトル。「十三人の刺客」を思い出させる。

 次から次へ現われ刺客の中ではなんと市川海老蔵や金髪の美女などコスチュームも凝っていて楽しい。

 キムタクの万次は何しろ300人の敵と斬り結ぶのだから前後左右から同時にとびかかられる。私はまるで、今の世界の凄い広範囲の地政学リスクじゃないかと思った。そして謎の老婆はやはりトランプ、かなとも。


 順不同だが思いつくままに。①北朝鮮。3月の発射実験では在日米軍と表明。米国は空母カール・ビンソンを派遣したが、目先は中国にゲタをあづけた形だ。②中国の海洋進出。尖閣は言うに及ばず、中国の岩礁埋め立てで軍事拠点を整備しているため領有権をめぐり周辺国との対立。ただフィリピンは中国の経済援助とバーターでこの問題を棚上げ。③シリア。2011年から内線状態の政府軍の化学兵器の使用疑惑を受けて米国が巡航ミサイルでシリアの空軍基地攻撃。④イラン。核開発の制限に合意。経済制裁は解除された。シリア支援をめぐって欧米やサウジと対立が続く。ロシアと共にシリアへのミサイル攻撃を批判、トランプ大統領は核合意の見直しに言及。

 このほか、今回参考にさせていただいた資料「地政学リスク増大の背景に戦略的忍耐からの転換最低限核抑止」。(みずほ総研専務取締役高田創さん)はトルコ、イスラエルも挙げている。

 もちろん、この地政学リスク増大の背景は「何もしなかったオバマ」から「ともかく何かをやる、あるいはやりたいトランプ」への政權交代である。「北」の核が代表的な例だが、5月7日のフランス、5月9日の韓国、5月19日のイラン、それぞれ大統領選挙がある。5月26日、27日にはイタリアでG7サミット、6月8日には英国で総選挙がある。地政学イベントが文字通り目白押し、その都度いろんなリスクが言われること必至だ。

ヘッジファンドがリスク・オン、リスク・オフの繰り返しには格好の材料。市場が大きい日本の円と国債、もちろん株はヘッジファンドの好餌。当事者の韓国はウォン安を好感して株価は新高値。私が現地のソースに聞くと「韓国人はみな二つの固定観念を持っている。第一が中国は北朝鮮を見捨てない、第二は米国は「北」を攻撃しない、というもの」。ヘエ、そんなに楽天的でいいの、と聞きたくなる。時代は大きく変化しているのに、気づいていないんですか。

まあ気づいてもいないから、「北」の走狗を大統領にしようとしているんだろうなあ。

ところで今回、私が待望していた情報があった。5月4日愛知県沖合にメタンハイドレートの採掘に成功、3~4週間は採掘をつづける。」前回の4年前の時はポンプに砂が入ってしまい6日間で打ち切りになったのに比べて大変な進歩だ。

私は近著「恐慌化する世界で日本が独り勝ちする(フォレスト出版)」でメタンハイドレート関連として次の三銘柄を挙げた。

 日本海洋掘削(1606)、三井海洋開発(6269)三井造船(17003)。

 前回はなんと5倍に跳ね上がった銘柄も出た「夢を買う」投資だが、今回も同じ大飛躍を遂げるか、どうか。ご投資はどうぞ自己責任で。

 映画のセリフから。幕切れに万次はズタズタにされ、死んだと思った凜が「万次さん!」と泣くと、不死の体がモノを言い、片目を明けていう「お兄さんと言え!バーカ」。何ともカッコいいエンディングだ。

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